【BMW 3シリーズの全貌】エンジンからトランスミッション、サスペンションまで徹底解剖

　日本仕様の3シリーズに用意されているエンジンは3タイプだ。ガソリンエンジンが排気量2Lの4気筒と3Lの6気筒。そして2L 4気筒のディーゼルである。
　2Lの直列4気筒ターボエンジンは“ベーシックタイプ”と“高出力タイプ”が存在。「320i」に搭載する前者は「B48B20A」と呼ばれ、最高出力184ps/最大トルク300Nmを発生する。いっぽう「B48B20B」となる後者は「330i」に積まれ、最高出力258ps/最大トルク400Nmというスペック。いずれもエンジンの基本構造は同じだが、制御などで差をつけている。
　さらなるハイパフォーマンスや「シルキーシックス（絹のように滑らかな6気筒）」と称される爽快なフィーリングを求めるユーザーに向けたエンジンが、「M340i xDrive」に組み合わせる3L 6気筒ターボエンジンの「B58B30B」。サーキット走行まで視野に入れ、最高出力387ps/最大トルク500Nmを誇る。
　ディーゼルエンジンも選択できる。「320d xDrive」に搭載される2Lの直列4気筒ターボの「B47D20B」だ。最高出力は190psに留まるが、最大トルクは400Nmを発生し、燃費がいいうえに燃料である軽油の単価が安いからランニングコストが安いのが魅力である。
　プラグインハイブリッドモデルの「330e」は、「330i」と同じ「B48B20B」エンジンを搭載。ただしモーターのパワー（113ps/250Nm）が加わり、総合的な動力性能は「330i」に勝る。

　海外仕様には6速マニュアルも展開されている3シリーズだが、日本向けのトランスミッションは全車ともZF製の8速ATを搭載。
　また、M系のモデルに搭載される「ステップトロニック・スポーツ・トランスミッション」はパドルシフトが備わるほか、シフトチェンジに要する時間を短縮。より爽快な走りを楽しめる。

　3シリーズのサスペンションは全車とも、フロントにストラット式、リヤに5リンク式を組み合わせる。その味付けはノーマルに加えて「Mスポーツ・サスペンション」と「アダプティブMサスペンション」の合計3タイプを設定。前者は「M Sport」モデル（330eを除く）に標準搭載、後者は「M340i xDrive」に標準採用されるほか「M Sport」モデルでは好みに合わせて選択できる。
　「Mスポーツ・サスペンション」は標準サスペンションに対してスプリングとタンパーを締め上げた設定で、俊敏性と高速域での安定性を向上。ひときわスポーティな走りを味わえるほか、車高も標準車より10mm低くてシャープなスタイリングとなる。
　さらに上位タイプとなる「アダプティブMサスペンション」は、ダンパーの減衰力を電子制御で調整することにより、俊敏なハンドリングを実現するスポーツ走行から移動を快適にするしなやかな設定まで任意に変更できるのが特徴だ。サーキットでの走りから最上の乗り心地まで、状況に応じて特性が変化する、懐の広いサスペンションと言える。
　走行中はホイールの動きや路面の状況を常にセンサーが検知し、瞬時にダンパーの減衰力へ反映させて最適な設定とする機能も組み込む。

モータージャーナリスト 石井昌道によるインプレッション
ドライビング インプレッション