自動車の廃車手続きは運輸局で行います。

この記事では、廃車手続きを検討している方に向けて運輸局の概要や目的、廃車手続きの種類、代行業者の種類、手続きの流れ、注意点など自動車を処分するために必要な知識を紹介します。

廃車手続きは種類が複数ある上に地域や条件によって必要書類が異なるため、手続きを面倒に感じる方も多くいるでしょう。手間をかけずに自動車を処分するためには業者への手続き代行を視野に入れるのも一つの手段です。

廃車は運輸局での手続きが欠かせない

乗らなくなった自動車の廃車手続きを行うためには、申請書と必要書類を揃えて運輸局に提出する必要があります。

地域ごとに管轄の運輸支局があるため、お住まいの地域がどの運輸支局が事前に調べておくとよいでしょう。

業者に廃車買取を依頼すると手続きも代行してもらえる場合が多くありますが、確認をせず任せっきりにしてしまうと後からトラブルが発生するリスクがあります。

事前に知識を深めておけばトラブルを未然に防げるとともに、何か問題が発生した際もスムーズに対応できるでしょう。

自動車の廃車手続きを検討している方や業者への代行を考えている方は、運輸局でできることや廃車手続きの概要を把握しておいてください。

運輸局とは?

運輸局とは?
ここからは、運輸局がどのような場所か、どのような手続きが行えるかなど、概要や目的を紹介します。

運輸局は一つだけではなく全国各地に支局が設置されており、自動車に関する様々な手続きを行っています。

具体的にどのような役割を持っているか把握しておくと、自動車に関連する手続きが発生した際もスムーズに手続きに取り組めるでしょう。

運輸局の概要

運輸局では自動車に関連した様々な手続きを担っています。

運輸局の主な業務は以下のとおりです。

  • 自動車の新規登録とナンバープレート交付
  • 住所や氏名が変わった際の変更登録
  • 抹消登録関係
  • 車検
  • 整備点検

新車や中古で購入した自動車にナンバーが付いていない場合、運輸局で新規登録してナンバープレートを受け取る必要があります。ナンバープレートに表記される地名は手続きを行った運輸支局によって変わります。

結婚や離婚、引っ越しなどで住所や氏名が変わった際も運輸局で変更登録が必要です。整備点検や車検など自動車の状態を確認する作業も運輸局で行われています。

自動車を処分する際も廃車手続きで利用するため、自動車関連の手続きのほとんどを運輸局で行うと覚えておきましょう。

自動車検査登録事務所

自動車検査登録事務所とは、運輸支局の出先機関です。廃車を含めた様々な自動車の登録手続きを行える窓口を指します。

地方運輸局の組織体制を上から見ていくと、まず本局は全国各地に10か所存在します。所在地は北海道、東北、関東、北陸信越、中部、近畿、神戸、中国、四国、九州です。

運輸支局は全国52か所に設置されています。さらに狭義の業務を担う自動車検査登録事務所は全国36か所に設置されています。

【参考】海事事務所もある

運輸局と聞くと自動車手続きのみのイメージを持ちますが、実は海の貨物船や港の管轄も行っています。

主に、主要港湾所在地や造船所集積地等海事行政へのニーズが大きい地域での現場業務を担っています。

一般的に利用する頻度は少ないと考えられますが、運輸局の一部として海事事務所が設置されている事実を把握しておきましょう。

自分で廃車手続きを行う場合は運輸局へ行く

自分で廃車手続きを行う場合は運輸局へ行く
不要になった自動車を廃車にするためには、車体の解体だけでなく国土交通省管轄の運輸局(自動車検査登録事務所)への申請が必要です。

どの廃車手続きを行うにしろ、自分でやる場合は必要書類を揃えて管轄の運輸局まで出向かなければいけません。時間や手間がかかるため、代行業者に依頼するのも一つの手段です。

平日しか開いていないため注意が必要

運輸局は基本的に平日しか開いていないため手続きで出向くタイミングに注意しましょう。

平日に仕事をしている方は半休を取得したり有給をつかったりして時間を合わせる必要があります。また、祝日や年末年始なども休みのため、廃車手続きを行う際はスケジュールにゆとりをもって進めましょう。

年度が替わる前の3月後半は、税金の支払い関係の都合で運輸局での手続きが混雑しがちです。時間をかけずスムーズに手続きを進めたい方は年度末を避けて行いましょう。

運輸局と陸運局は違うのですか?
国土交通省に属する行政機関の一つで、正式名称は「地方運輸局」です。陸運局は昔に利用されていた名称で、運輸局に名称が変更されても昔からのなじみで通称として使われています。運輸局も陸運局も同じ機関を指している認識で問題ありません。
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廃車手続きには種類が3つある

廃車手続きには種類が3つある
廃車手続きとひと口にいっても、内容により手続きの方法が3つに分かれています。

それぞれの条件を把握して、自分が行いたい廃車手続きがどれかを理解しましょう。

永久抹消登録

永久抹消登録は、自動車の登録情報を永久的に抹消する手続きです。自動車の解体を行うため、手続き後は同じ自動車に二度と乗れなくなります。

自動車が事故や故障で自走できない状態や、高齢で免許を返納して運転する機会がなくなる場合など、自動車が不要になり処分するときに行います。

永久抹消登録時に提出が必要な書類の一例は以下のとおりです。

  • 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)
  • 実印
  • (代理人が申請する場合)実印が捺印された委任状
  • 手数料印紙(検査登録印紙)
  • 車検証
  • 申請書(第3号様式の2と記載があるもの)

管轄の運輸支局や条件によって必要書類が変わる場合もありますので、手続きを進める際は事前確認をおすすめします。

一時抹消登録

一時抹消登録は、自動車の登録情報を一時的に抹消する手続きです。一時的ではありますが、車検証とナンバープレートを返却するため、手続き後は公道を走行できなくなります。

解体を伴わない手続きで、手元に自動車を残しておけるため、将来自動車に乗る機会ができたときは、「中古車新規登録」を行えば同じ自動車に再び乗ることが可能です。

一時抹消登録時に提出が必要な書類の一例は以下のとおりです。

  • 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)
  • 実印
  • (代理人が申請する場合)実印が捺印された委任状
  • 対象車の解体報告記録がなされた日や移動報告番号
  • 車検証
  • 申請書(第3号様式の2と記載があるもの)

永久抹消登録同様に、管轄の運輸支局や手続きの条件によって必要書類が変わる場合もありますので、手続きを進める際は事前確認をおすすめします。

輸出抹消仮登録

輸出抹消仮登録は、海外に自動車を輸出する際に必要な手続きです。

例えば、海外への転勤が決まった時にいつも使っている愛車を持っていくためには輸出抹消仮登録を行う必要があります。また、中古車を海外で販売したい業者もこちらの手続きが必要です。

手続き後に受け取る輸出抹消仮登録証明書は通関を通す際に必要となるため、失くさないよう厳重に保管しておきましょう。

自分で運輸局に行けない場合は代行業者を活用しよう

自分で運輸局に行けない場合は代行業者を活用しよう
ここからは、平日の日中に運輸局へ出向くのが難しい方に向けて、活用しやすい代行業者を紹介します。

業者によってかかる費用や業務の範囲が異なりますので、自分がどこまで依頼したいか、予算はどのくらいかなどをあらかじめ決めておいた上で目的に合った業者を選択しましょう。

廃車専門業者

廃車専門業者は解体から書類提出まで、まとめて代行してくれるケースが多い傾向です。廃車の買取を専門としているため買取査定や手続きにも慣れているでしょう。

廃車手続きが初めてで必要書類や手続きの流れを把握できていない方でも安心して任せられるといえます。

廃車専門業者は、買い取った自動車のエンジンやドア、ハンドルなどのパーツを分解して鉄やスクラップなどの金属資源として売却することで利益を上げています。

そのため、状態が悪い自動車でも買い取ってくれたり、無料で引き取ってくれたりしてもらえるでしょう。また、完全に動かなくなった自動車でも無料で引き取ってくれるケースが多いようです。

中古車販売店

中古車買取業者への代行依頼は、一時抹消登録をして車を売却したい場合におすすめです。

中古買取業者は買い取った中古車の再販売を目的としています。販売前に整備や点検を行い販売できる状態を作るため、自分では価値がつかないと思っていた自動車にも、値段がつく可能性があるでしょう。

状態がよくない自動車でも廃車手続きを無料で代行してくれる業者も多いため、少しでも手元にお金を残したい方は、中古買取業者への依頼をおすすめします。

ただし、自走できなかったり事故を起こしていたりなど損傷が激しい場合は再販売できないと判断され、廃車手続きを代行してもらう際に別途費用が発生する可能性があります。

中古車買取業者を利用する際は、事前に再販売できない自動車の手続き代行が可能か確認しておきましょう。

行政書士

解体を伴わない一時抹消登録といった書類関係のみの手続きでは、行政書士への依頼も視野に入れましょう。

行政書士は行政手続きの専門家で、行政に関わる書類作成から行政機関への提出代行まで担っています。

ただし、手続きの代行は有料のため、他の業者に依頼するよりも費用がかかる点に注意が必要です。

また、永久抹消登録時に行われる解体作業は代行できないため、自分で行うか別の業者に依頼する必要があります。永久抹消登録は手続きをまとめて代行できないため、行政書士への依頼はあまりおすすめできません。

お得かつ手間を省いて廃車手続きを行うためにはどの業者がおすすめですか?
廃車専門業者や中古車販売店は自動車の状態や市場での価値によっては買取してもらえるため、お得に廃車手続きが行えるといえます。また、買取と同時に手続きも任せられるため、忙しい方にもおすすめの業者です。

運輸局における手続きの流れを紹介

運輸局における手続きの流れを紹介
ここからは、運輸局で行う廃車手続きの流れを紹介します。

初めて手続きする方は、運輸局でどのように対応したらよいかイメージが湧かないかと思います。大まかな流れと必要書類を把握して、運輸局に出向いた際もスムーズに手続きを進められるようにしましょう。

1.必要書類を揃える

まずは、廃車手続きで必要となる書類を準備しましょう。

運輸局で手に入る書類と事前に発行しておく書類がありますので、あらかじめ運輸局へ問い合わせて必要書類を確認しておくと安心です。

抹消登録申請書と手数料納付書は運輸局で入手可能です。記入に必要な情報は車検証や解体証明書に記載されていますので、そちらを見ながら記入していきましょう。

提出書類には役所で申請が必要な書類もありますので、早いうちから準備を進めておきます。

2.ナンバープレートの返却

書類を揃えたら、ナンバープレートを返却します。

多くの陸運局ではナンバー返納機が設置されています。ナンバープレートを返却すると自動車登録番号が記載された返納済みシールが出てくるため、手数料納付書の指定欄にシールを貼り付けてください。

陸運局によっては納付書に直接ハンコを押すケースもあります。手数料納付書には手続きに必要な費用分の印紙を忘れずに貼り付けましょう。

3.窓口で書類を提出

申請書類一式が揃ったら窓口で手続きを進めます。

提出書類の記載内容に不安がある方は提出前に相談窓口で書き方や書類に不備がないか確認してもらうとよいでしょう。

記入内容の間違いや書類不備がなければ書類提出をもって抹消登録は完了です。

一時抹消登録の場合は廃車証明書をその場で受け取れますが、永久抹消登録の場合は別途登録事項等証明書の発行を申請する必要があります。

廃車証明書は自賠責保険の解約手続きで必要となりますので、必ず発行の申請をしておきましょう。

4.自動車税の抹消申告を行う

管轄の運輸局によりますが、自動車税や自動車重量税の還付を受けるために自動車税の抹消申告が必要な場合があります。

必要事項を記入して自動車税事務所の窓口に提出すると後日税金の還付が受けられます。

運輸局によっては別途特別な手続きは不要なケースもあるため、事前に管轄の運輸局に確認しておくか、当日窓口で申請が必要か確認しましょう。

廃車する前に買取の可能性を考えよう

廃車する前に買取の可能性を考えよう
車の状態によっては、廃車ではなく買取を検討するのがおすすめな場合もあります。

自分で廃車手続きを行うと手間がかかりますが、車に価値があれば買取してもらえる上に手続きも併せて対応してもらえる可能性があります。

まだ乗れる車は買取できる可能性が高い

比較的年式が新しい自動車やトラブルなく走行できる自動車であれば、買取価格がつく可能性が高いです。そのため、中古車販売店に買取を依頼して査定額を出してもらいましょう。

買取と手続きの代行が可能な場合、時間の節約ができる上に次の自動車を購入するための資金調達も可能です。

まずは査定に出してみよう

買取してもらうか廃車にするか判断するためにも査定が重要です。

可能であれば複数の業者で査定を出してもらうと相場を確認しやすいでしょう。高めの査定額を提示してくれた業者で廃車手続きも代行してもらえるのであれば、お得かつスムーズに自動車の処分ができます。

しかし、中には買取価格がつかない場合もあります。買取ができず廃車手続きにも費用がかかってしまう場合は、そのまま業者に依頼するか自分で手続きを行うか、どちらの方が自分にとって都合がよいか考えてから対応を進めましょう。

廃車にする際の注意点

廃車にする際の注意点
ここからは、不要になった自動車を廃車にする際の注意点を紹介します。

実は廃車手続きを進める権利をもっていなかった、廃車した自動車を利用したい人がいた、などのトラブルを引き起こさないためにも、以下4つの注意事項を必ず確認しましょう。

①ローンが残っていないか

廃車にしたい自動車にローンが残っていないか確認しましょう。

ローンが残っていると、車の所有者がローン会社やディーラーになっているため、使用者本人だけの意志では廃車手続きが行えません。

所有者の変更は基本的にローンを完済するまでは行えないため、まずはローンの返済を進めましょう。

ローン残高を確認して、一括返済が可能であれば行うと廃車手続きが可能になる期間を早められます。

②車の所有者は自分か

廃車手続きを行えるのは原則、車の所有者のみです。委任状があれば代理人でも申請することができます。

所有者と廃車手続きを行いたい使用者が異なる場合は、名義変更が必要です。名義変更を行い所有者が自分に変われば廃車手続きを進められます。

所有者と使用者が異なるケースとしては、自動車をローンで購入している場合が挙げられます。ローンを完済して所有権解除を行うことで、所有者の名義変更が可能です。

通常よりも手続きが多少煩雑になるため、不安があれば運輸局に相談しましょう。

③本当に廃車手続きをしても不都合ではないか

永久抹消登録を行うと、同じ自動車に二度と乗車できません。

免許を返納した場合や故障して修理不可能になった場合などであれば問題ありません。しかし、家族で自動車を利用している場合に使用者ひとりの判断で永久抹消登録してしまうと、他の家族も使えなくなりトラブルを引き起こす恐れがあります。

家庭内の全員が不要としているのか事前に話し合って確認しておくことが大切です。

④永久抹消登録の場合は解体が先

永久抹消登録を行うためには先に自動車を解体する必要があります。解体が完了すると受け取れる「解体証明書」が永久抹消登録時に必要です。

廃車を決めたらまずは必要書類を用意して、管轄の運輸局がどこであるか確認します。その後、解体業者に連絡して自動車を持ち込み解体してもらいます。

解体後、運輸支局でナンバープレートを返却し、解体証証明書を含めた必要書類を提出して手続きは完了です。

手続きをスムーズに進めるためにも、自動車の解体は先に行っておきましょう。

車の所有者が亡くなっている場合、廃車するにはどうしたらいいですか?
普通自動車の場合は、まず相続を行ってから廃車手続きを進める流れになります。また、軽自動車の場合は名義変更が必要です。

まとめ

①運輸局とは様々な自動車関連の手続きを行う機関
②廃車手続きには永久抹消登録・一時抹消登録・輸出抹消仮登録などがある
③廃車手続きにおいて平日の日中に運輸局へ行けない方は代行業者への依頼がおすすめ
④業者に買取を依頼すると資金調達ができる上に手続きの負担が削減できる
⑤ローンが残っていたり所有者が自分ではなかったりすると廃車手続きを行えない

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