輸入車
更新日:2024.02.25 / 掲載日:2024.02.24

ベントレーが日本のために仕立てた特別な1台【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ベントレー

 ベントレーの販売が好調です。昨年2023年のグローバルでの販売実績は1万3560台。一昨年の1万5174台から比べると11%のダウンにはなりますが、それでも過去3番目の好業績というから立派です。日本のマーケットの719台は過去最高で、グローバルと反比例して一昨年比12%増となるそうです。

 一番大きなマーケットはアメリカで、次が中国、そしてヨーロッパがトップ3を占めます。アメリカだけで全体の28%だそうですからすごい。まぁ、富裕層はたくさんいるし、サイズ的にも気にならないんでしょうね。確かに、ハリウッド映画やラッパーなどアーティストのプロモにも多く出演しているような。やっぱあのラグジュアリーな雰囲気は富の象徴ですね。個人的には映画「PARKER/パーカー」を思い出します。ジェイソン・ステイタム演じるパーカーがコンチネンタルGTコンバーチブルを乗り回している姿が印象的。それにジェニファー・ロペスもよかった……。

コンチネンタルGT コンバーチブル

 販売をモデル比で見ると、ベンテイガシリーズが人気です。昨年はボディをストレッチしたEWBも追加されたことで全体の約44%を占めました。SUV人気はコンパクトカーからウルトララグジュアリーブランドまで浸透しています。またパーソナライゼーションを選択するカスタマーが増えているのもベントレーらしい傾向でしょう。セレブリティは“吊るし”ではなく、オリジナリティを求めます。

 実は先日(2月22日)都内でお披露目されたベンテイガ アズール ニンバスコレクションもそんなジャンルの一台です。日本限定10台というかなりレアな存在です。10人に納車されたら見る機会はほぼないでしょうからじっくり拝みました(笑)。

ベンテイガ アズール ニンバスコレクション

 このようなパーソナライゼーション、つまり、カスタマーの細かいオーダーを聞き入れるモデルには大きく分けて2種類あります。ビスポークオーダーとして完全にカスタマーの要望通りにつくる一台と、それを担当するマリナーが限定で提案するモデルです。国家元首やウルトラセレブリティなどは前者ですが、コンチネンタルGTをベースにマリナーが手がけた“バカラル”や“バトゥール”などは後者となります。

 もちろん、このニンバスコレクションは、担当するマリナーが日本のマーケットに提案するものとなります。ニンバスとは「雨雲」のことです。なぜそれをテーマにしたかはわかりませんが、ボディカラーは“クラウドグレー”という名前なので辻褄は合っています。日本もそうかもしれませんが、この風合いは霧の街ロンドンに似合いそうです。先日もヨーロッパ出張のついでに三日間だけメイフェアに滞在しましたが、黒やグレーのボディカラーばかりでした。あの天気だとそういう選択になるんでしょう。日本でメジャーな白いボディカラーは商業用のトラックやミニバンしかいません。

 インテリアもかなり上質に仕上がっています、ハンドメイドのステッチが入ったシートやトリムなど、ラグジュアリーな世界が広がります。レザーやウッドパネルにこだわる彼ららしい出来栄えです。

 エンジンは4リッターV8ツインターボで、最高出力550ps、最大トルク770Nmを発揮します。モーターのない純然たるガソリンエンジン車です。現在ベントレーはW12エンジンを廃止し、このV8とV6ベースのプラグインハイブリッドのみになりました。なんたって2030年には完全なBEVメーカーになると宣言していますから、これ以降さらに内燃機関は縮小されていくことでしょう。その意味でもこのクラスのV8ハイパワーエンジンは今後希少になってくるに違いありません。いずれガソリンがバイオフューエルに移行してもそのまま使えることでしょうから価値はあります。まぁ、今のところ断言はできませんが。

ベンテイガ アズール ニンバスコレクション

 ちなみに、今回のお披露目はベントレー日本上陸60周年を記念したものだそうです。となると、初上陸はワタクシが生まれた年。なるほど、なんとなく濃い目の縁を感じます。いつか乗れるようになれるかな?

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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