2019年から流行したコロナウイルスにより、人との距離を保つ習慣が身についたり、家で過ごす時間を充実させたりする人が増えました。その中で需要が高まったのがキャンピングカーです。
キャンピングカーがあれば旅行に行き、車中で寝泊まりできたり食事ができたりするため、アウトドアだけでなく多くのシーンで活用できます。
また、キャンピングカーを書斎代わりにしているという変わった使い方もネット上では見られ、キャンピングカーの人気はまだまだ高い状態です。
しかし、使わなくなったキャンピングカーはどのように処分すればいいのか迷う方もいるでしょう。
そこでこの記事では、キャンピングカーの定義から廃車の方法まで網羅して解説します。
廃車だけでなく、買取の選択肢も視野に入れましょう。
キャンピングカーの廃車は普通の車と同じ流れで行える
子どもが小さいうちに様々な経験を積ませて感性豊かな人間になってもらいたいと、キャンピングカーを購入して休みのたびに出かけるご家族が見られます。
また、アウトドアが趣味で仕事が休みの日は大自然の中に身をおいてリフレッシュする人もいるでしょう。
いずれもキャンピングカーを使って楽しい時間を過ごせます。しかし、ライフスタイルの変化によりキャンピングカーを手放す必要も出てくるでしょう。
その場合、キャンピングカーは他の自動車と同様に買取査定に出すか廃車手続きを行います。そのため、今後のライフスタイルやプランによって正しい選択が欠かせません。
キャンピングカーの定義を解説
まずは、キャンピングカーの定義を紹介していきます。
近年では8ナンバーの車以外にも広義でキャンピングカーという言葉の使用が広がっています。
キャンピングカーの定義は「寝泊まりできる設備が整っている車」です。車の中に食事ができるスペースを備えていたり、睡眠がとれたりするスペースがあるものを指します。
キャンピングカーといえば、簡易的なキッチンがついていたり電子レンジやトイレがついていたりする車両をイメージしますが、そうでなくとも寝泊まりできる設備をあとから設置したり工夫したりしたものもキャンピングカーと言えるでしょう。
キャンピングカーは見た目の特殊さから、特種用途自動車に該当する8ナンバーのもののみと捉えられがちです。
しかし、軽自動車やミニバン、SUVなど3ナンバーや5ナンバーでも設備を整えればキャンピングカーとして使えます。
ただし、車内を改造する場合は別途申請が必要なため、構造が変わらない程度での工夫に留めましょう。
一口に「キャンピングカー」と言っても、種類が豊富で代表的な自走タイプは下記のとおりです。
- フルコンバージョン(フルコン)
- セミフルコンバージョン(セミフルコン)
- キャブコンバージョン(キャブコン)
- バスコンバージョン(バスコン)
- バンコンバージョン(バンコン)
- 軽キャンパー(軽キャン)
上記はすべて自走式(タイヤが付いており運転可能なもの)ですが、他に牽引式でトレーラーに引っ張ってもらうタイプもあります。
私たちが普段目にするキャンピングカーはフルコンやセミフルコンが多いでしょう。
なお、8ナンバーを取得するには様々な基準をクリアする必要がありますが、満たしていなくてもキャンピングカーとして活用できるものもあります。
キャンピングカーの廃車方法は2つ
ここからはキャンピングカーに乗らなくなった場合に知りたい廃車手続きを紹介します。
廃車手続きには「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2パターンがあるため、自分のライフスタイルや展望にあわせて選択しましょう。
キャンピングカーに二度と乗らない場合は永久抹消登録を行いましょう。 永久抹消登録は、車を解体(スクラップ)して物理的に乗れないようにする方法です。
キャンピングカーを解体したあとにもらえる解体証明書や各種申請書類を持って、陸運支局で手続きを行います。
参考までに、永久抹消登録の手続きに必要な書類は下記のとおりです。
- 車検証
- 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)
- 印鑑
- 申請書(第3号様式の2)
- 対象車の解体報告記録がなされた日や移動報告番号
- (代理人が申請する場合)実印が捺印された委任状
条件や自治体によって必要書類は多少変わるため、事前確認が大切です。
申請書は国土交通省のホームページからダウンロード可能です。また、業者に廃車を依頼する場合は用意してもらえることがほとんどでしょう。
キャンピングカーを一時的に使わない場合は一時抹消登録を行いましょう。
一時抹消登録は、車体の解体はせずに、公道を走る際に必要な登録を抹消します。そのため、車を保管しながら自動車税の発生を抑えられるメリットがあります。
例えば、海外転勤で5年程キャンピングカーを使わない場合や子どもの部活が忙しくてしばらく乗らない可能性がある場合におすすめです。
なお、一時抹消登録は再登録を行えば再び車を運転できるため、今後少しでも使用する可能性がある場合は、こちらを選択しましょう。
一時抹消登録の手続きで必要となる書類は下記のとおりです。
- 車検証
- 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 印鑑
- 申請書(第3号様式の2と記載があるもの)
- 手数料印紙(検査登録印紙)
- (代理人が申請する場合)実印が捺印された委任状
キャンピングカーの廃車手続きを行う場所
キャンピングカーの廃車を決意した際に気になるのが手続きする場所です。
キャンピングカーを含めた車の廃車は経験する機会があまりないため、どこで手続きを行うか迷います。
ここからは、キャンピングカーの廃車手続きが行える場所を2つ紹介します。
キャンピングカーの廃車は中古車販売店で手続きが可能です。
特に、次の車を中古で購入する場合は中古車販売店で廃車と購入の手続きを行えば効率的でしょう。また、キャンピングカー自体に価値がある場合は査定の結果、買取で資金が手に入る可能性もあります。
なお、中古車販売店で廃車を行う場合、廃車にかかる手数料は無料の業者と有料の業者があります。そのため、確認した上で手続きを進みましょう。
キャンピングカーが走行不可能な状態だったり、車を新たに購入する予定がなかったりする場合は、廃車専門業者への依頼がおすすめです。
廃車専門業者では、廃車に必要な申請を代行してくれます。また、無料や費用を抑えて手続きが行えます。
ただし、車両が自走できず、レッカー移動が必要な場合は別途手配が必要です。多くの場合は廃車専用業者が手配してくれますが、現地まで自分で持っていくケースもまったくないわけではありません。
廃車を依頼する場合は現地までの流れも確認しておきましょう。
キャンピングカーを含め、車の廃車手続きは自分で行えます。
しかし、必要書類を所定のサイトからダウンロードしたり、陸運支局に申請したりと労力がかかります。また、申請に行くまでも印鑑証明書をとったり場合によっては戸籍謄本をとったりして、仕事の合間に手続きを行えない可能性もあるでしょう。
そのため、自分で廃車手続きが行えない場合は、中古車販売店や廃車専門業者へ依頼するのがおすすめです。
キャンピングカーは買取が難しい?
キャンピングカーは、他の普通自動車や軽自動車と比較して「売れにくい」という評判をネット上で見かけます。
ここからは、キャンピングカーの買取について詳しく解説していきます。
結論としてキャンピングカーも他の車と査定基準はあまり変わらないため、まずは見積もり査定に出してみましょう。
キャンピングカーは特殊な車両のイメージから「売却できないのでは?」と考えられますが、他の車と同様に売却することができます。そのため、状態がいい場合は一度査定に出してみましょう。
特に、近年はアウトドアへの興味関心が高まっていることから、高価買取も期待できます。
せっかくキャンピングカーを購入したのですから、廃車だけでなく、資金を得られる方法を試してみるとお得に処分が可能です。
キャンピングカーを査定に出す場合、1社だけでなく複数社へ見積もりを依頼するのがおすすめです。
1社だけの場合、相場が分からず低い金額で売却してしまう可能性があります。3〜5社に査定依頼を出して、相場を把握した上で納得できる金額で売却しましょう。
なお、査定価格が高いだけで売買契約するのはやめましょう。問い合わせ時の対応や担当者の説明など様々な観点を加味して依頼する業者を決定すると後悔のない売却ができます。
買取を検討する場合、現物査定を行う前に車内の清掃やメンテナンスを行うと好印象を与えられて査定額に反映される可能性が高まります。
キャンピングカーは車内で寝泊まりするため、汚れが蓄積されている可能性があります。水回りの汚れをきれいにしたり、泥はねを落としたりして清掃しておきましょう。
また、必要書類が揃っているかもあわせて確認します。取扱説明書や納税証明書は売却時に提出が求められるため事前に確認しておくと良いでしょう。
キャンピングカーを廃車するタイミングは見極めが肝心
ここからは、キャンピングカーの処分に悩んでいる人向けに、様々なケースごとに永久抹消登録と一時抹消登録のどちらが適しているか解説します。
ご自分に近いケースを想定して選択しましょう。
高齢や病気などで免許を返納した場合、今後運転ができないためキャンピングカーは永久抹消登録にて廃車手続きを行いましょう。
もしも車の状態がよい場合は買取もおすすめです。
免許を保持していたとしても年齢や病気でアウトドアを楽しめなくなった場合や、趣味が変わってしまった場合は永久抹消登録や売却でキャンピングカーを手放しましょう。
体に不都合が生じると長距離運転のキャンピングカーは負担になります。手放すのが惜しいと感じますが、早めに手続きを行いましょう。
現在、一時的に仕事が忙しく遠出ができていない場合や、転勤異動が決まったとしても2〜3年程度で帰ってこられる見通しが経っている場合、一時抹消登録で車体の保管がおすすめです。
なお、キャンピングカーを一時抹消登録後に保管する場合は傷がついたり劣化を最小限に留める工夫が必要です。
普段、屋根なしの駐車場に停めている場合はカバーをかけたり、屋根がある駐車場に移動させたりしましょう。
キャンピングカーを家族で使っていた場合、子どもが中学生になって部活や習い事が忙しく旅行に行けず廃車を検討するケースが見られます。
たしかに子どもが大きくなると家族で出かける機会が減るため仕方がありません。しかし、すぐに廃車や売却を選択するのではなく家族と話し合ったうえで決定しましょう。
自分ではもう乗らないと思っていても、子どもが大学を卒業して使いたいと思っていたり、パートナーが思い出として残しておきたいと考えていたりする可能性があります。
キャンピングカーはいつでも廃車にできますが、たくさん思い出が詰まった資産でもあります。家族でコミュニケーションをとりながら処分を決定しましょう。
仕事によっては5年や7年の海外転勤が発生する可能性もあります。自宅を何年も離れる場合は一時抹消登録を検討し、それでも難しい場合は廃車や買取にしましょう。
家族は自宅に残って自分だけ海外赴任する場合は、家族が車を管理することができるため、一時抹消登録で済みます。
しかし、家族も海外に移り住む場合は自宅を管理する人がおらず、防犯上の観点から危険が伴うため廃車や売却が必要です。
キャンピングカーの代わりになる車を紹介
ここからは、キャンピングカーを手放した後に「やっぱり持っておけばよかった」と後悔する人や、キャンピングカーを買えなくても車中泊を楽しめる方法を紹介します。
近年は動画サイトで車中泊のノウハウを提供する人が増えたり、ホームセンターで道具を扱ったり、ニーズが高まっています。
軽自動車でも便利アイテムを使ったり、自身でDIYを施したりして車中泊仕様にすることができます。
具体的には、シートをフラットにして車内空間を広く確保できる車種を選択し、寝袋だけでなくマットレスを持ち込む方法が挙げられます。
また、車中泊は山道のドライブを伴う機会が多いため、軽自動車の中でもパワーのある車種選びも車中泊仕様に欠かせない要素です。
また、内装に収納が足りないと感じる場合は自分でラックを自作して載せたり、収納ポケットを別途作ったりするアイデアも必要です。
これからキャンピングカーの購入を検討する場合は、まずお手持ちの軽自動車で車中泊を楽しむこともおすすめです。
すでにミニバンをお持ちの場合は車内空間の広さを活用してアウトドアを楽しめます。
キャンピングカーと違い調理や食事のスペースはありませんが、シートの展開方法によっては有効活用できます。
家族でアウトドアに出かけるときはもちろん、一人で車中泊を楽しみたい時にミニバンはおすすめです。
フラットにしてマットを敷けばのびのびくつろげる自分だけの空間ができあがります。
キャンピングカーはアウトドアに欠かせない存在ですが、廃車にしてしまった場合や所持していない場合も工夫次第で同じような環境を作り出せるでしょう。
なお、あまりにも大規模なDIYを行い車中泊仕様にする場合は、車の構造変更申請が必要です。申請は煩雑なため、座席を大幅に変更したり、固定家具を取り付けたりするのは避けましょう。