車を廃車にすると、それまでに支払った税金や保険料が戻ってくる場合があります。

戻ってくるお金のことを「還付金」と呼び、廃車の場合は4種類あります。その種類ごとに受け取れる条件や手続き方法は異なるので注意が必要です。

この記事では、廃車時の還付金について、その種類や手続き方法、手続きを代行してもらえる業者、注意点などを詳しく解説していきます。

状況やタイミングによっては受け取れないこともありますが、還付金がある場合は忘れずに受け取りましょう。

廃車時の還付金は種類と手続き方法を確認して受け取ろう!

自動車を所有していると税金や保険料などがかかりますが、一部は廃車することによって戻ってきます。

還付金を受け取れる可能性があるのは「自動車税」「自動車重量税」「自賠責保険」「任意保険」の4種類です。

廃車手続きするだけで受け取れるものもある一方、別途手続きしなければ受け取れないものもあるため注意しましょう。

はじめは難しいと感じるかもしれませんが、手順を把握すれば自分で手続きできます。また、忙しい場合や手続きが面倒な場合には業者にサポートしてもらう方法もあります。

廃車における還付金は4種類

廃車における還付金は4種類
廃車することで受け取れる可能性がある還付金は税金が2種類、保険が2種類の全部で4種類です。

自分が対象になるかどうかは、車の種類や廃車のタイミングによって異なります。

還付金が受け取れる税金や保険について把握しておくことで、廃車のタイミングを考える参考になるでしょう。

ここからは、その還付金について詳しく解説します。

①自動車税

自動車税とは、4月1日時点で普通自動車を所有している人に課せられる税金です。毎年5月頃に登録している住所へ送られてくる納付書を使って、4月から翌年の3月までの1年分の税を納める仕組みです。

そのため、廃車手続きを行うタイミングによっては、手続きが完了した日が属する月の翌月から3月までの自動車税が還付されます。

なお、軽自動車の所有者に義務付けられている軽自動車税については、年度内に廃車しても税の還付はありません。

②重量税

重量税とは、車の重量に応じて課せられる税金です。新しく車を買ったときと、車検を受けたときに納税します。

自動車の重量や登録からの年数によって年間の税額が決まっており、新車を登録した際に3年分、以降は車検のたびに2年分を一括で納付する仕組みです。

廃車手続きのうち、車を完全に手放してしまう永久抹消を行うと前払いした税金が還付されます。一時抹消の場合は還付されません。

また、軽自動車も還付の対象になります。

③自賠責保険

自賠責保険とは、交通事故に備えて基本的な対人賠償を確保する目的で全ての自動車に加入が義務付けられている保険です。

車の購入時に加入し、車検のタイミングで更新する人が多いでしょう。

廃車手続きの場合、永久抹消も一時抹消も自賠責保険の解約が可能です。強制保険である自賠責保険は、廃車手続きと同時でなければ解約できません。

なお、解約するタイミングによっては前払いした保険料の一部が還付される場合があります。

④任意保険

任意保険は車を運転する本人が加入する保険のため、廃車手続きが完了したかどうかに関わらず解約が可能です。

解約に伴う還付金の有無は加入している保険会社によって異なるため、まずは問い合わせてみることをおすすめします。

任意保険は自賠責保険ではカバーできないリスクに備えるための保険です。廃車して車を手放す前に解約してしまうと、万が一事故が起きた際に補償を受けられません。そのため、廃車の予定が決まったら保険を解約するタイミングについて保険会社と相談するとよいでしょう。

還付金と返戻金の違いはなんですか?
廃車することで戻ってくるお金を一般的に還付金といいますが、一部は返戻金と呼ばれることもあります。
正確にいえば、還付金とは廃車により戻ってくる自動車税・自動車重量税のことです。一方、返戻金とは保険を解約することで受け取れる保険料のことを指します。
ただし、「保険料が還付される」という言い方をすることが多いため、還付金という用語は税金・保険の両方によく使われています。

廃車時の税金における還付金の受け取り方法を解説

廃車時の税金における還付金の受け取り方法を解説
所有している車を廃車にする場合、タイミングによって自動車税や重量税の還付金を受け取れる可能性があることを解説しました。

自動車税は普通自動車、重量税は普通自動車と軽自動車の両方が対象です。対象となる人は忘れずに受け取りましょう。

ここからは、自動車税ならびに重量税について、還付金を受け取る方法を具体的に紹介します。

自動車税の場合

4月~翌2月までの間に普通自動車の永久抹消または一時抹消の手続きが完了すると、自動車税の還付を受けられます。

基本的に還付金を受け取るための特別な手続きは必要ありません。廃車手続きと同時に還付の手続きも完了します。

ただし、4月に廃車手続きした場合は注意が必要です。自動車税は4月1日時点で車を保有している人に支払い義務があるため、廃車が完了していても5月中旬頃に自動車税の納付書が届いてしまいます。

この場合、いったん自動車税を納付したうえで還付の手続きをする必要があります。

重量税の場合

自動車重量税は廃車手続きのうち、永久抹消した場合のみ還付金が受け取れます。つまり、解体後に永久抹消申請する際、もしくは解体届け出する際に同時に還付申請書を提出すると還付を受けられます。

一時抹消や名義変更をした場合は、還付金の対象外となりますので間違えないようにしましょう。

また、次回の車検までに1か月以上期間があることも条件です。条件を満たしている場合にのみ、還付申請書の受理から3か月〜4か月程度で還付金を受け取れます。

自動車税と重量税の受け取り方法

廃車手続きが完了すると、1か月〜3か月程度で印鑑(登録)証明書の住所に送金通知書(または過誤納金等還付通知書)が届きます。

その通知書と身分証明書、印鑑などを持って、指定された金融機関へ行くと還付金を受け取れます。

また、あらかじめ手続きすることで銀行や郵便局の口座へ振り込んでもらうことも可能です。都道府県のWebサイトから自動車税還付金口座振込依頼書をダウンロードし、申請してください。

なお、一部のネット銀行は振込先として指定できないため事前に確認しましょう。

愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら

廃車による還付金を受け取る際に注意したい5つのポイント

廃車による還付金を受け取る際に注意したい5つのポイント
廃車することによって還付金を受け取れる場合があります。

ただし、受け取れる還付金の種類や金額、タイミングは人によって異なります。中には所定の手続きしないと受け取れないものもあるため注意が必要です。

ここからは、廃車による還付金を受け取る際に注意したい5つのポイントを紹介していきます。

①軽自動車の場合は還付金や返戻金がないものもある

軽自動車の所有者に義務付けられている税金は、軽自動車税と重量税の2種類です。

このうち、軽自動車税は廃車しても還付されません。4月1日付けの所有者に対して1年分の税の支払い義務が発生するため、可能であれば3月末までに廃車すると税金の支払いを節約できます。

なお、重量税ならびに自賠責保険や任意保険については、普通自動車の場合と同様に廃車のタイミングによって還付される可能性があります。

②手続きの順番が決まっているものがある

還付金を受け取れる可能性があるもののうち、自動車税ならびに重量税については還付金を受け取るための特別な手続きは必要ありません。

運輸支局での廃車手続きが完了すれば後日、口座振込もしくは支払通知書(過誤納金等還付通知書)の送付が行われるでしょう。

一方、自賠責保険や任意保険からの還付を受け取るには自分で手続きが必要です。任意保険は廃車のタイミングに関わらず解約できますが、自賠責保険は廃車した後でないと解約は不可能です。手続きのし忘れに注意しましょう。

③保険を解約するタイミングに注意する

任意保険は、自賠責保険ではカバーできない物損事故や運転者・同乗者のケガや死亡なども補償される保険です。また、対人事故に対しての補償額も自賠責保険よりも手厚いため多くの人が加入しています。

任意保険は加入者自身の判断で加入・解約ができるため、廃車する前に解約することも可能です。ただし、解約すると補償を受けられなくなるため、万が一廃車までの期間に事故が発生した場合、多額の費用を自己負担することになるかもしれません。

一方、解約手続きが遅れると還付金が少なくなったり、保険料を請求されたりするかもしれません。そのため、廃車と同時に解約するのがおすすめです。

④税金の滞納がある場合は還付を受けられない

地方税に滞納がある場合、自動車重量税の還付金が充当されます。還付金よりも滞納額のほうが小さければ残額が戻ってきますが、滞納額が大きければ還付金を全く受け取れない可能性もあります。

住民税や固定資産税、事業税などが地方税の例です。税を管理する都道府県税事務所では、住民ひとりひとりの税の支払い状況を把握しているため、廃車による自動車重量税の還付金でほかの地方税の滞納分を相殺することが可能なのです。

⑤譲渡する場合は還付の手続きではなく名義変更をする

家族や知人などに車を譲渡する場合、廃車ではなく名義変更の手続きをするのが一般的です。

ただし、名義変更で所有者が変わっただけでは、前払いした自動車税や自動車重量税、自賠責保険料などが還付されないため注意が必要です。

名義変更する際は自動車税や自動車重量税、自賠責保険の残り期間を計算し、新しい所有者から相当額を支払ってもらう、もしくは車の代金に上乗せするといった取り決めをしましょう。そうしないと、トラブルになる場合があります。

なお、次回の車検以降は新しい所有者に自動車税の支払い義務があります。

廃車日がまだ決まっていないのですが、任意保険の手続きを早く進めたい場合はどうしたらいいですか?
車に乗る可能性があるうちは任意保険が必要なため、解約するタイミングに迷っている人におすすめなのが先付け解約です。
先付け解約とは、あらかじめ保険会社に指定した日付で保険を解約してもらう方法です。
廃車業者や買取業者に車を持ち込む日など、自分が運転する最終日が分かれば、その日以降の日付を指定することで無駄なく任意保険を解約できます。
あらかじめ先付け解約しておけば、廃車後に解約手続きをし忘れることも防げます。

還付金の手続きが難しい場合に手続きの代行を依頼できる業者を紹介

還付金の手続きが難しい場合に手続きの代行を依頼できる業者を紹介
廃車による還付金を受け取るための手続きは時間と手間がかかるため、代行してもらうのもおすすめです。

任意保険は自分で解約する必要がありますが、自動車税、重量税、自賠責保険の還付手続きは業者に依頼できます。

ここからは、還付金の手続きが難しい場合に手続きの代行を依頼できる業者を紹介します。

廃車業者

廃車業者とは、廃車にする車を専門に買い取る業者のことです。年式の古い車や中古では価値が付きにくい車、事故車、不動車なども買取してもらえます。

廃車業者に依頼するメリットは、車の引き取りから廃車手続き、還付手続きまで一貫して代行してくれる業者が多いことです。

さらに、業者によっては手続きに費用がかかりません。通常であれば必要な解体費用やレッカー代などがかからないのは大きなメリットといえるでしょう。

ただし、比較的年式の新しい車など中古でも価値のある車は、通常の中古車買取業者に依頼するほうが高く売れる可能性があるので注意しましょう。

ディーラー

ディーラーにも「下取り」という形で廃車や還付の手続きを代行してもらえます。

メリットとして、ディーラーは自動車メーカーとつながりが深いため信頼性が高く、安心して依頼できることです。また、新車が納入される直前まで車を使用できることも、車をよく使う人にとってはメリットでしょう。

一方、デメリットとして、新車の購入が前提でないと利用できないことが挙げられます。また、廃車にする車の下取り価格は全て新車の購入費用に充てられるため、現金は受け取れないこともデメリットといえます。

なお、廃車による還付金は車の下取り価格に含まれるのが一般的です。

買取業者

中古車の買取業者に車を買取してもらう場合、厳密にいえば廃車にするわけではないため還付金は発生しません。

しかし、多くの業者では買取価格に含める形で自動車税などの過払い分を売り主に返しています。そのため、査定額を提示されたら、自動車税などが含まれているかを確認しましょう。

買取業者に依頼するメリットは、年式の新しい車や走行距離の短い車は高く売れる可能性があることです。廃車にするよりも多くの臨時収入を得られるかもしれません。

一方で、デメリットは、そもそも廃車されないこと、事故車など一部の車は買取してもらえない場合があることです。

各業者に還付金の手続きを依頼する場合の注意点

各業者に還付金の手続きを依頼する場合の注意点
業者に代行してもらうと還付金手続きをスムーズに進められます。

ただし、必要な手続きのうちどこまでを代行してもらえるかは業者によって異なるため、業者は慎重に選びましょう。中には悪質な業者もいるため注意が必要です。

ここからは、業者に還付金の手続きを依頼する場合の注意点について紹介します。

廃車から一貫して担当してもらえるか確認すること

廃車手続きができるという業者の全てが還付手続きも代行してくれるとは限りません。

依頼する際は、料金だけでなく還付の手続きまでサポートしてくれるかを確認しましょう。

自動車税の還付手続きはしてくれても、自賠責保険の解約手続きはしないという業者もいる可能性があります。また、還付金があることを売り主に知らせず、着服してしまう悪徳業者もいるといわれています。

査定時や買取時には、買取価格や手数料、還付金などが合算された金額を提示されることが一般的です。内訳をしっかり見て、還付金が含まれているかどうかや金額が妥当かどうか確認しましょう。

費用について明示してもらうこと

廃車にする車を買取してもらう場合、レッカー代や解体費用、手続き費用など、様々な費用がかかります。

一方で、還付金という戻ってくるお金もあるため、業者が提示する買取価格はそれぞれの費用を合算したものであることが一般的です。

廃車にかかる費用や必要書類にかかる費用について丁寧に説明してくれる業者は信頼できる業者といえます。一方で、一部の費用について説明せず、廃車手続き完了後に請求してくる悪質な業者もいます。

買取価格の根拠や内訳について説明を省略しようとする業者には注意が必要です。質問した際のスタッフの受け答えや会社の雰囲気なども併せてチェックすると安心です。

廃車後の車の扱いについて説明を受けること

業者に手続きの代行を依頼する際は、廃車後の車の扱いについても説明を受けましょう。

とくに解体を希望する場合は、都道府県知事から解体の認可を得ている業者を選ぶことが大切です。自動車リサイクル法により、勝手に自動車を解体したり、一部の部品を取ったりすることは禁止されています。

また、中には車を解体せずに放置する業者もいます。引き取ってもらってからしばらくしても廃車が完了した連絡がない場合は「自動車リサイクルシステム」というWebサイトから車の状況を確認してみるのも方法の一つです。

還付金の手続きを代行依頼する業者をうまく見極めるポイントはありますか?
還付金の手続きを業者に依頼する際は「代行してもらえる手続きの範囲」「費用の内訳」「廃車後の車の扱い」の3点について特にしっかりと確認しましょう。
廃車手続きができても、還付金の手続きをしない業者もいます。また、事前に費用の説明をせず、後から請求したり、還付金を着服したりする悪質な業者も少なくありません。
業者とトラブルになるのを避けるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

まとめ

①廃車による還付金は「自動車税」「重量税」「自賠責保険」「任意保険」の4種類があり、それぞれ手続き方法が異なる
②軽自動車の場合、自動車税の還付はない
③還付金を受け取るための手続きの順番や保険を解約するタイミングなどに注意する
④還付金の手続きは業者に代行してもらうのもおすすめ
⑤還付金の手続きを代行してくれる業者は「廃車業者」「ディーラー」「買取業者」の3つ

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
車の査定は何社に依頼するべき?
愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら