ナンバープレートは廃車の際に取り外し、手続き時に運輸支局の窓口で返納するのが基本です。ただし、記念に欲しい人は所定の方法で手続きすれば持ち帰れるようになりました。
普通自動車や軽自動車を廃車にするときは、ナンバープレートを記念に持ち帰ってみましょう。
この記事では、廃車手続きした車のナンバープレートが欲しい人のために、その手続きの方法や注意点、取り外し方などについて解説します。
廃車手続きした車のナンバープレートは持ち帰れる
廃車手続きすると車は公道を走れなくなるため、ナンバープレートは取り外して返納する必要があります。
しかし、思い入れのある車のナンバープレートが欲しい人もいるでしょう。
ここからは、廃車手続きした車のナンバープレートを持ち帰ることができるようになった理由や、持ち帰れるナンバープレートの種類などについて解説していきます。
2017年より廃車した車のナンバープレートの所有が認められるようになりました。
以前は犯罪に悪用されないよう、全てのナンバープレートは廃車手続きの際に返納することが義務付けられていましたが、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップ2019を記念して特別プレートが発行されたことをきっかけに、記念としてナンバープレートを持ち帰ることが認められるようになったのです。
ただし、持ち帰るためには所定の手続きをすることと、ナンバープレートとして使えなくする破壊措置をすることなどの条件が付けられています。
ナンバープレートの持ち帰りはラグビーワールドカップ2019年の開催がきっかけで認められるようになりました。大会を記念して特別仕様のナンバープレートが発行されたためです。
しかし、実際には一般的なナンバープレートでも持ち帰りが可能です。
持ち帰れるのは廃車した普通自動車ならびに軽自動車のナンバープレートに限られます。原付や二輪車、軽二輪車、小型特殊といったその他の車両については、ナンバープレートの記念所蔵は認められていません。
ナンバープレートの外し方
廃車手続きの際は、ナンバープレートを取り外した状態で窓口まで持参する必要があります。
解体する場合は業者が外してくれることもありますが、一時抹消の場合などには業者を利用しない人もいるでしょう。ナンバープレートはコツをつかめば自分で取り外すことも可能です。
ここからは、ナンバープレートの取り外し方について詳しく解説します。
ナンバープレートを自分で取り外す際はまず以下のような工具を用意しましょう。
- ネジの十字の溝に合うプラスドライバー
- 10mmのメガネレンチ
- マイナスドライバー
- ペンチ
上記のうち、ナンバープレートを取り外すのに欠かせない工具はプラスドライバーです。少し大きめのサイズのものを選ぶとネジの溝を潰さずに作業できる可能性が高くなるでしょう。
また、ボルトが錆びついて動かないときは、メガネレンチがあると作業しやすくなります。
マイナスドライバーやペンチは普通自動車の後部のナンバープレートに取り付けられている封印を剥がす際にあると便利な工具です。
ナンバープレートは上部の2か所がボルトで留められています。
普通自動車の前側と軽自動車のボルトには封印がないため、プラスドライバーをネジ穴に合わせて回せば取り外せるでしょう。
もし錆びていたり、ネジの溝が潰れてしまったりしてボルトがうまく回せないときはレンチを使用してください。
普通車の後ろ側のナンバープレートには、ボルトの上に封印と呼ばれるフタが取り付けられています。
封印は金属の中でも比較的柔らかいアルミ製のため、プラスドライバーを差し込んでグッと力を入れると破れます。開いた穴からドライバーを差し込めば前側と同じようにボルトを取り外せるでしょう。
うまく外せない場合はマイナスドライバーを使って缶詰のフタを開けるように、封印を剥がす方法を試してみてください。
なお、盗難防止用ロックボルトなど一部の特殊なボルトは市販の工具では取り外せないことがあります。ダッシュボードなどの中に取り外し用のアダプターが入っていることがあるため確認してみましょう。
もしアダプターが見つからないときは、無理に外そうとすると車に傷がつくかもしれません。そんな時は専門業者に依頼するのも一つの方法です。
ナンバープレートをもらうための手続きの流れ
ここからは、ナンバープレートをもらうための手続きの流れを紹介していきます。
永久抹消登録・一時抹消登録のどちらの場合でも、手続きの前に陸運支局の窓口でナンバープレートを持ち帰りたい旨を伝えましょう。
通常、廃車手続きの際は窓口または備えつけの回収機にナンバープレートを返納します。
ナンバープレートが欲しい場合は、間違って返納しないように注意してください。
ナンバープレートを持ち帰りたいと伝えると「記念所蔵ナンバー破壊(穴あけ)申込書」を受け取れます。
窓口にある記入例を参考に必要事項を記入してください。不明点があれば職員へ確認するとよいでしょう。
なお、ナンバープレートの持ち帰りを申請できるのは車の所有者のみです。車検証の所有者欄に自分の名前が記載されているか確認しておきましょう。
申込書には申込者の氏名や連絡先、登録車両番号、穴をあける位置などを記載します。
なお、ナンバープレートの持ち帰り申請は無料ですが、陸運支局で穴あけしてもらう際は手数料がかかります。
手数料は穴を開ける位置によって異なり、税込300円~500円ほどです。
申込書が受理されたら、ナンバープレートに穴を開けます。
備え付けの穴を開けるための機械を使用する場合や、工具を貸してくれる場合などはその場で完了します。
一方、陸運支局によっては完了までに3日程度かかることもあります。そのため、時間に余裕を持って申し込みをしましょう。
なお、ナンバープレートを持ち帰って自分で穴開けする方法もあります。ただし、事前に陸運支局へ相談のうえ、不正利用しない旨を確約する書類提出が必要です。また、陸運支局によっては許可されないこともあります。
穴あけのための機械があれば、その場で作業してもらえる一方、外部の業者などに依頼する方法を取っている陸運支局もあります。そのため、事前に受取日に余裕を持って申し込みしましょう。
ナンバープレートを所持する際の注意点
2017年よりナンバープレートを持ち帰りできるようになりました。もともとは持ち帰りが認められていなかったように、ナンバープレートは正しく所持しないと悪用される恐れがあります。
また、手続きの手順を間違えるとナンバープレートが持ち帰れないこともあるため注意が必要です。
ここからは、ナンバープレートを所持する際の注意点について紹介します。
廃車手続きが完了していても、破壊措置をしていないナンバープレートは持ち帰れません。
ナンバープレートが欲しいときは必ず、記念所蔵ナンバー破壊(穴あけ)申込書を提出し、許可を得てください。
車が解体されていたり故障したりして走行できない状態であっても、申請ならびに破壊措置(穴あけ)をしていないナンバープレートを所持することは道路運送車両法違反です。
ナンバープレートが欲しい場合は、必ず陸運支局で申請しましょう。そのうえで備え付けの機械や道具を使って自分で穴あけするか、穴あけしてもらうのが基本です。
破壊措置を行ったナンバープレートを車に取り付けて走行することは違法です。今後、新しい車を買ったとしても、持ち帰ったナンバープレートは利用できません。
また、一時抹消の場合は廃車手続きが完了しても再登録すれば再び公道を走れるようになります。持ち帰ったナンバープレートを使いたいと思う人もいるかもしれませんが、一時抹消から再登録したときはナンバープレートの番号が変わります。
そもそも穴が開いたナンバープレートは使用できないうえ、番号も変わってしまうため車を再登録した際は新しく交付されるナンバープレートを使用しましょう。
買取業者に廃車手続きを代行してもらう場合は、事前にナンバープレートが欲しいことを忘れずに伝えましょう。
ナンバープレートは廃車手続きの際に返却するのが基本のため、伝えていないとそのまま返却されてしまいます。
なお、買取業者に車を買取ってもらう場合は、永久抹消ではなく一時抹消の手続きが必要です。
手続きを代行してもらうのであれば必要書類は業者が教えてくれます。指示に従って書類を揃えたり、必要事項を記入するだけで手続きできるため、忙しい人や手続きに不慣れな人におすすめです。
車を処分するために買取業者に売却することを検討している人は、ナンバープレートが外された車は買取価格が下がってしまう可能性があることに注意しましょう。
買取ってもらう前にナンバープレートが外されているということは、一時抹消登録されている車だということを示します。
一時抹消されている場合、中古車買取業者は買い取った車を売るために中古車新規登録をする必要があるため、敬遠する業者もいます。
このようにナンバープレートの付いている車と比べて手間がかかるため、買取価格が下がってしまいやすいのです。
廃車手続きと同様に、ナンバープレートを持ち帰るための手続きを行えるのは所有者のみです。
車の所有者とは、車検証の所有者欄に氏名が記載されている人物です。手続きの前に、所有者欄に自分の名前が書いてあるか確認しましょう。
基本的に車を買った人が所有者ですが、ローンを利用して購入した場合には注意が必要です。ローンの返済が終わるまでローン会社やディーラーが所有者となっていることがあります。
また、名義変更の手続きをしていない場合は、ローンを完済していても所有者がローン会社やディーラーから変わっていない可能性もあります。
穴あけは申請時に陸運支局内で行う以外に、持ち帰って自分で開ける方法もあります。ただし、穴の位置に問題がある場合は持ち帰りを認めてもらえないことがあるため注意しましょう。
廃車手続きはナンバープレートの手続き後に行う
ナンバープレートの記念所蔵の手続きが終わったら、永久抹消登録または一時抹消登録の手続きを進めましょう。
ナンバープレートが欲しい場合、廃車手続きの前に持ち帰りの申請をすることが大切です。
ここからは、廃車手続きの流れや必要書類について詳しく解説します。
永久抹消登録は現住所を管轄する運輸支局の窓口で申請できます。本人のほか、委任状を持った代理人も手続き可能です。
必要書類を準備してから受付時間内に窓口へ行きましょう。運輸支局の場所や受付時間はインターネットで調べられます。
運輸支局では、まずナンバープレートを返納してから、必要書類を窓口に提出します。書類に不備がなければ廃車手続きは完了です。
一部の自治体では、自動車税の還付手続きのために「自動車税/自動車取得税申告書」を運輸支局内の自動車税事務所などに提出する必要があります。
永久抹消登録の場合、手続き後に「登録識別情報等通知書」は交付されません。
もし廃車証明書が必要な場合は「登録事項証明書」を請求してください。
永久抹消登録の手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 印鑑証明書(発行日から3か月以内)
- 車検証
- 前後2枚のナンバープレート
- 移動報告番号ならびに解体報告記録日がわかる書類やメモ
- 永久抹消登録申請書または解体届出書
- 手数料納付書
- 自動車税/自動車取得税申告書(一部地域では不要)
- 委任状(代理人が手続きする場合)
上記の書類のうち、永久抹消登録申請書、手数料納付書、自動車税/自動車取得税申告書は運輸支局にて入手できます。
移動報告番号ならびに解体報告記録日は、解体業者から教えてもらいましょう。聞き忘れてしまった場合は、自動車リサイクルシステムのWebサイトから調べることも可能です。
永久抹消登録は、車を永久に乗り物として使用できなくなったときにする手続きのことです。
車を解体したり、倉庫やオブジェなど別の用途に転用したりした場合が該当します。したがって、永久抹消登録を取り消すことや、再登録して車に乗ることはできません。
抹消登録の手続きは解体から15日以内に行うことと定められています。手続きが遅れると50万円以下または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
一時抹消登録をしたいときは必要書類を揃えて現住所を管轄する運輸支局の窓口で手続きしましょう。委任状があれば代理人に申請してもらうことも可能です。
なお、運輸支局の窓口は平日の日中のみ開いています。あらかじめ窓口の場所や受付時間を調べてから行きましょう。
当日はまずナンバープレートを返納してから、窓口へ必要書類を提出します。申請書を含む一部の書類は運輸支局でも入手できるため、記入してから手続きを開始するとスムーズに進められるでしょう。
一時抹消の場合、手続きが完了すると「登録識別情報等通知書」が交付されます。車を再登録する際に必要となる書類なので、大切に保管してください。
また、一部の地域では運輸支局内の自動車税事務所の窓口へ一時抹消登録完了の申告が必要です。
一時抹消の手続きをする際、車の所有者本人または代理人が運輸支局の窓口に提出する書類は以下のとおりです。
- 印鑑証明書(発行日から3か月以内)
- 車検証
- 前後2枚のナンバープレート
- 一時抹消登録申請書
- 手数料納付書
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告書(地域によっては不要)
上記書類のうち、一時抹消登録申請書ならびに手数料納付書は運輸支局の窓口で入手できます。
また、車検証に記載されている所有者の氏名・住所と印鑑証明書の記載内容が異なる場合は、住民票、戸籍謄本、戸籍抄本なども必要です。
必要書類は申請内容によって異なる場合があるため、あらかじめ現住所を管轄する運輸支局の窓口へ問い合わせておくと安心です。
一時抹消登録の場合、永久抹消登録と異なり支払い済みの自動車重量税は還付されません。ただし、普通自動車であれば自動車税の還付は受けられます。
また、車の再登録や名義変更、永久抹消登録への変更などの手続きには「登録識別情報等通知書」が必要です。この書類がないと再発行できないため大切に保管しましょう。
なお、一時抹消登録に有効期限はないため、いつでも再登録や廃車が可能です。しかし、長期間放置していると、運輸支局から状況確認の連絡がくることがあります。
また、ナンバープレートの持ち帰りには所有の手続きをすることと、破壊措置(穴あけ)により使えない状態にすることなどの条件があります。