自動車保険を途中解約したり、補償を変更したりする時は、返還保険料を受け取れるケースがあります。
現状のままであれば保険料は同じ金額になりますが、補償内容の変更を行った場合は気をつける必要があります。
この記事では、自動車保険における返還保険料について解約返戻金や中断証明書のポイントも含めて詳しく解説していきます。
自動車保険の返還保険料とは?
返還保険料は、自動車保険を使用する時に支払われる保険金額を減額したり、補償を削減したりなどの契約内容を変更することで返還される保険料のことです。
例えば、年間払いをしている時に補償内容を期間内に変更した場合、保険料に差額が生まれます。そういった状況になれば保険料を過剰に支払っていることになるため、保険会社は差額分を返金することになります。
反対に補償を厚くすると保険料は高くなってしまうので、その際は不足分を支払う必要があります。
差額保険料は、契約内容の変更を行った場合、変更前の条件に応じた保険料と変更後の保険料の差が生じた時に発生する差額のことを言います。
例えば、今までつけていた補償を取りやめたとすると、一般的に保険料は安くなるでしょう。そして、年間払いをしていた時には残りの補償期間内に差額が生まれ返金することになります。
追加保険料は、補償内容の追加によって保険料が増加した場合に発生する不足分のことを言います。
前述しましたが、補償内容を充実させた時には保険料は高くなります。そして、年間払いをしていた時には残りの補償期間内に差額が生まれるために不足分を支払うことになります。
自動車保険における解約返戻金とは?
自動車保険を解約すると、解約返戻金を受け取れる場合があります。
この解約返戻金は、どのような時に発生するのでしょう?
ここからは、自動車保険の解約返戻金について詳しく解説していきます。
解約返戻金は、自動車保険を途中解約する時に戻ってくるお金のことです。
自動車保険の場合、一般的に満期返戻金はありません。しかし、年間払いや月払いで保険料を支払ったケースでは、残りの保険期間に応じて解約返戻金を受け取ることができます。
しかし、一部例外もありますので注意しましょう。
自動車保険の支払方法を年間払い(一括払い)にしていた時は、一般的に短期率(短期料率)と言われる係数を利用して解約返戻金を算出します。
短期率は、既経過期間によって係数が定められています。それを基準にして各保険会社で解約返戻金の額が決定します。
具体的には以下の通りです。
既経過期間 | 短期率 |
---|---|
7日まで | 10% |
15日まで | 15% |
1ヵ月まで | 25% |
2ヵ月まで | 35% |
3ヵ月まで | 45% |
4ヵ月まで | 55% |
5ヵ月まで | 65% |
6ヵ月まで | 70% |
7ヵ月まで | 75% |
8ヵ月まで | 80% |
9ヵ月まで | 85% |
10ヵ月まで | 90% |
11ヵ月まで | 95% |
12ヵ月まで | 100% |
※短期率は保険会社によって異なります。
解約返戻金の計算方法は、次の計算式で算出します。
例えば、年間保険料が6万円、既経過期間が6ヵ月のケースにおける解約返戻金は、以下の計算式となります。
途中解約すると、解約返戻金は保険料の経過期間に比べて金額が低くなるのが一般的です。そのことも考慮にいれて、途中解約するか考えましょう。
自動車保険を月払いで支払っていた場合、解約返戻金の扱いは各保険会社によって異なります。原則、支払われないケースや月割りになることもあります。
毎月の保険始期日と同じ日から1日でも超えてしまうと、1ヵ月分の保険料を支払わなければなりませんので注意しましょう。
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自動車保険を解約する際の手続方法
自動車保険を解約する場合は、書面を郵送する方法とネット上で完結する方法の2つがあります。そのため、契約している保険会社に確認しておくとスムーズに行えるでしょう。
まずは、書面を郵送して解約する方法の流れを見ていきましょう。
- 自動車保険を解約する意思を保険会社に伝える
- 保険会社から解約手続きの書類が郵送される
- 必要事項を記入し返送する
- 保険会社で確認後、解約手続きが完了
- 解約返戻金がある場合は指定口座に返金される
次にネット上で解約する方法の流れを見ていきましょう。
- 自動車保険の解約手続きサイトを開く
- 解約日など必要事項を入力
- 画面上で確認して問題がなければ手続完了
- 解約返戻金がある場合は指定口座に返金される
どちらのケースにしても解約返戻金がある場合は、指定口座の登録が必要になります。
自動車保険を解約する際の注意点について
自動車保険を解約する時は、気をつける点があります。
ここからは、自動車保険を解約する際に注意しておくべきことについて詳しく紹介していきます。
注意点の1つ目は、無保険期間を極力作らないことです。
今契約している保険を解約し、他の保険会社に乗り換えるタイミングで無保険の期間があると、その期間で事故を起こしても自動車保険を利用して補償を受けることができません。そのため、空白期間を作らないようにして契約することが大切です。
現在加入している自動車保険の解約日と、新しく加入する自動車保険の保険始期日を一致させておきましょう。
ちなみに、うっかり満期日を過ぎてしまった場合、各保険会社によって対応は異なります。もちろん満期日を過ぎてしまえば、補償は受けられず無保険期間になります。
しかし、猶予期間を取り入れている保険会社も多いです。「自動更新に関する特約」をつけていると満期日が過ぎていたとしても自動更新され、1年間の契約期間が開始されることになります。
もしその特約がついていない場合は、一般的に満期日の翌日から7日以内であれば、同様の契約内容で手続きを行うことが可能なケースが多いです。
2つ目は、補償内容の見直しをすることです。
他の保険会社に乗り換えるタイミングで使用する車も変わる場合は、補償内容や車両保険の変更も必要になる可能性があります。
特に車両保険は、使う車の年式や車種に応じて補償額が変化します。そのため、免責金額を変更することでも保険料を抑えることが可能です。
また、利用目的や年間走行距離によっても保険料が変わることもあるので、自分の利用状況に応じて見直しを行いましょう。
自動車保険の保険会社には、代理店を通じて契約する「代理店型」と、インターネットを通じて契約する「ダイレクト型」があります。
代理店型は、担当者からアドバイスをもらいながら補償内容を決めることができるので、相談しながら補償内容を決めたい場合は適していると言えます。
ダイレクト型は、テレビCMなどで見かけることがありますが、インターネットで契約から事故対応も行えます。ダイレクト型の大きな強みは、保険料の安さです。代理店型と比べると店舗費や人件費を削減している分、保険料が抑えられています。
自分にとってどちらの保険会社のほうがメリットが大きいのか、検討してみましょう。
3つ目に注意したいのは、等級の引き継ぎです。
もし等級の引き継ぎをせずに自動車保険を解約した場合は、それまで保険を使わずに等級が上がっていたとしても、新規に加入すれば6等級からのスタートになってしまいます。
そこで、等級引継ぎを行えば、新しい保険会社でも同じ等級が引き継がれます。ただし、保険を切り替えた1年間は同じ等級になるため、等級の上がるスピードが遅くなるケースがあるということは注意しなければなりません。
例えば、等級が上がる満期日よりも5ヵ月早く等級引継ぎを行うと、1年5ヵ月後に等級が上がることになります。このように、保険の契約期間中に等級引継ぎを行うとデメリットもあるので、気をつけましょう。
自動車保険における中断証明書について
何らかの理由で一定期間車を利用しないなら、自動車保険を解約する際に「中断証明書」を申請しておくと良いでしょう。
ここからは、中断証明書がどのようなものなのか詳しく解説していきます。
中断証明書は、車を廃車・譲渡・返還・車検切れなどで自動車保険を解約する時に、手続きから10年間は以前の等級を適用できる証明書のことです。
等級が上がっている状態で車に乗らなくなったとしても、車を運転する可能性が少しでもあるのなら、中断証明書を申請しておくことをおすすめします。
新規で自動車保険に加入する時は、通常6等級からのスタートです。等級は1年間事故を起こさなければ、次年度の等級が1つ上がります。もし事故を起こして保険を使用した場合は、1等級または3等級のダウンします。
等級が高いほど割引率も高くなるので保険料が安くなります。そのため、等級が高い場合は、いざという時のために中断証明書を取得しておくと良いでしょう。
中断証明書におけるメリットは、以下の通りです。
- 車に一時的に乗らなくても等級を維持できる
- 中断証明書を取得しておけば10年間は解約時点の等級で自動車保険に加入できる
- 中断時の等級を同居している親族に引き渡すことができる
例えば、海外赴任や車を必要としない地域で生活することになった場合、車を手放すケースがあるかもしれません。こういった場合は、中断証明書を取っておくことで、それまで使っていた等級を維持させることが可能です。
そして、再度車を利用するようになれば、その等級から開始できるので新規契約よりも保険料を抑えることができるでしょう。
また、有効期限が10年間に設定されているので、しばらくは車を運転しなくても今後乗る可能性があれば、等級引継ぎを行えます。
中断証明書は、一般的に車の所有者や被保険者が同一でなければ次回の契約時に利用できません。しかし、車の所有者や被保険者と同居している親族であれば中断証明書を活用できます。
例えば、車の所有者である親が運転しなくなり車を手放したが、同居している子供が新規で車を購入し自動車保険の新規契約をする場合、中断証明書を使うことが可能です。
ただし、同居していない親族については中断証明書を利用できないので注意しましょう。
中断証明書におけるデメリットは、以下の通りです。
- 7等級以上でなければならない
- 車を完全に手放さなければならない
新しい自動車保険に引き継ぐ時の等級が7等級以上でなければ中断証明書は発行できません。また、7等級以上であっても、事故を起こして次の契約等級が6等級以下になる場合も発行できないので、注意しましょう。
また、車を完全に手放した状態であることも条件です。廃車や譲渡、車検切れ、盗難、車両入替のように、中断する保険契約の満期日または解約日に車が使用できなくなっていることがポイントです。
そのため、車に乗らないが手元に車を残す場合は、中断証明書ではなく自動車保険をそのまま解約する流れになります。
海外渡航で記名被保険者が契約を中断する時は、海外に出国した日が中断する保険契約の満期日または解約日から6ヵ月以内であることが条件になります。
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中断証明書の発行方法
中断証明書を発行する時の手続きの流れは、以下の通りです。
- 加入している保険会社に保険を解約し中断証明書を取得したいことを伝える
- 保険会社から指定された必要書類を提出する
ここでのポイントは、中断証明書を発行するには条件があるということです。保険会社に条件を満たすことを証明するために公的書類が必要となります。
例えば、車を手放していることを証明するためには「登録識別情報等通知書」や「登録事項等証明」が必要です。また、車検切れの際は車検証を用意しなければなりません。
これらの証明書を確認してから保険会社が審査を行い、中断証明書を発行することになります。