車を買取業者に出した場合、愛車の状態をチェックされ買取金額が提示されます。車を見た上で買取金額を決めるのが、中古車査定士です。
この中古車査定士、車の何を見て価格を決めているのでしょう?
ここでは、中古車査定士とはどのような人達なのか説明します。中古車査定士の資格があるのか、資格を取得するにはどうすればいいのかについてもまとめました。
中古車査定士の仕事内容について紹介
車の買取サービスを利用する際、査定士が買取価格を決めます。ところでこの査定士とはどのような人たちなのでしょう?
ここでは中古車査定士の仕事内容についてまとめました。
査定士は車のどこをチェックしているのかについても詳しく紹介します。
車を査定し買取価格を提示する
中古車査定士とは文字通り、中古車を査定して買い取り・下取価格を決める人たちです。
査定士それぞれが正確な査定を心がけることは、不正査定の防止につながり、業界全体の信頼向上につながります。
中古車査定士の需要は近年高まっています。なぜなら、車の使い方に変化が見られるからです。
車を購入したら、壊れて走れなくなるまでその車に乗り続けるというスタイルを多くの方はとりません。数年に1回のペースで、乗り換える方が増えています。
定期的に愛車を手放すことで買取サービスを利用する頻度も多いため、査定士に対するニーズが高まるわけです。
また、消費者もネットで愛車がどのくらいで買い取ってくれるか、気軽に調べられるようになりました。
そのため、査定士は正確な査定価格を提示できる必要性が高まってきているのです。
中古車査定士は車全体をチェックして、価格を決めます。価格を決める際、細かなところまで見なければいけません。
外装では、まず傷やへこみなどがあるかチェックします。多少の傷やへこみなら問題ありませんが、大きなものだったり数が多かったりするとマイナス査定です。
ボディの塗装の状態もチェック項目の一つです。色褪せが目立つようであれば、マイナス査定になるかもしれません。
また、装備の動作確認も実施します。パワーウィンドウが開閉するか、サンルーフがついていればスムーズに動作するかなどがチェック項目です。
ランプについてもチェックされます。純正品であればいいですが、社外品を取り付けていると場合によってはマイナス査定になる場合があります。
内装の査定ポイントで重視されるのは、清潔かどうかです。汚れが目立つようであれば、マイナスに評価されます。
シートやフロアマットなどが汚れている、シミが目立つのであれば査定前に清掃に出しておきましょう。
トランクスペースもチェックされるので、余計な荷物は取り出しておくのがおすすめです。
内装についても、装備に関する動作確認が実施されます。オーディオやカーナビが正常に作動するかどうかは確認項目です。
ハンドルは実際に動かすことが多いです。違和感がないか、重たさがないかなどをチェックします。
社内の臭いも意外と重視されます。臭いがきつければマイナス対象になりうるので、注意しましょう。
特に車内でタバコを吸う、ペットが同乗していると臭いが強くなりがちです。換気などの消臭対策をしてから査定に出すのがおすすめです。
下回りについては、タイヤやホイールの状態を確認されます。
タイヤの溝が十分残っているか、ひび割れなどの劣化がないかなどが確認ポイントです。
下回りのチェックの際には、オイル漏れなどが起きていないかもチェック項目の一つです。
また、パーツに傷、へこみ、錆びなどの劣化があるとマイナス査定の対象となるので、注意しましょう。
車を動かす上でエンジンは欠かせないパーツなので、査定でも重視されます。エンジンがきちんとかかるか、異音がないかなどがチェック項目です。
また、バッテリーの状態なども確認されます。バッテリー液が少なくなっている、寿命が近づいているようであればマイナス査定になるかもしれません。
走行距離も査定士がチェックする項目の一つです。
走行距離については、過度に走行している場合はそれだけ車に負荷がかかっているので、パーツの劣化も進んでいると考えられるためマイナス査定になることが多いです。
逆に、ほとんど走っていない車もマイナス査定になります。エンジンをはじめとした駆動部は、全く動かさないと逆に故障リスクが高いからです。
1年間の走行距離の平均は普通車なら10,000㎞、軽自動車なら8,000㎞と言われています。この距離よりも大きく上回っていても下回っていても、マイナス査定になるかもしれません。
車のコンディションを整えて高額査定を引き出すには、ある程度車を走らせておいたほうがいいでしょう。
車に関する書類が揃っているかどうかも、中古車査定士がチェックするポイントです。
書類が揃っていれば、プラス査定になるかもしれません。中古車を購入するにあたって、その車両の情報があればお客様も安心して購入できます。そのため、書類の有無は査定金額に影響してしまうのです。
あると好ましい書類として、まず「定期点検整備記録簿」があります。過去の整備状況が記録されているので、車の状態が詳細に分かります。
また、「取扱説明書」もあったほうがプラス査定になりやすいです。次に車を所有する方にとって、大切な資料になります。
車の査定は何社に依頼するべき?
中古車査定士の将来性
中古車査定士の将来性は明るいと言えます。ただし専門性の高い経験豊富な中古車査定士なら需要が高いでしょう。
なぜ需要が高いのかというと、車両の多様性が関係しています。
査定対象の車は近年、バラエティに富んでいます。クラシックカーのようなビンテージ車の査定を求められることもあるでしょう。一方でハイブリッドカーや電気自動車など、最新鋭の車が買取店に持ち込まれることも今後増えるとされています。
このように多種多様な車を正確に査定するためには、広い知識や経験が求められます。
研鑽を積んで優秀な中古車査定士になれれば、引く手あまたになるかもしれません。
中古車査定士になるにはどうしたらいいの?
「中古車査定士になってみたい!」と思っても、どうすれば中古車査定士になれるのか、気になるところでしょう。
中古車査定士になりたければ、専門の資格を取得するのがおすすめです。
ここでは中古車査定士の資格と資格取得するにはどうすればいいかまとめましたので、参考にしてください。
中古車査定士になるためには、中古自動車査定技能検定試験に合格する必要があります。
中古自動車査定技能検定試験は、日本自動車査定協会という一般社団法人が実施している試験です。
この試験を受けるためには、一定の受験資格をクリアしなければなりません。その上で所定の研修を受講し、カリキュラムを修了する必要があります。
中古自動車査定技能検定試験は、中古車査定士になるための必須の資格ではありません。
しかし、自動車の査定金額は高額の場合がほとんどです。高額のお金を取り扱う仕事なので、専門性が高く信頼のある人が好ましいとされています。
買取業者も資格の有無を採用時に重視するので、試験を受けたほうがいいでしょう。
中古自動車査定技能検定試験には、受験資格があります。3つの資格をすべて満たして初めて受験が可能となります。
1つ目は、自動車運手免許を保有していることです。
2つ目は、自動車の販売もしくは整備の経験を半年以上有することが条件となります。
この2つの条件を満たすと、日本自動車査定協会の定めた研修の受講資格を有します。その研修を修了することが3つ目です。
この3つの条件を満たし、受験資格が得られるというわけです。
研修は、3日間のプログラムで実施され、日本自動車査定協会の都道府県の支所で実施されます。協会のホームページで最寄りの場所を確認することができます。
中古自動車査定技能検定試験は、学科試験と実際に査定を行う実技試験の2段階で考査されます。
学科試験は、自動車の査定制度や査定の基準に関する問題が出題されます。車の構造や運転に関する法規なども、出題範囲の一つです。
さらに、保安基準や自動車工学に関する問題など、車に関する問題が多岐にわたって出題されます。
中古自動車査定技能検定試験は、小型車と大型車に分けられます。受験資格を満たしていれば、どちらを受験しても問題ありません。
小型車と大型車のいずれかの資格を保有しているのであれば、一部学科試験は免除されます。段階を追って、2つの資格を両方取得すると活躍の幅も広がるでしょう。
中古自動車査定技能検定試験は、小型車と大型車の2種類に分類されます。試験の目的が異なるので受験志望するなら、どちらの試験を受けるか決めましょう。
乗用車、商用車、4トン未満の貨物車の査定が対象です。日常的に運転している車両が主な査定の対象と言えます。
最大積載量2トン以上だと、準中型自動車免許がなければ運転できません。しかし、4トン未満の車であれば、小型車査定士の資格で査定できます。
大型の貨物車、バスが主な査定対象です。
大型貨物車やバスは国内だけでなく海外でも需要が高いです。そのため、大型査定士の需要も高く推移しています。
どのような車両の査定をメインにキャリアアップしたいかで、受験対象を決めましょう。
中古自動車査定技能検定試験の概要
中古自動車査定技能検定試験の日程は、小型車と大型車によって異なります。
小型車は年2回試験が実施されるのに対して、大型車は年に1回のみです。
小型車の試験は、6月中旬と12月中旬ごろに例年試験が実施されます。受験申し込みは6月中旬の場合は4月上旬~下旬、12月中旬の場合は9月上旬~10月中旬が受付期間です。
大型車の試験は、6月中旬ごろに試験が実施されています。受験の受付期間は4月中旬~下旬ごろとなっているので、忘れずに手続きしてください。
試験を受けるには受験料を支払う必要があります。
- 小型車の試験…17,280円
- 大型車の試験…18,090円
受験料は受験のための申請書を提出する際に支払います。
中古自動車査定技能検定試験の難易度は、それほど高くはありません。毎年の合格率を見ると明らかです。
例年の合格率を見てみると、小型車70%・大型車90%台で推移しています。仕事で経験を積んで試験勉強をしていれば、まず合格できる資格と言えるでしょう。
しかし、年度別で見てみると若干傾向は異なるようです。
例えば、小型車の場合、2018年79%の合格率だったのが2020年は72%でした。大型車も2018年95.4%の合格率なのに対し、2020年91.8%でした。
高い合格率に変わりないですが、下降傾向が見られます。そのことから若干難易度が上がっている可能性があります。そのため、抜かりなく試験勉強を進めましょう。
中古自動車査定技能検定試験の資格は、一度取得すれば永久に保有できるものではありません。
小型査定士・大型査定士ともに、有効期限は「3年間」となっています。
3年経過したら、更新することは可能です。ただし更新するためには、技能向上研修会に参加する必要があります。
技能向上研修会は、例年7~8月に開催され、研修に参加するためには3,456円が費用としてかかります。
研修会への参加以外にも、更新するためには査定業務を行っている店舗に所属していることも条件の一つです。
更新時期に買取業者などで勤務していないと失効する恐れがありますので、注意しましょう。
中古自動車査定技能検定試験の試験対策は、そこまで入念に行う必要はないとされています。前述しましたが、例年合格率が高いので、そこまで難易度は高くないと推測できます。
また、受験するためには、日本自動車査定協会の主催する講習を受講しなければなりません。3日間のプログラムで勉強したことが出題されますので、きちんと研修を受ければそれが試験対策になるでしょう。
受験資格に、自動車販売や整備の経験が6か月以上あることが含まれます。試験前に詰め込み勉強をするよりは、実務経験の中でしっかり知識やスキルを身に着けるように努めましょう。
車の査定は何社に依頼するべき?
中古車査定士の在籍する買取業者での査定がおすすめ
中古自動車査定技能検定試験ですが、査定士になるために絶対に受験しないといけない資格ではありません。もしかすると査定士の資格を持っていない方が、査定を担当しているお店もあるかもしれません。
愛車を査定に出す際には、中古車査定士の資格を有する人が所属しているお店を選びましょう。その場合どのようなメリットが期待できるか、以下にまとめました。
中古自動車査定技能検定試験は、国家資格ではありません。独占資格でもないので、検定試験に合格していなくても車の査定業務を行うことは可能です。
そのため、もしかすると中古車査定士の資格を有していない人が査定を担当しているお店もあるかもしれません。専門知識やスキルを持っていない人が査定しているということです。
その結果、愛車を正確に査定してもらえない可能性があります。相場よりも安く買い叩かれてしまって、自分が損することもあり得ます。
車を査定に出す際は、中古自動車査定技能検定試験に合格した査定士が在籍しているかどうか確認しましょう。プロの査定士であれば、正確な買取金額を提示してくれるはずです。
中古車査定士の資格は民間資格なので、絶対に査定する際に取得しておかないといけない資格ではないかもしれません。
しかし、中古自動車査定技能検定試験は信頼性の高い試験と言われています。
日本自動車査定協会という団体が主催している試験となり、経済産業省と国土交通省の指導を受けています。ある意味国のお墨付きを受けた試験です。
さらに、資格取得するためにはいくつかの受験資格をクリアするように求めています。加えて3年ごとに資格更新を義務付け、そのためには研修会に参加しなければなりません。
常に高いレベルの査定ができるように、日々研鑽する必要があります。このようなプロの査定士が査定するのですから、安心してお任せできるでしょう。
中古車査定士の資格を持っている人に査定をお願いすると、査定額のアップが期待できます。
中古車の価格はほかの商品同様、マーケットの需給関係をベースに決められます。つまり、市場の需要が高ければ、買取価格も高くなるわけです。
中古車の人気は、タイミングによって変わってきます。中古車査定士の資格を持っている人に査定をお願いすれば、その時々のマーケットの状況を鑑みて正確な買取価格を提示してくれます。
また、車に関する専門知識を持っているので、プラス査定になる要素も見逃しません。車種やオプションの有無なども考えて査定額を提示してくれます。
そのため、素人が査定するのと比較して、高額査定を提示してくれる可能性が高くなるわけです。