輸入車
更新日:2023.05.19 / 掲載日:2023.04.04

最新型ジュリア試乗で感じた“イタ車”の名門・アルファロメオの未来

新車価格●646万円(ジュリア 2.0 ターボ ヴェローチェ)

ALFA ROMEO【グーワールド コラム/トピックス】

文●大音安弘 写真●内藤敬仁、澤田和久
問い合わせ:アルファコンタクト TEL:0120-779-159 URL:https://www.alfaromeo-jp.com
(掲載されている内容はグーワールド本誌2023年5月号の内容です)

イタリア車らしい独自性が復活しつつあるアルファ ロメオ

 イタリアの名門アルファ ロメオの歴史は、1910年まで遡る。創業時は高性能車を専門とした少量生産を行い、モータースポーツで活躍しその名を売った。第二次世界大戦後は、経営判断で、量産車メーカーへと転身を図る。実用的なコンパクトカーを主力として手掛けるようになるが、モータースポーツ由来の最新技術を取り入れた車両開発は続けられ、そのこだわりの姿勢が商業的な成功につながった。62年に誕生したコンパクトスポーツセダンの初代「ジュリア」も代表作のひとつだ。当時のカーアクション映画「ミニミニ大作戦」など多くの映画にパトカー役などで登場。その性能を活かしたカーチェイスを披露した。
 日本で多くの人が憧れたアルファ ロメオといえば、やはり98年に導入された4ドアミッドサイズセダン「アルファ156」だろう。輸入セダンの主力だったクールなドイツ車とは異なる情熱的なデザインと高揚感を覚えるエンジンフィールが、ファッショナブルな人やクルマ好きを虜にした。01年より導入されたコンパクトハッチ「147」との相乗効果で、02年には過去最高となる7426台を日本に導入。その記録は、今も破られていない。156導入目前の96年の台数と、約2倍の差があることを鑑みれば、爆発的ヒットといえよう。
 後続セダン「159」の販売終了後、しばしセダンは消滅したが、17年に2代目「ジュリア」として復活。初代と同じFRレイアウトとなり、高出力ターボエンジンを組み合わせた。しかし、デビュー時は、スポーツセダンであることを意識し過ぎたのか、硬派なドイツ製スポーツセダン顔負けのハードなサスペンションとクイックなステアリングが与えられていた。性能面での不満こそないが、アルファ ロメオらしい情緒さが欠けていた。
 今回、22年の改良型「ヴェローチェ」に試乗したが、少し肩の力が抜け、アルファらしい軽快感が蘇ってきた。エンジン性能や車重は同様なので、キャラを変えたことがわかる。かつてのアルファらしさの復活とまでは言わないが、イタ車らしい独自性が出てきたのは、その歓びを堪能した元アルファオーナーの一人として歓迎したい。
 近年の高級車路線を強めた戦略に加え、電動化シフトまで表明したアルファ ロメオにとって、まさに今は正念場。その第1弾となるハイブリッドのコンパクトSUV「トナーレ」も上陸した。新たなアルファ ロメオとして、いかなる価値を提供していくのだろうか。熟成の進んだジュリアで感じた手ごたえを、新エントリーとなるトナーレでも感じられるのか。そこに答えはありそうだ。

丸目の2眼式アナログメーターを残し、クラシカルな雰囲気のコックピット。華やかな赤いシートが見事に調和するのもイタリア車らしいところ。
初代ジュリア同様にFRレイアウトを継承。出力の異なる2種類の2Lの4気筒ターボに加え、510馬力の2.9L V6ツインターボの「クアドリフォリオ」も用意。

公式サイトURL:https://www.alfaromeo-jp.com

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

この人の記事を読む

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ