貴重な5ナンバーセダン　ティーダラティオ改めラティオ　日産新型ラティオ快走す！

【本記事は2012年12月にベストカーに掲載された記事となります。】広さだけじゃなかった、意外な実力！ティーダラティオからティーダが取れてラティオとなった新型セダン。派生モデルではなく専用のネーミングが与えられ、新設計のボディを身にまとい国内では苦戦が予想される5ナンバーセダン市場に殴り込み。さっそく試乗で実力チェック！日産自動車からニューカーがデビューした。その名はラティオ。日産はこれまで、名車サニーの流れを汲む世界戦略車として、ハッチバックのティーダを据え、その派生セダンという位置付けでティーダラティオをラインアップしていた。その方針を改め、新型セダンをグローバルカーとする新戦略を打ち出した。それが新型ラティオだ。旧ティーダラティオからラティオへの名称変更は、独立した中心車種であることをアピールする。同時に、ハッチバックのティーダも廃止、日産の大決断車なのだ。高齢化が進む日本社会で、子育てが終わった、あるいは仕事をリタイアしたシニア層が新車販売のターゲットとしてがぜん注目されている。新型ラティオの狙いもまさにそこにあるのは、聞かなくともわかるというものだが、念のため確認してみると、「そのとおりです。そのため、内外とも上のクラスに勝るとも劣らない質感をもたせ、燃費を向上させています」という。

エンジンは、ノートに採用された3気筒1.2Lへダウンサイジング。ただし、ヨーロッパ車のような過給器はない。それでも燃費向上は今のニューカーでは必須項目だから、軽量化を推進した。小排気量化でエンジンが軽くなったのに加え、マーチやノートと共通のVプラットフォーム採用などで、先代比100kgも軽くなった。車両重量1030kgというのは驚異の数値で、JC08モード燃費は22.6km／Lとクラストップレベルだ。燃費はいずれテストするとして、動力性能はどうか。小排気量化で過給器なしじゃ、パワー不足は否めない。そんなことは、クルマ好きじゃなくてもわかる。ましてや、ターゲットにしているのは目の肥えたシニア層。ごまかせるものじゃない。などと思いつつ試乗開始。走ってみると、意外に悪くない。アクセルを踏めば、低い回転からしっかり加速する。マーチの時よりフィーリングがグンとよくなっているし、なにより静粛性が上がっている。街中ではまったく不足を感じない。ただし、40km／hからの加速を試みると反応が遅れ、パワー不足を実感した。80km／hからの加速では、さらにかったるさを感じる。このクルマで、山道を飛ばそうなんて気はほぼ100％起きないが、高速道路での追い越しというのはよくある状況だ。せっかくスーパーチャージャーがあるのだから、ぜひ搭載グレードの設定を！ ご一考をお願いしたい。

ボディサイズは、先代より全長を5mm短くしているが、室内長は逆に85mm延びた。もともと定評のあった広さに「磨きをかけました」と自信満々のコメントも伊達じゃない。実際に座ると、数値以上の広さを感じる。全高が、先代より40mm低くなっている点も注目。室内高は低くなるが、スタイリングは先代よりオシャレになった。これもユーザーに訴えかけるポイントといえそうだ。

ライバルカローラVSサニーの再来名前を変え、時を越えてスモールセダンで激突5月にカローラがフルモデルチェンジ、同じ年の5ヶ月後にラティオがデビュー。なにか因縁めいたものを感じる。カローラのエンジンは1.3～1.5Lだが、ボディ寸法はラティオがわずかに大きい。価格帯も近く、5ナンバーセダンという枠で好ライバルになりそうな2台を比較してみよう。室内の広さは、長さと高さでラティオが圧倒。室内幅はカローラが上回るものの、総合的にはラティオに軍配が上がるだろう。エンジン性能は、排気量の違いでカローラのパワーが大差をつける。ヴィッツベースのプラットフォームを採用したカローラ、ノートと同じプラットフォームのラティオ。ハンドリングは接戦ながら、軽量ボディのラティオに分がありそうだ。新時代のセダンの旗頭として期待される2台。新たな需要を生み出せるか。注目したい。

アイドルストップ、VDC装備とはいえ価格はちょっと高め！グレード展開は、オーナードライバー向けに装備の違いによる3タイプと、ビジネス向けBの4種類。全車CVTで、アイドリングストップ装備。またBを除く各グレードにVDCが標準装備される。価格は、NAで130万円台からとノートに比べ割高。SCがついていないのでやや高い価格設定といえそうだ。

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