廃車手続きでは普段見慣れていない様々な書類を準備する必要があります。その一つとして「戸籍謄本」があります。提出必須の書類ではありませんが、条件によっては用意が必要です。

この記事では、廃車手続きで戸籍謄本が必要になるケースや戸籍謄本の取得方法、その他に特殊な書類が必要となるケースを紹介します。

廃車を考えている方で、初めての手続きに不安を感じている場合や特別な条件に自分が当てはまるのか確認したい場合は、ぜひ参考にしてください。

廃車手続きには戸籍謄本が必要なケースについて

廃車手続きでは様々な書類を準備する必要があります。また、永久抹消登録や一時抹消登録などの廃車手続きの種類や個人の条件によって必要な書類は変わってきます。

取得までに時間のかかる書類もあるため、必要書類は事前に確認しておくことが大切です。

ここからは、戸籍謄本とはどのような書類なのか知った上で、廃車手続きで必要となるケースを見ていきましょう。

戸籍謄本とは?その内容について

戸籍謄本とは?その内容について
戸籍謄本とは、戸籍簿に記載されている情報と同じ内容が戸籍内の全員分記載された書類を指します。

戸籍簿とは、戸籍制度に基づいて1人または2世代にわたる複数人の生年月日や氏名、続柄、血縁関係などの個人情報をまとめた書類です。

各手続きにおいて籍謄本を提出することで、相続人の特定や婚姻などにおける身分関係の証明が可能です。

現法律では、同じ戸籍に記載できるのは最大で2世代と決められています。そのため、祖父母と孫の情報は一緒に記載されません。

相続などで祖父母の戸籍謄本が必要な場合は、祖父母が筆頭者となる戸籍謄本の取得が必要です。

除籍謄本との違い

除籍謄本とは、除籍簿に記載されている情報と同じ内容が全員分記載された書類を指します。

除籍簿とは、婚姻・離婚・死亡・転籍などにより戸籍内から全員が除籍された場合に、それらの情報が記載される書類です。

本来は、戸籍内の一部の人が除外されただけの場合は、戸籍のままです。しかし、近年では死亡や婚姻による氏名変更を証明するため、全員が除籍されていなくても除籍謄本と呼ぶ場合もあります。

除籍謄本は主に相続人調査で必要です。例えば、遺産分割協議をするために相続人を確定する必要があるときは除籍謄本を用意する必要があります。

謄本と抄本の違い

謄本とは、そもそも元となる情報の内容を全て書き写して作成された文書のことです。

抄本とは、元となる情報の一部を抜き出して書き写した文書のことを指します。

戸籍に関連する書類でいうと、戸籍謄本は登録されている全員の情報を証明する書類で、戸籍抄本は戸籍に登録されている一部の人の情報を証明する書類ということです。

また、戸籍謄本は地域によって「戸籍全部事項証明書」と呼ばれています。謄本=全部事項証明書とおぼえておきましょう。

戸籍抄本も地域によって「戸籍個人事項証明書」と呼びます。抄本=個人事項証明書であると把握しておいてください。

廃車手続きで戸籍謄本が必要な2つのケース

廃車手続きで戸籍謄本が必要な2つのケース
ここからは、廃車手続きで戸籍謄本が必要なケースを2つ紹介します。

必要となる条件は、結婚や離婚により名字が変更になった場合や車の所有者が亡くなった場合です。

名字や名前が変更になったケース

自動車を取得した後に結婚や離婚で名字が変更になった場合や何らかの事情で下の名前を変更した場合、廃車手続きを行うためには戸籍謄本や抄本が必要です。

手続きにおいて戸籍謄本・抄本が必要となるのは、氏名が異なっていても同一人物であることを証明するためです。

一般的に自動車検査証(車検証)に記載されている個人の情報と印鑑登録証明書に記載されている個人の情報が異なる場合、同一人物であることを証明する必要があります。

戸籍謄本・抄本は氏名が変更となった際も同一人物であることの証明が可能です。また、車検証の所有者の氏名変更が証明できればよいため、戸籍内の全員の情報が記載された戸籍謄本ではなく、戸籍抄本で問題ない場合もあります。

車の所有者が亡くなったケース

自動車の所有者が亡くなっている場合の廃車手続きでも戸籍謄本が必要になる可能性があります。

車検証に記載されている所有者が亡くなった場合、名義変更をしてから廃車手続きを行う必要があります。基本的に亡くなった所有者名義のまま廃車手続きは行えません。

まずは、相続権のある方の中から代表相続人を決定し、代表相続人名義に変更したうえでの廃車手続きが必要です。

亡くなった所有者の戸籍上の全員が除籍になっている場合は除籍謄本が必要です。

また、廃車手続きを行わずに名義変更して資産として受け継ぐ場合でも戸籍・除籍謄本の提出が必要となるケースもあります。

軽自動車の廃車手続きに戸籍謄本は必要?
軽自動車の廃車手続きでは基本的に戸籍謄本を用意する必要はありません。所有者が亡くなっている場合でも、申請依頼書に所有者の名前を記載し、本人名義のまま代理人での手続きが可能です。
ただし、還付金を受け取りたい場合は戸籍謄本の提出が必要な場合もあります。手続きが複雑になる場合は、事前に管轄の軽自動車検査協会に問い合わせましょう。
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戸籍謄本の取得方法

戸籍謄本の取得方法
ここからは、戸籍謄本の取得方法を紹介します。

廃車手続きにおいて戸籍謄本が必要な条件に当てはまった方はスムーズに書類を準備できるよう参考にしてください。

市区町村の窓口を利用する

戸籍謄本の発行は本籍地となる市区町村の窓口で行えます。

今住んでいる市区町村の役場ではなく、本籍地の市区町村役場で行う必要がある点に注意しましょう。本籍地と現住所が同じであれば問題ありません。

基本的に結婚していない場合は親の本籍地、結婚している場合はその際に定めた本籍地となっています。

取得申請時に必要なものは以下のとおりです。

  • 交付請求・申出書(当日窓口で取得可能)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
  • 手数料:450円

市区町村によって必要書類が異なる場合があるため、事前に問い合わせて確認しておくと安心です。

また、本籍地が分からない場合は本籍地の記載がある住民票を取得して確認しましょう。住民票は現住所の市区町村役場で取得可能です。

電子申請で受け取る

管轄の自治体が電子申請システムに対応している場合、インターネット上で請求が可能です。

取得申請時に必要なものは以下のとおりです。

  • マイナンバーカード(もしくは住民基本台帳カード)
  • ICカードリーダー(もしくはマイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン)
  • クレジットカード
  • 手数料:450円

自治体によってはシステムの仕様上、必要なものが異なる可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。

申請後はおよそ1週間で住民票に記載されている住所へ書類が送付されます。また、電子申請は本人以外の利用はできませんので代理での取得を考えている方は注意しましょう。

郵送で申請する

戸籍謄本は郵送での取り寄せも可能です。

郵送請求書に必要な情報を記入し、切手を貼って宛名を記入した返信用封筒を同封して管轄の窓口へ送付しましょう。

取得申請時に必要なものは以下のとおりです。

  • 郵送請求書
  • 本人確認書類のコピー(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
  • 手数料:450円

自治体によって多少異なりますが、およそ1週間~10日程で申請した書類が手元に届きます。

詳しい方法は本籍地を管轄する市区町村役場にお問い合わせ下さい。

コンビニのマルチコピー機で印刷する

マイナンバーカードを持っていれば、コンビニのマルチコピー機で戸籍謄本を印刷できます。手数料は350円です。

書類の取得は24時間対応ではなく、6時半〜23時までのため注意しましょう。

また、住所地と本籍地が異なる場合は、事前に利用登録が必要です。マルチコピー機から利用登録を行えますが、完了まで日数がかかるため、早めの対応を心がけましょう。

代理人に請求を依頼する

戸籍謄本は、窓口や郵送であれば代理人による請求でも取得可能です。

代理で取得できるのは、以下に該当する人です。

  • 取得する戸籍に含まれる本人
  • その本人の配偶者、または直系の親族

上記以外の人が代理で戸籍謄本を取得する場合は委任状を用意する必要があります。また、代理人自身の本人確認書類が必要なケースもあるため、あわせて用意しておきましょう。

戸籍謄本を取得する際の注意点

戸籍謄本を取得する際にいくつか注意しておきたい点があります。

まず、戸籍謄本の取得は本籍地の自治体のみで可能です。現住所の自治体ではありませんので注意しましょう。

申請時には本人確認書類や手数料が必要なため忘れずに持参して下さい。

廃車手続きにおいて、戸籍謄本ではなく除籍謄本が必要なケースもあります。自分が行う手続きでどちらが必要になるか事前に確認しておきましょう。

申請方法は複数ありますが、電子申請や郵送での取り寄せは日数がかかるため、余裕を持って準備することが大切です。急ぎで必要な場合は、窓口やマルチコピー機を利用しましょう。

また、代理人に取得してもらう場合は委任状が必要なため、依頼する際は忘れないよう注意して下さい。

一時抹消登録と永久抹消登録の違い

一時抹消登録と永久抹消登録の違い
ここからは、廃車手続きである「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の概要を紹介します。

廃車手続きと一口にいっても複数の手続きに種類が分かれているため、手続きの内容や条件、必要書類をそれぞれ把握しておくことが大切です。

一時抹消登録とは?

一時抹消登録とは、車検証とナンバープレートを返却し、自動車の登録を一時的に抹消する手続きのことです。

一時抹消登録を完了させた自動車は公道で走行させてはいけません。再び同じ自動車に乗る場合は「中古車新規登録」を行う必要があります。

例えば、入院や長期出張でしばらくの間は自動車に乗らないものの、一定期間後に再び乗る可能性があるときに一時抹消登録を行います。

また、再び乗る予定がなくても譲り先が見つかるまで一時抹消登録しておけば自動車税の支払いが必要なくなるため、無駄な費用を抑えたい方にもおすすめです。

自動車税の還付は廃車手続きが完了すれば受け取れます。自賠責保険や任意保険は別途自分で解約手続きを行う必要があるため忘れないように注意しましょう。

永久抹消登録とは?

永久抹消登録とは、その名の通り自動車の登録を永久的に抹消する手続きのことです。

自動車の解体をあわせて行うため、永久抹消登録を行った車は二度と公道を走行できません。

自動車が何らかの理由で利用できなくなって処分したり、廃車として買取ってもらった際に必要な手続きです。

永久抹消登録を行うと、自動車税に加えて自動車重量税の支払い義務もなくなり、払いすぎていた分は還付を受けられます。自賠責保険や任意保険は一時抹消登録の時と同様に自分で加入している会社へ連絡して解約手続きする必要があるため、忘れないよう注意しましょう。

永久抹消登録を行うと、二度と同じ自動車には乗れませんので、少しでも乗る可能性がある場合は、手続きを行うか慎重に決めましょう。

一時抹消登録と永久抹消登録どちらも戸籍謄本が必要ですか?
条件によっては、どちらの廃車手続きでも戸籍謄本が必要です。例えば、名字が変わった時や車の所有者が亡くなった時などの廃車手続きで提出します。
車検証の所有者名義と印鑑登録証明書の名義が同一人物であることを証明するために必要な書類ですので、一時抹消登録でも永久抹消登録でも必要です。

名字が変わった場合の廃車手続き

名字が変わった場合の廃車手続き
ここからは、結婚や離婚で名字が変わった際の廃車手続きの方法を紹介します。

書類を準備する前に、別の手続きが発生するため、期間に余裕を持って準備をはじめましょう。

新しい名字で印鑑登録を行う

一時抹消登録でも永久抹消登録でも、車検証上の所有者と印鑑証明書の名義が一致しているか確認を行います。

名字が変わると旧姓の印鑑登録が失効します。印鑑証明書の取得を進めるためには新しい名字での印鑑登録が必要です。ただし、下の名前で印鑑登録を行っていた場合は名字が変更になっても関係がないため、新たに印鑑登録を行う必要はありません。

名字が変わった場合の廃車手続きでは、まず印鑑証明書を取得するために印鑑登録のし直しを進めましょう。

戸籍謄本を取得する

廃車手続きは原則、車検証上の所有者のみ行えます。そのため、車検証上の名義と印鑑証明書の名義の一致が必要です。

新しく登録し直した印鑑証明書の名義は、車検証上の所有者と名字が異なります。そのため、名字が異なる双方の名義が同一人物だと証明するために戸籍謄本が必要です。

戸籍謄本には新しい名字と昔の名字の関係をつなげる役割があると覚えておきましょう。

戸籍謄本の取得は本籍地の自治体で行います。本籍地が遠方にある場合や窓口に出向く時間がない場合は、電子申請システムや郵送、コンビニのマルチコピー機などを活用しましょう。

住所が変わった場合の廃車手続き

住所が変わった場合の廃車手続き
ここからは、住所が変わった場合の廃車手続きの流れを紹介します。

住所変更したタイミングが車検証記載から5年以内の場合と5年以上経過している場合に分けて見ていきます。

車検証の記載から5年以内の場合は住民票の取得

廃車手続きの際に車検証の住所から引っ越しをしている場合、車検証に記載されている住所から現在の住所に変わったのが5年以内であれば、住民票を取得しましょう。

引っ越し回数が1回であれば、住民票に転居する1つ前の住所の記載が可能です。また、廃車手続きでマイナンバー情報は必要ないため、記載不要で問題ありません。

しかし、車検証記載の住所から複数回引っ越ししていたり、5年以上経過していたりする場合、住民票に車検証記載の住所が記載されていない可能性があります。その場合は、別の書類が必要となるため注意してください。

車検証の記載から5年以上経過している場合は戸籍の附票を取得

車検証に記載されている住所から現在の住所に変わって5年以上経っている場合、住民票で確認できない可能性があります。そのため、戸籍の附票の取得が必要です。

戸籍の附票には、戸籍に入っている全員の住所移動の履歴が記載されています。また、引っ越しを複数回行っていたり、市区町村をまたぐ住所変更をしていたりする場合も戸籍の附票が必要になります。

車検証の名義が昔の名字でも廃車手続きできますか?
車検証の名義が旧姓のままでも廃車手続きは可能です。ただし、車検証の所有者名義と印鑑証明書の名義が異なる場合は廃車手続きを行う人が本人であるかどうかが分かりません。それを証明するために戸籍謄本が必要になります。

まとめ

①戸籍謄本は結婚や離婚により名字が変更になった場合の廃車手続きで必要
②車の所有者が亡くなった後の廃車手続きでも戸籍謄本が必要
③戸籍謄本の取得は本籍地の自治体で行う
④軽自動車の廃車手続きでは原則、戸籍謄本は必要ない
⑤廃車手続き時に戸籍内の全員が除籍されている場合は除籍謄本が必要

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