今後、車に乗らない場合や買い替えを検討する場合、廃車の選択肢が挙げられます。
しかし、廃車は手続きが複雑だったり業者の選定によってはトラブルから身を守る必要があるため事前に理解を深めましょう。
この記事では、廃車時に起こりうるトラブルを想定して適切な対処法を紹介します。
大切に乗ってきた愛車を手放す際に悲しい思いをしないために対策法を理解しておきましょう。
廃車時はトラブルを加味して慎重に業者選択を行おう
廃車は普段なかなか行う手続きでないため、どのような書類を持ってどこに行けばいいか分からず悩みます。
また、一口に「廃車」といっても手続きは2つに分かれるため自分がどの選択をしたらよいか悩むでしょう。
廃車手続きを進める場合、まずは「永久抹消登録」と「一時抹消登録」どちらを選択するか確認し、その上で業者に依頼したり自分で手配したりと進めます。
あわせて廃車時に起こりがちな費用の誤差や、還付金の対応についても理解してトラブルを防止しましょう。
また、乗らなくなった車の処分は買取もおすすめです。車がまだ乗れる状態であれば廃車だけでなく買取査定を視野に入れて行動しましょう。
廃車や買取で起こるトラブル7選
廃車は手続きが複雑かつ費用が発生するケースもあるため、お金絡みでトラブルが発生する可能性があります。
ここからは、実際に起こりうるトラブルを7つ紹介します。
車がまだ乗れる状態の場合、中古車販売店に売却する方法があります。車の状態により金額は異なりますが、乗り換えの資金を用意できる可能性があります。
車の走行距離がまだ10万km以下の場合や年式が古くない場合はまず買取を検討しましょう。
しかし、買取の場合は査定段階でトラブルが発生します。こまめなメンテナンスを行い大切に乗っていた車に数万円程度の価値しかつかない場合に、憤りを感じてお店側とのトラブルに発展する可能性があるでしょう。
また、業者の対応が悪く相場よりも明らかに安い価格を提示されるケースもあります。
査定時は価格の決定でトラブルが起こりやすいため、下記の対応がおすすめです。
- 現物査定前にオンラインの査定で相場を確認する
- 現物査定に出す場合、金額の内訳や評価ポイントの説明を受ける
- 査定は複数社で受ける
一社だけで見積もりを出してもらうと相場が把握できません。そのため、3社〜5社程度から査定してもらい納得が行く売却を行いましょう。
廃車の際、業者に依頼した後に「買い手が見つかったから廃車をキャンセルしたい」というケースも稀にあります。その場合、業者によってはキャンセル料が発生することもあります。
キャンセル料は業者ごとに異なりますが、数週間前から当日までで1万円〜2万円程度かかる可能性もあるでしょう。
廃車を行う場合、各業者はレッカーや重機の手配を行ったり、人員を振り分けたり段取りを組んでいます。キャンセルが発生すると段取りが無駄になってしまうため、キャンセル料は仕方ありません。
余分な出費を防ぐために廃車を決める際は自分だけでなく家族と話し合ったり、買取査定に出して価値を把握したりしてから決断しましょう。
廃車専門の業者に依頼したにも関わらず、適切に手続きが取られていないトラブルも考えられます。
近年は法整備が進み、車の不法投棄や違法な廃車に対して適切な処罰が与えられる仕組みが整っています。
しかし、いまだに悪徳業者はゼロにはなりません。そのため、業者選びは慎重に行いましょう。
廃車手続きを行うと条件によっては自動車税や自賠責保険の還付を受けられます。両者は一年分や数年分の料金をまとめて支払う仕組みのため、廃車の時期によっては払いすぎた金額が返ってきます。
自分で廃車手続きを行う場合は、自動車税や自賠責保険の解約手続きも自ら行いますが、業者に依頼する場合は確認を忘れがちです。
そのため、「還付金がこのあたりに口座に振り込まれますよ」と説明してくれる業者の選択がおすすめです。
参考までに、車の任意保険も廃車とあわせて必ず確認を行いましょう。
自分では廃車にしたつもりでも実は廃車手続きが済んでおらず、5月に自動車税の支払通知が来るトラブルも考えられます。
業者によっては車の解体を早めに行っても書類申請まで時間を要し、自動車税の支払い書類発行までに間に合わないケースも考えられるでしょう。
自動車税は毎年4月1日時点に所有している車に対して課税されます。そのため、3月末や4月頭の時点で廃車手続きが完全に済んでいない場合は支払いが発生する可能性があるでしょう。
払いすぎた自動車税は還付されますが、時間がかかります。
翌年の自動車税の発生を避けたい場合は、3月頭から遅くとも中旬までに手続きを完了させられる業者を選ぶことが大切です。
車を買取に出す際、あらかじめ提示された査定額と当日の最終確認で大幅に価格が変わるトラブルも想定できます。
例えば、査定時に必要な書類や一部パーツなど込みで金額を提示されていたにも関わらず、当日渡せなかった場合は査定額が変わる可能性があります。
また、査定から引き渡しまでに車をぶつけたり擦ったりした場合も査定額が減るでしょう。
査定から引き渡しまでの期間は、できるだけ短くすることや、必要書類を揃えた上で査定依頼するなど差額が発生しないよう手続きを進めましょう。
車が自走できない状態の場合、別途レッカーの手配が必要です。
レッカーは廃車専門業者が無料で手配してくれる場合もありますが、有料の場合もあります。
レッカーが必要な場合は事前に費用を確認した上での依頼がおすすめです。レッカー代を査定額から引かれていたり、新たに当日請求されたりしないよう事前の把握が欠かせません。
【廃車トラブル防止】業者選定時に知っておきたいポイント
ここからは、廃車のトラブルを防止するために知っておきたい、業者選定のポイントを5つ紹介します。
担当者の対応が丁寧だったり費用の内訳を進んで説明してくれたりする業者を選ぶとスムーズな取引が可能です。
第一に、最初の問い合わせ時の印象に注目しましょう。
ネットで一括査定を行い、かかってきた電話の対応や、こちらからかけた電話での印象を元に業者選びを進めると不信感を抱かず進められます。
一括査定の後に「電話は一切ありません」と記載があったにも関わらず、すぐに電話がかかってくる場合は配慮がない担当者や業者であると考えられます。
また、こちらから電話した際に対応が丁寧で質問にしっかり応えてくれる場合は査定や依頼の中で信頼感を持って頼めるでしょう。
業者とのファーストコンタクトは判断基準として重要な要素です。
実際に車を見て査定する際に、金額の内訳や車種の評価項目など納得できる説明を行う業者は信頼できるでしょう。
短時間、車を見回って「査定額は〇〇円です」と言われても、何を基準に決めているのか分からず納得できない可能性があります。
自分では「清掃をしてきれいにしてきた」と思っていても評価額が低い場合は疑問を感じたり不信感を抱いたりするでしょう。
しかし、査定後に「目立った傷や汚れはありませんが、経年から内部の劣化が進んでいるため金額が下がっております」「市場に多く出回っていますが、需要が少ないため査定額が下がります」など、理由を説明してくれる業者は親切でしょう。
手続きを進める中で折に触れてコミュニケーションを取ってくれる業者は信頼できるでしょう。
例えば、買取や廃車の流れを一通り説明した後に「疑問点はありませんか?」と確認してくれたり「引取までに不安や疑問があればご連絡下さい!」と、きめ細かなフォローができる業者は安心して手続きを依頼できます。
反対に一方的に説明するだけだったり高圧的だったりする場合は仮に手続きが無事に済んだとしても、なんとなく心にわだかまりが残るでしょう。
車を大切にしていればいるほど、廃車や売却時の扱いが気になります。自分の愛車を丁寧に扱ってくれる業者選びが欠かせません。
質問に答えてくれるだけでなく、分かりにくい用語や手続きを丁寧に説明してくれる業者も好印象です。
例えば、廃車手続きには永久抹消登録と一時抹消登録がありますが、初めて聞く場合は違いが分かりません。
用語の違いや今回とる手続きはどちらか、なぜこの手続きをとるかを噛み砕いて説明してくれる業者がおすすめです。
廃車や買取だけでなく次のステップまで見通して話を進めてくれる業者もおすすめです。
例えば、中古車販売店で買取を行う場合に「次の車もあわせて検討されますか?」と確認してくれたり「次の車の納期から逆算して廃車を進めましょう」とこちら側の意志を汲み取ってくれると安心して依頼できるだけでなく、一連の手続きに見通しが持てます。
廃車のトラブルを防ぐために知っておきたいポイント
ここからは、廃車時のトラブルを防止して手続きを円滑に進めるために知っておきたい5つのポイントを紹介します。
廃車手続きの種類や還付金について理解を深め、見通しを持ちましょう。
廃車手続きには「永久抹消登録」「一時抹消登録」の2つがあります。 二度と車に乗らない場合は解体まで行う永久抹消登録がおすすめです。
一方、海外赴任や一時的なライフスタイルの変化により車を一定期間使わない場合は一時抹消登録がおすすめです。
一時抹消登録では車体の解体は行いませんが公道を走る際に必要な登録を抹消します。車を保管しながら毎年の自動車税の発生を抑えられる点が特徴です。
例えば、海外転勤で5年程度キャンピングカーを使わない場合や子どもの部活が忙しくしばらく乗らない可能性がある場合におすすめです。
なお、一時抹消登録の場合は中古車新規登録の手続きを行えば再び車を運転できます。
いずれも車が公道を走れないようにする手続きには変わりませんが、免許を返納したり所有者が亡くなったりした場合や、一時的に車を使わない場合など適したシーンが異なるため、見通しを持って決定しましょう。
廃車と買取は車の扱いがまったく異なります。
廃車の場合、永久抹消登録であれば車体をスクラップします。また、一時抹消登録の場合は書類申請を行い車は存続するものの走行させないため一定の場所に保管するだけです。
しかし、買取の場合は業者から査定額を提示され、納得したら買取金額を受け取って車を引き渡します。引き渡した車は手入れされ、中古車市場に出回ったり使える部品を再利用されたりします。
愛車をスクラップされたくない場合や車が好きな他の誰かに乗ってもらいたいと考える場合は買取がおすすめです。
自動車における還付金は自動車税と自賠責保険が該当します。
自動車税は翌年度分の金額をまとめて先に納付する仕組みです。また、強制保険である自賠責保険も車の購入時に必ず加入して車検ごとに更新が必要です。
そのため、向こう数ヶ月や数年間の支払いを済ませており、期限内に廃車手続きを行うと先の分は返ってきます。これらの返ってくるお金を「還付金」と言います。
なお、車を運転する場合、自賠責保険ではカバーしきれない対物の補償やサポートを受けるために任意保険に加入する場合が多くあるでしょう。 任意保険の場合は「返戻金」の扱いになる点が違いです。
自動車税は廃車の際に還付を受けられます。しかし、廃車のタイミングを合わせると余分な支払いを避けられるため、遅くとも3月中旬までに手続きを終わらせましょう。
自動車税が発生するタイミングは4月1日時点で登録がある車です。そのため、3月中に登録を抹消しておけば翌年度の支払いが発生しません。
自動車税は軽自動車でも1万円以上、普通自動車では3万円〜と高い金額を支払います。年度頭は出費が増えるため、できる限り早めに廃車手続きを済ませましょう。
なお、軽自動車税は還付を受けられない点に注意が必要です。
廃車の際、車が自走困難であるならレッカー移動が必要です。また、一時登録抹消から永久抹消登録する場合も公道を走れないためレッカーの手配が欠かせません。
数日だけ仮ナンバーを取得する方法もありますが、お金がかかる上に手続きが必要なため現実的ではありません。
レッカー代は業者が負担してくれるケースと、こちらが費用を負担するケースがあるため、業者選びの際は確認しましょう。
これから明らかに車を使用しない場合は永久抹消登録を選択します。一方、5年程度の海外赴任や子どもが乗るまでの数年間車を保管しておく場合は一時登録抹消がおすすめです。
【実例】実際に起こりがちな廃車時のトラブル
ここからは、実際に起こりがちなトラブルをより具体的にイメージしてみましょう。
自分が直面した時に適切な対応をとれます。
「還付金を少しでも多く得たいから早めに手続きをしたのに、業者が申請を忘れていたため振り込まれた還付金が少なくなった。7月に手続きを完了してもらうはずだったのに9月になった」
この場合は、事前に手続完了までの期間を確認して、連絡が来ない場合はこまめにコンタクトをとりましょう。
「小規模な地元密着の中古車販売店に査定依頼して、接客態度がよかったから決定したけれどあとから大手でなんとなく一括査定したら10万円くらい高い金額がでていた」
この場合、まずは大手と地域密着店双方で複数見積をとり、相場を把握した上でかつ信頼できる業者選びが大切です。
「古い車を廃車にするつもりでいて、レッカー移動は無料でしてもらえるものと思っていた。しかし、後からレッカー費用がかかると知り、支払いはするもののなんとなく納得できない」
レッカー費用は業者によって無料か有料かが異なります。依頼前に確認して費用に見通しを持ちましょう。