車種別・最新情報
更新日:2022.12.09 / 掲載日:2022.12.09

【マツダ マツダ6】改良モデルのポイントを詳しく紹介

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 マツダのフラッグシップモデルである「マツダ6」が、2022年12月9日、商品改良を発表した。年次改良によるアップデートに加え、目玉となるのが、20周年を記念した特別仕様車の設定だ。進化したマツダ6セダン及びステーションワゴンの概要をお届けしよう。

初代アテンザ、2代目アテンザ、マツダ6

 今でこそ「マツダ6」というグローバル統一名称となっているが、国内では現行型も2019年まで「アテンザ」を名乗っていた。初代アテンザは、今から20年前となる2002年に、長らくマツダの主力ミッドサイズモデルであった「カペラ」の後継車としてデビュー。当時、再起をかけたマツダのブランドスローガン「ZOOM-ZOOM」を象徴する新世代モデルの第一弾として投入された。3世代目となる現行型は、2012年に投入され、現在に至る。この年次改良での最大のトピックは、これまでの20年間を支えてくれたファンへの感謝の気持ちを込めて投入される特別仕様車「20th Anniversary Edition(20thアニバーサリーエディション)」だ。

 この特別仕様車は、セダンとステーションワゴンの2タイプを用意。人気の高いクリーンディーゼルエンジン車の最上級グレード「XD Lパッケージ」がベースとなる。最大の特徴は、マツダ独自の塗装技術「匠塗 TAKUMINURI」の第4弾となる「アーティザンレッドプレミアムメタリック」を専用色として国内採用したこと。その色味は、熟成された赤ワインを彷彿させる深みのあるもので、太陽光や照明などの明かりの下では、艶やかな輝きを放つ。まさにフラッグシップモデルに相応しい上質な色合いとなっている。この他、ボディカラーでは、同じく「匠塗 TAKUMINURI」の第3弾となる「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」を選択することも可能だ。さらに特別仕様車を示すエンブレムがフロントフェンダーに装着されるほか、シルバー塗装のフロントグリルと高輝度塗装の19インチアルミホイールが装着され、本来はオプションとなる電動スライドガラスサンルーフも標準装着され、上級感の演出に一役買う。

 インテリアも標準車とは異なる世界観が提供され、トリムやシートがタンカラーとなる。素材も手触りが良く質感の高い素材を使用しており、インパネトドアトリムが高級人工皮革であるレガーヌを使用し、アクセントとしてマットブラウンヘアラインを取り入れた。シートには上質なナパレザーとレガーヌのコンビシートを採用し、ヘッドレストには、専用エンボス加工が施されている。さらにディーラーオプションとして、専用フロアマットやボディ同色のキーカバーが用意されており、特別感を高めている。

 もちろん、カタログモデルについても改良及び変更が施される。モデル構成が見直され、残念ながら、2.5Lガソリンターボ車が廃止に。改良型では、ガソリン車が自然吸気仕様の2.0Lと2.5Lに。クリーンディーゼル車は、2.2L直4ターボが継続されるが、エンジン制御の改良を受け、最高出力が10psアップの200ps/4000rpmに。同時に最高出力発生時の回転数もより低く抑えられている。最大トルクの450N/2000rpmに変更はないが、最高出力発生回転数前後のトルクに厚みを持たせることで、高回転までの伸びの良さと力強さを向上されている。さらにAT車では、アクセルペダルの踏力特性を変更することでエンジン出力のコントロール性を高めているという。より走りの楽しいクリーンディーゼル車に鍛えられたようなので、こちらの出来には大いに期待したい。

 全車共通の改良としては、電動パワーステアリングのチューニングを行い、アシスト特性を変更することで、クルマの向きのコントロール性を高めた。ステアリング操舵時のステアフィールの手応えによるタイヤの路面接地性がより感じられ、狙ったラインを走らせるようにしているという。まさにフラッグシップサルーンとしての拘りを感じさせる進化だ。

 機能面での進化についても紹介したい。運転支援機能では、「クルージング&トラフィックサポート(CTS)」を新たに採用。前走車追従機能とステアリングアシストを組み合わせることで、高速道路や自動車専用道路での渋滞やロングドライブでのドライバーの疲労軽減を図る機能であり、グランツーリスモであるマツダ6には、待ち遠しかった機能の採用といえる。快適機能では、インフォメーションシステム「マツダコネクト」のApple CarPlay接続がワイヤレス対応に。さらにセンターコンソールにQi対応ワイヤレス充電器を内蔵することで、車内でのiPhoneの利便性を向上している。いずれもグレードにより標準もしくはオプションとなる。またボディカラーでは、「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」と「プラチナクォーツメタリック」の2色を追加した。また最上級グレード「Lパッケージ」では、ナッパレザーシートが、ピュアホワイトに加え、ブラックが選べるようになった。

マツダ6 スポーツアピアランス

 グレード構成では、新グレードとしてスポーティな内外装を持つ「SPORTS APPEARANCE(スポーツアピアランス)」を追加。これは一昨年末より設定された「Black Tone Edition(ブラックトーンエディション)」の発展版という位置づけで、同モデルよりブラックメタリック塗装の19インチアルミホイールやグロスブラックのドアミラーを受け継ぎ、新たに前後シグネチャーウィングやフロントバンパーロアガーニッシュ、ワゴンではルーフレールをブラックで統一し、スポーティさを高めている。インテリアも専用となり、ヴァ―ガンディレッドを使った独自のアヴァンギャルドな空間に仕立てており、シート表皮にはスムースレザーが使用されている。

 昨今のダウンサイズ化やSUVブームの影響を受け、ミッドサイズクラスのセダンとステーションワゴンのニーズは縮小しており、もちろん、マツダ6の販売台数にも影響を与えている。ただマツダ全体でみると、マツダ6自体の販売は多くはないものの、一定の支持を得ているのも事実なのだ。そこで今回の改良では、初代アテンザ/マツダ6の生誕20周年を記念した特別仕様車を含め、今の時代にスポーツセダンとステーションワゴンに拘るユーザーに向けたモデルへと磨き上げを行っている。マツダもSUVを中心としたモデルラインを強化しているが、往年のマツダファンにも人気のあるスポーツセダンやステーションワゴンのことも大切に考えていることを伝えるべく、しっかりと煮詰めを行ってきたようだ。特に特別仕様車「20th Anniversary Edition」は、ファンへの感謝を込めた開発主査の入魂の一台となっているので、オススメだ。尚、改良型は、予約受注を開始しており、正式な販売は12月下旬が予定されている。

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

この人の記事を読む

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ