廃車手続きを業者に代行してもらう場合の必要書類が何か分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、廃車手続きを業者に代行してもらう場合の必要書類や代行業者の種類、選び方などを紹介します。
業者によって、手続きの対応範囲が異なる場合があるため、手続きをどこまで対応してくれるのか確認しておくことが大切です
廃車手続きをスムーズに進めたい方はぜひ参考にしてください。
複雑な廃車手続きは代行業者を利用するのも一つの手段
廃車手続きは条件によって必要な書類が変わるため、スムーズに進まないと悩むこともあるでしょう。そんな時は業者に代行してもらうことで負担の軽減が可能です。
複雑な条件で必要書類が分からなかったり、仕事が忙しく手続きのために各自治体や運輸支局に出向く時間がなかったりする場合は、業者に手続きを代行してもらうのも一つの手段です。
そもそも廃車手続きとは?
業者に代行するにあたって、まずは手続きの概要や種類を紹介します。
廃車手続きと一口にいっても、その種類は大きく2つに分かれます。必要書類や手続きの流れ、廃車後の自動車のあり方などが異なりますので、違いを把握しておきましょう。
一時抹消登録とは、自動車の登録を一時的に抹消する手続きのことです。車検証とナンバープレートを返却するため、一時抹消登録が完了したら車は公道で走行できなくなります。また、再び車に乗る場合は「中古車新規登録」を行う必要があります。
一時抹消登録が向いているのは、入院や長期出張でしばらくの間車に乗らない期間があるものの、一定期間後に再び乗る可能性があるときや、再び乗る予定がなくても譲り先が見つかるまで自動車税の支払いを止めたい場合などです。
一時抹消登録を行うことで自動車税の支払いが必要なくなるとともに、支払い過ぎている分の還付金が受け取れるため、無駄な費用を抑えたい方にもおすすめです。
自動車税の還付は手続きが完了すれば受け取れます。ただし、自賠責保険や任意保険は別途自分で解約手続きを行う必要があるため注意しましょう。
永久抹消登録とは、自動車の登録を永久的に抹消する手続きのことです。自動車の解体を行ってから永久抹消登録の手続きを進めるため、車には二度と乗車することはできません。
自動車が何らかの理由で利用できなくなり処分したい場合や、廃車として買い取ってもらいたい場合などに必要な手続きです。
永久抹消登録を行うと、自動車税だけではなく自動車重量税の支払い義務もなくなります。また、支払いすぎていた分の金額は還付を受けられます。
自賠責保険や任意保険は加入している会社で解約手続きする必要があるため、忘れずに連絡して手続きを進めましょう。
永久抹消登録は車の解体を伴うため、少しでも将来乗る可能性が残っている場合は慎重に検討しましょう。また、家族で使っている自動車の場合は今後利用したい人がいないか話し合ってからの手続きをおすすめします。
廃車手続きを代行してくれる業者
ここからは、代行業者の種類を紹介します。
業者によってかかる費用や対応範囲が異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
業者選びに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
廃車買取業者は解体から書類提出まで一貫して代行を依頼できます。廃車の買取を専門としているため手続きにも慣れており、廃車手続きが初めてで書類や流れを把握できていない方でも安心して任せられるでしょう。
廃車買取業者は、状態が悪い自動車でも買い取ってくれたり、無料で引き取ってくれたりします。
買い取った自動車のエンジンやドア、ハンドルなどのパーツを分解して鉄やスクラップなどの金属資源として売却することで利益を上げています。そのため、完全に動かなくなった自動車でも無料で引き取ってくれるケースが多いようです。
解体から申請手続きまで、まとめて対応してくれるため、手続きが煩雑で悩んでいる方や忙しくて手続きに運輸支局に行けない方などは廃車買取業者への代行がおすすめです。
一時抹消登録をして車を売却したい場合は、中古車買取業者への代行依頼がおすすめです。
中古車買取業者は一時抹消登録した車の再販売を目的としているので、メンテナンス技術が高い傾向にあります。そのため、自分では「価値がつかないだろう…」と思っていたとしても、値段がつく可能性があるでしょう。
また、無料で代行してくれる業者も多いため、少しでも手元にお金を残したい方は、初めに中古車買取業者への依頼をおすすめします。
ただし、業者が再販売できないと判断した場合は、廃車手続きの代行費用が別途発生する可能性があります。
現在所有している車を処分した後、すぐに新しい車の購入を検討している場合、ディーラーへ代行依頼するとよいでしょう。廃車と購入を一度に行えるため、手続きをまとめられて手間が減る上に手元に自動車がない期間を短縮することが可能です。レンタカーや代車の手配がなくなるため、手続き完了後の手間も省けます。
ただし、廃車にする自動車の状態が悪いと再販売できないと判断され、廃車手続きの費用を請求される可能性もあります。同時に購入を検討すると廃車手続きを無料で行ってくれる場合もあるため、事前に利用しているディーラーへ相談しておくとよいでしょう。
また、次の車の購入を考えていない場合は手続きを断られたり、費用が発生したりするため、別の業者への依頼をおすすめします。
自動車解体工場は廃車や解体の専門家のため安心して任せられます。一般的に無料で廃車手続きを行ってくれます。
解体する自動車が自走可能な場合は直接工場に持ち込みましょう。自走できない場合はレッカー車の手配が必要です。その費用をどちらが持つかは事前に利用する自動車解体工場に確認しておきましょう。
また、解体後の帰宅手段をあらかじめ考えておくことをおすすめします。
書類提出関係のみを代行してもらいたい場合は行政書士がおすすめです。
行政書士は行政手続きの専門家で、行政にかかわる書類作成から行政機関への提出代行まで担っています。そのため、解体の必要がなく手続きのみの一時抹消登録では安心して提出代行まで依頼できるでしょう。
ただし、手続きの代行は有料となるため、他の業者に依頼するよりも費用がかかってしまう点に注意が必要です。
また、永久抹消登録に必要な解体作業は代行できないため、自分で行うか別の業者に依頼する必要があります。手続きを一貫して代行できないため、永久抹消登録での依頼はあまりおすすめできません。
ただし、行政書士への代行依頼は有料のため覚えておきましょう。
廃車手続きを代行する際の流れと必要書類
ここからは、廃車手続きを代行する際の流れと必要書類を紹介します。
自分で手続きする場合とは異なる必要書類が発生するため、違いを理解しておきましょう。
廃車手続きを代行する前に、まずは一時抹消登録と永久抹消登録のどちらにするか決めましょう。手続きの種類によって必要書類や流れは変わります。
一時抹消登録は、自動車の登録を一時的に抹消するだけのため解体やスクラップは行いません。自動車自体は残るため中古車として再販売する場合に中古車新規登録を行えば再び走行可能です。そのため、中古車買取業者に買い取ってもらう場合は一時抹消登録を選択しましょう。
永久抹消登録は、解体して二度と同じ自動車に乗れない状態にする手続きのため自動車そのものの再販売はできません。解体してパーツを販売する廃車買取業者に引き取ってもらう場合は永久抹消登録を選択しましょう。
廃車手続きを代行依頼する場合の必要書類を紹介します。
利用する業者によって必要書類は変わってくるため、実際に依頼する場合は利用する業者へ確認しておくことが大切です。
- 車検証
- 自賠責保険証
- 運転免許書のコピー
- 印鑑証明書
- 実印を押印した委任状
手続き時に実印を押す場面が発生するケースもあります。
代行業者によって代行してくれる範囲や車の引き渡し方法が異なるため、自分の条件に合った業者選びが大切です。
例えば、海外出張で一時的に車を利用しない期間があるが、出張が終わって帰国した後は再び自動車を利用したい場合には、一時抹消登録を行います。自動車の保管場所が確保できていて、手続きが書類申請だけの場合は行政書士の利用がおすすめです。
自動車を手放す場合は、中古車買取業者や廃車買取業者など自動車の引き取りを行ってくれる業者を選びましょう。
代行業者へ車を引き渡す場合は、その方法を事前に決めておきましょう。
車が自走できる状態なら自分で運転して店舗まで持ち込みます。走行できない状態ならレッカー車の手配が必要です。
レッカー車の手配の費用は業者によって異なります。無料サービスとして実施している業者もあれば有料の業者もあります。また、買取金額から差し引く場合もありますので、契約前に確認しましょう。
依頼業者と車の引き渡し方法が決まったら必要な書類を準備します。代行業者に書類を提出したら手続き完了の連絡を待ちましょう。
手続きが完了したら廃車証明を受け取る必要があります。証明書の送付にかかる日数も業者によって異なります。なかなか送られてこないと不安なので、事前に送付までの日数を確認しておきましょう。
予定の日数を過ぎても送られてこない場合は、手続きの代行を依頼した業者に問い合わせて確認してください。手続きが適切に行われていないと様々なトラブルが発生しますので、必ず証明書を受け取るまでは手続きが完了していないと考えましょう。
廃車手続きの代行業者を選ぶポイント
ここからは、自分の条件にあった代行業者を選ぶポイントを紹介します。
手続きの種類や手続き後の自動車のあり方などで利用しやすい業者が変わってきます。
ポイントを押さえてスムーズに廃車手続きを済ませましょう。
廃車手続きが初めての方はもちろん、過去に行っている場合でも短期間で何度も行う手続きではないため、必要書類や手続きの流れについて様々な不安が発生するでしょう。
依頼者が抱える不安や疑問点をしっかり聞いて、丁寧に説明してくれる業者を選ぶことで安心して代行依頼できます。
また、細かい点まで説明してくれることで手続き後のトラブルも発生しにくいと考えられます。
廃車の代行を引き受けている業者は繰り返し対応を行っているため知識が豊富です。その知識をしっかり依頼者へ提供してくれる業者は信頼できるといえるでしょう。
廃車手続きの代行を無料で引き受けてくれる業者もあります。また、自動車に価値があると判断されれば買い取ってくれる業者もあり、手元にお金が戻ってきます。
費用をなるべく抑えて廃車手続きを行いたい方は、無料もしくは自動車の買い取りをしてくれる業者を選びましょう。
走行が可能で再販売できそうな自動車であれば、まずは中古買取業者へ持ち込みます。
再販が難しい場合は廃車買取業者で確認してもらいましょう。廃車買取業者であれば、再販売はできなくても解体後のパーツに利用価値があるため、買い取ってもらえる可能性があります。
廃車手続きの費用をプラスにしたい場合は中古買取業者や廃車買取業者へ、プラスにならなくても無料であれば問題ない場合は自動車解体工場へ依頼しましょう。
永久抹消登録で車の解体を行う場合は、リサイクル工場を所有している業者を選ぶと解体費用が抑えられます。
リサイクル工場を所有していない業者は、解体を外注する必要があります。そのため、解体にかかる費用を買取価格から引かれている可能性があるでしょう。
自社でリサイクル工場を所有していれば解体にかかる費用が抑えられるため、買取金額のアップが期待できます。
リサイクル工場を所有している業者を利用する場合は、都道府県から認可を受けた工場であるか確認が必要です。依頼後にトラブルに巻き込まれないためにも事前に確認しておきましょう。
日本車は海外で人気があるため、日本の市場では買取ができない場合でも、海外であれば買取可能なケースがあります。
そのため、自動車の状態が悪くても海外への販路を持っている業者を選ぶと、買い取ってもらえる可能性が高まります。
廃車手続きを業者に代行した際によくあるトラブル
ここからは、手続きを業者に代行した際によくあるトラブルを紹介します。
トラブルに巻き込まれ余計な費用を発生させないためにも注意しておきたい内容を把握し、対策を立てておきましょう。
一時抹消登録・永久抹消登録のどちらでも、条件に応じて税金の還付が受けられます。なかには還付金を勝手に受け取ってしまう業者がいるため注意が必要です。
代行を依頼する前に還付金の受け取りについて確認しましょう。例えば、還付金相当額があらかじめ買取金額に含めているのか、買取金額には含めずに還付を受ける権利をもらうのか、などの確認が必要です。
代行業者が名義の抹消登録を行わずに再販売や車の解体を行った場合、所有者の名義が残ってしまうため税金の支払い義務が発生してしまいます。
抹消登録が完了しているか確認するためにも必ず証明書を受け取りましょう。また、送付がされない場合は業者へ問い合わせるとともに、自分でも調べておくと安心です。
抹消登録が完了しているかは「公益財団法人 自動車リサイクル促進センター」が運営しているサイトから確認することができます。