不要になった自動車の処分を行う際、専門業者やディーラーなどに廃車手続きを依頼する場合がありますが、ガソリンスタンドでも代行が可能です。
この記事では、ガソリンスタンドが廃車手続きを代行している目的や依頼するメリット・デメリット、事前に把握しておきたいこと、ガソリンスタンド以外に依頼できる業者の種類などを紹介します。
自動車の廃車手続きをどこに依頼すればよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
廃車買取はガソリンスタンドでも実施している
廃車手続きの代行は、中古車買取業者や廃車買取業者だけではなく、実はガソリンスタンドでも行われています。
ただし、ガソリンスタンドへの依頼にはメリット・デメリットがあるため、専門業者への依頼と比較して、自分の条件に合う業者を選ぶ必要があります。
ガソリンスタンドへ依頼する際の条件や費用などを把握してお得に自動車を引き取ってもらいましょう。
ガソリンスタンドが廃車買取を行う5つの目的
ここからは、ガソリンスタンドが廃車手続きを代行する理由を紹介します。
一般的に、ガソリンスタンドはエンジンオイルの補給や部品交換、バッテリー液の補充、タイヤ交換、洗車など自動車の走行を快適に保つためのサービスや商品を販売しているイメージではないでしょうか。
そのガソリンスタンドがなぜ廃車手続きまで対応しているか、目的を詳しく見ていきましょう。
ガソリンスタンドでは、廃車買取した自動車の中古販売を行っています。買い取った自動車を再販売することによる利益確保が理由の一つです。
廃車として引き取った自動車でも修理や整備を行えば、中古車市場で販売可能な価値のある自動車にできる可能性があります。
また、廃車を中古車販売することで環境への貢献にもつなげています。解体処分される自動車を減らすことで、廃棄物による環境汚染の対策になるのです。
ガソリンスタンドでは、廃車買取した自動車を解体して取り出したスクラップや金属パーツなどの売却も行っています。
走行できない自動車であっても解体すればパーツの販売は可能なので、中古車市場で価値がつかないような自動車でも引き取りを行ってくれる場合があります。
また、廃棄自動車のパーツ販売も環境保全の取り組みにつながっています。廃棄されるはずだった部品を中古販売して、再利用してもらうことで廃棄量の削減になります。
海外への販路を持っているガソリンスタンドであれば、多くの条件の自動車を引き取ってくれるでしょう。
日本の自動車は海外での需要が高いため、日本では価値がつかず中古車として販売できなくても、海外であれば需要があり再販売が可能なケースもあります。
ガソリンスタンドが買い取った自動車は、オークションにかけられる場合もあります。
走行可能で状態がよく、人気の車種やカラーなどであれば需要が高いため、オークションに出品する方法も利益を上げる一つの手段です。
近年、電気自動車や次世代型自動車の普及によりガソリンの需要が減ってしまい、ガソリンスタンドは他のサービスで利益を上げる必要が発生してきました。
そのため、廃棄予定の自動車を買い取り、販売したり解体してパーツを売却したりといった別のビジネスに参入していると考えられます。
廃車の買取はガソリンスタンドが行うサービスの中でも利益が大きいといわれています。他のサービスの提供を維持するためにも買取による利益の確保が欠かせません。
しかし、自走不可でレッカー車が必要な場合は、別途費用が発生する可能性があります。依頼者側の負担となる場合もあるため、動かない自動車の処分をする際は事前に利用予定のガソリンスタンドで確認しておきましょう。
ガソリンスタンドに廃車を依頼するメリット
ここからは、ガソリンスタンドに廃車を依頼するメリットを3つ紹介します。
廃車手続きを依頼できる業者は複数あります。ガソリンスタンドへ依頼する場合とほかの業者へ依頼する場合とで、どちらがお得になるか判断するためにも、ガソリンスタンドのメリットを把握しておきましょう。
ガソリンスタンドでは、廃車の引き取りを無料で行っていたり、状態に関わらず1万円で買取るサービスを行っていたりします。そのため、ディーラーや中古車買取業者によりマイナス査定を受けた自動車でも、ガソリンスタンドであれば費用を抑えての廃車が期待できます。
ディーラーへ依頼する際は新車購入を前提とした下取りの場合が多いため、新車購入を検討していない場合は、解体や手続きにかかる費用を負担しなければならない可能性があるでしょう。
また、中古車買取業者は自動車の再販売を前提としているため、状態がよくなく自走できないような自動車は買取価格をつけてもらえないかもしれません。
ガソリンスタンドであれば海外での再販売や解体後のパーツ販売まで手掛けているため、価値がつかなかった自動車でも買取ってもらえる可能性があります。
ガソリンスタンドが近所にある場合や、いつも行くなじみの店舗がある場合は、自動車を手軽に持ち込めるメリットがあります。
ガソリンスタンドは自動車でアクセスしやすい場所に点在しており、近所であれば持ち込み後の帰宅も手間がかかりません。
また、いつも通っている店舗であれば慣れているため安心して手続きを任せられるでしょう。いつも通うガソリンスタンドがある方は、廃車の買取を行っているか事前に確認してみるとよいでしょう。
ガソリンスタンドで廃車買取を依頼すると営業トークを受けにくいメリットがあります。
ガソリンスタンドで廃車買取を引き受けてくれるスタッフは営業マンではありません。買取専門で行っているわけではないため、ノルマ達成のためのトークを受けることは少ないでしょう。
廃車買取が初めてで費用相場や流れをあまり把握していない場合、営業トークをそのまま受け入れてしまい、希望通りでない価格で売却してしまうことにもつながりかねません。
ガソリンスタンドでは営業トークがあまりないと考えられるため、慣れていない方でも気軽に査定を依頼できるでしょう。
ガソリンスタンドに廃車を依頼するデメリット
ここからは、ガソリンスタンドに廃車を依頼するデメリットを3つ紹介します。
ガソリンスタンドに廃車買取を依頼して損をしないためにもデメリットを把握して、自分の条件と合わないときは他の業者を選ぶことも大切です。
ガソリンスタンドが行っている「自動車の状態に関わらず1万円で買取る」というサービスは、損にも得にもなるサービスといえます。
自走できないほど状態の悪い車の場合、他の業者では廃車手続きに費用がかかってしまうかもしれません。しかし、ガソリンスタンドでは1万円で買取可能なためお得になります。
一方、状態が良くて中古車販売が可能な車であっても一律で1万円の買取になってしまいます。中古車買取業者や廃車買取業者に依頼すればもっと高い価値がつくであろう場合は損をしてしまうでしょう。
状態の良い車は、市場価格よりも安い金額で買い取られてしまう可能性があることを理解しておきましょう。
ガソリンスタンドはエンジンオイルの補給や部品交換、バッテリー液の補充、タイヤ交換、洗車などのサービスを提供しており、廃車買取はメイン業務ではありません。そのため、買取専門業者よりも市場価格に関する知識が乏しい可能性があります。
相場を把握しておらず、適正価格で買取してもらえないデメリットがあります。
なるべく高値で買取をしてもらいたい場合は、複数の業者に見積もりを出してもらって相場の把握が大切です。
先述したように、廃車買取はガソリンスタンドのメイン業務ではありません。そのため、スタッフが廃車手続きに慣れていない可能性があります。
書類の不備で手間が増えたり、税金の還付でトラブルが発生したりなどを避けたい場合は、廃車買取を専門とする業者に依頼した方が安心できるでしょう。
手続きを何度もしたことがある場合は問題ありませんが、初めての方や期間が空いて流れを忘れてしまっている方などは知識や経験が豊富な専門業者への依頼がおすすめです。
ガソリンスタンドでの廃車買取は無料または1万円もらえるためお得なように見えますが、1万円以上の価値がある車でも適正な買取価格がつかないリスクがあります。
自走できない状態のよくない自動車であれば費用負担をかけずにお得に廃車できるかもしれません。しかし、中古車市場で価値がつく自動車であれば損をしてしまう可能性があります。
ガソリンスタンドに廃車買取を依頼する際のポイント
ここからは、ガソリンスタンドに廃車買取を依頼する際のポイントを3つ紹介します。
事前に廃車買取についての知識を身に付けておくことで、お得かつスムーズに手続きを進められるでしょう。
廃車手続きが初めてで何を調べておけばよいか分からない方はぜひ参考にしてください。
ガソリンスタンドに限らず廃車買取を依頼する際は事前に自分の車の価値を調べましょう。価値によって利用する業者を変えることでお得に廃車買取ができます。
例えば、市場価値が高い場合は中古買取業者や廃車買取業者に依頼した方が高値で買い取ってもらえる可能性があります。反対に自走できない壊れている車であれば、廃車買取業者やガソリンスタンドでの依頼がお得です。
自分で価値を調べるのが難しい場合は、複数の買取業者で査定してもらうのも一つの手段です。複数で価格を出してもらうことで相場を把握しやすくなります。
ガソリンスタンドで廃車買取を依頼する場合は、手続き後の還付金の受け取りについて確認しておきましょう。
例えば、買取業者の場合は車の買取金額に還付金相当額を上乗せして提示している場合があります。
ガソリンスタンドでは具体的にどのような対応をとっているのか確認しておくことで、あとから還付金をもらえなかったといったトラブルを防げるでしょう。
廃車買取はトラブルを防ぐためにも信頼できる店舗で進めることが大切です。信頼できるかをチェックする方法の一つに認証工場マークの有無があります。
運輸支局認証工場のマークのあるガソリンスタンドであれば、信頼できる整備士がいる可能性も高く、廃車の相談をしやすいでしょう。
廃車買取では買取価格が適正ではない、還付金の受け取りができない、抹消登録が適切に行われていない、などの様々なトラブルのリスクがつきまといます。
トラブルにより手間が増えたり、損をしたりしないためにも利用を考えているガソリンスタンドに認証工場マークがあるかを意識しましょう。
ガソリンスタンド以外に廃車手続きを実施している業者
ここからは、ガソリンスタンド以外に廃車手続きを実施している業者の種類を紹介します。
それぞれの特徴を把握することで、どの業者へ依頼すれば一番スムーズに手続きできるかを把握できるでしょう。
廃車買取業者は廃車の買取を専門としているため手続きにも慣れており、廃車手続きが初めてで書類や流れを把握できていない方でも安心して任せられるでしょう。また、解体から書類提出まで一貫して代行依頼が可能です。
廃車買取業者は、買い取った自動車のエンジンやドア、ハンドルなどのパーツを分解して鉄やスクラップなどの金属資源として売却することで利益を上げています。そのため、状態が悪い自動車でも買い取ってもらえたり、無料で引き取ってくれたりします。
自走ができず完全に動かない自動車でも無料で引き取ってくれるケースが多いようです。
解体から申請手続きまでまとめて対応してくれるため、手続きが煩雑で悩んでいる方や忙しくて運輸支局に行けない方などは廃車買取業者への依頼がおすすめです。
中古買取業者は、一時抹消登録した自動車の再販売を目的としています。そのため、一時抹消登録をして車を売却したい場合は、中古車買取業者への依頼がおすすめです。
中古車として販売するためには修理や整備が必要です。そのため、買取業者の整備士はメンテナンス技術が高い傾向にあります。
自分では価値がつかないと思っていた自動車でも整備して再販売が可能であれば、値段をつけてもらえる可能性があるでしょう。
無料で引き取ってくれる業者も多いため、少しでも手元にお金を残したい方は、中古買取業者への依頼をおすすめします。
ただし、業者が再販売できないと判断した車の場合、廃車手続きの代行費用が別途費用が発生する可能性があります。そのため、利用する前に費用については確認しておきましょう。
現在所有している自動車を処分した後、すぐに新しい自動車の購入を検討している場合は、ディーラーへ買い取りを依頼するとよいでしょう。
廃車と購入を一度に行えるため、手続きをまとめられて手間が減る上に期間を空けずに次の自動車を入手できます。レンタカーや代車の手配がなくなるため、手続き完了後の手間も省けるでしょう。
ただし、廃車にする自動車の状態が悪いと再販売できないと判断され、廃車手続きの費用を請求される可能性もあります。同時に購入を検討すると廃車手続きを無料で行ってくれる場合もあるため、事前に利用しているディーラーへ相談しておくとよいでしょう。
次の車の購入を考えていない場合は手続きを断られたり、費用が発生したりするため、別の業者への依頼をおすすめします。
自動車解体工場は廃車や解体の専門家のため安心して任せられます。一般的に廃車手続きは無料です。
解体する自動車が自走可能な場合は直接工場に持ち込みましょう。自走できない場合はレッカー車の手配が必要です。レッカーの費用をどちらが持つかは事前に利用する自動車解体工場に確認しておきましょう。
また、車の解体後の帰宅手段をあらかじめ考えておくことをおすすめします。
買取価格がつかなくても問題なく、無料かつスピーディーに廃車手続きを済ませたい方に向いているといえます。
書類提出関係のみを代行してもらいたい場合は行政書士がおすすめです。
行政書士は行政手続きの専門家で、行政にかかわる書類作成から行政機関への提出代行まで担っています。そのため、解体の必要がなく手続きのみの一時抹消登録では安心して提出代行まで依頼できるでしょう。
ただし、手続きの代行は有料となるため、他の業者に依頼するよりも費用がかかってしまう点に注意が必要です。また、永久抹消登録に必要な解体作業は代行できないため注意しましょう。