輸入車
更新日:2021.07.05 / 掲載日:2021.07.05

EVモデル特集/今、選ぶべき環境モデル気になるEV最前線

プジョー e-2008の外観

VISUAL MODEL : PEUGEOT e-2008

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年8月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
各ブランドから続々と登場する最新環境モデルたち。その背景には、それぞれの国や地域のCO2排出量制限に端を発するが、いづれにしても今後自動車メーカーが存続し輝き続けるには、この環境問題をいかにクリアするかが勝負となってくる。まさに、自動車を取り巻く状況は空前の環境ブーム。そのなかで、注目すべきはどのモデルか。総力をあげてご紹介したいと思います。

[EV注目モデル-1/プジョー e-2008]いよいよリアルになってきた100%EV その走りに、貴方も病み付きになるかもしれない

プジョー e-2008の外観

2021年 プジョー e-2008 GT(電気式CVT) ●全長×全幅×全高:4305×1770×1550mm ●ホイールベース:2610mm ●車両重量:1600kg ●総電力量:50kWh ●定格出力:57kW ●モーター最高出力:136ps/5500rpm ●モーター最大トルク:26.5kgm/300-3674rpm ●新車価格:433万2000円~472万4000円(e-2008のみ)

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

これまで高価なモデルに集中していた輸入車の100%EV。だが、2021年になって、急速に実用車ゾーンまで選択肢が広がっている。しかもドイツ勢だけではなく、フランスからも魅力的なモデルが現れた。

欧州ブランドが一斉にEVを発売した理由

 欧州では、2021年からCO2排出量を企業平均で1台あたり95g/km以下にすることが義務づけられている。これはガソリン車の燃費に換算すると24・4km/Lとたいへんに厳しく、EVやPHEVでなければ実現できない。50g/km以下のモデルは1台以上とカウントされる(2021年は1・67台)こともあって電動化は急務。だからこそ、欧州メーカーから続々と電動車が登場しているわけだ。
 その効果は確実に表れ始めており、2020年のEVとPHEVの販売比率は10・6%で対前年比7・5%増、欧州全体のCO2排出量は12%減の106・7g/kmとなった。
 多くの自動車メーカーはまず大型でハイパフォーマンスなモデルからEVを導入したが、これは付加価値を大きくすることでエンジン車に対しての割高感を薄めるためだろう。だが、それだけでは数が足りないとばかりに、コンパクトで身近なモデルも増えてきた。その代表格がプジョーe-208とe-2008だ。車両価格は前者が396万1000円~432万8000円、後者が433万2000円~472万4000円でEVにしてはリーズナブル。ちなみに日産リーフは332万6400円~499万8400円、ホンダeは451万円~495万円であり、日本車と比べても差がないどころか割安感さえある。
 PSAグループの電動化戦略はシンプルかつ明確で、Bセグメント以下のCMPプラットフォームはエンジン車とEV、Cセグメント以上のEMP2プラットフォームはエンジン車とPHEVを並行して造れるように設計。モジュラー化によるメリットを最大限に生かしている。
 また、デザインや使い勝手、装備などはエンジン車と電動車で差をつけず、ユーザーの好みやライフスタイルで選んでもらう「POWER OF CHOICE」というコンセプトを掲げていて、じつはユーザーが支払うコストもあまり変わらないように考えている。もちろん車両価格はエンジン車のほうが安いが、燃料代や税金、保険料、メンテナンスなどのトータルコストでは同等になるという。それならば、充電ができる環境や使い勝手が自分のライフスタイルに合うのなら、EV生活を始めてみようかという気になるだろう。
 EV専用プラットフォームにしたほうが効率よくバッテリーが搭載できるのはたしかだが、Bセグメントで50 kWhの容量を持ち、航続距離はJC08モードでe-208が403km、e-2008が385km。このモードは実電費との乖離が大きいので7割程度と考えたほうが妥当だが、まずまずの航続距離だろう。またDSからもDS3クロスバックE-TENSEが発売されている。
 同グループはもともとコンパクトカー作りに定評があり、それはEVとなっても変わらない。デメリットは重くなることだが、Bセグメントとしてはシャシーのしっかり感が極めて高いため、それを無理なく受け止めてしまう。その上で、静粛性が高いこと、重量配分に優れることなどEVのメリットが強調された乗り味であり、1クラスか2クラスぐらい上級のモデルのように質感が高い。これを味わってしまうと、もうエンジン車には戻れないかもしれない。
Profile
自動車ジャーナリスト

石井昌道
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動運転にも参加する自動車ジャーナリスト。幅広い視野と知見で的確な評論を行う。

プジョー e-2008のディテール

メーター表示が3D表示となった「3D iコックピット」を採用したインテリア。取材車両は上級グレードのGTで、性能面に違いはないが、18インチホイールが標準となり、室内の装備もより充実している。EVでグレード違いのモデルを用意しているのはめずらしい。

プジョー e-2008の走行シーン

ガソリン車と比べ車重が300kgほど重いのだが、低回転から発揮される大トルクによって走りへの影響は感じず、むしろ乗り心地のよさが光る。

プジョー e-2008のエンジンと充電ステーション

バッテリー容量は50kWhで航続可能距離は385km(JC08モード)。走行可能距離200km程度の国産EVに比べて精神的な余裕が持てる。

プジョー e-2008のバッテリーEVイメージ

主に街中での使用が想定される小型車では、バッテリーEVとガソリン車を想定したプラットフォームを開発。バッテリー容量が少なくて済むためコストも低く済む。

EV攻勢をかけるフレンチブランド

  • DS 3 クロスバック E-テンス

    DS 3 クロスバック E-テンス

  • プジョー e-208

    プジョー e-208

 プジョーブランドからは、5ドアハッチバックのe-208も販売中。メカニズムはほぼ同じだが、軽さのおかげで航続可能距離が403km(JC08モード)と長い。また、フランス流のデザインセンスとラグジュアリーで勝負するDSブランドは、コンパクトSUVのDS 3にEVモデルを用意。選択肢は意外に豊富だ。

[EV注目モデル-2/メルセデスEQ EQA250]圧倒的な静粛性と優れたレスポンスはクラスを超えた上質さを誇る

EQA250の走行シーン

2021年 メルセデスEQ EQA 250 AMGライン(電気式CVT) ●全長×全幅×全高:4465×1835×1625mm ●ホイールベース:2730mm ●車両重量:2000kg ●総電力量:66.5kWh ●定格出力:80kW ●モーター最高出力:190ps/3600-10300rpm ●モーター最大トルク:37.7kgm/1020rpm ●新車価格:640万円(EQAのみ)

人気のSUVセグメントに、EVモデル第2弾を投入してきたメルセデス。EQAの魅力は、ガソリン車と同じ操縦感覚と洗練された走行フィール。さらに日本法人の努力で購入サポートも充実している。

EVが特別な存在という時代は終わりつつある

 メルセデス・ベンツ初のEVはEQCで、昨年の発売当初の車両価格は1000万円オーバーだったが、第2弾のEQAは日本の都市部でも使い勝手のいいコンパクトサイズで640万円と一気に身近になった。エンジン車のGLAが495万円~518万円なのでそれほど割高でもなく、今なら補助金や減税、メルセデスからのサポートなどで最大206万5860円の優遇が受けられるという。参考例として5年リースの月額が公式サイトに載せられているがEQAが7万8760円、GLA180が7万9750万円で、これもまたEVだからといってコストが高いわけではない。俄然、EVに興味が湧いてくる価格設定なのだ。
 FWDを基本とするメルセデスのコンパクトカーは、現行世代で実力を大いにあげ、RWD系と大差ない走りの質感を獲得しているが、EQAに乗ってみるとそれが如実に感じられる。というか、RWD系のエンジン車が慌てるほどに洗練された乗り心地なのだ。高速道路のクルージングなどは極めて快適で、どこまでも走り続けられると思わせるほど。路面の凹凸からの入力はソフトに感じられるが、どっしりと落ち着いた感覚があって安心感が高い。
 メルセデスのEVは、エンジン車から乗り換えても違和感がないように考えられていて、加減速の感覚が絶妙。飛び出し感がない適度に穏やかなアクセル特性、アクセルを閉じたときの自然な減速感などが、まさにエンジン車のメルセデスのようなのだ。だから乗り始めてすぐにドライバーとクルマが一体になれて、スムーズに自信を持って走らせられる。
 左のパドルを引けば回生が強まり、右を引けば弱まる。強さは4段階で回生なしのコースティングから、1ペダルドライブに近い強い回生まで選べるので、賢く電費を稼いだり、ペダル操作を減らすことが可能。また「D Auto」というモードでは、前走車との車間距離を見ながら回生を強めたり、アップ&ダウンを走りやすくする。これもまた大いに有効で、高速クルージングや下りのワインディングロードなどで快適だった。
 その他、買いやすい輸入EVは2月に価格改定したテスラ・モデル3。スタンダードレンジプラス(航続距離はWLTPモードで448km)は511万円から429万円へ、ロングレンジ(580km)は655万2000円から499万円へとそれぞれ値下げされたのだ。その性能を考えればコストパフォーマンスNo1でもあるだろう。
 アウディのe-tronは1000万円級だが、より小型のQ4 e-tronが秋以降に日本導入される。欧州での価格は約550万円~700万円といったところでEQAのライバルになりそう。同モデルはフォルクスワーゲン開発のEV専用プラットフォーム、MEBを採用している。そういった意味で本家のVWのID3やID4などはずいぶんと前に欧州で発売されているが、日本導入は来年になる模様。プレミアムブランドよりは価格も抑えられるだろうから、EV普及には欠かせない存在だけに、早期の上陸を期待したい。
 いずれにせよ、EVが身近になってきたのはたしか。今後もますます加速していくだろう。

EQA250のディテール

EQAはEQCに続くメルセデスのバッテリーEV第2弾。ベースとなるGLAのイメージを残しつつも、EQブランドに共通する先進的で空力に優れたデザインを採用している。バッテリー搭載の関係で後席足もとが若干狭いが、ファミリーユースにも期待できる。

EQA250のメカイメージとエンジン

最高出力190馬力を発揮する駆動用モーターをフロントに搭載し前輪を駆動する。モーターの搭載方法を工夫することで静粛性にも配慮した。駆動用バッテリーの容量は66.5kWhで、走行可能距離は422km(WLTCモード)。

大幅値下げでコスパが急上昇

メルセデスEQ EQC400 4マチック

メルセデスEQ EQC400 4マチック

 メルセデス初のバッテリーEVとして登場したEQC。今年の春には一部装備を見直すことで、価格を895万円と従来より185万円下げる大胆な仕様変更を行った。クルマとしての完成度は非常に高く、人気に火がつく可能性は高い。

電動化のもうひとつの主役PHEV(プラグインハイブリッド)最新事情

ボルボ XC40リチャージの外観

2021年 ボルボ XC40リチャージ プラグインハイブリッドT5 インスクリプション(7速AT・7G-DCT) ●全長×全幅×全高:4425×1875×1660mm ●ホイールベース:2700mm ●車両重量:1810kg ●総電力量:11kWh ●定格出力:30kW ●エンジン最高出力:180ps/5800rpm ●エンジン最大トルク:27.0kgm/1500-3000rpm ●新車価格:649万円(XC40リチャージのみ)

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス、メルセデス・ベンツ、BMW、MINI
電動化というと、どうしてもバッテリーEVに注目が集まりがち。だが、内燃機関と充電可能な電動駆動システムを併せ持つPHEVは、電動化時代の主役にもなりうる可能性を秘めた魅力的なクルマだ。

 今のところEVはセカンドカーとして捉えるのが無難。ファーストカーとしても安心なのがPHEVであり、もしも自宅に充電設備がなくても、職場や近場の駐車場に200V普通充電器があれば使えるだろう。
 バッテリー容量によってEV走行距離は異なってくるが、欧州のルールで50km以上ならばCO2排出量が大幅に有利になるので、ほとんどがそれ以上になっている。
 PHEVは、航続距離や価格といったEVの課題が克服されるまでのつなぎの技術みたいに言われることもあるが、そうとも限らない。EVの1/5~1/10程度のバッテリー容量で済むから、コストはもちろん資源確保でも楽であり、そして何より走りがいいモデルが多い。電気モーターは低回転・低速域で大きなトルクを発揮するのが魅力だが、高速域の伸び感はエンジンのほうが得意だ。PHEVはそのいいとこ取りができるモデルであり、電気系は普通のハイブリッドカーよりパワフルなので、あらゆる速度域で美味しい加速感が味わえるのだ。
 XC40のPHEVはRECHARGEと呼ばれるが、欧州で環境対応に資する電動車といえば外部からの充電ができるECV(エレクトリカリー・チャージャブル・ヴィークル)を指す。普通のHVは、クリーンエネルギー由来の電気で走らせることができないから、環境対応としては十分ではないと見られてしまうのだ。
 たいていのPHEVがエンジンとモーターを組み合わせたHVシステムとなっているが、レネゲードや3008などは、フロントはエンジン(+モーター)、そしてリアにも独立したモーターを持つ。1パックのハイブリッドシステムではなく、前後で分けるというのがおもしろい。EV走行時はRWD、ハイブリッド走行時はAWDとなるのも特徴であり、リアモーターが大きめなのでレスポンスや力強さが強調されるのだ。
 ハイブリッドが得意な日本メーカーにはないタイプで、最初は簡易的なものかと思っていたが、かなり賢いシステムだ。

[EV注目モデル-3/ボルボ XC40 リチャージ]エコからパワフルな走りまで対応

ボルボ XC40リチャージの外観

パノラマ・ガラスサンルーフ、本革シート、パワーテールゲートなど充実した装備も魅力。エコカー減税とCEV補助金の対象となり、約40万円が補助される。

 大人気コンパクトSUVに追加されたプラグインHVモデル。「リチャージ」の名称は外部充電可能であることから命名されていて、純粋なEVも「リチャージ」ブランドに含まれる。バッテリーのみでの走行(「Pure」モード)も最大41km(WLTCモード)可能で、駅までの送り迎えやちょっとした買い物といった用途であれば、ガソリンを消費することなくこなせてしまう。シリーズのなかで上級モデル的な意味合いも与えられていて、シフトノブには手仕上げのクリスタルが使われる。

ボルボ XC40リチャージのインテリア

基本的な使い勝手や室内の広さは内燃機関モデルと同等。センターコンソールの容量がわずかに小さくなった。

  • ボルボ XC40リチャージのラゲッジルーム

    CMAプラットフォームは開発段階から電動化を前提にしている。そのためバッテリーは床下のセンタートンネル付近に収まり、ユーティリティへの影響もない。

  • ボルボ XC40リチャージのエンジン

    パワートレインは、新開発の1.5L直列3気筒ガソリンターボに7速DCTと電気モーター(60kW、160Nm)を組み合わせる。駆動方式はFF。

[EV注目モデル-4/ジープ レネゲード 4XE]電動化によって自慢のオフロード性能も強化

ジープ レネゲード 4XE

2021年 ジープ レネゲード トレイルホーク 4XE(6速AT) ●全長×全幅×全高:4255×1805×1725mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1860kg ●総電力量:11.4kWh ●定格出力前・後:14.5kW・44kW ●モーター最高出力前・後:45ps・128ps ●モーター最大トルク前・後:5.4kgm・25.5kgm ●新車価格:498万円~503万円(レネゲード 4XEのみ)

 前輪を1.3L直4ターボ+モーターで、リアをモーターで駆動するユニークな4WD機構を搭載。駆動用バッテリーをコンパクトに搭載することで、ジープに求められる悪路走破性をしっかりと確保している。また、EVモードでは後輪のみで48km(WLTCモード)を走行し、ハイブリッドモードでの燃費は16km/Lと環境性能も十分。新時代のジープを提案する。

ジープ レネゲード 4XEのディテール

メーターパネルがタコメーターとパワーメーターを組み合わせた独自のものとなるのがプラグインHVモデルの識別点。

[EV注目モデル-5/プジョー 3008 GT ハイブリッド4]ブランド唯一の4WDでパワフルな走りも魅力

プジョー 3008 GT ハイブリッド4の外観

2021年 プジョー3008 GT ハイブリッド4(8速AT) ●全長×全幅×全高:4450×1840×1630mm ●ホイールベース:2675mm ●車両重量:1850kg ●総電力量:13.2kWh ●定格出力 前・後:30kW・32.7kW ●モーター最高出力 前・後:110ps/2500rpm・112ps/14000rpm ●モーター最大トルク 前・後:32.6kgm/500-2500rpm・16.9kgm/0-4760rpm ●新車価格:565万円(ハイブリッド4の

 システム最高出力300馬力と、プジョーの歴代モデルで最もパワフルな3008GTハイブリッド4。走行シーンやバッテリー残量によって、前輪駆動、四輪駆動、そして前後モーターによるEV四輪駆動を使い分けるクレバーなパワートレインを搭載。駆動用バッテリーの容量は13.2kWhで、EVモードでの走行可能距離は64km(WLTCモード)となっている。

プジョー 3008 GT ハイブリッド4のディテール

コックピットには青や緑による加飾が加わり、プラグインHVであることを主張。520Lの荷室容量もベース車と同様だ。

輸入車の定番モデルにも続々PHEVがラインアップ

 欧州メーカーはPHEVのリリースには熱心でBMWやメルセデス、ボルボなどはフルラインアップに近い。特別なものではなく、もはや次世代のスタンダードという勢いだ。そのほか、アウディ、ポルシェ、ランドローバー、ジャガー、フォルクスワーゲンなどでも日本市場で販売されており、電動化先進国であったはずの日本メーカーよりも豊富な取り揃え。デザインや乗り味の魅力も高い輸入車PHEVは電動車の初めの一歩として有力候補になるだろう。

  • メルセデス・ベンツ GLC350e 4マチック

    メルセデス・ベンツ GLC350e 4マチック

  • BMW 330e セダン

    BMW 330e セダン

  • MINI クロスオーバー PHEV

    MINI クロスオーバー PHEV

[超高級モデルが続々登場]プレミアムモデルがEV化する理由

文●ユニット・コンパス 写真●ポルシェ、アウディ、メルセデスEQ
EVの魅力は、カーボンニュートラルに代表される環境への貢献だけではない。クルマとしての性能や所有する喜びも従来の内燃機関に負けていない。それを証明するのがこれら超高級EVたちだ。

[ポルシェ タイカン]名門スポーツカーブランドのプライド

ポルシェ タイカン

 2019年11月に発表されたタイカンだが、日本での納車もこの春いよいよ始まった。頂点となる「ターボ」を筆頭に4WDモデル中心だったラインアップに後輪駆動モデルが追加され、選択肢が豊富になっている。ポルシェジャパンでは、150kW級の急速充電器「ポルシェ ターボチャージャー」と8kW出力「ポルシェ モバイル チャージャー」を用意。バッテリーEVの弱点である充電環境についても、強力なバックアップ体制をとっている。

[アウディ e-tron GT クワトロ]ショーカーそのもののデザインで市販化

アウディ e-tron GT クワトロ

 530馬力(ブーストモード時)のハイパワーで0-100km/h加速4.1秒の俊足と同時に、航続可能距離は500km以上を誇る。同時にさらなる高性能モデルの「RS」もラインアップ。レザーフリーのインテリアなど、新しさの提案も忘れない。日本導入は2021年秋を予定。

[メルセデスEQ EQS]自動車を発明したブランドとして

メルセデスEQ EQS

 Sクラスに相当するラグジュアリーEV。ただ従来の高級セダンをEV化したものではなく、ダッシュボード全体にモニターが広がる「MBUXハイパースクリーン」やCd値0.20の超空力ボディなど、メルセデスの底力を感じさせる未来的な1台。

[生まれ変わるジャガー]高級EV専門ブランドへ

生まれ変わるジャガーのイメージ

文●ユニット・コンパス 写真●ジャガー、ランドローバー
1935年に誕生して以来、85年以上の歴史を誇る英国の高級ブランド、ジャガーが生まれ変わる。真の持続可能性を求め、バッテリーEVのみの高級EVブランドへと大きく舵を切った。

日本市場でもEV化に向けて準備を加速

 まさに歴史的な出来事だった。今年2月、英国のジャガー・ランドローバーは、新戦略「Reimagine」を発表。その内容とは、ジャガーが2030年までにラインアップの100%をバッテリーEVにし、さらに2039年までに製品に加えてサプライチェーンを含めたオペレーション全体でカーボンニュートラルを達成するというものだった。
 また5月には、ジャガー・ランドローバー・ジャパンもこうした本国の方針を受けて日本市場への取り組みについて発表を行った。
 日本法人のマグナス・ハンソン社長は発表会のなかで、ジャガーおよびランドローバーは、デザインによるモダンラグジュアリーの未来を再構築していくこと、そのために真のサステナビリティを掲げ、日本市場の目の肥えたユーザーに、魅力的なラグジュアリーカーとサービスを提供することを約束。
 さらに2025年からの本格的なEV導入に向けて、充電設備への投資を行うという。また、人材育成についても、2023年までにEVスペシャリストを100名まで拡大すると語った。
 エンジンがモーターに変わっても、ジャガーの価値に揺るぎはない。

ジャガー・ランドローバー社 CEOのティエリー・ボロレ氏

ジャガーブランドの未来についてプレゼンテーションする同社CEOのティエリー・ボロレ氏。

  • 8848mの標高を1充電で走行する挑戦のイメージ

    Iペイスは、周回コースを走り、エベレストに相当する8848mの標高を1充電でクリアする挑戦に成功した。

  • ランドローバーの電動化イメージ

    電動化に取り組んでいるのはジャガーだけではない。同じグループにあるランドローバーも2026年までに6モデルのピュアEVを市場に投入することを発表。

中古車で探す魅力の電動化モデル

BMW 330eの外観

BMW 330e/中古車参考価格帯:160万円~330万円(※16年~19年 330eのみ)

文●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
現在も輸入中古車のほとんどは内燃機関(エンジン)搭載車が中心。しかし、モデルによっては電動化モデルの物件も少しずつ増えてきている。ここでは今探しやすい電動化モデルをピックアップしてみたい。

 ここ数年、数多くの輸入電動化モデルが投入されている。しかし、日本での本格的な普及はもう少し先という印象で、中古車物件も少ないのが現状だ。とはいえ、モデルによっては十分探せるものも存在する。その筆頭が、BMW 330eだろう。このモデルは、2016年1月に追加されたもので、2L直4ターボにモーターを組み合わせたPHEV。40kmもの距離を電気のみで走行可能。
 そんな330eの中古車は、現在100万円台の予算から探せる。新車時価格が約550万円以上だったことを考えると、かなり相場が下がっている。なかでも「Mスポーツ」の物件が多く、スポーティな走りを求めるユーザーにはぴったりのチョイスになりそうだ。また、最低でも5年落ちと、全体的に年式が新しいため、走行距離が3万km未満のものが目立つ。初めてのPHEVとしてもオススメしたい1台である。

BMW 330eの外観

写真はMスポーツ仕様。電動化モデルとはいえ、スポーティな走りは3シリーズそのもの。スポーツセダンらしい佇まいだ。

BMW 330eのインテリア

Mスポーツ専用のシートが装着されるなど、内装はスポーティ。シートはしっかりとした造りで、たとえ後席でもロングドライブが苦にならないのも魅力である。

  • BMW 330eの充電しているシーン

    リチウムイオン電池を搭載し、EV専用充電コンセントを用いれば、およそ3時間で満充電となる。

  • BMW 330eのエンジン

    フロントには2L直4ターボを搭載。最高出力は184馬力、最大トルクは27.5kgmを発揮。トランスミッションは8速AT。

[アクティブハイブリッド3]より安く買うなら初期のハイブリッドという選択も

BMW アクティブハイブリッド3の走行イメージ

中古車参考価格帯:120万円~250万円(※12年~15年 アクティブハイブリッド3)

 先代3シリーズが発売されてまもなく登場したのが、アクティブハイブリッド3。こちらは充電は行わない(PHEVではない)、通常のハイブリッドモデル。こちらも物件数が充実しており、価格は330eよりもさらに安い。200万円前後の予算があれば広く探せるはずだ。

[BMW アクティブハイブリッド7]相場が底値で手が届きやすい7シリーズのハイブリッド

BMW アクティブハイブリッド7の外観

中古車参考価格帯:150万円~290万円(※09年~15年 アクティブハイブリッド7のみ)

 2009年3月に登場した先代7シリーズ。同年10月には、4.4LV8ターボにモーターを組み合わせたアクティブハイブリッド7が追加された。リチウムイオン電池を搭載し、およそ15%の燃費改善および二酸化炭素排出量の低減を実現している。中古車の数は多くないが、今でもまだ十分探せる。相場は大幅に下がっており、100万円台の物件も少なくない。

[ポルシェ カイエン S Eハイブリッド]手頃な価格でねらえる先代カイエンのハイブリッド

ポルシェ カイエン S Eハイブリッドの走行シーン

中古車参考価格帯:340万円~660万円(※10年~17年 カイエンのHV、PHEV全グレード)

 ポルシェのなかでも、カイエンは比較的入手しやすいモデルのひとつ。特に先代モデルは全体的に相場が下がっているので注目したい1台。当初はハイブリッドが設定されていたが、改良を機にPHEV(S Eハイブリッド)に進化。中古車は前者のほうが充実しており、300万円台後半から探せる。後者は500万円からとなっており、物件数はやや少なめ。

ポルシェ カイエン S Eハイブリッドのインテリア

撮影車両は「C 200 アバンギャルド AMGライン」。赤いレザーシートとブラックのインパネという組み合わせで、高級感とスポーティさを両立している。

[メルセデス・ベンツ C 350 e]現在の物件数は控えめだが今後増えてくる可能性も

メルセデス・ベンツ C 350 eの走行シーン

中古車参考価格帯:220万円~560万円(※15年~21年 C 350 eのみ)

 2016年に追加されたCクラスのPHEVがC 350 e。2L直4にモーターを組み合わせ、システム全体で279馬力/61.2kgmを発揮。JC08モード燃費は17.2km/Lで、モーターのみでの走行も可能。まだ新しいモデルゆえ相場は高めで、物件数もそれほど多くない。現状やや探しにくい面もあるが、今後は物件が増える可能性もあるので、候補のひとつに入れておきたい。

メルセデス・ベンツ C 350 eのインテリア

[メルセデス・ベンツ S 550 PHEV ロング]新車時の半額から探せるSクラスのハイブリッド

メルセデス・ベンツ S 550 PHEV ロングの走行イメージ

中古車参考価格帯:530万円~1200万円(※14年~21年 SクラスのPHEV全グレード)

 Sクラスがフルモデルチェンジを受けたことで、先代モデル(W222)が安くなりはじめている。今回紹介するPHEVも同様に、かなりリーズナブルな価格となった。当初は「S 550 PHEV ロング」という名称だったが、後に「S 550 e」に変更されている。物件は後者のほうが多いが、年式が上がると相場も急に上がる。ねらうなら最低600万円の予算は用意しておきたい。

ピュアEVは環境性能だけでなく驚異のハイパフォーマンスも備えている

[テスラ モデルS]初期型は値下がりして買い時がやってきた

テスラ モデルSの外観

中古車参考価格帯:380万円~1380万円(※14年~21年 全グレード)

 ここ数年、電動化モデルはHVやPHEVからエンジンを搭載しないピュアEVへとシフトしつつある。なかでも注目度が高いブランドといえばテスラ。EV専門の新興メーカーとして、その勢いを増している。当初は2シータースポーツのテスラ ロードスターを発表したが、その後はプレミアムセダンのモデルSをリリースし、メルセデスやBMWのユーザー層にもアピール。モデルSは大きなバッテリー容量と強力なモーターを搭載し、内燃機関の高性能モデルをも上まわる加速性能を持つ仕様も存在する。
 そんなモデルSの中古車は、ここ最近増えており、価格もかなり下がっている。2014年式~2016年式では500万円台の予算があれば購入可能。ただし、高年式は1000万円以上の物件も少なくない。また年式のわりに走行距離が少ないことも注目のポイントだ。

テスラ モデルSの走行シーン

テスラ モデルSの外観

エレガントな4ドアクーペ風のデザインを持つモデルS。グリルレスのフロントまわりもEVらしい特徴である。

テスラ モデルSのインテリア

車内の中央に位置する大きなタッチパネルが目をひく。ここでさまざまな操作が集約される。車内も広々としており、快適な走りが楽しめる。

テスラ モデルSのラゲッジ

[モデルX]車内のスペース重視ならモデルXという選択もあり

テスラ モデルXの走行シーン

中古車参考価格帯:700万円~1100万円(※15年~21年 全グレード)

ガルウイング式のドアを持つクロスオーバーがモデルX。低フロアによる快適な室内空間はEVならではのパッケージング。中古車はモデルSに次いで多いが、相場はモデルSよりも高め。予算は800万円前後が目安と考えておこう。

[ジャガー Iペイス]モータースポーツにも使われるスポーティなピュアEV

ジャガー Iペイスの外観

中古車参考価格帯:680万円~900万円(※18年~21年 全グレード)

 ジャガーのクロスオーバーであるIペイスは、モーターのみで駆動するピュアEV。SUVながらも1565mmという低い車高で、ワンメイクレースのベース車両としても使われている。登場から3年程度なので物件数はそれほど多くないものの、価格は200万円~300万円ほど下がっている。グレードは最上級の「HSE」が最も豊富。全グレードの平均価格は815万円となっている。

ジャガー Iペイスのインテリア

スポーツシートが装着されたインテリア。車高は低いがワイドなボディのため見た目以上に快適な室内。

ジャガー Iペイスの外観

前後2つのモーターにより、合計400馬力もの高出力を発揮。リチウムイオン電池の容量は90kWhとなっており、WLTCモードで438kmという長い航続距離を誇る。

ジャガー Iペイスのラゲッジルーム

車両前後にはトランクルームを設置。リアの奥行きは1797mmと十分なので、長い荷物も積みこめる。

[BMW i3]100万円台から探せる人気のコンパクトEV

BMW i3の走行イメージ

中古車参考価格帯:170万円~470万円(※14年~21年 全グレード)

 新車価格は500万円以上と、コンパクトカーとしては非常に高価なBMW i3。しかし登場から7年が経過し、かなり価格が下がっている。現在の平均価格はおよそ300万円だが、初期型なら100万円台後半の物件も存在する。ラインアップはピュアEVとエンジンを搭載したレンジエクステンダーが存在するが、物件数が多いのは後者となっている。

BMW i3のインテリア

[BMW i8]生産終了により今後価値が上がる可能性あり

BMW i8の走行シーン

中古車参考価格帯:850万円~1800万円(※14年~21年 全グレード)

 未来的なスーパースポーツカーとして2014年に登場したBMW i8。昨年生産終了されたことで、今後は価値が上がる可能性もあるが、現段階は平均価格が1180万円と横ばい。当初より高値をキープしていたが、現在もその傾向は変わらない。物件数は少なく、最低でも900万円の予算は用意しておきたい。なお、ロードスター仕様もあるが、こちらは非常に希少となっている。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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