リサイクル券は廃車する際に必要となる書類の一つです。
リサイクル料金を支払った証明として新車を購入したときに受け取れるリサイクル券は、使用機会が少ないため無くしてしまうこともあります。
無くしても再発行ができないため、リサイクル券がない場合に廃車手続きが進められるのか不安を感じる人もいるでしょう。
この記事では、リサイクル券の概要や紛失時の対処法などを詳しく解説していきます。また、無くさないための保管方法などについても紹介します。
リサイクル券は再発行できないため車購入時にしっかり保管しておくことが大切
車の購入時に受け取るリサイクル券は原則として再発行できない書類です。
廃車する際などに必要になりますが、購入から時間が経っていると見つからないこともあるかもしれません。万が一無くしてしまった場合は、代替手段として自動車リサイクルシステムのWebサイトより「リサイクル券の預託状況」の画面を印刷して使用することが可能です。
ただし、まずは大切な書類であることを意識して無くさない取り組みをすることが大切です。
そもそもリサイクル券とは?
車を購入した際にリサイクル券を受け取ったものの、普段は使用しないため目的や使用方法などを意識していない人は多いかもしれません。
ここからは、リサイクル券について、概要や必要になるタイミングなどを紹介していきます。
リサイクル券は、車のリサイクル料金を支払ったことを証明する書類です。
自動車リサイクル法により、廃車時に発生する資源のリサイクルが義務付けられています。また、車をリサイクルするための解体やフロン類の破損にかかる費用はオーナーの負担です。
リサイクル料金は新車購入時にオーナーが支払います。廃車にするタイミングで支払うのではないことに注意しましょう。
廃車にする際や、車を売却する際はリサイクル券を見せることで、スムーズに手続きすることができます。
自動車リサイクル法は、廃車によって発生するごみを適切に処分し、地球環境を守るために自動車のオーナーや関連事業者、メーカーなどの責任を定めた法律です。
毎年350万程度の車が廃車されていることから、資源を有効に活用するために制定されました。特に車のエアコンに充填されているフロン類は地球温暖化の原因となる物質でもあるため、適切に処分することが大切です。
自動車リサイクル法では、自動車オーナーに対して処分費用の負担を求めています。二輪車や特別な車を除いて新車購入時に支払うため、リサイクル券をもらわないケースはほとんどありません。
リサイクル券は新車購入時にリサイクル料金をディーラーに支払うことで発行されます。
一方、中古車を購入した場合はすでに最初のオーナーがリサイクル料金を支払っているため、もう一度払う必要はありません。
ただし、リサイクル料金は車のオーナーが負担するとされていることから、中古車の価格にリサイクル料金が含まれていることが一般的です。
リサイクル券が必要なタイミングは2つ
新車購入時に受け取ったリサイクル券が必要になるタイミングは2つあります。
日常的に使うものではないため、どこに保管したか分からなくなる人もいます。提示を求められても慌てないように必要なタイミングを押さえておきましょう。
リサイクル券は車を廃車にする際に必要となる書類の一つです。
廃車手続きには、車を解体して使えなくする「永久抹消登録」と、一時的に登録を消して使用を中止する「一時抹消登録」の2種類があります。
このうち、リサイクル券の提示を求められるのは永久抹消登録のみです。一時抹消登録の際にはリサイクル券の提示は必要ありません。
永久抹消登録の場合は車を解体することが前提となっているのに対して、一時抹消登録では車を解体せずに保有し続けるためです。
なお、永久抹消登録は原則として取り消しができません。一方、一時抹消登録した車は手元に残るため、再登録すれば再度使用することが可能です。
今は不要でも将来的に車を使用する可能性がある場合は、一時抹消登録を選びましょう。
リサイクル券は車を売却する際も必要です。
リサイクル料金は車のオーナーが支払うため、売却によって車を手放す際は支払ったリサイクル料金を返してもらえます。そして、リサイクル券は次のオーナーへ渡る仕組みです。
ただし、リサイクル料金は自動車リサイクルシステムから返金されるのではなく、中古車買取業者または購入者から受け取ります。
中古車買取業者へ売却した場合は、買取金額にリサイクル料金が含まれているかどうか、しっかりと確認しましょう。
リサイクル券をなくした場合の対処法
リサイクル券は再発行ができない書類のため、大切に保管することを心がけましょう。
しかし、注意していても引越しなどの機会にどこにあるか分からなくなったり、盗難にあったりして紛失してしまうことも考えられます。
特に廃車の場合は新車で購入してから長い時間が経っていて、リサイクル券が見つからないことは多いかもしれません。
ここからは、リサイクル券をなくした場合の対処法について紹介していきます。
リサイクル券がない場合でも、廃車や売却は可能です。ただし、リサイクル券の再発行はできないため、代替の書類を用意する必要があります。
代替書類を用意する手間がかかるため、リサイクル券があるほうが手続きはスムーズです。ただし、リサイクル券を紛失しても廃車や売却を諦める必要はないことを押さえておきましょう。 また、廃車手続きや中古車としての査定にも支障はありません。
リサイクル券がない場合「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷したものを代替書類として使用できます。
自動車リサイクルシステムのWebサイトから「リサイクル料金検索」へアクセスしてください。
車体番号や車両番号の入力を求められるため、手元に車検証を用意しておくことをおすすめします。
「リサイクル料金検索」はパソコンまたはスマートフォンから利用可能です。
ただし、リサイクル券の代わりとして使用する場合は「自動車リサイクル料金の預託状況」の画面を印刷して提出する必要があります。事前にプリンターなども用意しておくとよいでしょう。
リサイクル券や重要書類をなくさない方法
廃車したり車を売却したりする際に必要となるリサイクル券は再発行できません。
また、車を購入するとリサイクル券以外にも様々な重要書類をもらいます。大切な書類は紛失しないように注意して保管しましょう。
ここからは、リサイクル券や重要書類をなくさないおすすめの方法を5つ紹介していきます。
リサイクル券やその他の重要書類をなくさないために取り入れやすいのが、車検証とともに保管する方法です。
車を購入した際、ファイルに入った状態で車検証をもらった人は多いでしょう。このファイルの中にリサイクル券などをまとめて保管すると分かりやすいです。
車の購入時にもらったファイルが使いにくいと感じる場合は、カー用品店やインターネット通販などで自身の好きなものを選んで購入することも可能です。
車検証入れ、または車検証ケースなどの名称で販売されていることが多いでしょう。使いやすいものを探してみてください。
自宅に金庫があり、普段から重要書類をまとめて保管している人はリサイクル券なども一緒に入れるのがおすすめです。
リサイクル券は廃車や車の売却時以外では、ほとんど使用しないため、鍵のかかる金庫に入れても問題ありません。
金庫は盗難を防止できる上に、耐火性・防水性もあることがメリットです。万が一、自宅が災害にあっても中の書類を守れるでしょう。
リサイクル券以外にも契約書や点検の書類など、車を保有していると様々な書類が増えていきます。そのため、車専用の書類ファイルを作って格納する方法もあります。
車検証のように運転時に携帯する必要があるものだけをダッシュボードに入れ、それ以外の書類を自宅で保管すれば車の中がスッキリすることもメリットです。
複数のポケットがついたファイルを使用し、契約書や自動車保険関連などのジャンルごとに整理するとさらに見つけやすくなります。車以外にも生命保険や住宅の書類などにも応用できる方法です。
リサイクル券を含む車関係の書類をしまったら、家族や従業員などの関係者に保管場所を伝えておくのもよい方法です。
リサイクル券は頻繁に使う書類ではないため、いざというときに保管場所が分からなくなることがあるかもしれません。自分が忘れてしまっても誰かが覚えていれば見つけられる可能性があります。
また、保管場所を知らせておけば万が一自分で手続きができなくなった場合に他の人に依頼しやすくなることもメリットです。
他の人と書類の保管場所を共有する際は、誰が見ても分かりやすいように工夫をするのがおすすめです。書類のカテゴリーごとにファイルを分けたり、ラベリングしたボックスを使ったりといった方法を取り入れましょう。
通帳や証券といった重要書類の保管場所を決めている人は、リサイクル券なども同じ場所に保管すると分かりやすくなります。
書類や印鑑などをリビングの棚や引き出し、寝室のタンスなど他の人の目につきにくいところで管理している人は多いでしょう。大切なものをしまう場所を決めておけば、急にリサイクル券が必要になっても家中を探し回らなくてよくなります。
ただし、重要書類を全て1ヶ所にまとめてしまうことは防犯上おすすめできません。万が一空き巣に入られた際に全て持ち去られてしまうリスクがあります。そのため、分散して保管するようにしましょう。
保管場所が分かっていても見つけられない場合があるため、書類をカテゴリーごとに分けたり、ラベリングして分かりやすくすることも大切です。
自動車リサイクル法が必要な理由
2005年1月から施行された自動車リサイクル法により、自動車オーナーにはリサイクル料金の支払いが義務付けられました。
ここからは、自動車リサイクル法が必要な理由について紹介していきます。
埋め立て場が少なくなっていること、処分の燃料費の高騰などが自動車リサイクル法制定の理由です。
日本で廃車される車は毎年約350万台です。もともと解体された車から取り出された金属類などはリサイクルされていましたが、残ったプラスチックなどのパーツは埋め立て処分されていました。
しかし、廃棄物の量が増えることで、ごみを埋め立てできる最終処分場の容量は慢性的に不足しています。また、ごみを燃やして処分する方法もある一方、燃やすための燃料費も高騰しています。
できる限りリサイクルしてごみを減らす必要があることから、自動車リサイクル法が定められました。
自動車リサイクル法の目的として、不法投棄の防止があります。
車の処分費用が高いことで、林道やパーキングなどに車両を放置する例が目立つようになりました。放置車両は景観の問題があることに加えて、放火などの犯罪や野生動物の温床になり獣害が発生する恐れがあります。
また、金属のパーツが多い車は放置されても自然に分解されることはないため、環境汚染も心配されます。
不法投棄を防ぎ、車を適切に処分するために自動車オーナーや関連事業者にリサイクルを義務付ける自動車リサイクル法が制定されました。
環境への配慮も自動車リサイクル法が制定された背景の一つです。
エアコンの冷媒などとして使われている「フロン」は人工的に作られたガスです。色や臭いはなく、人体に影響はありません。しかし、分解されにくい性質を持っているため、空気中に放出されると長い時間をかけて大気中へ上昇し紫外線を防ぐオゾン層を破壊してしまいます。
また、フロン自体が「温室効果ガス」と呼ばれているように地球温暖化を進める原因でもあります。
これは、カーエアコンにも含まれており、分解によって空気中に排出しないためには資格を持った事業者による適切な処分が必要です。
自動車リサイクル法の対象となる車両について
自動車リサイクル法は基本的に全ての車を対象としています。普通自動車や軽自動車はもちろん、トラックやバスなどの大型車、特殊自動車を新車で購入した場合も、オーナーはリサイクル料金の支払いが必要です。
また、これらの車を廃車にしたり売却したりする際にはリサイクル券が必要になる可能性があるため、大切に保管しましょう。
ただし、バイクなどの二輪車、ブルドーザーやショベルカーといった大型特殊自動車、小型の特殊自動車は対象外です。農業や林業用の機械、被けん引車も自動車リサイクル法の対象ではありません。
リサイクル料金の基準を紹介
リサイクル料金は車に使用されているフロンの量や解体時に出るごみの量、エアバッグの個数などに応じて決められています。
そのため、新車として購入時にオーナーが支払う金額は車のメーカーや車種によって異なり、大きい車ほど料金が高くなる傾向にあります。
車の大きさによる料金の目安は以下の通りです。
コンパクトカー | 7,000円~16,000円 |
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普通乗用車 | 10,000円~18,000円 |
中・大型トラック | 10,000円~16,000円 |
大型バス | 40,000円~65,000円 |
上記の費用に加えて、資金管理料金として290円または410円、情報管理料金130円がかかります。