車のエンタメ
更新日:2018.11.10 / 掲載日:2016.09.12

マツダ「787B」のル・マン優勝を称える、20年の時を経た「ウィニング・ラン」

 2016年のル・マンは、トヨタが残り5分でマシントラブルに見舞われ、ポルシェが大逆転勝利を収めました。「トヨタの悲願、叶わず」と大きく報じられましたが、1923年の初開催以降「世界三大レース」のひとつとしてモータースポーツファンを熱狂させてきたル・マンの歴史のなかで、一度だけ日本車が優勝したことがあるのはご存じでしょうか?

 栄光を掴んだのは、1991年に出走したマツダ「787B」。マツダから参戦した3台のうちの1台で、レナウン・チャージカラーのボディにマツダ787Bロータリーエンジンを搭載し、カーナンバー「55」をつけたマシンでした。

 マツダが手にした勝利には、もうひとつのストーリーがありました。55号車のドライバーのひとり、ジョニー・ハーバートの戦いです。当時、ロータスのドライバーとしてF1にも参戦していたハーバートは、アンカードライバーとしてチェッカーフラッグを受けました。しかし、自分で立ち上がれないほど深刻な脱水状態に陥っており、表彰台に上がることもできなかったのです。

 ゴールの20分前、ジョニー・ハーバートがステアリングを握る55号車はタイヤ交換のためにピットに入ります。それまで1時間半も走り続けていたハーバートは、かなり体力を消耗していましたが、チームはハーバートに命運を託して続投させたのです。その結果、まさに戦い抜いてレースを終えたハーバートは勝利の余韻に浸ることもできませんでした。

 あの日から20年。2011年のル・マンに、ジョニー・ハーバートと787Bが戻ってきました。レース開始前のデモ走行に、55号車とジョニー・ハーバートを起用。サプライズとして、優勝したときには立つことのできなかった表彰台にハーバートを招いたのです。

そのときの動画がこちら。

 大勢のスタッフや報道陣に囲まれ、コースに現れた55号車。ハーバートが乗り込んで、ゆったりと走りはじめます。

 デモランのため、全開での走行とはなりませんでしたが、かつての優勝ドライバーはスムーズに、小気味よくマシンを走らせます。エグゾーストノートの美しさで知られる787Bですが、本当にいい音色です。

 20年前のマシンにはパドルシフトなどありません。慣れた手つきでフロアシフトを操る姿もかっこいい!

 ハーバートは、どのような気持ちで55号車を走らせたのでしょう。20年前の歓喜の瞬間に思いを馳せていたのか、はたまた、ただただ懐かしさを感じていたのかもしれません。

 無事に1周を走り終え、ピットへ。

 ドライバーズシートから降りたハーバートは、今度は自分の足でしっかりと歩いて表彰台にあがりました。それからさらに5年。このすがすがしい笑顔は、ファンにとっても忘れられない「ル・マンの伝説」になっています。

参照元:AutoMotoTV (YouTube)

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グーネットマガジン編集部

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