中古車購入チェックポイント
更新日:2020.05.11 / 掲載日:2020.05.11

三菱 eKスペース【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2020年5月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年4月調べ。


スーパーハイトワゴンは今、乗用車で最も売れ筋となっているジャンル。その1台となる三菱 eKスペースは、軽自動車とは思えない広い室内スペースと便利装備の充実に注目だ。

2016年式 三菱 eKスペース Gセーフティパッケージ(CVT) ●全長×全幅×全高:3395×1475×1775mm ●ホイールベース:2430mm ●トレッド前/後:1300/1290mm ●車両重量:940kg ●エンジン:直3DOHC ●排気量:659cc ●最高出力:49ps/6500rpm ●最大トルク:6.0kgm/5000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/3リンク ●ブレーキ前/後:ディスク/ドラム ●タイヤ前後:155/65R14

乗る人を選ばないデザイン

 eKスペースの標準車は、老若男女誰にでも似合うプレーンなデザイン。なかでも2016年12月のマイナーチェンジ以降のモデル(写真)は、フロントグリルなどにいっそうの丸みを帯びて優しい表情になった。鮮やかで多彩なカラーリングも用意し、ルーフやドアミラーなどを塗り分けた2トーンカラーも設定している。
中古車参考価格帯:50万円~160万円(14年~19年 ※カスタムを除く)

室内の広さに加えてライバルにはない装備も

 日本における新車販売のうち、約4割を占める軽自動車。なかでも人気が高いのが「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルだ。
 最大の特徴は室内が広いこと。天井が高いから頭上に解放感があるのに加え、前席と後席の間隔が広いからリアシートに座るひとの足もとは驚くほど広々。さらに、リヤドアはクルマの横に広い空間がなくてもドアを全開にできるスライド式。乗り降りしやすく、高い天井や低い床と相まって狭い場所でも乗降性も抜群だ。開いたドアが邪魔をしないから、抱きかかえた赤ちゃんをチャイルドシートに座らせやすいのも子育て世代に嬉しい美点である。
 三菱「eKスペース」もそんなスーパーハイトワゴンに属する1台。エンジンや車体など基本的な構造を人気の「eKワゴン」と共用しつつ、背を高くして実用性を高めている。
 ライバルたちがしのぎを削っているこのジャンルにおいて、eKスペースは比較的後発となる。そこでライバルを追い上げるべく装備の充実が図られている。
 たとえば前席の頭上に組み込んだサーキューレーター。スーパーハイトワゴンは室内が広いゆえに、真夏はエアコンの冷風が届きにくい後席に熱がこもりがちというウイークポイントがある。そこで軽自動車初となる、後席へエアコンの風を効率よく送る「送風機」を備えているのだ(一部グレードを除く)。
 また、車両を真上から見下ろすような映像で駐車を楽にすると同時に、死角をなくして安全確認をサポートする「マルチアラウンドモニター」も設定。さらにデビュー時にクラス最大を誇った後席のシートスライド量や豊富な収納など、実用性を高めるたくさんの工夫も見逃せない。

[eK スペースカスタム]ちょっと尖った個性派

 eKスペースの標準車は、老若男女誰にでも似合うプレーンなデザイン。なかでも2016年12月のマイナーチェンジ以降のモデル(写真)は、フロントグリルなどにいっそうの丸みを帯びて優しい表情になった。鮮やかで多彩なカラーリングも用意し、ルーフやドアミラーなどを塗り分けた2トーンカラーも設定している。
中古車参考価格帯:50万円~160万円(14年~19年 ※カスタムを除く)

[モデルヒストリー]改良のたびに着実に進化

2014年2月:eKスペースを発売

 eKワゴンと多くのメカニズムを共用するスーパーハイトワゴンとしてデビュー。自然吸気エンジンを主力とし、「カスタム」ではターボエンジン搭載車も設定する。日産「デイズルークス」とも兄弟関係にあたり、基本設計は共通だ。駆動方式はFFと4WDが選べる。

2014年12月:安全性を強化

 衝突被害軽減ブレーキを設定。作動は約30km/h未満にかぎり、グレード名に「e-Assist」とつく。

2015年4月:一部改良

 自然吸気エンジンのアイドリングストップ機能作動速度を13km/hまで拡大した。

2016年12月:マイナーチェンジ

 標準車、カスタムともにフロント部分を中心にエクステリアデザインを大幅に変更。バリエーションとしては標準車にもターボエンジンが加わったのが大きな変更。ターボのアイドリングストップ機能には、減速して13km/h以下になるとエンジンを止める機構を追加。

2017年10月:一部改良

 これまで採用がなかったベーシックグレードにも電子制御でスリップを防ぐ機能(ASC)を追加。

2018年5月:一部改良

 衝突被害軽減ブレーキの“目”を赤外線からフロントカメラ式に変更。作動速度領域が大幅に拡大した。

NEW generation 2020年2月:新型eKスペースを発表

 フルモデルチェンジで進化した2代目は、このクラスのライバルのなかでもっとも広い後席が自慢。「eKスペースカスタム」は廃止となり、それに代わるモデルとしてアクティブな雰囲気を強調した「eKクロス スペース」が登場した。「ミニデリカ」といった雰囲気が特徴だ。

[インテリア]あふれる解放感と実用性 使いやすい軽自動車を具現化

 最も注目すべき長所は広い室内スペース。高い天井に加えて後席の足もとが広く確保されているから、前席だけでなく後席もゆったりと座ることができるのだ。しかも、単に空間的な広さだけでなく、たっぷりの解放感があるのも嬉しいところ。その大きな理由は高い天井と窓の大きさだが、ドライバーの視線の位置に対してインパネを低くすることで、前方視界を広げるなどの工夫も貢献している。

eKスペース

 明るいカラーリングで開放的な雰囲気だが、空調パネルやシフトレバーの周辺は光沢ある素材をコーディネートして上質感を演出。一部を除き空調操作はタッチパネル式。

eKスペースカスタム

 黒を基調とした上質な雰囲気をつくっている。液晶ディスプレイやタコメーターを組み合わせたメーターで、本革巻きステアリングを組み合わせる上級仕様も設定。

気の利く装備が揃っている

 豊富な収納スペースも魅力。インパネ上にあるリッド付きの小物入れ(写真右)や、飛行機のような後席テーブル(写真左)など快適ツールも積極採用。

後席や床下に収納可能

 倒した後席は低く沈み込む構造になっていて実用的。格納方法は背もたれの前倒しと、床下への移動の2ステップだ。左右独立で折りたたむことができ、状況に合わせて荷室スペースを広げることができる。

[安全性能]2014年末から自動ブレーキを設定

 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)は、2014年12月の改良から採用車種を設定。グレード名に「e-Assist」もしくは「Safety Package」とつく。その後2018年5月にはカメラを使ったシステムに進化し、車両に対しての上限速度が約80km/hまでアップしている。また、歩行者も把握できるようになり、約60km/h以下での走行時は歩行者に接触しそうになると車両が減速して衝撃を軽減。

FCM-City

 2018年5月以前のモデルは障害物検知方法として赤外線を使用する。検知範囲が狭いので作動速度は、約5km/h~30km/hに限られた。

ヒルスタートアシスト

 坂道での発進の際、ブレーキからアクセルに踏み替えるとき、クルマが後方へずり落ちるのを防止してくれる機能。

アクティブスタビリティコントロール

 タイヤがスリップしてコントロールを失うのを抑える機構。カーブを曲がり切れなかったり、スピンするのを防ぐ。

誤発進抑制機能

 赤外線で前方を把握し、障害物があるにもかかわらず発進しようとすると、エンジンの出力を落として事故を防ぐ。

[ライバル]スズキ スペーシア(先代)と比較してみると?

スズキ スペーシア

ライバルはどれも実力選手見た目の好みで選べる

 このジャンルを切り開いた先駆者、ダイハツ「タント」、そしてクラスのトップセラーとなるホンダ「N-BOX」などスーパーハイトワゴンには競合ライバルが多数存在する。スズキ「スペーシア」もそんな1台。室内の広さなどはeKスペースとほぼ互角。実用性も僅差である。スペーシアの走行フィーリングは、軽い車体による軽快な動きが自慢だ。
中古車参考価格帯:40万円~130万円(13年~17年 ※全グレード)

[市場データ]ベーシックな「G」系がターゲット

 人気のジャンルゆえ中古車相場は安定傾向。特に後期型は100万円以上の物件が中心となっている。価格重視なら前期型で、とくに「G」系のグレードが探しやすい。カスタム系は相場が高いが、ターボ車は数が多く選びやすい。

  • 年式
    高年式・低走行車が半数以上を占める。安全装備が充実したこれらの物件を探したいところだが、100万円以上の予算は必要だ。

  • グレード
    標準タイプは「G」、カスタムならば「T」のボリュームがある。価格とのバランスがよいのは「G」で、セーフティパッケージ車は安心。

  • 走行距離
    高年式の個体が中心となるため、5000km未満の車両が24%も存在。1万km以下が全体の半数を占めるので、コンディションは良好。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「三菱 eKスペースGOODとBAD」

【GOOD】快適装備の充実と乗り心地のよさに注目

 ライバルに比べるとサーキュレーターなど装備品の充実が魅力。そのうえで注目したいのは、ライバルに勝る乗り心地のよさ。重心の高さに起因する物理的に不利な運動能力で、このクラスは操縦性と乗り心地のバランスに各社とも悩んでいるが、そのなかでeKスペースは操縦性の悪化を抑えつつライバル以上に良好な乗り心地を確保している。

【BAD】自然吸気エンジンは力不足感がぬぐえない

 できることならターボを選ぶことをお勧めしたい。なぜなら、自然吸気エンジンだと軽自動車としては重めの車体に対して力不足感をぬぐえないからだ。市街地走行程度ならそれほど気にならないが、幹線道路での発進加速時などには「もう少しパワーがあれば」と感じることがある。ターボは強く加速する際はエンジン音が静かで、快適面でもメリットあり。

編集部イチオシ!

G セーフティパッケージ

タッチパネル操作式のオートエアコンや非接触式キー、リアサーキュレーター、助手席側電動スライドドアなどの快適装備に加え、サイドエアバッグまで標準搭載する安全性も魅力だ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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