車が事故で走行不可能になったり免許を返納して手放すことになったりした場合、廃車の選択肢を考えます。
廃車は業者に委託して解体(スクラップ)してもらったり登録を抹消して保管したりするため、買取と比較してお金にならない傾向があります。
そのため、「せめて使えるパーツは保管しておきたい」と考える方もいるでしょう。
この記事では、まだ使えるカーナビが車についている場合の対処法を紹介します。カーナビのタイプごとにベストな選択肢を見極めましょう。
カーナビは種類によって取り外しの可否や費用が異なる
結論から言うと、カーナビは種類によって取り外しにお金がかかったり、買い取りの場合は査定額に響く可能性があるため、あまり取り外さないほうが賢明です。
レッカー移動が必要なほど車の状態が悪くて後付のカーナビを設置している場合は、自分で取り外し可能です。
しかし、購入時から内蔵されているカーナビの場合は取り外しに工賃がかかり、かつトラブルが発生する可能性が高いためそのまま廃車にしたり買取査定に出すほうがよいでしょう。
車自体もできる限り買取を検討し、次の車の購入資金を確保できるように進めましょう。
カーナビの取り外しは種類によって異なる
ここかからは、カーナビの取り外し方についてタイプごとに解説します。
カーナビは一般的に「ポータブル」「オンダッシュ」「インダッシュ」に分かれます。種類によっては取り外しに工賃がかかるため注意しましょう。
ポータブルタイプは、後付可能なカーナビなので、ダッシュボードに自分で取り付けたり外すことができます。
ここで指す商品は、カーナビ機能のみのものです。そのため、コンパクトかつ比較的リーズナブルな商品が多い特徴を持っています。 数千円から購入できますが、他のタイプと比較して位置情報の精度やデータの更新頻度が遅い商品が多いでしょう。 取り外して後で使う際は、精度の高さが十分かを確認して再利用がおすすめです。
オンダッシュタイプもポータブルタイプと同じく後付出来るカーナビなので、自分で取り外し可能です。
ここで指す商品は、カーナビ機能だけでなくワンセグ・フルセグ、ドライブレコーダーなどの機能を兼ね揃えたものを指します。
やはりインダッシュタイプと比較して精度こそ低い傾向にありますが、手軽かつ必要な機能がまとめて確保できるためカーナビがついていない中古車を購入する際などに適した選択肢です。
インダッシュタイプは、車の購入時にすでに付随しているカーナビを指します。オーディオスペースに埋め込まれており、カーナビ機能・オーディオ・アラウンドビューモニターなど様々な機能がまとめて使えるしくみです。
なお、インダッシュタイプを取り外す場合は業者に依頼が必要です。大体8,000円〜1万円程度かかる可能性もあるため、あまり現実的ではありません。 とくに、買取に出す場合はカーナビがついているかで査定額に差が出るため、そのままがおすすめです。
廃車買取時は取り外すパーツに注意
ここからは、カーナビ以外にも廃車や買取時に部品の取り外しを検討する方向けに注意点を紹介します。
車は自分が所有者のため自由に部品を扱ってもいいイメージを受けますが、ものによっては取り外しが禁止されているため把握しましょう。
廃車や買取前にパーツを取り外す場合は「車検に通るかどうか」で判断が必要です。
一般的に車は2年(新車の場合は初年度から3年)に一度、車検を受けて通った場合のみ公道の走行が可能です。
車検では車が安全に走れるかを判断するため、エアバッグやライトなど重要なパーツを外してしまっては通すことが不可能です。
パーツを外す際は「安全性を損なわず車検に通せる状態か」を意識して行いましょう。
取り外し不可の主なパーツを紹介
ここからは、具体的に取り外しできないパーツを4つ紹介します。
いずれも車の安全性に直結するパーツのため、勝手な取り外しや転売は厳禁です。
エアバック類は、万が一の場合に命を守るパーツのため、取り外しは避けましょう。
エアバックは1990年代頃から車に搭載されるようになり、近年はハンドルや助手席前方に付いているものだけでなく、ガラス面付近に出るカーテンエアバッグなど多くの物が付属されています。
しかし、義務化がされていないため「取り外してもいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
エアバック自体に義務はないものの、取り外した際は警告灯がついてしまいます。そうなると車検には通らなくなるため、エアバックは基本的に取り外さないものと考えましょう。
なお、エアバックの販売は2005年の自動車リサイクル法制定により禁止されています。
マフラーは車の後ろ部分にでている筒状のパーツを指し、走行時の騒音を抑える役割があります。
こちらも車検には必要なため取り外しは不可です。しかし、車好きの方の中には音を楽しみたいと考え、別のマフラーにカスタマイズするケースも見られます。
カスタマイズ自体は可能ですが、マフラーは車検で条件が厳しく定められており、取り付け位置や近接排気騒音など、様々な項目が設けられています。
自分で購入したマフラーを外すことは問題ありませんが、純正のものや車検に通すために必要なマフラーはつけたままにしておきましょう。
下記のライトは「灯火類」と呼ばれ、車検でチェックされる項目のため、取り外しはできません。
- ヘッドライト
- スモールライト
- ウインカー
- バックライト
- ブレーキランプ
例えば、ウィンカーがなければ右左折時に後続車や対向車がこちらの曲がる意志を確認できず衝突事故につながります。
さらに、ライトがついていなければ夜間の走行において危険性が高まり、無灯状態とみなされて罰せられます。
バッテリーは車のエンジンを動かすために必要なだけでなく、カーナビやオーディオを動かすためにも欠かせないパーツです。
バッテリーに関して車検では設置するのに定義があり、走行中に動かないよう固定したり振動で破損しない状態を守ったりの記載があります。
バッテリーは2〜3年で交換が必要なため、買取や廃車時に取り外しても問題がないイメージを持ちますが、業者に指示を仰ぎながら適切に対応することが大切です。
車の扱いに慣れている方は自分で触れますが、あまり詳しくない場合は勝手に取り外さないようにしましょう。
パーツの取り外しは、車検に通るかどうかで判断することが大切ですが、その先にあるものは「人の命に関わるかどうか」です。
ライトがなければ夜間に危険が及びます。また、エアバックにおいてもシートベルトとあわせて万が一の時に被害を最小限に抑える役割を果たします。
車検に通るかだけでなく、そのパーツを取り外すことで人に影響を与えないかを理解することが大切です。
パーツの取り外しとあわせて知りたい「自動車リサイクル法」とは?
ここからは、車のパーツを取り外したい時に知っておきたい「自動車リサイクル法」について紹介します。
廃車・買取問わず、車のパーツを売ったり再利用したりしたいと考える場合は、決まりを守った対応が欠かせません。後から罰せられないためにも理解を深めましょう。
自動車リサイクル法は、2005年に制定された法律です。
近年注視される「リサイクル型社会」を目指す取り組みとして車の所有者や各種関連事業者、自動車メーカーや輸入業者の取るべき行動を定めています。
所有者は、リサイクル料金の支払い、登録された引取業者への廃車引渡しをすることが定められています。
業者は、基準に従って適正に資源を回収すること、また、解体においては基準に従って適正に解体しシュレッダーダスト(クルマの解体や破砕後に残る物)を適切に処分することが定められています。
自動車リサイクル法が制定された背景としては、埋め立て地の不足や環境の悪化が挙げられます。
近年は最終処分場のスペースが不足したり、処分費用が高騰したりして不法投棄が多く見られました。さらに、車のエアコンに使われるフロン類は適切に処理しなければオゾン層破壊や地球温暖化問題の要因にもなります。 これらの問題を解決し、住みよい環境を保ち続けるために法律が定められました。
地球環境の急速な変化から未曾有の豪雨や暴風などが多く発生しています。人々の命を守るためにも自動車を適切に処分することは欠かせないポイントと言えるでしょう。
リサイクル料金は車体によって異なり、下記の料金設定になっています。
軽・小型乗用車(コンパクトカー) | 7,000円~1万6,000円程度 |
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普通乗用車 | 1万円~1万8,000円程度 |
中・大型トラック | 1万円~1万6,000円程度 |
大型バス | 4万円~6万5,000円程度 |
なお、料金は原則として新車購入時に支払います。
廃車買取時にカーナビを取り外す注意点
ここからは、カーナビに話を戻して取り外す時の注意点を紹介します。
とくに買取を検討する場合は外し方や査定額を鑑みた選択が欠かせません。ここでは買取を検討する場合にフォーカスして解説します。
車についているカーナビが純正の場合は取り外さず、そのまま査定に出しましょう。
純正カーナビは買取査定に反映されます。また、内蔵されたカーナビの場合は取り外しに数千円〜1万円程度の工賃がかかるため、余分なコストを減らすためにもそのままがおすすめです。
なお、カーナビつきの車を査定に出す際は取り外しのタイミングに注意しましょう。カーナビをつけたまま査定金額を提示されたにも関わらず、引取前に取り外してしまうと査定金額が変動してトラブルの原因になります。
買取査定に出す場合は、まずカーナビをつけたまま概算を出してもらい、カーナビ有無による金額の変化を確認した後に取り外し作業を行いましょう。
後付けカーナビの場合は両面テープや強力な吸盤で接着するケースが多くあります。
長年取り付けていた場合は取り外し後に跡がついているため、ケアが欠かせません。ただし、やみくもに擦るとダッシュボードに傷がついたり、粘着面が頑固に残ったりします。
テープ面をきれいにしたい場合はゴムやプラスチック製のスクレイパーを使って少しずつ取り除きましょう。なお、テープ剥がしの溶剤を使うとダッシュボードの変色が起こる可能性があるため注意が必要です。
カーナビをはじめとした車のパーツはそれぞれが高価なため、取り外して有効活用したいと考えます。しかし、取り外した時に工賃がかかると結果的に損をする可能性があるでしょう。
廃車や買取は乗らなくなった車を手放す手段ですが、今後のことを考えるとできるだけ費用を抑えて手続きを行いたいものです。そのため、「勿体ない」を意識しすぎて余分なお金がかからないように注意しましょう。
取り外したあとのパーツの活用方法
ここからは、取り外したパーツの活用方法を紹介します。
主な方法としては、以下の3つが挙げられます。
カーナビやオーディオ機器の場合は需要があり、オークションで購入してもらえる可能性があります。
ただし、手数料や送料が発生するため、それらを鑑みた金額設定が欠かせません。
なお、エアバックやタイヤなどの販売は自動車リサイクル法で禁止されているため、あくまで後付のものに留めましょう。
オークションでの販売が難しいと感じる場合は、パーツ専門の買取業者に依頼するのがおすすめです。
お住まいのエリア近くにある店舗に相談して買取可能かを確認します。カーナビやオーディオ以外にも、スペアであまり使っていないタイヤの買取も依頼できます。
次に車を購入する予定がある場合は、取り外したパーツをそのまま活用する方法もあります。
中古車でカーナビがついていない車の場合に使いまわしたり、タイヤサイズが合えばスペアタイヤをそのまま使えたりします。
廃車にする際は買取業者に相談するのがおすすめ!
廃車にする際のカーナビをはじめとしたパーツの取り外しや売却は知識がない状態で進めると、知らず知らずのうちに法に触れたりトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。そのため、買取業者に相談するのがおすすめです。
買取業者は車の査定金額を提示し、引き取りを行うだけではありません。買取や廃車に関する様々な悩みに対してサポートもしてくれます。
車を廃車にしようか買取に出そうか迷っている場合や、後付したパーツやアイテムがある場合のお得な対処法も紹介してくれます。
車を手放す際に困ったことがあれば、まず相談してみましょう。
買取業者を選ぶ際はポイントを押さえて依頼しよう
買取業者は豊富にあるため、いくつかのポイントをおさえて選定するのがおすすめです。
ここからは、安心して任せられる業者の選び方を紹介します。対応や査定時の説明に着目しましょう。
第一に、相談した際に担当者の対応に注目しましょう。
ネットで一括査定を行った場合にしつこい電話があったり、断っているにも関わらず声をかけてきたりする業者はおすすめできません。
一括査定の場合、多くの業者から電話がかかってくると恐怖を感じることもあるでしょう。その場合は電話をしないと明言している業者を選んだり、地元密着の店舗に相談したりする方法がおすすめです。
また、相談時に必要以上に買取を急かしてくる担当者も注意しましょう。自分のノルマがかかっており、お客様のことを考えていない可能性があります。
「今はまだ業者を選んでいる最中です」と伝えて、対応をうかがいましょう。良識のある業者の場合は引いてくれる可能性が高く、相手のことを考えられる業者の場合はアドバイスをくれることもあります。
査定や契約時に納得できる説明があるかも業者選びのポイントです。
査定時に金額の根拠となる理由を説明しながら進めてくれたり、パーツをどうしたら査定額アップにつながるかを教えてくれたりする業者は信頼できます。
例えば「このパーツを純正のものに戻してもらえると需要が高まるためおすすめします」など、こちらの気持ちに寄り添ったアドバイスをくれる業者は信頼できます。
契約についてもただ急かすだけでなく、無理のないスケジュールを組んだ上で「今の方が査定額を高いまま売却できるのでおすすめです」と提案してくれると安心して進められるでしょう。
なお、査定時や契約前に「あまり信頼できないな」と感じた場合は無理に進めず再検討します。後々のトラブルを防止するために、買取業者の選定は慎重に進めましょう。