多くの人は廃車手続きに慣れていないため、どこで行うべきか迷うかもしれません。
また、廃車手続きには必要書類の異なる「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2種類に分かれるため、初めて行うときは難しいと感じる可能性があります。
手続きは自分でもできますが、不安なときは業者に代行してもらうのも方法の一つです。
この記事では、廃車手続きがどこで行えるのか知りたい人のために、普通自動車・軽自動車ならびに永久抹消・一時抹消のそれぞれのケースに分けて手続きの方法や注意点を解説します。
廃車手続きをどこで行うかは車種によって異なる
廃車手続きが行える場所は、普通自動車か軽自動車かによって分かれます。
ここからは、それぞれの廃車手続きを行う場所について詳しく解説します。
普通自動車の場合は運輸支局で行う
普通車の廃車手続きは現住所を管轄する運輸支局で行えます。
必要書類やナンバープレートを持参のうえ、本人または代理人が窓口で申請を行いましょう。
インターネットで場所や受付時間を調べてから行くことも大切です。
原則として平日の日中しか開いていません。仕事などで平日の日中に時間が取れない人や手続き方法に不安がある人は、家族や友人のほか、業者に手続きの代行を依頼する方法もあります。
軽自動車の場合は軽自動車検査協会支所で行う
軽自動車は、現住所を管轄する軽自動車検査協会で廃車手続きができます。普通自動車とは申請場所が異なるため注意しましょう。
また、廃車手続きに必要な書類も普通自動車の場合とは異なることがあります。あらかじめ軽自動車検査協会の窓口へ問い合わせて確認しておきましょう。
なお、受付時間は基本的に平日の日中のみです。軽自動車の廃車手続きも代理人や業者に代行してもらえるため、窓口に行くのが難しい人は検討してみましょう。
廃車手続きは2種類ある
廃車手続きには登録を完全に消して車を使えなくする「永久抹消登録」と、一時的に登録を抹消して自動車税を停止する「一時抹消登録」の2種類があります。
ここからは、2種類の廃車手続きについて詳しく紹介します。
永久抹消登録は車の登録を完全に消す手続きを指します。車を解体したり倉庫やオブジェなど別の用途に転用したりして、乗り物として使用できなくする場合に行います。
一般的に廃車手続きといえば、永久抹消登録を指すことが多いでしょう。
永久抹消登録は取り消しや再登録ができないため、慎重に判断することが大切です。
永久抹消登録を行うと、自動車税などは課税されなくなります。また、廃車手続きのタイミングによっては支払った税金の還付を受けられる場合があります。
一時抹消では還付されない自動車重量税の還付も受けられることは、永久抹消登録するメリットといえるでしょう。
廃車手続きというと、一般的に車を解体して処分することを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、車を解体せずに登録を消す手続きが一時抹消登録です。
一時抹消登録した車はナンバープレートを取り外され、公道を走れなくなります。その一方で、自動車税などの支払い義務がなくなります。また、車そのものは手元に保管できるため、必要になれば再登録することで再び使用できることがメリットです。
海外赴任や入院などである程度の期間にわたって車を使わないと考えられる場合は、一時抹消登録すると節約につながります。
永久抹消登録は車を解体したり、倉庫やオブジェに転用したり、乗り物として使えなくするときに選ぶ手続き方法です。取り消したり再登録して再び乗ったりすることはできないため、また使う可能性が少しでもある場合は一時抹消登録を選びましょう。
自分で廃車手続きを行う場合の流れ
必要書類を揃えて運輸支局の窓口に行けば廃車手続きは自分でも可能です。初めて行う方は、事前に必要書類や手続きの流れを把握しておくと安心です。
ここからは、自分で廃車手続きを行う場合の流れを紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
運輸支局へ行く前に、提出書類を準備しましょう。書類によっては準備に時間がかかる可能性もあるため、早めに準備を始めておくのがおすすめです。
申請書や手数料納付書のように当日に運輸支局の窓口で入手できる書類もあります。
なお、永久抹消登録と一時抹消登録では提出書類が異なります。手続きごとに必要な書類を確認してください。
また、名義変更が必要な場合や所有者が亡くなっているなどの複雑なケースでは通常の廃車手続きとは別に手続きが必要になることもあります。事前に管轄の運輸支局に問い合わせておくと安心です。
廃車手続きの前に、運輸支局内の「ナンバープレート返納窓口」にて廃車予定の車のナンバープレートを返却する必要があります。
自動返納機がある場合は、投入すれば返却手続きは完了です。
返却後は、手数料納付書に確認印を押してもらいましょう。
なお、申請すればナンバープレートの持ち帰りが可能です。希望する場合は、ナンバープレートを返納する前に必ず窓口へ申し出てください。
ナンバープレートを無効にする破壊措置を行った上で、持ち帰れるようになります。その際は手数料納付書に「破壊完了印」が押されます。
事前に準備した書類と、ナンバープレート返却時に確認印を押してもらった手数料納付書をあわせて窓口に提出すると廃車手続きができます。書類に不備がなければ廃車手続きは完了です。
なお、一時抹消登録の場合は、手続き後に「登録識別情報等通知書」が交付されるため、必ず受け取りましょう。これは、一時抹消したことを証明する書類で、車を再登録したり名義変更したりする際に必要です。
一方、永久抹消登録の場合は、とくに交付される書類はありません。自賠責保険や任意保険を解約するために廃車証明書が必要な場合は、「登録事項等証明書」を別途申請してください。
登録事項等証明書の請求は運輸支局で手続きできます。
自治体によっては廃車手続き完了後に自動車税の抹消申告が必要です。
自動車税の抹消申告とは、廃車したことを税事務所に伝えて課税を止めてもらうための手続きのことです。忘れてしまうと、翌年以降も自動車税が課される恐れがあるため注意しましょう。
また、年度内に普通自動車の廃車手続きを行った場合は、先払いした税金が還付されることもあります。
抹消申告は運輸支局内にある自動車税事務所で行なえます。「自動車税・自動車取得税申告書」に必要事項を記入し、提出しましょう。
なお、廃車手続きを行うだけで自動的に税事務所へ連絡されるため、抹消申告が不要な自治体もあります。
買取業者を利用して廃車手続きを行う場合の流れ
自分で廃車手続きすることに不安があるときや、忙しくて手続きに行けない場合は、買取業者に廃車手続きを依頼しましょう。
ここからは、買取業者を利用した廃車手続きの流れについて紹介していきます。
まず、廃車手続きを代行してくれる業者を探しましょう。
廃車手続きを依頼できる業者としては、ディーラー、中古車販売業者、廃車買取業者、ガソリンスタンド、行政書士が挙げられます。
業者によっては廃車手続きに費用がかかる場合もあれば、無料で引き取ってくれるところもあります。また、車を買取ってもらうことで臨時収入を得られる場合もあります。
そのため、複数の業者に見積もりを出してもらったうえで比較するとよいでしょう。それぞれのメリットやデメリット、費用や価格が作業内容に見合っているかなどが選ぶポイントです。
永久抹消登録と一時抹消登録では、廃車手続きに必要な書類が異なります。また、普通自動車と軽自動車でも違いがあります。
廃車手続きすると決めたら必要書類を確認して、早めに準備を始めましょう。提出書類の中には発行に時間がかかるものや、役所へ取りに行く必要がある書類もあります。
役所は平日の日中しか手続きできないことが多いため、とくに仕事をしている人は、計画的に準備を進める必要があるでしょう。
車の解体や買取などで廃車予定の車を業者へ引き渡す必要がある場合は、事前に引き渡し方法も確認しておきましょう。
走行が可能な場合は、自分で代行業者の店舗まで持ち込むことが多いでしょう。自分で運べない事情があるときは業者に相談してみてください。
また、事故や故障で自走不可能な車はレッカー車の手配が必要です。中にはサービスとして無料または格安でレッカー車を手配してくれる業者もあるため、自分で手配する前に業者へ確認することをおすすめします。
廃車手続きに必要な書類が揃ったら代行業者へ提出します。
内容に不備があると廃車手続きが行えなかったり、追加の書類提出を求められたりする可能性があるため、書類の確認は慎重に行いましょう。
例えば、印鑑証明書は発行日から3か月以内という有効期限があるため、提出前のチェックがおすすめです。
代行業者は基本的に廃車手続きに慣れています。書類の提出時に内容を確認してもらい、漏れがないようにしましょう。
廃車手続きが完了すると、業者から廃車証明書が送られてくるのが一般的です。
廃車証明書に相当する書類は、廃車手続きの種類によって異なります。普通自動車の場合、永久抹消登録をすると「登録事項等証明書」、一時抹消登録をすると「登録識別情報等通知書」が廃車証明書として使用されることが多いでしょう。
なお、旧所有者へ証明書が送られてくるまでの日数は業者によって異なるため、事前に確認しておきましょう。教えられた日数を経過しても証明書が送られてこない場合は、廃車手続きが完了していない可能性があるため、状況を確認してみてください。
廃車手続きを依頼できる業者とは?
廃車手続きは自分で行う以外に代理人や業者に依頼する方法があります。とくに廃車手続きに慣れている業者に代行してもらえばスムーズに手続きできるでしょう。
ここからは、廃車手続きを依頼できる業者について紹介していきます。
新しい車へ乗り換えて、古い車を廃車にする場合は、ディーラーに廃車手続きを依頼できます。
廃車手続きや解体業者への運搬などを代行してもらえるだけでなく、新車の購入手続きや代車の手配なども一貫して行ってもらえることがメリットです。
ただし、基本的に廃車手続きは新車を購入する人へのサービスとして実施しているディーラーが多いため、新しい車を買わない場合は引き受けてもらえなかったり、手数料がかかったりする可能性があります。
中古車買取業者にも廃車手続きを代行してもらえる可能性があります。
廃車手続きと併せて車の解体やレッカー車の手配なども依頼できる点がメリットです。
ただし、基本的に中古車買取業者は買い取った車を中古車として販売することを目的としています。走行できない車など、中古車として価値がない車の廃車手続きには費用がかかることが多いでしょう。
また、中には廃車として引き取ったのにも関わらず、海外などへ中古車として輸出する業者もいます。中古車として販売されることに抵抗がある人は、確実に廃車手続きしてくれる業者を選びましょう。
廃車買取業者とは、廃車を専門に買取している業者のことです。とくに動かない車やディーラーや中古車買取業者では断られた車も、廃車買取業者なら買取ってくれるでしょう。
廃車手続きに慣れているため、解体と廃車手続きを安心して依頼できる点もメリットです。
また、廃車買取業者の多くは解体した車の部品やパーツをリサイクルして利益を上げています。そのため、廃車手続きやレッカー移動を無料でサービスしてくれることもあります。
無料で廃車予定の車を引き取るサービスを実施しているガソリンスタンドが増えてきています。
手数料をかけずに廃車手続きしてもらえることが多いうえ、近くのガソリンスタンドであれば持ち込む手間もほとんどかからないことがメリットです。
ただし、注意点もあります。そもそもガソリンスタンドが車を引き取ってくれるのは部品やパーツに価値があるためで、転売すれば利益を上げられることが理由です。
走行可能な車の場合は、中古車買取業者など他の業者のほうが高く売れる可能性があるため、注意が必要です。
行政書士とは、官公庁へ提出する書類の作成や提出などを行う専門家です。
自分で管轄の運輸支局へ行くのが難しい人は、郵送で手続きを代行してもらえる行政書士に依頼するのも方法の一つです。
車検証に記載されている住所と現住所が離れている場合などが該当します。
一方、永久抹消登録の際に必要になる車の解体やレッカー車の手配といった手続きは行政書士には依頼できません。そのため、別の業者に依頼するか自分で行う必要があります。
まだ走行可能な車であれば「中古車買取業者」、再販売できる状態でない場合は「廃車買取業者」など、廃車予定の車の条件に合わせて、業者を選びましょう。
廃車手続き時の注意点
車の所有権やローンの返済状況など、場合によっては廃車手続きの際に追加の書類や手続きを要求されることがあります。
ここからは、廃車手続き時の注意点について紹介していきます。
廃車手続きを行えるのは所有者のみです。誰が所有者かは車検証の所有者欄で確認できます。
日常的に車を使っている人(使用者)と所有者が異なる場合があるため注意が必要です。
車をローンで購入した場合、所有者がローン会社やディーラーになっていることがあります。その場合は、ローン会社やディーラーに連絡し、名義変更(所有権解除)してもらってから廃車手続きをしましょう。
永久抹消登録では、車を事前に解体しておく必要があります。
車を動かせる場合は運転して解体業者まで持ち込めますが、事故や故障などで車が自走できない状態の場合はレッカー車を手配しましょう。
解体業者によっては手配してくれることもありますが、レッカー車の料金は業者によってさまざまです。中にはレッカー車の手配を無料でサービスしてくれる業者もいます。
解体業者を選ぶ際は、解体費用に加えてレッカー車の料金も考慮するとトータルでの費用を抑えられるでしょう。
廃車手続きを行うと、先払いしていた税金の還付を受けられることがあります。
永久抹消登録した場合は、自動車税と自動車重量税、一時抹消登録では自動車税が還付を受けられる可能性のある税金です。
ただし、タイミングによっては還付がないこともあります。また、軽自動車の場合は自動車税の還付はありません。
なお、廃車手続きを業者に代行してもらった場合でも、税金の還付は受けられます。詳しくは依頼予定の業者へ問い合わせてみましょう。
ローンの返済が終わっていない車の所有者はローン会社やディーラーになっていることが多いため注意が必要です。
廃車手続きを行えるのは所有者のみのため、そのままでは廃車にできません。まずはローンを完済して、所有権を解除してもらいましょう。
一方、基本的にローン完済前の廃車手続きは困難です。ただし、事故などが原因でローン完済前に廃車にしたい場合は、ローン会社やディーラーに事情を話すことで名義変更してもらえるケースもあります。
不要になった車を処分するのであれば、買取ってもらうことも選択肢の一つです。
廃車、つまり解体する場合は解体費用や廃車手続きの手間がかかりますが、買取ってもらえば臨時収入が得られる可能性があります。
問題なく走行できる車は解体業者に依頼する前に、中古車買取業者などで見積もりを出してもらうとよいでしょう。
ただし、事故車や自走できない車は買取ってもらえない可能性が高くなります。