中古車において、事故車の見分け方にはポイントがあります
中古車販売店に赴き中古車を探す時、事故車かどうかは開示義務があるため基本的に店員さんに聞いてみればわかります。しかし、中には悪質な店で修復歴を隠していたり、「事故車でない」と偽ったりして販売している場合もあるため、自分の目で事故車でないことをある程度確認できると便利です。
知識のない人でも確認しやすいいくつかの見分け方があるため、覚えておくと良いでしょう。
事故車の定義を知りましょう
そもそも事故車とは、実は「事故を起こした車」というわけではありません。事故車は、車の骨格部分を修復あるいは交換したことのある車のことを主に指します。
事故を起こして車に損傷を受け、骨格部分を修復した場合はもちろん、意外なことに事故を起こしていなくても、何らかの理由で骨格部分を修復した場合もまた、事故車になってしまうのです。ただし、骨格部分を修復するような大きな破損は、大体の場合事故によって起こります。
そのため、骨格に修復歴のある車=事故車という認識が一般的です。
事故を起こしたわけではなくとも、車の骨格部分を修復したことのある車であれば事故車になります。しかし、具体的にどのような部分が骨格に当たるのか、どんな修復をすれば事故車になるのかについては明確な基準があります。
公正取引協議会など三団体によって基準が設けられており、全国どの業者でも、事故車として扱うにはこの基準に当てはめて考えることになるのです。
事故車の定義と共に、覚えておきたいのが修復歴についてです。事故車として扱われる骨格部分のパーツの修復を行うと、修復歴というものがつきます。
骨格部分に該当するパーツは全部で9種類です。
- フレーム(サイドメンバー)
- クロスメンバー
- インサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- フロア
- トランクフロア
- ラジエータコアサポート
以上のうち、どれかのパーツを修復すると「修復歴がある車」として告知義務が発生します。つまり修復歴がある車=事故車は、販売者に問い合わせをすれば本来必ず教えてもらえるはずなのです。
ただし、ネジ止め部分だけは修復しても修復歴として扱われない例外となっています。
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事故車は見た目で見分けられます
事故車の定義がわかったところで、問題となるのは実際にどのようにして見分けるかです。事故車は骨格部分に損傷が出たというだけあり、修復すると何らかの跡が残っていたり、車体に歪みが出たりします。
そのため、ポイントをおさえてそれぞれの項目をチェックしていくことで、怪しい車をある程度自分で除外することができるようになるでしょう。
事故車は修理前の状態だと、フレームが大きく歪むような損傷を受けている可能性があります。そのため、フレームを修理したとしても多少まだ車体が歪みんでいることがあるのです。
そこで、事故車の見分け方の一つとしてはまず、車体の歪みを確認してみましょう。車は必ず左右対称にできています。
そのため、車の右側と左側をそれぞれ確認し、若干違いがあったらその車は事故車で修復した可能性があります。
フレームが歪むような損傷では当然、表面の塗装も剥げてしまいます。そのため表面の塗装をし直すことが多くなるでしょう。
修復している以上は一見綺麗に塗り直してあるように見えますが、実際には細かなところで塗装跡が残っていることがあります。また修理したために、取り外したボルトに傷がついていることもあるため、全体を細かく見て何か違和感がないか確認しましょう。
フレームの歪みをチェックする方法としては、隙間がないかどうか見る方法もあります。できれば修復歴のない車や、同じ車種の新車などと比べることができればわかりやすいでしょう。
不自然な隙間が空いていたり、隙間の形がいびつだったりする場合は、フレームが歪みんでいるかもしれません。
事故を起こすと大体、車の前方に影響が出る事が大きくなります。派手にぶつかればフロントガラスなどが割れることもあるでしょう。
そこで、あえて修復歴に含まれないフロントガラスの交換歴を確認することで、フロントガラスを交換するような出来事があったかどうかを確認できます。フロントガラスの表面には本来、製造番号などが刻印されているはずであるため、これらがない場合は交換しているかもしれません。
事故車は正常な運転ができない可能性が高くなります
事故車ときくと嫌なイメージですが、修復歴ありとしてきちんと修復されているのなら選んでも問題ないのではないかと思う人もいることでしょう。しかし、事故車には嫌われるだけのリスクがあり、安いからといって知識がないまま乗り回すのは危険です。
事故車のリスクについても知った上で、事故車を避けるようにしましょう。
事故車購入の最大のリスクは、修復後も何らかの問題を抱えていることが多いということです。事故車は中古車販売店でもかなり価格が安くなっており、安い車を求める人にはついつい目が行く品になります。
しかし、実際には事故車は敬遠されがちです。実は、事故車は修復をした後でも、完全に修復されていないことが多くなります。
骨格の修復というのはそれだけ難しく、乗ってみないとその車が正常に動くかどうかわからないため、値段も安くなっています。また、事故車の正確な定義を理解しておらず、「事故を起こした車だからなんだか縁起が悪い」と感じられ、買い手が少ないというのも安さの理由のひとつです。
乗ってみて正確に動くのであれば問題ありませんが、中古車とはいえそれなりの金額を出して購入するのに動かなかったのでは、トラブルの元になるでしょう。そのため、購入の際は事故車を避けるか、きちんと動くか確認してから購入するなどの対策が必要となります。
中古車を購入する際、事故車の見分けとしても役に立つのが試乗です。事故車で万が一内部のパーツに問題がある場合、まっすぐ走れなかったり、特にハンドル操作をしていないのに、勝手に右や左に曲がっていってしまったりなどする車が多くなります。
そのため、試乗して様々な条件での車の走り心地を慎重に確認することで、事故車の見分けがつけやすくなるのです。また、初めて中古車を購入する場合など、多少運転の心地が悪くても「まあ中古車だからこんなもんかな」と納得してしまう人もいます。
できるならば車の試乗は一台だけにせず、何台か気になるものを乗り比べて見る方が良いでしょう。
事故車と似た用語について覚えておきましょう
「事故車」や「修復歴」など、車に詳しくない人が聞いているとだんだん違いがよくわからなくなってくることがあります。そこで、事故車以外にもよく使われる用語についていくつか違いを簡単に解説します。
修復歴のある車はいわゆる事故車とイコールと思って大丈夫です。ただし、本当に事故にあったかどうかはわかりません。
災害などで骨格部分を修正した場合も修復歴に含まれます。もし、修復してあるかどうかが問題ではなく「事故にあった車は縁起が悪いから嫌だ」という場合は、販売担当者に詳しく聞いてみるしかないでしょう。
修復歴があると、担当者に問い合わせることで開示してもらえる状態図に何らかの痕跡が残ります。しかし、事故にあったかどうかは書いてはおらず、かつ開示義務もないため良心的な企業を探して言うことを信じるしかありません。
フレーム部分に損傷のあった場合に事故車と呼ばれますが、それ以外の何らかの機能が故障してしまった車は全て故障車として扱われます。例えばエアコンが効かなくなってしまった車も故障車です。
また、エンジンなど重要な部分に異常をきたし、走れなくなってしまった車もやはり故障車に含まれます。エンジンなどはいかにも車において心臓ともいえる重大な部分に感じるかもしれません。
しかし、多額の費用がかかるものの、完全に修理することが可能であることが事故車との違いになります。
不正車は車として公道を走るための条件を逸脱してしまっている車です。主に、不正な改造をした車が不正改造車として違反の対象となります。
しかし、自分の車は改造していないから安心だと考えるのは早計です。車も長く使っていると部品が劣化してしまい、何の改造もしていなくても法律上公道を走るには不適切になってしまう場合があります。
例えば車のマフラーが古くなりすぎて音が大きくなると、車が出してもいい音の大きさの範囲を超えてしまい、不正車となってしまうでしょう。改造をしていてもしていなくても車検に通る状態を維持することが重要です。
改造車は車の見た目や機能面に後付で何らかの手を加えている車です。改造車と言うといかにも悪いもののように聞こえますが、法律で決められた範囲を遵守しているなら問題ではありません。
ただし、純正パーツを使っているわけではないため、車の買取あるいは販売という点では都合が悪く、値段が下がりやすくなります。よくある改造例としては、車をもっと快適に動かすためにマフラーやホイールなどを交換する例や、見た目を良くするために車体にペイントを施したり、シートなどを交換したりする例があります。
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(まとめ)中古車を購入するとき事故車の見分け方は?

事故車かどうかについては開示義務があるため、担当者に聞けば必ず教えてくれます。しかし、販売店の中にはあえて事故車であることを隠して販売しているような悪質なところもあるため要注意です。
見分け方をおさえておきましょう。
事故車とは事故を起こした車ではなく、骨格部分を修復・交換した車のことを指します。修復歴がつくパーツはサイドメンバーやダッシュパネルなど9種類に渡り、明確に決まっているのが特徴です。
全国的に統一された基準が採用されています。
具体的な事故車の見分け方としては、車体の左右に歪みがないか、それぞれのパーツの隙間が均一かどうか、塗装跡などがないか、またフロントガラスを交換せざるを得なくなるようなことがあったかなどがあります。
事故車の怖いところは、修復してもなお正常な走行ができないことが多い点です。骨格は完全修復ができない重要なパーツになります。
そのため、中古車購入の際は必ず試乗して正常にまっすぐ走行できるか確認することが大切です。
「事故車」の他にも、中古車にありがちな不穏な用語として「修復歴のある車」「不正車」「改造車」「故障車」などがあります。いずれも違法なのではないかと思われがちですが、公道を走るのに問題ないケースもあります。
事故車と併せて覚えておくと便利です。