新規登録から10年以上が経過した低年式の中古車は、古いとはいえ値段の安さやレアな旧車に乗れる可能性があるなどのメリットもあります。
では、10年以上前の古い年式の中古車を購入する場合は、どのような点に注意すべきでしょうか?
ここでは、古い中古車を購入するメリットとリスク、購入時に必ず確認しておきたいこと、そして年式と走行距離の関係などを解説します。
低年式の車の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
年式が10年以上前の中古車を購入する時の注意点
中古車の中でも年式が10年以上超過しているものは特に値段が安いため、手頃な中古車を探している場合は目を引くものです。
しかし、こうした車を購入する時は、低年式ゆえに注意しなければならない点がいくつかあります。
その内容について、以下で詳しく見ていきましょう。
年式が10年以上の車について
そもそも年式とは何なのでしょうか?どのように調べることができるのでしょうか?
また、年式が10年以上の車について、走行距離との関係をどう考えるべきかも見ていきましょう。
車の年式は、その車が製造され、新車として初めて登録された「初度登録年」のことです。(軽自動車の場合は初度検査年といいます)
この登録年が昔であればあるほど、その車は古い年式ということになります。
年式は、「高年式」「低年式」などと言い表されることもあり、一般的に製造・登録後約3年以内の車は「高年式」、そして製造・登録されてから約7~10年が経ったものが「低年式」と呼ばれます。
また、年式と似た言葉で「○年落ち」という言い方もあります。
車の年式を調べる方法で最も簡単なのは、「車検証」あるいは「新車保証書」を確認することです。
車検証には、普通車の場合は「初度登録年月日」、軽自動車の場合は「初度検査年月」が載っているので一番確実です。
一方、新車保証書には「登録日」の項目があり、ここをチェックすることで車検証と同様に確認できます。
この2つよりも精度は落ちるものの、シートベルトをチェックするというやり方もあります。車の製造年月日がシートベルトの付け根に記されているので、年式を推測する上でヒントになるでしょう。
「車の寿命は年式10年もしくは走行距離10万キロ」というのが通説となっており、その理由はいくつかあります。
まず、生産中止から10年が経った車の純正部品は、メーカーで保存する義務がなくなるので、10年目からは部品交換や修理が難しくなることが理由として挙げられます。
そして、車の1年間の走行距離は1万キロが平均と言われているため、年式10年の車は、走行距離10万キロの車とイコールだということになります。
年式が10年未満の高年式の車でも、走行距離が10万キロに達していると、その車両はかなり寿命が短くなっていると見なされるでしょう。
こうした理由などから、中古車市場では「年式10年」「走行距離10万キロ」の車は高値がつきにくくなります。
しかし、実際には最近の乗用車は性能がいいので、10年以上であっても十分使用できると言われています。10年が経ったから突然車が動かなくなるということはないので、単なる目安だと考えてください。
車選びの際は、年式と走行距離の双方のバランスが重要で、どちらかの数字が極端に多くても問題があります。
どれくらいの値だとちょうどいいのかというと、やはりよく言われる「1年で1万キロ」あたりになるでしょう。
中古車の中には、低年式なのに走行距離が極端に短いものや高年式なのに走行距離がやたらと長いものがあります。
いずれも片方の値だけ見れば新車同然のように思われますが、年式・走行距離のバランスを見ると問題があり、パーツの劣化が進んで故障しやすくなっていると言えるでしょう。
車の査定は何社に依頼するべき?
年式が10年以上前の車を購入するメリット
年式が10年以上前の中古車は、主に製造・登録されてから10年以上が経過した車のことを指すことが分かりました。
では、そのような「低年式」に分類されるタイプの中古車を購入すると、どんなメリットがあるのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
中古車を購入することの最大のメリットは「新車よりも安く買える」ことです。年式が10年以上前の車となれば、このメリットを最大限に享受できると言えるでしょう。
低年式車を購入するメリットは、ほとんどこの一点に尽きると言っても過言ではありません。車のコンディションを特に気にせず、長期間乗る予定もなく、あくまでも安さを重視するのであれば、年式が10年以上の中古車はおすすめです。
低年式車ではありますが、中古車のコンディションは一台ごとに異なっており、使い方やメンテナンスに注意を払えば長く乗り続けることも可能です。
年式車に最初から狙いを定めるのであれば、クラシックカーや昔人気があったものの製造中止となった稀少車、古い型式の輸入車などを選べる点も、メリットと言えるでしょう。
例えば、高級車やスポーツカーなどは、前の持ち主も大切に保管してメンテナンスを行っていることが多いです。さらに、ワンオーナーであることも少なくありません。そのため、低年式とはいえ、その年式のわりにはボディにほとんど傷がないことも多いです。
また、内装も新車の状態がキープされていたりと、よい状態で入手できる可能性が高いでしょう。
ただし、反対にヴィンテージ価値の高い車や人気モデルの場合はプレミア的な価値となり、新車よりも高値であることも珍しくありません。
ここで高額な車を購入しては、安く購入できるという中古車の最大のメリットを活かせなくなってしまうので、値下げ幅が大きい車を狙うようにしましょう。
年式が10年以上前の車を購入するリスク
ここまでで、年式10年以上前の中古車を購入する場合のメリットについて説明してきました。
しかし、製造・登録から10年以上が経った車には、いくつかの避けがたいリスクも存在します。
以下では、その内容について解説していきます。
製造から10年経った低年式車は、その古さゆえに故障しやすいので注意が必要です。
例えば、経年劣化による傷やサビがあったり、オイルやガソリン、バッテリーなどが放置されたまま劣化していたりすることがあります。これらが原因となり、納車時などには別途、整備費用が発生してしまうかもしれません。
また、部品交換しようにも、古い年式の車の場合は純正部品が手に入らないこともあります。そうなると修理費用がかさんだり、パーツの在庫があるところからの取り寄せによって手間がかかったりすることもあるので、注意しましょう。
年式が10年以上の中古車は、リセールバリューについては期待できません。購入してからしばらく使用し、乗り換えることになったので売却しようとしても、少なくとも高値がつくことはないでしょう。
低年式車は需要も低いので、買取業者としては、たとえ安値で買い取ったとしても売れない在庫品をいつまでも保管することになりかねません。
車は保管するだけでもコストが発生するので、高値がつかないならまだしも、そもそも買取を拒まれる可能性もあります。そのため、年式10年以上前の車は、次に乗る車を購入するための資金の足しにはならないと考えておきましょう。
このような車を売却して少しでもお金にしたいのなら、相応の買取業者に依頼することをおすすめします。例えば、海外輸出などの独自の販売ルートを持っている業者や、車を分解してパーツ単位で値段をつけてくれる廃車専門の業者などです。
こうした業者は、低年式車や過走行車などの扱いにも長けているので頼りになるでしょう。
年式が10年以上前の車を購入する時に確認すべき項目
ここまでで、年式が10年以上前の中古車を購入する場合のメリットとリスクの双方を確認してきました。
では、もし年式が10年以上前の車を購入する時になったら、どのような点を確認すればいいのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
年式が10年を超過している中古車は、外装や内装、修復歴の有無などを確認し、すぐに故障するような状態になっていないかチェックすることが重要です。
例えば、事故や災害などに遭遇したことで大きく破損し、大規模な修理が行われたような車は、購入した直後に故障してしまうことがあります。
大規模な修理が行われ、車の重要な骨格部分に修復歴がある車は「事故車」「修復車」などと呼ばれます。こうした車は年式に関係なく安く売られていることが多いので、購入はできるだけ避けましょう。
また、細かなチェック項目としては、ベルトのひび割れ、傷やサビの状態、オイルや冷却水が漏れていないかなどが挙げられます。さらに、バッテリーを最後に交換したタイミングはいつだったのか、メンテナンスノートでチェックしておきましょう。
また「下回り」と呼ばれる車体の底の裏側も見てください。車が走行した場所によっては、金属部分の腐食が進んでサビがひどくなっていることがあります。悪化すると、部品が脱落して事故につながります。
購入したい車の外観や内装がきれいだったとしても、必ず一度は試乗し、車の調子や乗り心地を確認しましょう。
特に前の持ち主が長い間乗っていた低年式の車は、ハンドルが微妙に偏っていたりするなど、変なクセがついていることがあります。
また、一度運転してみると、異音の有無や電装品の動作などもすぐに確認できるので、不安な点があれば販売店の担当者にすぐ聞きましょう。
販売店によっては試乗を断られることもあります。そういったお店は避けたほうが無難です。
低年式のものに限らず、中古車を選ぶ際はメンテナンスの履歴をチェックすることも大切です。
年式が古くてもメンテナンスがきちんと行われていれば安心なので、メンテナンスノートから、それまでの点検や修理の履歴を確かめてください。
前述したように、10年落ちの車は走行距離も約10万キロに及んでいるのが一般的です。そのため、低年式車は長距離走行によるパーツの劣化や摩耗も起きていると考えましょう。
また、オイルやベルトの交換がきちんとなされているかも重要なポイントです。既にパーツ交換が完了している車両であれば、購入後しばらくは維持費を安く抑えられるでしょう。
こうした車であれば安全面でも経済面でも安心ですので、可能な限りこまめに点検を受けており、部品交換が済んでいる車を選んでください。
製造から10年以上経った低年式車ともなると、多くのパーツの寿命が短くなっています。それらの交換や修理を購入後に全て自分で行うとなると、たとえ車両本体は安く購入できても、その後のメンテナンス費用が高くつくことになるので注意しましょう。
10年落ちの中古車の本体価格は安く済みますが、その後の修理・部品交換費用が高額になるなど各種維持費が家計に響くおそれがあります。そのため、購入前にあらかじめ年間の維持費を算出しておくとよいでしょう。
車の維持費には自動車税、車検代、保険料などもあり、どれも数万円単位に及ぶことがあるので、きちんと把握しておくことが大切です。
また、古い車はエンジンも古くなっており燃費が悪くなることが多く、新車よりも燃料代がかかることもあります。
低年式のものに限らず、中古車は年式と走行距離のバランスを確認するのを忘れないようにしましょう。
標準的なバランスは「1年で1万キロ」と言われていますが、例えば、年式が10年なのに走行距離が20万キロなどの車は、年式よりも走行距離の分の負担が車にかかっており、その分劣化していると言えます。
年式に対して走行距離が長い車は、メンテナンス次第で乗り続けることも可能ですが、注意すべきなのは、年式に対して走行距離が極端に短い車で、こうした車両は運転を始めた途端に故障する恐れがあるので注意してください。
購入しようとしている車に、販売店の保証がついているかどうかも確認しましょう。
格安の中古車ともなると、ある程度の経年劣化が進んでいるのが普通なので、できるだけ保証が充実した販売店で購入することが大切です。
たとえ購入後に故障が発生したり、不具合が明らかになったりしたとしても、こうした保証に加入していれば、修理のために余計なコストをかけずに済みます。
購入時に多少の費用は発生するかもしれませんが、「お守り」だと思ってつけておくようにしましょう。
車の査定は何社に依頼するべき?
中古車を購入する時の選択肢について
ここまでで、年式10年越えの中古車を購入する際の注意点を説明してきました。
最後に、このような低年式の車を避けて、自分の希望する品質と価格とのバランスを取りながら中古車を購入するとしたら、どのような選択肢が考えられるかを見ていきましょう。
中古車市場では、3年・5年・7年落ちの中古車が多く出回っています。
この年式の流通量が多いのは、車検直前のタイミングで車を売却したり、ローン・残価設定型クレジットの支払いが終了した頃に新しい車に乗り換えたりする人が多いためです。
もし中古車を購入するとしたら、このようなタイミングで前オーナーが手放した車がよいでしょう。
手放した理由が車の故障や不具合、老朽化ではないのに加え、3年・5年・7年落ちの中古車はメーカーに純正部品が残っていることも多いので、修理・部品交換がしやすいです。
さらに、値段よりも車の新しさを優先するなら、ほとんど新車同然の3年落ちのものがよいでしょう。
一方、価格の安さと年式・走行距離のバランスを考慮するなら、5年・7年落ちの車がおすすめです。
5年というのは、上述のように残価設定型クレジットやカーローンの支払いが完了するタイミングです。また、7年というのは乗用車の多くが3度目の車検を迎える頃なので、高い車検代を払うならいっそ乗り換えようと考えたユーザーが車を手放すことが多くなっています。
高年式で走行距離も短い、品質の高い中古車として、稀に「未使用車」が見つかることがあります。
未使用車は「新古車」と呼ばれることもあり、販売台数を稼ぐことを目的に、ディーラーが新車を中古車として登録したものを指します。そのため、結果的に新車が中古車市場に出回っている状態になっており、価格は新車の8~9割くらいであることが多いです。
いつでもすぐに見つかるものではありませんが、納車期間が短く、新車保証が受けられるなど、メリットが多いのでおすすめです。
かつてレンタカーとして使われ、その後中古車として処分された「レンタカー落ち」の中古車には注意しましょう。
レンタカーには最新モデルが使われることがよくあり、型落ちした段階で売却されるので、高年式のものが市場に出回っていることがあります。
しかし、レンタカー落ちの中古車は、短期間で不特定多数が運転しているので乱暴に扱われていることも少なくありません。また、年式に対して走行距離が長いこともあります。
たとえ新品同然のように見えても、きちんと試乗や車の状態のチェックを行うようにしましょう。