廃車証明書は廃車したことを証明する4種類の書類の総称です。車両の種類や車両の使用を中止したのかどうかなどによって発行される書類が異なります。
廃車証明書は自賠責保険や任意保険の手続き、車両の使用再開時などに必要なため、大切に保管しましょう。
この記事では、廃車証明書と呼ばれる4種類の書類について、それぞれの概要や再発行の可否、無くしたときの対処法などを詳しく解説していきます。
廃車証明書は正式名称ではない
廃車したことを証明する書類を「廃車証明書」と呼ぶことがありますが、正式名称ではありません。
実は、一般的に廃車証明書と呼ばれる書類は普通自動車の場合、永久抹消か一時抹消かによって名称が異なります。
普通自動車を永久抹消した場合に発行される書類が「登録事項等証明書」です。一方、一時抹消した場合に発行される書類は「登録識別情報等通知書」が正式名称です。
なお、軽自動車の場合は「検査記録事項等証明書」ならびに「自動車検査証返納証明書」が廃車証明書に該当します。
廃車にまつわる証明書について解説
一般的に「廃車証明書」と呼ばれる書類は、4種類あります。
廃車したことを証明するという目的は同じですが、自動車の種類や廃車手続きの内容によって発行される書類が異なります。自分が持っている、または受け取る予定の書類はどれか確認しておきましょう。
ここからは、廃車にまつわる証明書について詳しく紹介します。
登録事項等証明書とは、普通車の車検証に記載されている内容を確認できる書類です。廃車になった時期が掲載されるため、廃車証明書としても使用されます。
登録事項等証明書には、現在の車検証の内容が記載された現在証明と、これまでの履歴も併せて確認できる詳細証明の2種類があります。
保険会社などへ提出する際は、どちらが必要か確認しておくと安心です。
登録識別情報等通知書とは、普通自動車の登録を一時抹消した際に交付される書類です。
一時抹消すると車はナンバープレートを外され公道を走れなくなりますが、登録識別情報等通知書を提出して再登録すればまた使えるようになります。
また、車の名義変更、廃車(永久抹消)する際にも登録識別情報等通知書が必要です。
軽自動車の車検証の返納手続きをすると交付されるのが自動車検査証返納証明書です。普通自動車における一時抹消手続きにあたり、軽自動車を一時使用中止している期間中の持ち主を証明する役割があります。
軽自動車の使用を再開したいときや、自賠責保険や任意保険の手続きなどの際に必要になる書類です。
検査記録事項等証明書とは、軽自動車の検査ファイルに記載されている内容を証明する書類です。廃車手続きを業者に代行してもらった際などに、手続き完了の証明として送付されることがあります。
検査記録事項等証明書は、現在の記録ファイルの内容だけを証明するものと、過去の履歴も含めて証明するものの2種類があります。
保険の解約手続きなどで提出を求められた場合は、どちらが必要なのか確認しましょう。
廃車証明書という書類は存在せず、代わりに普通自動車の場合は登録事項等証明書(永久抹消の場合)・登録識別情報等通知書(一時抹消の場合)が該当します。
軽自動車の場合は自動車検査証返納証明書(一時使用中止の場合)・検査記録事項等証明書(解体返納の場合)が一般的に廃車証明書と呼ばれる書類です。
自賠責保険や任意保険の解約、車両の使用再開などの際に必要になる場合があります。
廃車証明書を無くした際に再発行はできる?
廃車証明書は、自賠責保険や任意保険の解約、一時抹消した車の再登録をするときに必要になることがあります。
しかし、大切に保管していたつもりでも、いざというときに廃車証明書が見つからないということがあるかもしれません。
ここからは、廃車証明書を無くした際に再発行が可能かどうかについて、それぞれの書類ごとに紹介します。
普通自動車の登録を永久抹消した際に受け取れる登録事項等証明書は再発行が可能です。
全国の運輸支局または各自動車検査登録事務所にて、以下の書類を提出してください。
- 再交付申請書
- 手数料納付書
マイナンバーカードや運転免許証など、再発行を依頼する人の身分証明書も必要です。
なお、申請書には「自動車登録番号」と「車台番号」を記入する欄があり、記入漏れや間違いがあると再発行できません。番号は車検証に記載されているため、メモを取っておきましょう。
普通自動車を一時抹消すると発行される登録識別情報等通知書は再発行できません。
登録識別情報等通知書は一時抹消した車を再登録したり、名義変更したりする際に必要となるため、再発行による悪用を防ぐためです。
ただし、運輸支局に以下のような書類を提出すれば再登録が可能です。
- 登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)の遺失等に係る新規検査・登録申立書
- 登録事項等証明書
- 車庫証明書
- OCRシート(一号様式)
- 自賠責保険証書
- 重量税納付書
- 重量税印紙
- 手数料納付書
- 登録・検査印紙
- 有効の押印がある検査伝票
- 自動車税・自動車取得税申告書
- 希望番号予約済証
- 車検証の写しなど車の所有権を証明できる書類(登録事項等証明書がない場合)
- 車台番号の拓本(登録事項等証明書がない場合)
- 新旧所有者の実印
- 新旧所有者の印鑑証明
- 譲渡証明書(一時抹消したときの所有者と現在の所有者が異なる場合)
上記のほか、警察へ遺失・盗難届けの提出も必要です。
提出時の届出警察署、届出年月日、受理番号は新規登録時の理由書に記載する必要があるため、必ずメモしておきましょう。
軽自動車の登録が一時抹消されたことを証明する自動車検査証返納証明書も再発行できない書類です。
紛失した場合は、軽自動車検査協会で再登録を申請しましょう。その際は以下の書類が必要になります。
- 自動車検査証返納証明書遺失等に係る新規検査願出書
- 自動車検査証返納証明書紛顛末誓約書
- 新規検査願出誓約書
- 車台番号の拓本
- 印鑑(登録)証明書ならびに実印
必要書類は地域によって異なる場合があります。最寄りの軽自動車検査協会に電話などで確認してから窓口へ行くとスムーズに手続きできるでしょう。
検査記録事項等証明書は、軽自動車の廃車手続きを行った場合に発行される書類です。こちらは再発行が可能で、主に下記の書類が必要です。
- 現在記録もしくは保存記録
- 車体番号(ナンバー)
- 手続きを行う本人の名前や住所がわかるもの
なお、本人以外が手続きする場合や、現在記録・保存記録の住所と現住所が異なる場合などは別途手続きが必要です。
自分に必要な手続きの流れや書類を確実に知りたい場合、軽自動車検査協会の各事務所(都道府県ごとに設置)に問い合わせましょう。
なお、申請に必要な書類は当日記載するため、営業時間終了の30分前には事務所に入っておくと、余裕をもって手続きが可能です。
廃車と売却のメリット・デメリットを比較しよう!
車が不要になった場合、廃車にする方法の他に売却する方法もあります。そのどちらが良いかは、車の状態によっても異なります。
ここからは、廃車と売却のメリット・デメリットについて紹介していきます。それぞれを比較したうえで、自分に合った方法を選びましょう。
廃車にするメリットは、買取よりも手続きの数が少なく、手間がかからないことです。車種や年式による料金の違いが大きくないため、価格交渉の必要もほとんどありません。
さらに、面倒な廃車手続きも業者に委託することが可能です。車の引き取りから廃車手続き完了まで一連の手続きを代行してくれる業者もあるため、忙しい人や平日に手続きのために役所へ行くのが難しい人にも向いています。
また、車の状態に関わらず引き取ってもらいやすいことも廃車のメリットです。年式の古い車や事故車、不動車なども引き取ってもらえるうえ、無料でレッカー移動してくれる業者もあります。
廃車は手間や費用をかけずに車を処分したい人におすすめの方法といえるでしょう。
廃車のデメリットとしては、買い取ってもらう場合と異なり、車を手放すことによる臨時収入が期待できないことが挙げられます。
依頼する業者や鉄の価格相場の動向によっては、引取費用や解体費用を請求されることもあります。また、永久抹消の手続きを代行してもらう場合は、手数料もかかるため注意しましょう。
その他、一部に悪質業者がいることは廃車のデメリットです。車の持ち主には解体するつもりで引き取ったと見せかけて、中古車として販売したり、海外へ輸出したりする業者がいます。
また、手数料を請求しておきながら、廃車手続きをせずに放置する業者がいることも報告されています。そのため、確実に廃車にしてくれる業者であることを確認してから依頼するようにしましょう。
また、運輸支局を始めとする公的機関の窓口は平日の日中しか受付していません。仕事をしている人は書類をもらったり、廃車手続きを申請したりする時間がなかなか取れないことも考えられます。そのため、忙しい人や手続きに不安がある人は業者に依頼するのがおすすめです。
車を売却するメリットとしてまず挙げられるのは、臨時収入が得られることです。年式の新しい車や希少な車種などは高値で買取ってもらえる可能性があります。
廃車の場合は逆に費用がかかるケースもあることを考えると、たとえ少額でも値段が付くことは売却のメリットといえます。
また、思い入れのある車を廃車にするのは抵抗があるという人もいるでしょう。買取業者に依頼すれば適正価格で買取ってもらえるうえ、他の人に乗ってもらえることもメリットと感じる人もいるでしょう。
廃車にする手段として車を売却する人は多いため、口コミが多く信頼できる買取業者を選びやすいこともメリットです。とくに大手であれば安心して依頼できることが多いでしょう。
車売却のデメリットは、満足いく価格で買取してもらえない可能性があることです。
車の買取価格は車種やグレード、年式などによってさまざまです。同じ車種でもカラーやボディの綺麗さなどによって価格は変動します。また、車の状態や年式・走行距離によっては買取ってもらえないこともあります。
ただし、買取価格や買取りできるかどうかは業者によって異なるため、事前に複数の業者に見積もりしてもらうことが大切です。複数の業者に見積もりを依頼する際は、大手や中堅、専門店などタイプの異なる業者に依頼するのもおすすめです。
売りたい車に詳しく、価値を理解してくれるスタッフがいれば高価買取につながる可能性があります。
【再発行防止】書類を紛失しない保管方法を紹介
廃車証明書と呼ばれる書類には、再発行できないものがあることを解説しました。再発行ができなくても所定の手続きをすれば再取得は可能ですが、時間も手間もかかります。
また、登録事項等証明書のように再発行に手数料がかかるものもあります。そのため、まずは廃車証明書を紛失しないことが大切です。
ここからは、廃車証明書を紛失しない保管方法について紹介していきます。
まずおすすめしたいのが、車関連の書類を入れる専用のファイルを用意して保管する方法です。
廃車証明書だけでなく、車検証の写し、自賠責保険や任意保険に関する書類など車関連の書類がどんどん増えて困っている人は多いでしょう。
クリアファイルは文具店や100円ショップなどでも購入可能です。まとめて一つのファイルに入れておくことで、いざというときに分かりやすくなります。
なお、スキャナーなどを利用して廃車書類をデジタルで管理したいと考える人もいるかもしれません。保険会社などへ提出する廃車書類はコピーでも問題ありませんが、一時抹消した車の再登録をする場合は原本が必要です。そのため、廃棄しないよう注意しましょう。
廃車証明書の紛失を防ぐ方法として、他の貴重品とまとめて保管する方法もおすすめです。
自宅内で銀行通帳や各種の証券などの貴重品を保管する場所を決めている人は多いでしょう。廃車証明書も同じ場所に保管しておくことで、急に必要になったときにすぐに取り出せます。
特に廃車から何年も経っている、模様替えや引越しをしたなどの事情で、廃車証明書をどこに保管したか分からなくなることはよくあります。
常に他の貴重品とまとめておけば、保管場所を忘れてしまう可能性は小さくなるでしょう。
普通自動車を一時抹消(軽自動車の場合は一時使用中止)した際に発行される廃車証明書は、車の使用を再開するときに必要です。そのため、万が一に備えて、家族にも書類の存在や保管場所を伝えておくと紛失を防げるでしょう。
2~3か月以内などの短期で使用再開する予定があれば紛失の心配は少ないかもしれません。しかし、転勤や海外赴任で数年単位で使用しない時期が続く場合、廃車証明書をなくしてしまうリスクは高まります。
また、急な体調不良から自分で手続きできなくなる可能性もあります。廃車証明書の存在や、どこにしまったかを家族に伝えておくことでトラブルに備えられるでしょう。
他の貴重品とまとめておけば書類の場所を忘れてしまう心配は少なくなります。他の書類などと見分けられるように車関連の書類を1つのクリアファイルに入れて整理しておくこともポイントです。
また、家族に保管場所を教けておけば自分の体調不良など、万が一のトラブルにも備えられます。
具体的なシーンでイメージする再発行の方法
廃車証明書は、主に自賠責保険や任意保険の手続き、一時抹消または一時使用中止した車の再登録などの際に必要になる書類です。
廃車証明書を紛失して対処を迫られるケースとしては、しばらく使っていなかった車の使用再開時が多いと考えられます。
ここからは、廃車証明書を再発行する方法について、具体的なシーンを挙げて紹介していきます。
普通自動車を一時抹消し、6年後に使用再開しようとしたが、廃車証明書が見つからないというケースを考えてみましょう。
一時抹消した車の再登録に必要な書類は、登録識別情報等通知書です。
登録識別情報等通知書は防犯の観点から再発行できないため、運輸支局に相談のうえ、新規登録することになります。
ただし、新規登録するには警察への遺失・盗難届けの提出や登録事項等証明書の取得など必要な手続きが多く、煩雑です。
運輸支局と相談しながら自分で書類を揃えるのが難しいと感じる人は、行政書士といった専門家に代行してもらうことを検討するとよいでしょう。
「移動報告番号」と「解体記録日」は普通自動車の永久抹消で必要になる情報です。買取業者などに聞き忘れたり、書き留めたメモを紛失したりした際は問い合わせれば教えてもらえます。
また、手元に自動車のリサイクル券がある場合は、ハイフンを除いた番号が移動報告番号と同一のため確認してみましょう。
登録番号(ナンバープレートの番号)と車台番号下4桁が分かる場合は、自動車リサイクルシステムのWebサイトにある「使用済自動車処理状況検索」から解体記録日を、「リサイクル料金検索」からリサイクル券番号(移動報告番号)を調べることも可能です。