車の維持費の中で、整備に関わる費用には「タイヤ購入と交換費用」も含まれています。
タイヤは重い車体を支え、車をスムーズに安全に走行させるために欠かせない重要なパーツです。使用頻度が少なくてもゴム製なので経年劣化が起こるため、どうしても交換が必要となります。
「購入と交換にどの程度の費用が必要になってくるのか?」「タイヤ代を節約するにはどうすべきか?」など役立つ情報が満載なので見ていきましょう。
車の維持費の一つ、メンテナンス費に含まれるタイヤ代
維持費には、税金、保険料、メンテナンス費などがあります。
新車で購入しても車を走らせることでタイヤは摩耗し、劣化していくので途中で新しいものと交換する必要があります。また冬は凍結道路でスリップしないように、スタッドレスタイヤへの交換が必要となる地域もあるでしょう。
どの位の費用がかかるのか、交換のタイミングなどもきちんと知っておくことが大事です。
タイヤには主に4つの働きがあります。
- 車の重量を支える
- 路面からの衝撃を吸収する
- 走行を安定させる
- エンジンとブレーキから生じる力を摩擦力として路面に伝える
タイヤはゴム製なので路面との摩擦を繰り返し、外気に触れて紫外線を浴び続けることで劣化します。劣化するともろくなり、少しの衝撃でひび割れを起こしてパンクやバーストにつながるリスクが高まるでしょう。
更に、摩耗により溝が減って表面がつるつるになります。その状態で雨の日に走行すると、路面に溜まった水に浮いて滑るハイドロプレーニング現象が起こり、ハンドル操作ができなくなって事故を起こす危険もあります。
タイヤの状態をチェックし、良いタイミングで交換することは命を守ることにもつながるのです。
タイヤにはいくつかの種類があります。
・ノーマルタイヤ
一般的なタイヤで路面の凍結のない地域なら1年中使えます。
・スタッドレスタイヤ
低温でも硬くならない材質を用いています。溝が深く、氷が解けてできた水を排出する排水溝がついているのが特徴です。雪の多い、路面が凍結する地域で冬場に使われます。
・低燃費タイヤ
エコタイヤとも呼ばれ、路面との摩擦を極力少なくした作りです。摩擦が減り抵抗が少なくなると、タイヤを動かすためのエネルギーも少しで済むので燃費向上にもつながります。
・スポーツタイヤ
グリップ性能を重視し扁平率を低くしたスポーツカー向けのタイヤです。
・ランフラットタイヤ
多少空気が抜けてしまってもある程度の速度であれば、安定した走りを継続できるタイヤのことをいいます。スペアタイヤが不要であり、高速道路での走行も安心といったメリットがあります。
・コンフォートタイヤ
路面からの衝撃を吸収し、走行の安定性を実現させたタイヤです。
様々なタイヤがあるので、機能性や価格もチェックしてより良いタイヤを選んでください。
タイヤは車種によってサイズが変わるので注意が必要です。タイヤの側面「サイドウォール」には幅や扁平率、適したホイールのサイズが表示されています。
車の大きさにあったタイヤ、ホイールサイズに適したタイヤを装着しないと、安定性が失われ事故につながるリスクも高まります。しかし、タイヤ外径はそのままでホイールの外径だけを大きくするインチアップは可能です。
インチアップには、ホイールが目立つのでかっこよく見えるというメリットがあります。ただ、乗り心地が悪くなる、燃費が悪くなるといったマイナス面もあるのでよく検討してから行いましょう。
タイヤ選びは性能の良もポイントなります。タイヤの性能は大きく分けて6つ挙げられます。
・グリップ性能
タイヤが路面を掴む力のことです。グリップ性能が良いとスリップしにくくなり、走りの安定性が保たれるのです。
・ウエット性能
濡れた路面でも滑りにくいタイヤのことです。ウエット性能が優れたタイヤは、水を効率よく弾き排水する構造になっています。
・ドライ性能
乾いた路面で滑りにくく操作安定性があるタイヤのことです。
・直進性
車がいかにまっすぐ走るかということです。直進性の高さは走行の安定にもつながるので大事ですが、強すぎるとコーナリング力が下がるのでバランスがカギとなります。
・ライフ性能
タイヤの寿命のことです。長く使っても摩耗、劣化しにくいタイヤを選ぶと購入、交換の頻度も減るので経済的です。
・省燃費性
燃費を抑える性能のことを指します。タイヤの転がり抵抗が低いと燃費が良くなります。
一般的なタイヤの寿命は約3、4年だとされています。もちろん運転の仕方やタイヤの種類などによって違いはあるでしょう。
ただ、新車で購入後、さほど乗らなくてもゴムでできたタイヤは材質上劣化してしまうので、全く交換なしではいられません。交換の目安としてはひび割れがある、硬くなってきた、溝がすり減っているなどが挙げられます。
また、スリップサインが出たらすぐにでも交換しなければなりません。路面が凍結する地域だと、夏はノーマル、冬はスタッドレスというように季節によって交換する必要も出てきます。
タイヤにかかる費用
タイヤの脱着の他に「バルブ」や「ナット」などの部品の交換を行う場合も費用がかかってきます。更に古いタイヤの「廃棄代」も必要です。
また、夏冬でタイヤ交換をするなら、使わないタイヤの「保管代」もかかってきます。
タイヤ代といっても色々な費用が含まれていることを覚えておきましょう。
タイヤ本体の価格は大きさや性能、メーカーなどによって大きく差があります。小さなタイヤで一般的な性能のものは安く、車体が大きく省燃費など性能の高いタイヤは高くなります。
また、国内でも有名なメーカーのタイヤは、同じ大きさでも性能に違いがあり高い傾向にあるので注意が必要です。値段なのか性能なのか、またホイールなら見た目のスタイリッシュさか、何を重視するかによって選ぶタイヤやホイールの種類、グレードも異なるのでじっくり吟味しましょう。
タイヤ交換といってもいくつかの形態があります。
- ホイールのついたタイヤを別の新しいホイールつきのタイヤに交換する「履き替え」
- 今のタイヤのホイールはそのまま使うため、新しいタイヤに付け替える作業が「組み換え」
- タイヤの重さを調節し、偏りをなくすのが「バランス調整」
- タイヤは前後4本を同じ位置でつけたままにしておくと、各タイヤの摩耗度に偏りが出てしまいます。タイヤを前後で交換して取り付け直し、バランスを整えることが必要となる場合もあります。これが「ローテーション」という作業
他にもタイヤの空気を入れるバルブやホイールを固定するナットは経年劣化、破損する場合もあります。これらの部品を交換する作業などもあります。
軽自動車は車体の大きさが小さいので、普通車に比べるとタイヤは小さいもので済むため費用も安いといえます。更に重量も軽いのでタイヤにかかる摩擦力も小さく、摩耗度も少ない傾向にあります。
ただし、市街地を乗るとなると信号や一時停止で止まる回数も多いので、交換頻度はやはり普通車と同じタイミングになるでしょう。
軽自動車のタイヤ代は13インチの場合、工賃込みで2万5000円~3万2000円位です。14インチになると、工賃込みで約2万5000円~4万2000円位が相場となっています。
普通車でも車体が大きい車はタイヤのインチ数も大きくなるので、タイヤ代も高くなります。
15インチのタイヤでは、工賃込みで7万9000円~8万7000円位です。もっとタイヤのサイズが大きくなると10万円を超える場合もあります。また、普通車のミニバンで人気のアルファードを例にとると、17インチのタイヤになるので約8万5000円位が相場となっています。
もちろん上手く探せば、そしてタイヤのグレードにこだわらなければもう少し安くなる場合もあるでしょう。
外車のタイヤはできれば車に合った専用のタイヤを装着するのが望ましいです。しかし、海外から取り寄せていると高くついてしまいます。
国産でも車に合ったものなら装着可能です。できれば国内のタイヤメーカーが外車向けに設計したタイヤだと安心できます。
人気の外車であるベンツやミニクラブマンのタイヤを、サイズ16インチとして費用の一例を挙げると約7万円となります。
タイヤ代を節約するには
タイヤ代を安くするには「タイヤ選び」がポイントとなります。購入先によって価格が異なるので、より性能の良いタイヤを安く手に入れることが大事です。
また、タイヤの摩耗を遅らせるためにも、日頃から急発進や急ブレーキを防ぎ、タイヤへの負荷を軽減させるよう「エコ運転」が効果的です。
あとは、タイヤの「空気圧チェック」も忘れないようにしましょう。
タイヤの購入先
タイヤは購入、交換依頼先によってかかる費用が大きく変わってきます。購入先としては以下の5つになります。
- タイヤ専門店
- カー用品店
- ガソリンスタンド
- 車のディーラー
- 通販
交換の工賃に関してもカー用品店などが安く、ディーラーだとやや高い傾向にあります。少しでもお得にタイヤ購入、交換ができるようにそれぞれの特徴を把握しておきましょう。
店によって価格はばらつきが見られますが、独自のルートで仕入れているお店なら価格も比較的安いといわれています。また、ローテーションなどの作業が無料もしくは他よりも安い所もあるのでお得です。
一方でメーカーを限定して扱う専門店だと、他のメーカーのタイヤを選べないといったデメリットもあります。
また、カー用品店では割引キャンペーン、在庫一算セールなどを行っている場合もあります。3月や9月などの決算期によく行われる割引サービスを利用すれば、より安く購入できるのでチェックしておきましょう。他のカー用品も販売しているので、タイヤと一緒に購入できて効率的でもあります。
ガソリンスタンドでもタイヤが並んでいるのを目にしたことがある人もいるでしょう。
多くのガソリンスタンドではタイヤ購入、交換が可能ですが、在庫が少ないので選択肢があまりありません。アルバイトのスタッフだと交換に慣れていない可能性もあるので作業レベルが低い所もあります。
タイヤの価格自体もカー用品店などに比べると割高なので、急を要するとき以外はおすすめできません。
車の購入先であるディーラーなら、車にマッチしたタイヤの在庫も完備しており、早めに用意してもらえるので便利です。
ただし、タイヤのバリエーションが少ないので、こだわりのある人にとっては物足りなさを感じるかもしれません。価格はさほど高額ということもなく購入しやすいでしょう。
ディーラーはどうしても作業工賃がやや高い傾向にありますが、専門技術のあるスタッフによる作業なので安心できます。
そんな中、下記のような店舗を利用すれば効率的です。
- 持ち込みが増えると工賃代だけでも利益になるからと、持ち込みタイヤの交換工賃を安く設定しているお店
- 通販サイトとタイヤ交換を行う整備工場などが提携しているお店
- 通販で購入したタイヤをお店に直送し、そのまま車を持っていけば交換できるというサービスを行うお店
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エコ運転を心がけよう
タイヤ代節約にはタイヤを長持ちさせる運転の仕方もポイントなります。
急発進急ブレーキを繰り返すとタイヤの摩耗が進み、寿命を早めることになってしまうかもしれません。そうすると購入や交換回数が増えてタイヤ代がかさみます。
不要な加速や停止はやめてエコ運転を心がけるようにしましょう。
空気圧のチェック
タイヤを長持ちさせるには空気圧の調整も必要です。
タイヤには車体の重量がかかっており、空気が少ないと車を支え切れなくなり破損しやすくなります。更に段差を乗り越える際の衝撃にタイヤが耐え切れず、ひび割れなどを起こすリスクも高まるでしょう。
また車の動作性能が落ちて、事故につながる可能性も否めません。空気圧を調整し、適度な空気で満たしておくことが大事です。
大体月に1回位の頻度でガソリンスタンドなどに立ち寄った際に、給油と共にチェックして空気を入れておきましょう。
中古車に乗り換えると月の維持費が抑えられる場合も
今の車はタイヤのサイズも大きく、タイヤ代がかさむというなら車を乗り換えるのもタイヤ代節約につながります。
新車よりもむしろ年式が新しく、性能が良い中古車を選ぶことで初期費用が抑えられます。中古車でも走行距離が少なければタイヤもわりと良い状態のことが多いでしょう。
新車のタイヤとさほど変わらない状態の中古車なら、次のタイヤ交換のタイミングも新車と同じ位でいいはずです。そうなると車両価格が安い分、車にかかるトータル費用も削減されるのでお得になります。
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