徹底分析中古車相場
更新日:2020.11.18 / 掲載日:2020.11.18
【日産 エルグランド】100万円台前半の予算で探せる日産の最上級ミニバン
大きなボディ、豪華な内装、パワフルなエンジンを備えた上級ミニバンは、今でも根強い人気を誇るジャンル。しかし、モデルによって人気に開きがあることをご存知だろうか。逆にいえば、人気車をあえてねらわないことで、予算を大幅に節約できるのも、上級ミニバンを選ぶ際に知っておきたいポイントだ。このジャンルは、国産車では現在トヨタ アルファードおよびヴェルファイア、日産 エルグランド、ホンダ オデッセイが存在するが、新車販売はトヨタの一人勝ち状態が続いており、中古車相場も高め。一方、それ以外のモデルは中古車を安く購入できる。
そこで今回注目するのは、日産 エルグランド。2010年に発表されてから、今年で10年目となるロングセラーモデルである。今年2度目のマイナーチェンジを受け、注目が集まったのは記憶に新しい。今回の改良は、フロントマスクを中心としたフェイスリフトと、安全装備の進化が中心。デビュー年が古いモデルだけに、先進の安全装備が盛り込まれたのは嬉しい。中古車市場ではすでにお買い得な現行型だが、この改良により相場がさらに下がることが期待される。ここでは、年式別、グレード別平均価格を見ながら、買いの年式やグレードを探っていきたい。
日産 エルグランドってどんなクルマ?
商用バンのキャラバン/ホーミーをベースとしたミニバン、エルグランドが登場したのは1997年5月のこと。商用車をベースとするため後輪駆動のシャシーを採用するが、高級感のある内外装と広い室内を採用し、ファミリー層を中心に大ヒット。2002年5月には2代目が登場し、よりスポーティになったエクステリアと押し出し感のあるフロントフェイスで、エルグランド人気はさらに高まった。
2010年8月、3代目となる現行型がデビュー。先代から大きく変わった点は駆動方式である。従来まではFRシャシーを採用していたが、この世代ではムラーノやティアナと同じ前輪駆動のDプラットフォームを採用。これによりフロア高が下がり、全高が95mm低くなっている。一方、全長は80mm延長されたので、乗降性と居住性が格段に向上した。エンジンは先代と同じく2.5L 直4、3.5L V6をラインアップ。トランスミッションは全車CVTが組み合わされ、駆動方式はFFのほか4WDも設定される。
エクステリアは、標準タイプのほか、エルグランドに伝統的に採用されてきたハイウェイスターも設定。さらにオーテックジャパンが手がけるライダーシリーズも引き続き選べる。室内は静粛性が高められ、2列目には独立したキャプテンシートも選択可能。オットマンと合わせれば、豪華で快適なリムジンとしても魅力的な存在である。
日産 エルグランドの年式別中古車平均価格は?
2010年8月に国内販売がスタートした現行型エルグランド。基本グレードは「250XG」、「250ハイウェイスター」、「350ハイウェイスター」、「350ハイウェイスター プレミアム」で展開され、336万円~464万1000円という新車価格帯だった。そのほか、オーテックから「ライダー」、福祉車両「セカンドスライドアップシート」、高級感をさらに高めた「VIP」も設定。2011年11月には、移動物検知機能を備えた新型アラウンドビューモニターを搭載したほか、リモコンオートバックドアを「350ハイウェイスター」に標準装備、2.5Lモデルにはオプション装備としている。2012年11月には、世界初の「踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)」を採用。
2014年1月、エルグランドは最初のマイナーチェンジを受ける。ヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパー形状が一新されたほか、シグネチャーLEDポジションランプを採用し、存在感を強調。インテリアは、「ハイウェイスター プレミアム」に「グランドブラックインテリア」と称したキルティング本革シートを採用し、高級感をさらに高めている。また、2.5Lにも豪華内装の「250ハイウェイスター プレミアム」が加わった。
2015年4月、装備と価格を見直した「250ハイウェイスターS」、「250ハイウェイスターS アーバンクロム」を追加。2018年12月には、「LDW(車線逸脱警報)」、「インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)」、「進入禁止標識検知」、自動ブレーキシステム「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」、「ハイビームアシスト」を全車標準装備し、安全性をさらにアップ。そして、2020年10月、2度目のマイナーチェンジにより、再び内外装を一新したほか、「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」、「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)」、「BSW(後側方車両検知警報)」、「RCTA(後退時車両検知警報)」など、先進安全技術が標準装備され、年々安全面も強化されている。これらを踏まえ、年式別中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2010年式 | 125万円 |
2011年式 | 129万円 |
2012年式 | 121万円 |
2013年式 | 166万円 |
2014年式 | 239万円 |
2015年式 | 243万円 |
2016年式 | 255万円 |
2017年式 | 280万円 |
2018年式 | 293万円 |
2019年式 | 307万円 |
どの年式も物件が充実し、予算に応じたクルマ選びが可能
10年に及ぶ生産期間のため、市場には非常に多くの中古車が流通している。もっとも多いのは、最初のマイナーチェンジが行われた2014年式。また、2013年式も豊富であるが、基本的にはどの年式も十分な物件が存在し、予算に応じたクルマ選びができる。100万円台前半の予算で探すなら2010年~2014年式の前期型がオススメ。平均価格は120万円前後だが、なかには100万円を切る物件もかなり多い。ただし、100万円以下の個体は走行距離8万km以上が中心。ある程度のコンディションを求めるなら、予算にゆとりを持ちたい。一方、2014年~2020年式の中期型は、相場がグッと上がってしまう。このゾーンで探すなら、最低でも200万円は必要となるだろう。
日産 エルグランドのグレード別中古車価格相場は?
エルグランドのグレードは、大きく分けると2.5L 直4モデルと3.5L V6モデルが存在する。トランスミッションは全車CVTが組み合わされるが、駆動方式は2WDと4WDを選択可能。また、エクステリアは標準バージョンに加え、ハイウェイスター、オーテック社が手がけたライダーが存在するから、バリエーションは豊富である。ここでは、物件数が充実した代表的グレードの中古車平均価格を見ていこう。
グレード | 中古車平均価格 |
250ハイウェイスター | 144万円 |
350ハイウェイスター | 181万円 |
350ハイウェイスター プレミアム | 202万円 |
上質な走りを追求するならV6搭載車を
中古車のグレードは、「250ハイウェイスター」、「350ハイウェイスター」、「350ハイウェイスター プレミアム」の3つが大半を占める。スペシャルな内外装のライダーシリーズやVIPシリーズの割合はかなり少なめ。また、2.5Lエンジンを積むベースモデル「250XG」も物件が乏しい。それゆえ、基本的にハイウェイスター系が選択候補になるだろう。なかでも物件が多いのが「250ハイウェイスター」で、相場も低い。しかし、2.5Lと3.5Lでは走行フィールが異なり、エルグランドならではの上質感を味わうなら3.5L V6エンジンが勝る。どちらも相場に大きな差がないから、走りも念頭に置いたクルマ選びをしたいところだ。
日産 エルグランドの中古車価格相場のまとめ
新車販売ではトヨタ アルファード/ヴェルファイアに押されるものの、中古車相場は日産 エルグランドに大きなアドバンテージがあり、注目の1台なのは間違いない。どの年式も十分に流通するから予算に応じて選べるし、人気のハイウェイスターも物件豊富で安い。特に予算にこだわるなら前期型がねらい目。2020年のマイナーチェンジで、全体的に相場が下がることも期待できるから、欲しい人は今後の動向にも注目しておこう。