中古車販売店では、車検切れの車が売られていることがあります。しかし、車検切れの車は公道を走行することができません。

なぜこうした中古車が流通しているのでしょうか?

この記事では、中古車と車検の関係と車検切れの車が販売されている理由について説明していきます。

また、車検切れの中古車を購入することのメリットやデメリットも存在するので、それらの内容も詳しく解説していきます。

車検切れの中古車を購入する際は要注意!

中古車販売店では、車検の有効期限が切れている「車検なし」の状態の車を販売していることがあります。

こうした中古車は価格が安いのが大きなメリットですが、一方でデメリットやリスクもあるので、購入する際は注意が必要です。

車検について

車検について
初めに、車を所有している人にとって避けて通れない車検の概要を解説します。

車検はどのような内容なのか、なぜ必要なのか、車検を受けないとどのようなリスクを抱えることになるのかを見ていきましょう。

車検とは何ですか?
車検は、その車が国土交通省で定めている保安基準を満たしているかどうかを検査することです。車検を受ける時期などは車種ごとに決まっており、この検査をクリアしないと公道を走れません。
車検(自動車検査登録制度)の内容

車検(自動車検査登録制度)は、車が国土交通省の定める保安基準を満たしているかどうかを検査する制度のことです。

検査の結果、基準を満たしていないと判断されれば、整備した上で再検査を受けなければなりません。

車検には有効期限があります。車検を受けないまま、あるいは車検に通らなかったにも関わらず整備・再検査をしないまま有効期限が切れた車は公道を走行することができません。

車検はなぜ必要なのか

車検は、日本の公道を安全に保つために必要です。

車検では自動車の持つ各種機能が正常に作動するかの安全性チェック、また排気ガス規定に違反していないかなどの公害防止性能チェックが必ず行われます。

公道を走行するほぼ全ての車は、車検に合格することで最低限必要な保安基準と環境基準を満たしていることになります。

車検は何年ごとに受けるのか

車検を何年ごとに受けるかは、車種によって異なります。

自家用乗用車の場合は、新車登録から3年後に最初の車検を受け、それ以降は2年ごとです。

自家用乗用車の中古車だと最初の車検は済んでいることが多く、車検の期間は2年ごとになったりします。

また、貨物車として登録されている1もしくは4ナンバーの車は、初回が新車登録から2年後、その後は1年ごとです。(ただし4ナンバーの軽自動車の場合は最初から2年ごと)

また、タクシーやバスなど、安全性がより重要視される車両の場合は、車検の有効期間が1年ごとになっています。

車検の費用

車検にかかる費用は、その車が普通自動車か軽自動車かによって異なります。また、普通自動車の場合は車両重量によっても金額差があります。

車検を依頼する業者によっても費用は異なるので、少なくとも数万円、多ければ十数万円と考えておくと良いでしょう。

車検を受けない場合のリスク

車検を受けない場合のリスク
車検を受けない、あるいは不合格になったにも関わらず再検査を受けずにいると、大きなリスクを抱えることになります。

まず、車検を受けずに有効期限が切れると公道を走ることができなくなります。

もし車検切れの状態で公道を走った場合は、違反点数6点、少なくとも30日間の免許停止、刑事罰として6カ月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金が科せられます。

車検の有効期間が切れているかどうかは、フロントガラスに貼ってある検査標章(車検シール)によって確認することができます。

また、車検切れになっている車は自賠責保険の期限も切れていることが多いため、車検切れで公道を走って摘発されれば、自賠責保険が切れていることで処罰内容はさらに重くなります。

ちなみに、一度車検切れの状態になってしまったからと言って、改めて車検を受ける際の費用が割高になることはありません。ただし、車検切れになった車は車検を受けるためであっても公道を運転することができないので、レッカー移動などが必要になります。

中古車と車検の関係について

中古車と車検の関係について
ここまでで、車検について解説してきましたが、中古車販売店では「車検なし」という車検切れの車を販売していることがあります。

それは法律で認められているのか、車検切れの車が売られている理由は何なのかを見ていきましょう。

なぜ車検切れの中古車が売られているのですか?
車検を受ける義務があるのは車のオーナーの側であり、販売店側にはそうした義務はありません。そのため、車検切れの状態の中古車でも、問題なく売ることができます。
車検切れの車は売ってもいいの?

車検切れの状態で公道を走ると法律違反になり処罰されますが、車検が切れていること自体は罪にはなりません。公道で運転さえしなければ、その車を販売・購入することには全く問題がないと言えます。

また、車検を受ける義務があるのはあくまでもその車を所有して運転する人であり、車を買取・販売する販売業者などにはその義務は課されていません。そのため、販売する側は、車検切れの車でも公道で運転さえしなければ好きなように売買できます。

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販売されている車検切れ中古車の種類

車検切れの中古車を購入する際の注意点
販売されている車検切れの中古車には、それぞれ種類があります。その違いは主に3つあるので、以下で詳しく説明していきます。

また、車検切れ中古車を購入するメリットやデメリットも紹介します。

①車検なし・車検整備なし

販売されている中古車に「車検なし」「車検整備なし」と表記されているものは、車検の有効期限が切れていることを意味しています。そのため、車を購入したら改めて車検を受けなければなりません。

車検費用などは車の購入者が後で自分で支払うことになるので、購入時の車両本体価格は安く設定されていることが多いです。

車検を自分で受けるのは手間がかかるものの、ここで車検費用を抑えて安く済ませることができるなら、全体的にお得な買い物だと言えるでしょう。

②車検整備付・車検整備2年付き

車検が切れている中古車に「車検整備付」「車検整備2年付き」と表記されているものがあります。意味はどちらも同じで、車の購入が決まれば販売店のほうで車検を行い、合格したら納車されます。

購入時点では車検なしであるものの、納車前に車検を通してくれるので、その後はすぐに公道で走行できるという利点があります。

わざわざ「2年付き」と表記されることがあるのは、車検には新車登録3年目で行うものと、その後2年ごとに行うものがあるため、混同しないようにという配慮からです。

メリットとしては、購入者が自分で車検を受けに行く手間が省けるという点に尽きます。車検は前もって予約が必要であることも多く、車検を受けている間はその車が使えないので色々と面倒がありますが、そうしたことを気にしなくても大丈夫です。

一方デメリットとしては、販売価格に車検費用が最初から含まれているため、前項で紹介した「車検なし」「車検整備なし」の中古車と比べて割高になってしまうことです。

③予備車検付

車検切れの中古車の表記には「予備車検付」というのもあります。

予備車検は、まだナンバーが交付されていない段階の中古車に対して行われる検査のことです。この検査に合格すれば「自動車予備検査証」が発行され、その後3カ月以内に手続きをすることで、車検を受けずとも公道を走れるようになります。

予備車検付の中古車の場合、車両本体価格は比較的安くなりますが、諸経費が意外と高くつくことも少なくありません。また、法定点検は購入者が行わなければならないので、全体的なコストは自分で車検を受けた場合と同等か、それ以上になってしまうケースも多いです。

車検切れ中古車のメリット

車検切れの状態で販売されている中古車にも、いくつかのタイプがあります。それらに共通するメリットは、とにかく車両本体価格が安いということです。見方を変えれば、車検費用というものがいかに車のユーザーにとって大きな負担であるかが分かります。

車検切れ中古車のデメリット

車検切れの中古車のデメリットは、購入後に車検やそれに準じた検査手続き、法定検査などを全て自分で行わなければならないことです。

本体価格が安いからと言って何も考えずに飛びつくと、その後の車検費用やそのための手間などのコストが高くついて驚くことになるでしょう。

そのため、車検切れの中古車を購入する際は、車検などの手続きにかかるコストをできるだけ低く抑える方法やルートを知っている人向けのものだと言えます。

車検切れの中古車を購入する際の注意点

車検切れの中古車を購入する場合、どのような点に注意したらいいのでしょうか?

以下で詳しく説明していきます。

車検切れの中古車を購入する際、注意点はありますか?
車検切れの中古車を購入する際は、そのままだと公道を走れないため、改めて車検を受ける必要があります。その時にかかる費用や手間などのコストについては注意が必要です。
費用面でのリスクが最も大きい

車検の有効期限が切れている中古車を購入する場合、最も大きなリスクは、購入後の費用が想像以上に高くつくかも知れないことです。

仮に購入費用を抑えられたとしても、改めて車検を受ける手間などのコストもかかります。

車検を受けないと公道を走れない

前述の通り、車検切れの車で公道を走ることは道路運送車両法違反にあたります。そのため、購入後に改めて車検を受けるなら、その車を運転する以外の方法で車を運搬しなければなりません。

その方法としては、これから説明する2つが挙げられます。

車検切れ車両の移動方法①仮ナンバーを取得する

車検切れ車両の移動方法①仮ナンバーを取得する
車検切れの車両を、車検目的で移動させるための方法として、第一に考えられるのは「仮ナンバー」を取得することです。

仮ナンバーは、限られた経路だけ走行することが認められる臨時のナンバープレートで、正式には「臨時運航許可標」といいます。

取得のためには、各市町村の役場・役所に出向いて手続きを行います。これが入手できれば、車検を受ける整備工場などの場所へ運転して行くことが可能です。

ただし、仮ナンバーを取得するための条件は細かく定められています。運転する目的(例えば車検)や走行する経路、仮ナンバーの使用期間は厳守しなければなりません。

また、取得にあたっては車検証、運転免許証、それに自賠責保険証などを持参する必要があります。

ここで注意したいのが自賠責保険です。車検が切れている場合、大抵は自賠責保険も切れていることが多いです。そのため、仮ナンバーを取得するためには、その前段階として保険会社などで自賠責保険の加入手続きを済ませなければなりません。

車検切れ車両の移動方法②業者に移動してもらう

車検切れ車両の移動方法②業者に移動してもらう
車検を申し込むと、自宅へ車両を引き取りに来てくれる業者もいます。あるいは自宅に限らず会社の駐車場でも引き取ってくれるケースもあり、車検が終われば元の場所にまた届けてくれるので大変便利です。

ただ注意しなければならないのは、車検切れの車の運搬は手間がかかるので、そのような業者を利用したとしても運搬費用が高くつく可能性があることです。

業者に車検を依頼する際、サービス内容とその費用についてはきちんと確認しておきましょう。

納車期間が車検の有無によって異なる

新車の場合は購入が決まってから車両を製造しますが、中古車はすでに在庫が存在しています。そのため、納車が何日も先になることはないと思うかもしれませんが、車検切れの車の場合は購入手続き後に車検を行うので、納車が2~3週間後になることもあります。

車検によって車に不具合が見つかった場合、その修理内容によってはさらに時間がかかるかもしれません。そのため、車検切れの車を購入して業者に車検を任せるという場合は、納車期間は長めに見積もっておいたほうがいいでしょう。

ちなみに、車検ありの中古車でも、納車前に一応の点検や掃除などを行うので、購入手続きを済ませた当日や翌日にすぐ納車されることはないでしょう。それでも一般的な納車期間は1~2週間なので、車検切れの車と比べて各段に早いと言えます。

納車を急いでほしいという場合は、車検ありの中古車を購入するのがおすすめです。そして、販売会社にも納車がいつ頃になるかきちんと確認しておくことが大切です。

追加費用が発生することも

車検切れの中古車は、納車前に車検を通さないといけないので、前項で説明した通り納車までに時間がかかることがあります。また、時間のみならず、納車前に不具合が見つかって修理や部品交換を行えば、追加費用がかかることも少なくありません。

そうなると、最初に提示された見積もりよりもさらにプラスされた金額を請求されることになるでしょう。このように車検切れの車を購入して車検を業者に任せっきりにすると、意外なところでコストがかかることがあります。

追加費用の発生をできるだけ避けるには、中古車の販売会社や、可能なら車検業者とも事前に連絡を取り合っておくことが大切です。購入時あるいは、車検を受けている時点で、納車前にどのような修理や部品交換が必要になるかをこまめに確認するようにしましょう。

中には、整備士のチェックが不十分なため見積もり段階で不具合を発見できなかったということもあります。また、ひどい場合は自社の車を購入してもらうために、業者が最初の見積もり提示の段階で修理が必要なことを隠していることもあるので、信頼できる業者を探すことも大切です。

自賠責保険にも注意が必要

自賠責保険にも注意が必要
車検切れの車を購入する際は、車検だけではなく自賠責保険の有効期限にも注意しなければなりません。

車検と自賠責保険は同時期に手続きが行われるので、ほぼ同じタイミングで有効期限が切れます。

自賠責保険は全ての自動車とバイクに加入義務があり、有効期限が切れているものは「無保険車」と呼ばれます。

無保険車による公道の走行は、自動車損害賠償保障法と道路交通法違反となるので注意しましょう。処罰内容は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、また道路交通法違反として反則点数6点で免許停止処分となります。

無保険車は仮ナンバーも取得できないので、車検を受ける際にはその前段階として必ず自賠責保険に加入しましょう。

無保険の状態で車検を受けたとしても、自賠責保険の保険期間が車検の有効期間をカバーしていないと車検証も交付されません。ただし、自賠責保険の有効期限は車検の有効期限よりも1カ月長いことが多いです。

もしも車検切れの中古車にこの1カ月分が残っていたら、期限が切れる前に自賠責保険の継続・仮ナンバーの取得・車検などを全て終えるのがベストです。

ナンバープレートがない中古車は?

販売されている中古車の中には、ナンバープレートが外されているものもあります。これは、前の持ち主が記念品としてナンバープレートを持ち帰っているケースなどが考えられます。

こうした車は一度「廃車」になっているので、そのままでは公道を走行できません。

車検には、新規登録時に受ける「新規検査」と、その後定期的に受ける「継続検査」の2種類があります。

通常の中古車は、購入後も継続検査を定期的に受けますが、一度廃車になった車は、新規登録と新規検査を改めて行わなければなりません。つまり、新規登録・新規検査を受けることで、新しいナンバープレートを取得することになります。

そのためには、運輸(支)局に車を持ち込んだり、警察署や保険会社でも書類を準備したりする必要があります。継続検査を受ける場合と比べて、手続きにかなりの時間がかかるでしょう。

このように、一度廃車した車(一時抹消登録した車)を再登録することは、「中古車新規登録」と呼ばれます。

大まかな手続きとしては、車庫証明の取得、自賠責保険の加入、車検を受けたのち運輸(支)局で登録を済ませる、という流れになります。

まとめ

①車検切れの状態で公道を走るのは法律違反である
②車検切れの車も売却は可能なので、中古車販売店で売られていることがある
③ひと口に「車検切れの中古車」といっても「整備付」「予備車検付」などのタイプがある
④車検切れの中古車は、車本体の価格の安さが最大のメリット
⑤ただし、車検を受けないと走行できない、最終的にはさまざまな費用がかかる
⑥車検切れの車は、仮ナンバーを取得することによって、差し当たり車検を受けるための運転ができる

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