廃車の手続きをしたいけれど、自動車税が気になるという方は多いでしょう。
この記事では、廃車が決定した場合における自動車税の未納や還付について詳しく解説していきます。
廃車の手続きをする前に、自動車税についてしっかりとした知識を身につけておくことで、手続きの無駄や余計な出費を抑えることにつながるでしょう。
例えば、未納の自動車税がある場合にはどのような手続きが必要か、廃車の際に自動車税の還付が受けられる条件は何か、などの疑問に対して分かりやすく説明します。
廃車前に自動車税について理解を深めておこう
廃車の手続きをスムーズに進めるためには、自動車税について適切に理解しておくことが非常に重要です。
特に自動車税が未納である場合に、どのような手続きが必要なのかよく理解しておきましょう。
未納期間が1年であれば廃車の手続きは可能です。未納の自動車税を完済するための納付書が廃車手続きの1〜2か月後に送付されてくるでしょう。
毎年4月1日時点で車を所有していれば自動車税がかかります。廃車後にすでに納めてしまった分は還付されるのか、その条件や手続き方法についても知っておきましょう。
自動車税が未納のままでも買取可能な店舗に持っていくという選択肢もあります。売却するのか廃車にするのか決める際は、それぞれのメリットとデメリットを知っておくとよいでしょう。
自動車税の未納期間ごとに手続きは異なる
廃車の手続きに慣れているという方は珍しく、多くの方にとっては慣れない経験です。特に自動車税の未納がある場合、どのような対処が正しいか判断できなくとも無理はありません。
自動車税が未納の状態で廃車の手続きを進める場合、その状況に応じて対応は異なるため注意が必要です。
ここからは、自動車税の未納が「1年未満の場合」と「2年以上の場合」とで、どのように違いがあるのか見ていきましょう。
自動車税を納めていない期間が1年未満の場合、基本的には廃車の手続きをそのまま進めることが可能です。
ただし、未納分の自動車税は必ず支払わなければなりません。未納の税金をそのままにした状態では廃車手続きを完了することはできないため、未納分の完済は絶対条件です。
また、後述しますが、軽自動車に関しては月割りが許されていないため、未納分として1年分の軽自動車税を支払う必要があります。
自動車税の未納期間が2年以上ある場合、車は「嘱託保存(しょくたくほぞん)」という状態に置かれます。この状態では、未納分の自動車税を全額支払うまでは、車の所有権が移動できないという厳しい状況が発生します。
自分の車が嘱託保存になっているかどうかは、登録事項証明書で確認可能です。この証明書は、普通車の場合は運輸支局、軽自動車の場合は自動車検査登録事務所で発行できます。
未納が長期になると、延滞金も増えていくため注意が必要です。
未納期間が2年以上になる場合、車は「嘱託保存」の状態となり、所有権の移動ができないため、未納分を払い終えるまで廃車はできません。
自分の車がどういう状態にあるのかは、登記事項証明書で確認できます。それぞれのケースに応じて、適切な手続きを行うことが大切です。
廃車前に未納の自動車税を支払う方法
未納の自動車税は、廃車手続きをスムーズに完了させるためにも、解決しておくべき課題です。
ここからは、未納の自動車税を納付するためにはどうすべきなのか、その具体的なステップと注意点について詳しく解説していきます。
払込用紙がある場合とない場合、それぞれの方法における注意点を把握し、手続き方法をクリアにしましょう。
期限内の払込用紙が手元にある場合は、できる限り速やかに納税するのが最良の選択です。
一般的に自動車税の納付期限は5月末とされており、期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があります。8月末までに納付すれば問題ないという意見も聞かれますが、大幅に期限を過ぎると延滞金や差し押さえなど、面倒な事態に発展しかねないため、期限内での支払いがベストです。
もし期限が過ぎてしまった場合は、信用を損なわないためにも、自動車税のコールセンターに問い合わせ、対応策について相談することが重要です。
払い忘れを防ぐためにも、自動車税納付の通知が来たら、すぐに支払いを済ませましょう。
自動車税の払込用紙が手元にない場合や、送付されていない場合は、地域を管轄する自動車税コールセンターあるいは税事務所に直接問い合わせる必要があります。
払込用紙が届いていないからといって、自動車税の納付義務がなくなることはないため、必ず問い合わせて確認することが重要です。
各都道府県に問い合わせ先が存在します。問い合わせにより新しい払込用紙を発行してもらったら、すぐに支払いを済ませましょう。
また、払込用紙が届かない原因として、運輸支局に登録されている住所が以前の住所になっている可能性もあります。その場合は運輸支局で住所変更の手続きが必要です。
自動車税が未納の場合は延滞金が発生する
自動車を所有することにより、毎年自動車税の支払い義務が発生します。車を所有する場合にかかるこの税金が未納となった場合には、法的に定められた額の延滞金がかかるため注意が必要です。
ここからは、自動車税未納に関わる延滞金のシステムについて解説します。
自動車税は地方税法に基づく地方税であり、かつ未納に対しては法的な制裁が生じる可能性もあります。紹介する内容を参考にして自動車税の延滞金について理解し、早めの支払いと対応が重要であることを把握しましょう。
何らかの理由により、自動車税の支払い期限を過ぎても納税しなかった場合は延滞金が発生します。
この延滞金は納付期限の翌日から発生し、その金額は期限から1か月以内であれば2.4%、1か月を超えた場合は8.7%が課されます。
例えば、年間の自動車税額が5万円で3か月滞納した場合を見てみましょう。
最初の1か月分の延滞金
「5万円×0.024÷365日×30日=98円」
1か月を超えた残りの2か月分の延滞金
「5万円×0.087÷365日×60日=715円」
合計すると813円の延滞金が発生することが分かります。
延滞金は1,000円未満が切り捨てられるため、4か月を超えたあたりから支払いが発生するでしょう。
自動車税の一括納付が困難な場合は、無理に支払うのではなく、まずは納付先である地方自治体に相談することが大切です。納税者の事情を考慮して、分割払いや支払い猶予を設けてくれる場合があるため、必ず一度は相談することをおすすめします。
相談の際は誠実な態度で、支払う意思を伝えることも重要です。ただし、分割や猶予が提案される可能性はありますが、支払い免除になるわけではないことを覚えておいてください。
窓口に直接足を運んで相談することで、より柔軟に対応してもらえる可能性もあります。将来的な負担を軽減するためにも早めの相談が必須です。
経済状況が厳しく、今後も自動車税の支払いが困難である場合は、いったん車を手放すことも選択肢に入れましょう。売却や廃車により、経済的負担を大幅に軽減できる可能性があります。
例えば、突然の失業で収入が減ってしまった場合、自動車の維持費はかなりの負担となるでしょう。そのような事情により車の維持が困難な状況では、廃車や売却により新たな生活プランを立てることが有益です。
ただし、車の売却や廃車の際は、所有する車の状態や市場価値を把握し、廃車手続きの費用についても確認しておくことが重要です。
ただし、これらはあくまでも一時的な対応であるため、長期的な対策としては車の売却や廃車も検討すべきです。また、カーシェアリングやカーリースにより、車の維持費や税金の負担を軽減できます。
どの方法を選ぶ場合でも、自分の生活環境や経済状況を考慮して最適な選択をしましょう。
廃車の際は自動車税の還付があるって本当?
廃車について検討しているものの、すでに納めてしまった分の自動車税についてどうなるのか気になるという方もいるのではないでしょうか。
実は、廃車の際には特定の条件下で、自動車税の一部が還付される制度があります。
ここからは、廃車の際に還付される自動車税について、締切日や車種による違い、必要な手続きなどを詳しく解説していきます。
自動車税は毎年4月1日を起点とした1年間に対して課せられます。したがって、3月31日までに廃車手続きを完了している場合、4月からの年度の自動車税は支払い自体が発生しません。
対象となる手続きは「永久抹消登録」または「一時抹消登録」があります。税金を節約するためには、自動車税がかかる期日を把握し、これらの手続きを計画的に行うことが大切です。
特に廃車を検討している方は、この時期に手続きを行うことにより数万円単位での税金負担を軽減できる可能性があります。余計な支出を負担することなく、賢く廃車手続きを済ませましょう。
4月1日以降に廃車手続きを行う場合、廃車の時期に応じて自動車税の還付を受けることが可能です。
ただし、自動車税を払わなくてよいのではなく、一旦払ったうえで払い過ぎた分が還付されるという形をとります。
例えば、4月末までに廃車手続きをしたとすると、5月以降の11ヵ月分の自動車税が還付されます。
なお、還付手続きは廃車手続きが完了した日から2年以内に行わなければならないので、注意しましょう。
普通自動車とは異なり、軽自動車には自動車税の還付制度が存在しません。そのため、4月1日を過ぎてから車を廃車にする場合、1年分の納税義務が発生し還付金は発生しないため、一度支払った軽自動車税は戻ってきません。
廃車を検討している場合で、特に軽自動車のオーナーは、この点について注意深く考えておく必要があるでしょう。
軽自動車税自体は、普通自動車と比較して低額であり、その分として還付システムが設けられていないことが理由として考えられます。
軽自動車を購入する際にも、自動車税の還付がないということを把握しておきましょう。
車を手放す際に自動車税の還付が可能であることは先述しましたが、税金の還付を受けるためには2つの条件を満たす必要があります。
1つ目の条件は、「永久抹消登録」または「一時抹消登録」を行うことです。この登録をすることで車の所有権が正式になくなり、ナンバープレートの返却を求められます。
このプロセスは、車を解体する場合や、所有者が変更された場合、長期の海外赴任で車を使用しない場合などにも適用されます。
2つ目の条件は、地方税の未納がないことです。自動車税や自動車取得税に未納がある場合、還付金はその未納分に充当されます。
抹消登録を完了してから約1〜2か月後に、登録時に提出した印鑑証明書に記載された住所へ「還付通知書」が送付されます。この通知書が届いた際には、指定された金融機関へ印鑑と身分証明書を持参し、手続きを完了することで還付金を受け取れます。
なお、「還付通知書」には有効期限が設けられており、その期限は1年間です。期限を過ぎてしまうと、還付金を受け取れる資格を失う可能性があるため、通知書を受けとったら速やかに手続きを完了させましょう。
還付金は銀行口座へ振り込まれるため、振込先の口座情報は忘れずにメモしておきましょう。
しかし、車を買取業者に売却する際には、未使用期間の自動車税が買取価格に反映される可能性があります。買取業者は残っている自動車税を査定に加味することが一般的です。そのため、正確な還付金額と同額にはなりませんが、買取価格に影響を与える可能性は高いでしょう。
廃車と売却どちらかいい?メリットとデメリットを紹介
さまざまな理由により使わなくなった車の処分方法として「廃車」と「売却」が考えられますが、それぞれの方法には特有のメリットとデメリットが存在します。
廃車を選ぶべきか売却を選ぶべきかは、車の状態や、手続きにかかる時間、必要な費用などを総合的に判断して考慮することが重要です。
ここからは、廃車と売却それぞれの利点と注意すべき点を詳しく解説します。
廃車は手続きが面倒だという印象がありますが、専門の廃車買取業者に依頼すると、煩雑な手続きの多くを代行してくれます。
この手続き代行は大変便利で、時間も節約できる点が大きなメリットです。車が非常に古い場合や修理が困難な場合でも、0円以上の価格で買い取ってもらえるケースが多いことも特徴といえます。
廃車であってもスクラップ部品を再利用したりリサイクルしたりすることで、素材売却により業者は利益を上げられます。
廃車のデメリットとして考えられるのは、業者選びを慎重に行う必要があるという点です。一部の悪質な業者は、廃車と称して車を不正に流通させるケースも報告されています。
良質な業者を選ぶポイントとしては、実績がしっかりある業者や、手続きの流れを詳しく丁寧に説明してくれる業者であることです。また、口コミや利用した人の評価を参考にし、複数の業者を比較検討することが推奨されます。
悪徳業者に引っかかると不必要な手数料を請求される可能性もあるため、業者の選定には細心の注意が必要です。
車を売却する際には、信頼できる買取業者に依頼することをおすすめします。
買取業者は買取った車を中古車として販売することが目的であるため、査定を丁寧に行うことが重要になります。そのため、信頼できる業者なら車の状態を詳細に調査し、適切な価格を提示してくれるでしょう。
また、大手の買取業者を選択することで、取引の安全性や信頼性が向上することも期待できます。大手の場合は専門のスタッフと確立されたシステムを持ち、広告や独自の販路を活用して高値で買い取ってくれるケースもあるでしょう。
売却する場合のデメリットは買取査定や手続きに手間と時間がかかることです。特に、車の状態がよい場合、期待する買取金額と実際の査定額が大きく異なり、交渉に時間がかかってしまうことがあります。
また、買取業者によって査定額が大きく異なる可能性があり、比較検討に時間がかかってしまう場合があります。
売却を検討する際は、メリットとデメリットを考慮して最適な選択を目指すようにしましょう。