コンパクトサイズでハンドルの取り回しが良く、燃費などランニングコストも安いということで、軽自動車を買い求める方は増えています。

しかし、軽自動車は小さくて軽量なので、交通事故の際に衝撃を受け止めきれないイメージがある方もいるでしょう。

この記事では、軽自動車の頑丈さや安全面はどうなのかと、選び方のポイントについて解説していきます。

普通車と比較して軽自動車は頑丈なのか?

一般的には普通車のほうが軽自動車と比較して頑丈なイメージがあるかもしれません。この広く定着しているイメージは、正しいのでしょうか?

実は、軽自動車も国の定める基準をクリアできるほどの強度を持っています。ここでは、軽自動車の頑丈さと、なぜもろいと思われているのかについて解説していきます。

軽自動車は国の安全基準をクリアしている

軽自動車は国の安全基準をクリアしている
軽自動車は国の定めた安全基準をクリアしてから市場に出回ります。その安全基準にはいくつか項目があり、その中の一つに「衝突安全性」があります。

衝突安全性とは、車が壁などにぶつかった際に車内にいる人を安全に守れるかどうかチェックする項目です。この基準をクリアしている車は、どこかにぶつかった際、車内にいる人を保護できるだけの耐久性を持ち合わせていることになります。

安全基準を満たしているかの検査は、自動車事故対策機構という独立行政法人と国土交通省が実施しています。衝突安全性能のほかにもブレーキ性能など包括的な検査です。

その上、この試験は車種やサイズごとに基準の違いは見られません。軽自動車も普通車も同じ条件の検査を受けて、合格しているということです。つまり、軽自動車の頑丈さが普通車に劣ることはないと言えるでしょう。

単独事故の死亡率は低め

単独事故の死亡率は低め
軽自動車の頑丈さを立証するデータとして、単独事故による死亡率が挙げられます。

平成25年にITARDA(交通事故総合分析センター)が発表しているデータによると、車を運転中に壁やガードレールなどに衝突する単独事故を起こした場合の死亡率は、軽自動車の場合4.47%、普通車の場合4.51%でした。

この数字を見ると、普通車よりもむしろ軽自動車のほうがやや安全という結論が導かれます。

単独事故のような固定されたものにぶつかった場合のダメージは、車両の重たいほうが大きくなります。一般的に、軽自動車は普通車と比較すると車体は軽めです。そのため、単独事故を起こした時の亡くなるリスクというのは軽自動車のほうが低くなると言えます。

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衝突事故の死亡率は高め

衝突事故の死亡率は高め
軽自動車の車体がもろく危ないと言われる理由は、車両の重量の軽さが関係しています。その裏付けになるのが、車同士の衝突事故における死亡率です。

衝突事故における死亡率のデータを見てみると、軽自動車の場合0.22%、普通車の場合0.19%でした。

なぜ車同士の事故になると軽自動車の死亡率が高くなるのかというと、車同士がぶつかった場合、お互い動いているので大きなエネルギーが発生します。この時、重たい重量の車は、軽い重量の車を弾き飛ばしてしまいます。

軽自動車は車重が軽いので、どうしても飛ばされてしまうということです。その分、車内の人間は大きな衝撃を受けてしまい、死亡率が高くなります。

そうは言っても、そこまで大きな違いはないので、軽自動車の頑丈性を否定するものではないでしょう。

軽自動車の頑丈さへの取り組みについて

軽自動車の頑丈さへの取り組みについて
国の安全基準をクリアしているので、軽自動車がもろいということはありません。

軽自動車の開発には、各メーカーが力を入れています。そのため、新しい車種ほどより頑丈性もアップしています。

ここからは、軽自動車の耐久性を向上させるための取り組みについて紹介していきましょう。

軽自動車は軽量なので、どうしても頑丈ではないイメージがあるのですが、どうなのでしょうか?
軽自動車は高張力鋼板がボディに使われています。この素材は、頑丈性に特性があるので見た目よりも耐久力はずっとあります。また、クラッシャブルボディを採用することで、車内にいる人を守るような取り組みもなされています。
見た目よりも頑丈な軽自動車は多い

軽自動車は見た目は小さくて強そうには見えないかもしれませんが、頑丈にできています。その理由は、優れた耐久性を持っている「高張力鋼板」が使用されているからです。

軽自動車は、車内スペースの狭さが課題でしたが、この高張力鋼板をボディに導入することで、ボディを薄くすることに成功しました。結果、頑丈さを損なうことなく車内スペースも確保でき、快適に過ごせるようになっています。

衝突安全性の高いものを選ぼう

軽自動車は国の定める衝突安全基準をクリアしているので、一定レベルの頑丈さは持っています。しかし、どの程度頑丈かは軽自動車によって若干違いが見られるので注意してください。

衝突安全性能の試験は、5点満点で評価されます。そのため、点数の高いものは、より安全だと言えます。

もし頑丈な軽自動車を購入したいと思うのであれば、試験の結果が4点以上の車種を探しましょう。4点以上の評価がつけられていれば、普通車と比較しても遜色ないだけの頑丈さを持ち合わせた車両と推定されます。

安心安全に軽自動車を運転したいのなら、衝突安全性の試験結果をチェックするようにしましょう。

クラッシャブルボディを採用している軽自動車も

軽自動車の中には、クラッシャブルボディを採用している車種も見られます。

クラッシャブルボディとは、車が衝突事故を起こした際に、あえてぐちゃっと潰れて壊れるような構造のボディを指します。

車体がつぶれると危ないのではないかと思うかもしれませんが、車体が意図的につぶれることで衝撃を車が吸収できる構造になっています。

一方、人が乗っているキャビンは、一定の強度を保つようにして事故の際でもつぶれにくい構造にしています。他の部分が衝撃を吸収してつぶれることで、キャビンはつぶれずに生存空間を作り、人間がダメージを受けにくい構造にしているのです。

ただ単に頑丈であれば安全とは限りません。軽自動車はあえて壊れやすい部分を作ることで、乗員の安全性を確保しています。

その他の軽自動車の安全性の取り組みについて

その他の軽自動車の安全性の取り組みについて
軽自動車のメーカーでは、試行錯誤を繰り返して、より頑丈なボディにしています。しかし、安全性を担保するのは何も衝突安全性に限ったことではありません。

近年の軽自動車を見ると、頑丈さ以外にも様々な安全への取り組みを実施しています。具体的にどのような安全対策を施しているのか、主な装備について紹介します。

軽自動車は具体的にどのように安全対策をしているのですか?
軽自動車でも、先進安全装備の標準化が進められています。自動ブレーキ機能のほかにも、安全運転性能を搭載している車もあります。比較的新しい年式であれば、安全装備について様々なものが搭載されているので確認してみましょう。
自動ブレーキ機能

近年の軽自動車を見てみると、自動ブレーキ機能が装備されている車種が多くなってきています。

自動ブレーキ機能とは、自動車の安全装置の中でも代表的な装備で、障害物に対して一定の距離になったところで自動的にブレーキのかかる機能のことです。

障害物を検知する方法は車種によって様々ですが、カメラやレーダーなどを使っています。障害物を検知すると、まず音や警告灯で運転手に知らせてくれるのが一般的で、それでも止まらなかった場合は自動ブレーキが作動する仕組みです。

2021年11月以降に作られた軽自動車は、自動ブレーキの搭載が義務付けられるようになっています。

誤発進抑制機能

誤発進抑制機能も、多くの軽自動車に搭載されている安全装置の一つです。

例えば、急ブレーキを踏もうとした時に誤ってアクセルを踏むと車が急発進してしまいます。その結果、前方の車両や外壁などに衝突してしまう恐れが出てきます。

相手の物品を損傷させたり、自分も怪我をしてしまったりする危険性がありますが、誤発進抑制機能がついていればこのような事態を回避できるかもしれません。

国土交通省では、2020年から誤発進抑制機能の認定制度が導入されました。2021年4月には、国内の自動車メーカー8社が認定を受けています。

高齢者ドライバーによる、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故をニュースなどで見たことがある方も多いかもしれません。そのため、誤発進抑制機能は、事故防止の観点からも重要な装備の一つと言えるでしょう。

車線逸脱警報関連装置

軽自動車の中には、車線逸脱警報関連装置が搭載されている車種もあります。これは、最新の安全装備の一種で、走行中に道路の車線をはみ出しかけた際に警報音で教えてくれるシステムです。

例えば、片道一車線の道路で車線からはみ出すと、対向車とぶつかる危険性があります。そのような衝突事故を回避するためにも、装備しておきたい安全装置の一つです。

車線逸脱警報関連装置は、カメラで車線を検知します。そして、はみ出しそうになった時に警報で注意を促すものが一般的です。

ただし、車線逸脱警報関連装置が搭載されていたとしても車線がかすれて見えにくくなっている道路や、積雪などの悪天候時には車線を検知できない場合もあります。そのため、過信せずに自分の目でも車線から逸脱していないか確認しましょう。

ACC

ACCが搭載されている軽自動車もしばしば見かけます。

ACCとは、アダプティブ・クルーズ・コントロールの略称で、日本語に訳すと「定速走行・車間距離制御装置」となります。事前に設定された速度になるように、自動的に加速や減速をするシステムのことです。

ACCは、先行車との車間距離を一定に保つのが狙いです。ある程度の車間距離を保っていれば、前方でアクシデントが起きても対処できます。

安全対策のほかにも、ドライバーの負担軽減のためにも必要な装置です。例えば、渋滞時に前の車と一定の距離を保つように自動的に速度をコントロールしてくれます。そのため、運転手の疲労やストレス軽減にも一役買ってくれる可能性があると、期待されています。

先進ライト

先進ライトと呼ばれる最新型のヘッドライトを装備している軽自動車も、最近では見かけるようになりました。

先進ライトには、いくつか種類があります。

自動切替前照灯

車のフロントライトにはハイビームとロービームがありますが、従来は自分で操作しなければなりませんでした。しかし、自動切替前照灯が搭載されていれば、必要に応じて自動的にライトの切り替えをしてくれます。

配光可変型前照灯

ライトの照射範囲を自動的に調整できる機能のことです。特に夜間の運転時など視界の確保が難しい時に、ドライバーが見えやすいようにライトを調整してくれます。

このように先進ライトには種類がありますので、照明の機能もチェックしておきましょう。

安全性を考慮した軽自動車の選び方について

安全性を考慮した軽自動車の選び方について
現在流通している軽自動車は、十分な頑丈さを持ち合わせています。その中でも、安全性の高い軽自動車を購入したいと思っている方もいるでしょう。

今後、安全性の高い軽自動車を購入したい場合は、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。

ここからは、安全性の高い軽自動車を選ぶ時のポイントについてまとめました。

安全性の高い軽自動車を購入したいのですが、どこをチェックするといいですか?
安全性を重視して軽自動車を選ぶのであれば、まずは車の構造をチェックしましょう。その上で、安全性能がどの程度搭載されているかも比較してください。サポカーに該当しているかどうかも、候補を絞り込むためにおすすめの項目と言えます。
後部スペースの広さ

安全性の高い軽自動車を探すのであれば、車内スペースをチェックしましょう。特に後部スペースの広い軽自動車は、安全性が高いと言えます。

その理由は、後部スペースが十分あれば、衝突した時に衝撃を逃しやすいからです。

後部スペースが狭いと衝撃で発生したエネルギーを逃せられなくなるため、そのエネルギーは車内にいる人に向かうことになります。それだけ大きなエネルギーを受ければ、深刻な結果につながりかねません。

後部スペースが広いと安全性だけでなく、快適性もアップします。後部座席に座っている人もゆったりと過ごせます。前方に2人、後方に2人乗車しても、それほど圧迫感はないため、ファミリーカーとしてもおすすめです。

側面にエアバッグがついているか

サイドエアバッグが取り付けられている軽自動車は、安全性が高いと言えます。

現在販売している軽自動車のほとんどに、エアバッグは取り付けられているでしょう。しかし、多くの車種は正面からのみエアバッグが出てきます。

正面だけだと、正面衝突や前方の車に突っ込んだ時には衝撃を吸収してくれますが、横からの衝突には十分な効果を発揮しません。そのため、サイドエアバッグがあれば、横からぶつかってくるような事故にも対応してくれます。

中にはオプションでサイドエアバッグを取り付けられるような車種も見られます。その場合は、ディーラーの担当者にお願いしましょう。

横滑り防止機能がついているか

横滑り防止機能のついている軽自動車は、安全性の高い車と言えます。これは、横滑りを検知すると自動的に修正する機能のことです。

なぜ横滑り防止機能が必要かというと、軽自動車が軽いことが関係しています。

例えば、強風の際に橋の上などの吹きさらしのところを走行していると、煽られるかもしれません。そんな時に、横滑り防止機能がついていれば、挙動が乱れたとしても、ドライバーが反応する前に車が修正してくれるので安心です。

平成26年3月以降の車には、横滑り防止機能の搭載が義務付けられています。そのため、中古車を購入する際には、平成26年3月以降の年式から選ぶと良いでしょう。

新車がおすすめ

安全性を第一に考えて軽自動車を購入するのであれば、中古車よりも新車を購入するほうがおすすめです。

安全装置は日々進化しています。つまり、新車はその時点における最新の安全装置が搭載されていると推測されます。安全装置だけでなく、運転支援システムを導入している軽自動車も見られるほどです。

運転支援システムが搭載されていれば、ドライバーが運転ミスをしても車がフォローしてくれます。正しい運転に軌道修正してくれるので、事故リスクを軽減できます。

軽自動車の場合、新車でもそれほど高額な車種は少ないです。新車を購入できる予算があれば、まずは新車の中から候補を絞り込んでみましょう。

サポカーの有無

安全性の高い軽自動車を簡単に見分ける方法に、サポカー認定を受けているかがあります。

サポカーとは、セーフティ・サポート・カーの略称です。サポカーに該当する軽自動車であれば、安全装備の充実している車種と推測できます。

サポカーの中でも「サポカーS」に該当する車種は、上位ステータスの車です。安全装備もそれだけ充実しています。

サポカーSの中には、「ベーシック」「ベーシック+」「ワイド」の3つのランクがあります。この中でも最もランクが上なのが、ワイドです。

安全性重視で軽自動車を探すのであれば、サポカーSワイドの車種の中から選ぶと良いでしょう。

まとめ

①頑丈さで軽自動車が普通車に劣ることはない
②ただし、軽自動車は軽量なので、吹き飛ばされる危険性がある
③ボディが頑丈かどうかだけでなく、安全性能についてもチェックしたほうが良い

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
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