車を廃車にするタイミングは人それぞれですが、タイヤがまだ使える状態で処分するのはもったいないと感じませんか?
確かにタイヤは数年に一度交換をする高価なパーツなので、廃車時に処分するのは躊躇います。
しかし、不適切な方法でタイヤを保管して使ってしまうと思わぬトラブルや事故の元になるため状態の見極めが欠かせません。
この記事では、廃車時に気になるタイヤの扱いについて解説していきます。まだ使えるタイヤは他の車に使ったり売却したりして有効活用がおすすめです。
タイヤがまだ使える状態の場合は廃車時に外して引き渡そう
所有者が免許を返納して車に乗れなくなった場合、廃車や買取を検討します。
買い取りの場合はタイヤごと売りに出して査定してもらえますが、廃車の場合はまだ使えるタイヤでもスクラップされてしまうので「もったいない」と感じるでしょう。
結論として、廃車時にタイヤがまだ使える状態の場合は別で売却するのがおすすめです。
ネットオークションの利用やバーツ買取を行う業者に依頼してお得にタイヤを手放しましょう。また、次に乗る車のタイヤサイズが合う場合は、流用する方法もおすすめです。
廃車時はタイヤを外して引き渡しましょう。
タイヤは自分で外しても問題ない
廃車時にタイヤを外す際、「勝手に外してもいいのだろうか?」と疑問に感じるかもしれません。
しかし、タイヤは自分で外しても問題ありません。実際に冬場にタイヤ交換を自宅で行う場合は、自分で取り外して交換します。
ただし、スノータイヤへの交換を業者に任せている場合や、タイヤの取り外しに慣れていない方の場合は、ケガにつながる可能性があるため、できる人に頼んだほうが安全です。
個人においてタイヤの取り外しは自由ですが、解体作業は禁じられています。
かつて車や大型家電の不法投棄が目立ったこと、環境への配慮の観点から、近年では解体作業を認定業者のみが行える仕組みが整っています。
2005年に施行された自動車リサイクル法により、各都道府県の認可を受けた業者のみが車の解体作業を行えます。そのため、個人で車体を壊したり、処分したりすることは禁じられています。
車の解体作業は、必ず業者に依頼しましょう。
まだ使えるタイヤの基準
廃車時にタイヤを保管する基準は3つあります。
自分では「まだ使える!」と思っていても、状態によっては安全に使用できない可能性もあります。
ここからは、安全に使えるタイヤの目安となるポイントを紹介していきます。
タイヤは走行するたびに摩耗して劣化するため、走行距離が長い場合は見た目に問題がなくとも再利用は控えましょう。
大まかな目安としては3万km〜4万kmを基準に使えるかどうかを判断します。1年に1万km走行する場合は、4年程度になるため、2回目の車検と同時に交換するケースが多く見られます。
廃車する場合も走行距離が3万km〜4万kmを基準にタイヤを処分するか残すか考えましょう。
まだ使えるタイヤを年数の観点から言うと、4年〜5年を目安にしましょう。
先述したとおり、タイヤは1年間に1万km走ると想定した場合、4年程度で交換が必要です。しかし、数年に一度の交換なので忘れてしまう可能性が高いでしょう。
そんな時は、車検とタイミングを合わてタイヤを交換するのがおすすめです。
例えば、新車を購入した場合、3年目の初めての車検でタイヤを交換すれば忘れることはありません。
中古車の場合は、最初の車検時期が様々ですが、2年の場合は2回目の車検でタイヤを交換しましょう。 なお、雪が降る地域ではスノータイヤの交換も欠かせません。
廃車する際は5年をひとつの基準として、タイヤを保管するか処分するか決定しましょう。
距離や年数とあわせてタイヤの状態確認も欠かせません。タイヤにスリップサインがある場合は、再利用を控えましょう。
スリップサインは、タイヤの溝の残りが1.6mmになると現れます。 タイヤをじっくり見てみると脇の部分に三角のマークがありますが、マークを辿っていくと新しい車の場合はスリップサインが見えません。
しかし、タイヤがすり減った状態においてはスリップサインが出てきます。
スリップサインが出たタイヤは整備不良と判断され、使用できないと法律で定められています。そのため、タイヤにスリップサインが見られない場合は保管することができます。
処分すべきタイヤの基準
廃車予定の車に使っているタイヤは、走行距離や年数、スリップサインの有無から再利用できるか判断できます。
同時に廃車時に処分した方がいいタイヤについても理解を深めましょう。
ここからは、処分すべきタイヤの基準を3つ紹介していきます。
タイヤにひび割れが起こっている場合は処分しましょう。
ひび割れは劣化のサインです。タイヤはゴムでできているパーツなので、どうしても経年劣化が起こりやすい特徴を持ちます。
紫外線や熱により劣化が加速したり、空気圧が低い状態でタイヤに必要以上に負担をかけたりすると劣化が進み、ひび割れが起こります。
ひび割れが始まったタイヤはパンクやバーストにつながる可能性が高く、大変危険です。
タイヤがバーストすると走行不可能になったり、操作不能になったりして事故につながるため、ひび割れがあるタイヤは早めに処分しましょう。
タイヤの素材であるゴムは年数がたつにつれて油分が抜けて固くなります。年数がたった輪ゴムが切れやすい状態であることをイメージすると分かりやすいでしょう。
固くなったゴムは走行中に跳ねにくくなり、乗車する人が振動を感じやすくなったり、性能を存分に活かしきれなかったりします。
なお、タイヤにひび割れが見られなくとも購入から10年が経過したものは処分しましょう。たとえあまり使っていなかったとしても、経年からゴムが固くなっています。
タイヤは高いパーツなので節約のために再利用したくなりますが、安全に走行するためにも適切な見極めが大切です。
タイヤは走行するたびに擦り減っていきますが、擦り減り方に偏りがある場合は注意が必要です。
偏った状態で擦り減ったタイヤは走行時にまっすぐ走れなかったり、車の性能を活かしきれなかったりします。
なお、タイヤが偏って擦り減ることを「偏摩耗」といい、下記の3つのタイプに分類されます。
- 片減り摩耗
- 両肩減り摩耗
- センター摩耗
いずれも整備不良や空気圧が不適切であること、急ブレーキや急ハンドルなど車に負担がかかる操作が原因です。
偏摩耗を防ぐためには、空気圧を定期的に確認したり、4本のタイヤを入れ替えて負担を分散したりする方法が最適です。
劣化したタイヤを使用すると、以下のようなの問題が発生する可能性があります。
- 制動距離が長くなりブレーキが効きにくくなる
- 雨の日はハイドロプレーニング現象が起こりやすい
- タイヤのバーストやパンクが起こりやすい
擦り減ったタイヤは滑りやすい状態のため、ブレーキの効きが甘くなります。その結果、思ったよりも止まるまでに時間がかかって衝突事故を起こしたり、歩行者にぶつかったりする可能性もあるでしょう。
なお、制動距離はブレーキをかけ始めてから停車するまでの距離を指し、一般社団法人日本自動車タイヤ協会の調査では、タイヤの溝は1.6mmを切ったところから急に数値が上昇すると結果が出ています。
このデータから分かるように、タイヤの交換は溝が1.6mmになる前に行うことが大切です。また、廃車の場合も再利用は控えましょう。
廃車時にタイヤを取り外す際の注意点
廃車を決めて引き渡す際にタイヤを取り外す場合、事前の段取りが欠かせません。
タイヤがない状態で走行は不可能なので、送迎を手配したり活用方法を決めておくとスムーズに進むでしょう。
ここからは、廃車時にタイヤを取り外す際の注意点を紹介していきます。
タイヤを自宅で外してから引き渡す場合、自走が困難です。そのため、事前にレッカーを手配したり、廃車を担当する業者に相談したりしましょう。
なお、レッカー代は業者ごとに異なるため事前確認が必要です。また、廃車場所まで運転していき、その場でタイヤを取り外して解体を進める場合は帰りの手段を考えましょう。
車は解体され、タイヤ4本を持って帰れるような段取りが必要です。タイヤの大きさによっては軽自動車に4本とも積載可能ですが、大きな車の場合は迎えに来てもらう車もある程度の大きさが必要です。
タイヤを持ち帰ることまで想定して予定を組みましょう。
廃車時にまだタイヤが使えるからと言って保管しても、すぐに使い道がない場合は無駄になったり、後から処分が必要になったりします。
例えば、次の車に使おうと考えていても、軽自動車からミニバンに乗り替えた場合はタイヤを使えません。そのため、タイヤが無駄になり管理が面倒と感じます。
次の車のサイズが大幅に変わる場合や、これから数年はタイヤを使わないと考えている場合は、廃車と同時に処分しましょう。
廃車時に残したタイヤの活用方法
廃車時に残しておいたタイヤは3つの活用方法があります。
ここからは、まだ使えるタイヤの使い方を紹介します。
次に乗る車のスペアタイヤとしての活用や、買取査定に出す方法がおすすめです。
次の車もタイヤサイズが変わらない場合は、スペアタイヤとして活用できます。
スペアタイヤは、いつも履いているタイヤがパンクした場合に活用します。ドライブが好きな方は車に1本積んでいることもあるでしょう。
車を運転する限りパンクは起こりうる事態です。車を所持する場合はスペアタイヤを持っておき、もしもに備えましょう。
タイヤを保管したものの使い道が見つからない場合はネットオークションで売る方法があります。
ネットオークションを使えば買取業者の店舗へ行かず自宅で売却できるため、時間がない方でもお得にタイヤを処分できます。
大手のネットオークションを活用して販売する他、都道府県やエリアごとに掲示板を使って売却のやりとりができるサイトを活用する方法があります。
価格設定は自由ですが、同商品を扱う層の値段と比較して販売するのがおすすめです。
なお、オンラインで売買する場合は個人間でトラブルにならないよう、値段の明示や発送までの流れなどを明確にし、双方が納得できる取引を行いましょう。
タイヤは大きな荷物のため、発送手続きに手間取ります。持ち込む配送業者に発送方法を確認したり、配送の中で傷つかないよう簡易的なカバーをかけたりしましょう。
近くにあるパーツの買取業者に依頼する方法もおすすめです。
車の買取が多く見られますが、パーツのみの買取を行っている業者も多くあります。また、中古車買取業者がパーツのみ買取を行っているケースもあるため、お住まいの地域で確認してみましょう。
持ち込みでの売却であれば発送は不要で、かつすぐにタイヤを手放せます。
参考までに、タイヤの買取査定額は下記の項目で判断します。
- タイヤの溝の浅さ
- タイヤの大きさ
- ブランド
タイヤは溝の浅さによって後どれくらい使用できるかが異なるため、査定時に重要な要素です。また、タイヤの大きさやブランドも価格に反映されます。
業者によっては特定のメーカーしか買い取りできない可能性もあるため、事前に確認しましょう。
廃車時にタイヤを外すなら保管方法も重要
ここからは、タイヤの適切な保管方法を紹介します。
しばらく使わないタイヤは水で洗って汚れを落としてから、日光や雨風を避けた保管がおすすめです。
初期費用がかかりますが、便利グッズを活用して劣化を抑えながら保管しましょう。
タイヤを長期保管する場合、直射日光が当たらない車庫や物置で保管するようにしましょう。
タイヤは紫外線や熱が大敵で、夏の日差しや暑さによって劣化が進みます。自宅の車庫で日に当たらない場所を選んでおいたり、物置に保管したりしてタイヤを守りましょう。
なお、保管時は少しタイヤの空気を抜いておくのがおすすめです。
長期保管時はタイヤの置き方や重ね方にも注意しましょう。
ホイール付きのタイヤは重さがあるため、立てたまま並べると下部に負担がかかり劣化が進みます。そのため、横に倒して保管するのがおすすめです。
一方、ホイールが付いていないタイヤは横に倒すと下になるタイヤに重さがかかるため、縦にして保管します。
いずれも定期的にタイヤの場所を入れ替えると負担を分散できるため心がけましょう。保管場所である車庫や物置の清掃を兼ねて定期的にタイヤを動かすと効果的です。
タイヤの保管にはタイヤラックの活用もおすすめです。
タイヤラックは金属のラックにタイヤを縦置きできる商品です。タイヤ同士を金属部分が支えるため、負担を軽減します。
ラックの大きさや保管するタイヤのインチ数により価格は異なりますが、5,000円〜2万円程度で購入できます。
タイヤの本数が多く、きれいに保管したい場合におすすめの選択肢です。なお、ラックにはカバーが付いていないため屋内で保管しましょう。
タイヤを横置きで保管したり屋外で保管したりする場合は、タイヤカバーの活用がおすすめです。
タイヤカバーは防水効果があり、4本ごとにタイヤを保管できる商品です。
また、移動させる場合に便利な1本1本保管できる商品もあるため、自分の管理方法によって選択しましょう。
商品の値段は1,000円以下〜5,000円程度の商品まで様々ですが、タイヤラックよりは低価格で購入しやすいでしょう。
タイヤは人や荷物を載せて車を走らせるイメージから丈夫な印象ですが、紫外線や熱によりだんだんと劣化が進みます。車体を廃車した際にタイヤのみ残す場合は、劣化状態を見極めて適切な保存が欠かせません。