愛車の運転を楽しんだ後に廃車手続きをする際、納税証明書が必要になるケースがあることをご存知でしょうか。

基本的に廃車手続きをする際に納税証明書は不要ですが、場合によっては廃車業者から提出を求められる可能性があります。

この記事では、納税証明書とは何か、廃車手続きの内容によって納税証明書が必要になるケースについて紹介します。

これから愛車を手放そうと考えている人は、この記事で紹介する注意点を参考に手続きを進めましょう。

自動車税の納税証明書は手元に保管しておこう

自動車税の納税証明書は手元に保管しておこう
廃車手続きをする際は、基本的に納税証明書の提出は不要ですが、場合によっては納税証明書が必要になる場面があります。

廃車手続きの方法は「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2種類があります。

永久抹消登録は車を解体して廃車にする場合の手続きを指していて、一時抹消登録は一時的に車を乗れない状態にする手続きを意味しています。そのため、廃車手続き後の車の取り扱いによって行うべき登録方法が異なります。

廃車手続き後に納税証明書を求められる場合においては、納税証明書を保管していないと廃車手続き自体を進められないため、注意が必要です。

廃車手続きにおける納税証明書の役割

廃車手続きにおける納税証明書の役割
そもそも納税証明書とは何でしょうか?

ここからは、納税証明書の概要や、廃車手続きにおける役割について詳しく説明していきます。

そもそも納税証明書とは?

納税証明書とは、納付すべき税額や納付した税額、所得金額を証明する書類のことです。

ローン審査を受ける場合や自治体のサービス利用時に提出を求められることがあり、証明する税金の種類によって証明書に記載される内容や証明書の交付を申請する対象機関が異なります。

一般的に、納税は国税・県税・市税の3種類に分かれており、それぞれ税金を徴収する公共団体の規模によって徴収元がわかれます。廃車手続きをする際に注意が必要な証明書は自動車税であり、自動車税が該当するのは都道府県が管轄する県税になります。

自動車税は、毎年4月1日時点で自動車を所有している人に納付義務が課されます。また、自動車税の納税証明書は自動車税事務所から自動車税納税通知書とともに、毎年5月ごろに郵送されます。

廃車手続きでは基本的に不要

廃車手続きをする場合、基本的に自動車税の納税証明書の提出は不要です。

自動車税を納付した後に廃車手続きする場合、自動車税の還付に関する通知書を入手できます。還付を受けられるのは年度中に車を手放した場合です。また、自動車税は月割りで還付されます。

もしも廃車手続き時に自動車税を納付していなければ、廃車手続きをする運輸支局で支払えるため、必ず納付するようにしましょう。

廃車手続きで納税証明書が必要になるケース

廃車手続きで納税証明書が必要になるケース
廃車手続き時には基本的に納税証明書は不要ですが、必要になるケースにはどのようなパターンがあるのでしょうか。

ここからは、廃車手続きをする際に納税証明書の提出を求められるケースについて紹介します。

①業者が買取後に中古販売を想定しているケース

廃車手続きをする業者は、廃車だけを専門としているとは限りません。中古車を取扱う業者の場合、自動車の買取後は中古車販売を想定しています。

買取予定の自動車の次回車検期間が差し迫っている場合、中古車販売業者が車検時に最新の納税証明書を提出しなければなりません。

もし納税証明書を持っていなければ、中古車販売業者が納税証明書を取り寄せる必要が発生するため、書類取り寄せの手間が生じます。また、未納のまま中古車販売業者が所有してしまうことで金銭トラブルのリスクも高まるでしょう。

買取後のスムーズな処理のためにも、業者から納税証明書の提出を求められる場合があります。

②個人売買によって廃車手続きを行うケース

個人で車を売買する場合、買主から納税証明書の提供を求められるケースがあります。

個人売買だとしても、売主が自動車税を納付していない場合は、売買成立後の納付義務は買主に移ります。そのため、買主にとっては売主がしっかり自動車税を納税しているかどうかは必須の確認項目です。

個人間のやり取りだからこそ、売買後の良好な関係性を維持することは重要です。買主から納税証明書の提供を求められたら、速やかに提出できるよう準備しておきましょう。

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納税証明書は紛失しても再発行できる

納税証明書は紛失しても再発行できる
もし納税証明書を紛失してしまっても、再発行ができます。しかし、普通車と軽自動車で依頼する場所が異なるので注意しましょう。

普通車の場合は、お住まいの各都道府県が管轄する税事務所や自動車税事務所が再発行を担当します。

軽自動車の場合は、お住まいの市役所や管轄の事務所が再発行を担当します。

手続きは窓口か郵送のどちらかを選べ、普通車であれば車体番号や登録番号を、軽自動車であれば車両番号の提出が求められます。

このように再発行の手続き方法を知っておくと、紛失に気付いた時点で手続きを進められます。

自動車税を納税しないまま廃車にすることはできますか?
自動車税が未納の状態であっても、未納期間が1年分であれば廃車手続きを進めることは可能です。ただし、納付義務が消滅するわけではないことを理解しておきましょう。

自動車税の未納期間によって廃車の可否が変わる

自動車税の未納期間によって廃車の可否が変わる
自動車税の未納期間が1年分であれば廃車手続きを進めることは可能ですが、未納期間によっては廃車手続きができない場合もあります。

ここからは、未納期間の年数によって廃車の可否がどのように変わるのか紹介していきます。

未納期間が1年未満の場合は廃車可能

自動車税の未納期間が1年未満であれば廃車は可能です。しかし、未納分の納税義務が消滅したわけではないことに注意が必要です。

もし自動車税を未納のまま廃車手続きを進めた場合、廃車手続きから1~2ヶ月経過したタイミングで未納分の納税通知書が送付されます。納付済みかつ年度の途中であれば、該当年度の残りの月数によって納税額が月割りで還付されるため、必ず納付しましょう。

もし、どうしても自動車税を未納のまま廃車手続きをする必要がある場合は、未納のままでも買取可能な中古車買取店に自動車を持ち込む方法もあります。持ち込み時の自動車の状態にもよりますが、買取金額によっては未納分の自動車税に充てられるかもしれません。

2年以上の場合は嘱託保存

自動車税の未納期間が2年を超えてくると状況は一変します。2年以上、自動車税を納めていなければ、所有している自動車が「嘱託保存」という状態になります。

この場合、未納分の自動車税を納付するまでは運輸局によって車が差し押さえられているため、自分の意志だけでは所有権を移動できない点に注意が必要です。

自身が所有している車が嘱託保存の状態かどうかは、登録事項等証明書で確認することができます。これは、普通車であれば最寄りの運輸支局、軽自動車であれば軽自動車検査協会にて発行可能です。

未納期間が長くなれば通常支払うべき金額に延滞金が上乗せされるリスクがあるため、できれば早めに納税することをおすすめします。

車検切れから3年経過の場合は職権抹消

車検が切れて3年が経過すると「職権抹消」となります。これは、自身の車の情報が運輸局によって抹消された状態になります。その結果、自動車には乗れなくなるため注意が必要です。

この状態では廃車手続きを進めることはできず、運輸支局にて車の情報に関する回復届を提出し、未払い分の自動車税を納税しなければなりません。

支払う際は、通常の税金額に未納期間分の延滞金が上乗せされるリスクが生じるため、定められた車検のタイミングは必ず守り、自動車の未納も避けるようにしましょう。

廃車手続きには種類が2つある

廃車手続きには種類が2つある
廃車手続きには種類が2つあり、それぞれの方法によって廃車手続き後の車の処理方法が異なります。一般的な廃車のイメージは車をスクラップにすることですが、スクラップ以外にも廃車にする方法はあります。

ここからは、それぞれの手続き方法の内容をしっかりとおさえておきましょう。

①永久抹消登録

永久抹消登録は車を解体する際に必要な手続きであり、今後絶対に乗らない車に対して行う廃車手続きです。

永久抹消登録する際は、車をスクラップにした解体証明書の提出が必要です。そのため、永久抹消登録をした車には二度と乗れません。

中古車の買取業者に持ち込んでも買値がつかない場合は、永久抹消登録をすることも一つの選択肢です。

②一時抹消登録

一時抹消登録と永久抹消登録との違いは車の解体を必要とするかどうかです。

一時抹消登録は、車の解体を必要とせずに車の情報を一時的に抹消します。そのため、今後車に乗る可能性はあるけれど海外出張など長期間車に乗らない場合におすすめの廃車方法です。

一時抹消登録では、車は現存しており再度使用できることに加え、登録期間中は自動車税や自賠責保険の支払いが不要です。

もし予定が変わって二度と車に乗ることがなくなれば、解体手続きを経て永久抹消登録を行うこともできます。

車検切れの車を検査に出したら、また乗ることはできますか?
車検切れであっても、車検の有効期限から3年を超えなければ、再び車検を通すことで乗ることは可能です。一方、3年を超えてしまうと車に関する情報が抹消されるため、車検を通す前の段階で車に関する情報の回復手続きと車検が切れていた期間に未納だった自動車税を納付する必要があります。

具体的なケースを元に廃車手続き前に確認すべきこと

具体的なケースを元に廃車手続き前に確認すべきこと
車を廃車にする場合は、自動車税の支払いができていること、納税証明書が手元にあるかどうかなどの確認が必要です。

ここからは、具体的なケースを元に廃車手続き前に確認すべきことを紹介していきます。

自動車税の納付書が届いていたが期限が2週間ほど切れていた

1つ目のケースは、自動車税の納付書が届いていたが、2週間ほど期限が切れていた場合です。

未納であることに気づいた時点で納付書の取扱期限内であれば、コンビニで支払うことができます。もし納付書の取扱期限が過ぎた段階で未納に気づいた場合は、手元にある納付書では払い込めない可能性が高いため、コンビニではなく金融機関を経由しての払い込みがおすすめです。

また、支払期限を20日超過したタイミングで督促状も発行されます。この督促状を使用して払うこともできます。

もし時間に余裕があれば、都道府県税事務所の窓口に足を運び、直接支払うことも可能です。

廃車する前に自動車税の納税はしたが、納税証明書を紛失した

2つ目のケースは、廃車する前に自動車税の納税はしたが、納税証明書を紛失した場合です。

通常、納税証明書は納付書とセットで郵送されます。コンビニや金融機関で支払うと、納付書の半券に押印されます。これが納税証明書です。

納税したにも関わらず、押印された納税証明書を紛失した場合は再発行を依頼しましょう。また、廃車手続きには必ずしも納税証明書を用意しなければならないわけではありません。そのため、廃車業者へあらかじめ納税証明書を準備する必要があるか確認しておき、提出が必要であれば再発行手続きをすすめましょう。

資金にゆとりがなく納税できなくて廃車を決めた

3つ目のケースは、資金にゆとりがなく納税できなくて廃車を決めた場合です。

ここで注意が必要なのは、廃車手続きをしたからといって自動車税の納付義務は消滅しないことです。納付義務は毎年4月1日時点で車を所持している人全員に発生します。資金にゆとりがなくても支払う必要があると理解しておく必要があります。

一方、廃車予定の車を買取してもらい、未納分を査定額から引いてもらうことで間接的な納税もできるため、万が一の方法として覚えておきましょう。

廃車にできない場合は、どうしたらいいですか?
車を廃車にできない場合は売却を検討しましょう。車に価値がある場合、売却することで受け取れる買取金額から自動車税の未納分を差し引いてもらえるため、廃車手続きと自動車税の納付をまとめてすることができる可能性もあります。

自動車税はクレジットカードでも払えるって本当?

自動車税はクレジットカードでも払えるって本当?
コンビニや金融機関にて現金支払いをするイメージの強い自動車税ですが、クレジットカードでの支払いもできることをご存知でしょうか。わざわざコンビニや金融機関まで出向く必要がないため、とても便利な納付方法です。

ここからは、自動車税に関するクレジット支払いについて紹介します。

クレジットカード払いも対応している

自動車税の納付はクレジット支払いができます。クレジット支払いをする場合は、基本的にインターネット経由での支払い処理が必要です。

自動車税の納付書には、地方統一QRコード(eL-QR)と納付書番号等(eL番号)が記載されており、自身のスマートフォンを利用した納付手続きを24時間いつでもできます。

一方、金融機関や都道府県税事務局の窓口やコンビニの店頭ではクレジット支払いができない点は要注意です。

スマートフォンでの登録誤りで自動車税の二重納付が発生するなど、何かしらトラブルが発生した場合は返還処理がされるため安心して下さい。ただし、返還には2ヶ月程度要するようです。

領収証が必要な場合はコンビニや銀行振込がおすすめ

もし領収書が必要であればインターネットを活用したクレジットカード支払いは、おすすめできません。なぜなら、クレジットカード支払いによる納税に対しては納税証明書が発行されないからです。

そのため、個人事業主や企業の場合は納付書裏面に記載された所定金融機関やコンビニでの支払いをおすすめします。

クレジットカード払いの納税証明書は無しでOK

もし車検時に納付証明書が必要になったとしても、自動車税に関しては運輸支局のシステム上で納税確認ができるため、車検業者への提示は不要です。

また、口座振替登録している場合は停止をしてからでないとクレジット支払いできない点に注意しましょう。

まとめ

①納税証明書は自動車税をきちんと納めたことを証明する書類のこと
②基本的に廃車手続きで納税証明書は不要
③買取後に再販売する場合や個人売買では必要になることもある
④自動車税の未納期間が1年未満であれば廃車は可能
⑤自動車税の納付はクレジットカードからでも行える

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