新車試乗レポート
更新日:2023.11.14 / 掲載日:2023.11.14

【アウディ Q8 e-tron】アップデートされたのはスタイルだけではない

文●九島辰也 写真●アウディ

 アウディQ8 e-tronとQ8 スポーツバックe-tronの試乗会に参加してきた。Q8の名前が付くことからもわかるように、フラッグシップモデルだ。で、これにより、センセーショナルに登場したアウディe-tronというモデルは終了する。現在まだアウディジャパンのホームページには載っているが、スイッチするカタチとなる。よって、アウディのEVはこのほかにラインナップされるQ4 e-tronシリーズとe-tron GTシリーズという顔ぶれで構成される。

アップデートの主役はデザインとインターフェイス

Q8スポーツバック55e-tron クアトロ Sライン

 Q8 e-tronとQ8 スポーツバックe-tronの特徴はアップデートされたデザインとインターフェイス、それと力強さを持つパワーソースだろう。2018年にリリースされたアウディ初のBEV登場から5年以上が経った。その間2つのBEVシリーズを出していることからも進化の度合いは大きい。

 ではまずエクステリアデザインだが、ここは新世代アウディのデザイン言語を具現化する。シングルフレームグリルを囲むブラックのマスクがそれだ。グリル内下部の六角形の穴が閉じているのもそう。アイコンとなるシングルフレームグリルを継承しながら新しさを追求している。

Q8スポーツバック55e-tron クアトロ Sライン

 スタイリングはスポーティなイメージのアウディらしく流れるようなフォルムを描く。特に人気のスポーツバックはクーペライクなルーフラインがウリだ。リアへ向かうと絞り込むようなシルエットがカッコイイ。真横からリアガラスを眺めるとかなり角度がついているのがわかる。

 Q8 スポーツバック e-tronのボディサイズは全長4915×全幅1935×全高1620mmとなる。全長と全幅に対し全高が極端に低く思える。スポーツバックの名前は伊達じゃない。一般的に言われるSUVとはパッケージングのロジックが異なる。が、じつはスタンダードボディでも全高は1635mmしかないから驚く。これは空気抵抗値削減の観点からも重要。一回の充電で走れる航続距離、いわゆる電費に直接関わってくるからだ。

バッテリー容量を増加させ航続距離と走行性能を向上

Q8スポーツバック55e-tron クアトロ Sライン

 パワーソースはバッテリー容量95kWhで最高出力250kWの“50”と114kWhで300kWの“55”が用意される。どちらも最大トルクは664Nmだ。これをe-tronに置き換えると、“50”は71kWh、“55”は95kWhとなる。つまり、バッテリーのサイズを変えずに容量を増し、パワーアップを実現させたのだ。一充電走行距離は、“50”が424km、“55”が501kmとなる。

 すでにご存知の方も多いと思うが、アウディは出力の違いを“50”や“55”といった指数で表現している。かつては排気量の大きさや気筒数の数でグレードの違いを表していたが、電気になればそれができなくなることを鑑みこうした指数を取り入れた。この辺はアウディらしいインテリジェンスを感じさせるポイントだろう。

 では走らせた印象だが、試乗車はQ8スポーツバック55e-tron クアトロ Sラインだった。価格は1300万円超えだが、もし運良く買う機会を得たならコレというグレードだ。タイヤサイズはデフォルトで255/50R20となるが、このクルマには265/45R21が装着されていた。銘柄はブリヂストンのALENZAとなる。

全体的な仕上がりはEVさを消した内燃機関搭載車のような動きに近い。アクセルに対する出力の出方がそんな感じだ。突発的ではなくじんわり加速する。テスラやポルシェ・タイカンとは逆の立ち位置だろう。メルセデス・ベンツEQE SUVに近い。

Q8スポーツバック55e-tron クアトロ Sライン

 その走りのフィーリングに関してはドライブモードで変えられる。アウディドライブセレクトでは、“オフロード”、“オールロード”、“エフィシェンシー”、“コンフォート”、“オート”、“ダイナミック”、“インディビジュアル”という項目が用意されていた。内容は各項目通りで、モーターの出力コントロールだけでなくエアサスペンションも関与することでその差を大きくする。“コンフォート”はかなり足を柔らかくするので、まるでクルーザーにでも乗っているようだ。

 この他では、このサイズにして走りが軽快でスポーティなところが際立った。ホイールベースが2930mmあるにもかかわらずステアリング操作に対しフットワークよく向きを変える。この辺の味付けはさすが。そもそものプラットフォームがMLB evoなだけに堅牢なのだろう。それと21インチにしては信じられないくらい乗り心地がいいことも美点。“ダイナミック”は意図的にピッチングを起こすが、それ以外のポジションでは嫌な振動は皆無。まさに高級車といった乗り味だ。

まとめ

 というのが新型Q8 e-tronシリーズとのファーストコンタクトだが、やはりフラッグシップだけに思った以上にしっかり出来上がっている。これだけBEVで高級感を出せるのはセンスがいい。でもってそこはメルセデスEQE SUVとは別のベクトルなのがおもしろい。

アウディ e-トロンSの中古車を探す
  • 支払総額:1370万円
  • 車両本体価格:1350万円
  • 車種 : e-トロンS
  • 年式 : 2022年
  • 走行距離 : 0.9万km
  • 車検: 検7.12
  • 支払総額:827.1万円
  • 車両本体価格:798万円
  • 車種 : e-トロンS
  • 年式 : 2022年
  • 走行距離 : 0.7万km
  • 車検: 検7.9

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

この人の記事を読む

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ