廃車手続き後にもらえるお金として、自動車税の還付金があります。そのため、事前に必要書類や手続きの流れを把握しておきましょう。
スムーズに手続きを済ませるためにも条件を知っておくことが大切です。
この記事では、自動車税の還付を受けるための流れや必要書類、金額の計算方法について解説します。
廃車手続きで自動車税の還付が受けられる
廃車手続きを行う場合、条件によっては自動車税の還付を受けられます。
払いすぎた分の税金が戻ってくるため、受け取り条件に当てはまる人は必ず返金してもらいましょう。
ここからは、そもそも自動車税とは何かについて詳しく解説していきます。
そもそも自動車税とは
自動車税は、毎年4月1日時点での車検証上の所有者に対して支払い義務が生じる都道府県税の一種です。
支払い時期は都道府県ごとに異なりますが、一般的に5月のはじめ頃に自動車税納付書が自宅に届き、その年の4月から翌年3月までの1年分を、5月末頃までに支払う必要があります。
支払いは原則一括払いのため、前もってまとまった費用を準備しておく必要があります。自動車税は排気量で区別されているため、あらかじめ所有する車の排気量と該当する税額を確認しておくことをおすすめします。
ここからは、自動車税の名称についてと税額を紹介します。
自動車税は、2019年に名称が変更されており、現在は「自動車税種別割」と呼ばれています。
また、軽自動車税についても「軽自動車税種別割」に名称が変更されています。
名称変更とともに税制改正が行われ、車の購入時期によって税額が異なる点にも注意しましょう。2019年10月を境に金額が変わります。
2019年9月までに購入している車の税額は、税制改正以前の金額が今後も適用されることを把握しておきましょう。
自動車税の支払額は、用途と自動車の排気量によって区分されています。
乗用車・自家用車かつ2019年10月1日以降に初回新規登録を行った車に対する税額は以下のとおりです。
排気量 | 自動車税の額 |
---|---|
1,000cc以下 | 25,000円 |
1,000cc超〜1,500cc以下 | 30,500円 |
1,500cc超〜2,000cc以下 | 36,000円 |
2,000cc超〜2,500cc以下 | 43,500円 |
2,500cc超〜3,000cc以下 | 50,000円 |
3,000cc超〜3,500cc以下 | 57,000円 |
3,500cc超〜4,000cc以下 | 65,500円 |
4,000cc超〜4,500cc以下 | 75,500円 |
4,500cc超〜6,000cc以下 | 87,000円 |
6,000cc超 | 110,000円 |
また、新車新規登録後より13年経過した自動車には重課が行われます。なお、ディーゼル車については11年超経過すると重課が行われるため、期間の違いに注意しましょう。
なお、軽自動車税は地方税の一種で、所有者の住民票がある市町村に収める必要があります。
自動車税と同様に毎年4月1日時点の軽自動車の所有者に対して支払いの義務が発生する税金です。納付期限は自治体によって変動がありますが、5月のはじめ頃に納税通知書が届いたら、速やかに納付手続きを行いましょう。
廃車手続きで自動車税が戻ってくる
ここからは、自動車税の還付を受け取れる廃車手続きの種類や条件を紹介します。
車の所有者に対して支払い義務が発生する自動車税ですが、廃車手続きで車の登録を取り消す際に還付金を受け取れる可能性があります。
自動車税の払い過ぎを防げる制度のため、廃車手続きを始める前に必ず確認して流れを把握しておきましょう。
自動車税の還付金を受け取れるのは、一時抹消登録と永久抹消登録の両方の手続きです。
毎年5月のはじめ頃にその年の4月〜翌年3月分の税金を一括で支払うため、支払い後に廃車手続きを行う際は、余分に支払った分の還付金が受け取れます。
例えば、4月に抹消登録を行う場合は、すでに納税の義務が発生しているため、5月に納付通知書が届いたら支払いを済ませます。その後、5月〜翌年3月までの11ヶ月分の自動車税の還付金を受け取る流れです。
なお、軽自動車税種別割は還付されないので注意しましょう。
自動車税の還付を受けるための主な条件は以下の2つです。
- 自動車の抹消登録を済ませる
- 地方税の未納がない
抹消登録の種類は、一時抹消登録・永久抹消登録どちらでも問題ありません。
永久抹消登録の場合は、車の解体を完了させて手続き上でも車の登録を完全に取り消すことが必要です。
一時抹消登録の場合は、ナンバープレートを返却して一時的に登録を抹消する手続きを行い、車が公道を走れない状態にする必要があります。
廃車の際、車が故障して走れない状態の場合や二度と同じ車に乗る可能性がない場合は、永久抹消登録を選びましょう。
出張や入院により長く車に乗らない期間があっても、将来的にまた同じ車に乗りたい場合は、一時抹消登録がおすすめです。
一時抹消登録であれば、中古車新規登録手続きを行うことで再び同じ車に乗れるようになります。
また、地方税の未納がある場合、還付金が未納分に充当されます。そのため、未納があれば還付金は受け取れないでしょう。未納が少額であれば充当された後の残りの金額を還付金として受け取れます。
廃車手続きと自動車税の還付に必要な書類
ここからは、廃車手続きと自動車税の還付に必要な書類を紹介します。
自動車税の還付金を受け取るためには、廃車手続きを適切に行う必要がありますので、必要な書類をまとめて把握しておくとよいでしょう。
なお、永久抹消登録と一時抹消登録で必要書類が異なりますので、どちらの手続きを取るか決めてから必要書類の準備を始めましょう。
必要書類の一例を紹介します。地域や条件によって多少異なる場合があるため、必ず管轄の陸運支局に提出書類が合っているか確認を行いましょう。
ここでは、廃車手続きを業者に依頼する場合と自分で進める場合の2パターンに分けて書類を紹介します。
- 自動車検査証
- ナンバープレート(前後2枚)
- 委任状(所有者の実印を押印したもの)
- 印鑑証明書(発行日から3ヵ月以内のもの)
- (永久抹消登録の場合)解体に係る移動報告番号、解体報告記録など
- 自動車検査証
- ナンバープレート(前後2枚)
- 印鑑証明書(発行日から3ヵ月以内のもの)
- (永久抹消登録の場合)解体に係る移動報告番号、解体報告記録など
- 抹消登録申請書(所有者本人の実印を押印する)
- 手数料納付書(自動車検査登録印紙を添付する)
- 自動車税、自動車取得税申告書
自動車税の還付を受けるために必要な書類はありません。
永久抹消登録では車の解体を完了させて抹消登録の手続きを済ませること、一時抹消登録ではナンバープレートの返却を行い手続きを済ませることで、還付金の受け取りが可能です。そのため、廃車手続きの流れに還付金手続きも含まれていると考えておきましょう。
還付金は抹消登録後、およそ1ヶ月〜3ヶ月で受け取れます。廃車手続き完了後に都道府県税事務所から過誤納金等還付通知書が届いたら指定された金融機関にて還付金を受け取りましょう。
還付金を受け取る際は、通知書、本人確認書類、印鑑を持参することをおすすめします。
廃車手続きの流れ
ここからは、廃車手続きの流れを永久抹消登録と一時抹消登録の場合に分けて紹介します。
廃車手続きを完了させることで還付金の受け取りが可能となるため、還付金の受け取りを考えている方は、必要書類とあわせて廃車手続きの流れをしっかり把握しておきましょう。
永久抹消登録は管轄の運輸支局にて行います。
手続きの大まかな流れは以下のとおりです。
- 業者に車の解体を依頼する
- 運輸支局で申請用紙の入手と作成を行う
- ナンバープレートを返却する
- 運輸支局窓口にて書類を提出する
- 永久抹消を税事務所へ申告する
永久抹消登録の手続きを進めるためには、まず車を解体する必要があります。車が公道を走れない状態の場合はレッカー車の手配も必要です。早めに業者へ依頼して解体を済ませておきましょう。
また、申請には手数料がかからないため印紙の購入は必要ありません。
運輸支局は一般的に平日のみ受付を行っており、午前は8時45分〜11時45分、午後は13時〜16時までとなります。土日祝休みの方は休みを取るか業者に提出を依頼しましょう。
一時抹消登録も管轄の運輸支局にて行います。
手続きの大まかな流れは以下のとおりです。
- 提出書類を準備する
- 運輸支局で申請用紙の入手と作成を行う
- 登録手数料として印紙を購入する
- ナンバープレートを返却する
- 運輸支局窓口にて書類を提出する
- 登録識別情報等通知書の交付を受ける
- 税事務所へ一時抹消の申告を行う
運輸支局内に、一時抹消登録申請書や手数料納付書、自動車税・自動車取得税申告書は用意されています。
その他の必要書類については事前に用意する必要があります。ナンバープレートは車体の前後2枚とも返却する必要があるため、忘れずに取り外しましょう。
税事務所へ一時抹消の申告を行うことで自動車税の還付を受けられるため、忘れずに申告して下さい。
廃車手続きで自動車税の還付金を受け取る際の注意点
還付金を受け取るためには廃車手続きを完了させる必要がありますが、手続きから受け取るまでに注意する点がいくつかあります。
ここからは、手続きの時期に焦点を当てて注意しておきたいポイントを紹介します。
廃車手続きを行い、還付金の受け取りを検討している方は、お得に受け取りを行えるよう参考にしてください。
自動車税は毎年4月1日時点の所有者に対して課されます。そのため、廃車手続きを税金の支払い義務が発生する前の3月中に済ませたいと考える方は多いでしょう。
場所によっては手続きの受付まで何時間も待つ場合があります。時間がない方や手早く手続きを済ませたい方は混雑が予想される3月は避けて、2月頃までに済ませておきましょう。
ギリギリに手続きを行おうとすると待ち時間が長く、その日の内に手続きを完了させられないこともあります。
月をまたいで廃車が4月になってしまうと、次の年の自動車税の支払い義務が発生してしまいます。4月以降に還付を受けるためには、一度自動車税を一括で支払わなければなりません。
このような手間を省くためにも、3月末までに廃車が完了できるよう早めから準備を進めておきましょう。
自動車税は12ヶ月分を5月のうちに一括で支払っているため、還付金を受け取る際は月割りで計算されます。
つまり、同月中であれば1日に手続きが完了しようと、30日に完了しようと変わりません。しかし、月をまたいでしまうと減額されてしまいます。
例えば、9月30日に手続きが完了した場合と10月1日に完了した場合とでは、金額が変わります。そのため、月末までに手続きが完了できるよう、必要書類や解体の準備を進めておくとよいでしょう。
還付金を受け取れないケース
ここからは、還付金を受け取れないケースを2つ紹介します。
還付金は抹消登録の手続きを完了させることで受け取れますが、条件によっては受け取れない可能性があります。
廃車手続きを行う前に条件を確認して、自身が還付を受けられるかチェックしておきましょう。
還付金の受け取りが可能なのは、抹消登録を行ったときです。売却による名義変更手続きだけでは還付金を受け取れません。
例えば、業者へ買取を依頼する際に廃車を行う場合であれば受け取りが可能ですが、買取業者が廃車にせず再販売する場合は受け取りが難しいでしょう。
ただし、買取業者によっては買取金額に還付金相当額を含めてくれる場合があります。事前に交渉も可能なため、査定時に確認してみましょう。
地方税の未納がある場合、還付金を受け取れない可能性があります。
地方税は自動車税に限らず住民税や固定資産税などの未納も対象です。未納があると還付金が未納分の支払いに充てられる可能性があります。
還付金額が未納額を上回っている場合は、未納分の支払い後に残り金額の還付が受けられます。とはいえ、金額は減ってしまうため、地方税は期限通りにしっかり支払っておきましょう。
自動車税の還付金の計算方法
ここからは、受け取れる自動車税の還付金額の計算方法を紹介します。
還付金を他の支払いや購入費用に充てようと考えている方は、事前に金額を計算しておくことで、計画を立てやすくなるでしょう。
大まかな金額を事前に把握して、うまく活用して下さい。
自動車税の還付金額は月割りで計算します。
例えば、10月1日に廃車手続きをしても10月31日に廃車手続きをしても金額は変わりません。ただし、月をまたぐと金額が減ってしまいます。そのため、月末になってから慌てて手続きを行おうとして不備があり、完了が翌月以降になってしまえば、ひと月分減額されてしまうため注意しましょう。
また、3月31日と4月1日の場合はさらに手続きの手間が増えます。3月中に手続きが完了すれば次の年の自動車税を一括払いする必要がありません。しかし、4月に持ち越してしまうとその年の12ヶ月分の自動車税を一括払いしてから、還付を受けることになります。
一度税金を支払う手間が発生するため注意しましょう。
自動車税の還付金額の計算方法は以下のとおりです。
(100円未満は切り捨て)
抹消登録が完了した月は含まれない点に注意しましょう。
そのため、3月中に抹消登録の手続きを行った場合は0円です。還付金は受け取れませんが翌年の支払いをする必要もないため、廃車を考えている方は必ず3月中に行いましょう。