車は大きさや排気量により「道路運送車両法」で種類分けされています。そして、維持費の中でも車の大きさや排気量によって金額が決まる税金は、車種によって納める額が違ってきます。また、ガソリン代は車の燃費によって左右されます。
「どの車種が、どの位の維持費がかかるのか」を知っておくと、車選びや維持費削減の参考になります。以下で紹介する維持費の節約方法も取り入れてみましょう。
車の種類の違いで維持費が異なる
車は「道路運送車両法」で、排気量や車体の大きさの違いで種類分けされています。
- 一番小さいのが「軽自動車」
- 軽自動車の次に大きいのが「小型自動車」
- 定員10人以下の人の乗用に用いられる車が「普通乗用自動車」
維持費の中でも税金や保険料などは、車の大きさや排気量、重量によって料金が変わってきます。
軽自動車は、道路運送車両法でサイズ全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下と規定されている車です。そして排気量は660cc以下で乗車定員は4人以下となっています。
ボディが小さいので狭いスぺースでも駐車可能です。小回りが利くので細い道でも運転しやすく、ハンドル操作が不安な人でも安心して乗れます。
また、比較的燃費が良い車が多いので、街乗りにも最適だと言われています。一方で普通車と比べるとパワーが弱いので、坂道などの加速面では不利でしょう。
更にボディが衝撃に弱いので、交通事故の際の安全面でも多少不安が残ります。
小型自動車は、道路運送車両法でサイズが全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下の車のことを指します。ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下です。
軽自動車のように小回りが利くので狭い道路でも曲がりやすく、狭いスペースでも駐車しやすいので便利です。更に一部を除いて乗車定員が5人とスペースが広く、チャイルドシートも2つまでは装着できるのでファミリーカーとしても使用しやすいでしょう。
軽自動車よりも予防安全性能が優れた車が多く、普通車よりも燃費がいいのも魅力です。一方で普通車のミニバンやセダンに比べると、エンジンパワーが弱く、パワー不足が否めないという一面もあります。
また軽自動車と比べると天井が低いので、圧迫感を感じる人もいるかもしれません。
普通自動車のサイズは、道路運送車両法で小型自動車より大きいもののことを指します。排気量は2000㏄を超え、ミニバンやSUVなどは車内が広いのでゆったりとしています。
またカーゴスペースも広いので、荷物を載せるのにも便利です。ミニバンなどは乗車定員が6~8人と多く、長距離運転でも疲れにくいとされています。
ボディも頑丈なので、万一の事故の際でも衝撃に強いという面もあります。一方で軽自動車ほど小回りが利かないので、狭い道路を曲がるときや駐車の際のハンドル操作が難しく感じる人もいるでしょう。
また、燃費がさほど良くない車種だと燃料費かかかってしまいます。
車の維持費とは?内訳を解説
車の維持費は主に4つに分けられます。
1.税金
自動車税・軽自動車税と自動車重量税
2.保険料
自賠責保険と任意保険
3.燃料費
ガソリン代
4.メンテナンス費
車検や法定点検、オイルエレメントやタイヤ交換など整備にかかる費用
税金のうち自動車税、軽自動車にかかる軽自動車税は車の排気量によって税額が異なります。5月頃に通知がきて6月末までに1年分をまとめて納付することになっています。

この保険は事故で相手方が負傷した場合の治療費や慰謝料などは補償されますが、自分のケガや相手の車の修理代などは補償されません。
ガソリン代は車を走行させた分だけかかる燃料費です。車の燃費や走行距離によって費用が変わってきます。
国内ではほぼ原油が算出されないので、サウジアラビアなどの産油国から輸入しています。そのため産油国の経済状況や円相場によって価格が変動するのです。
ガソリンスタンドでは1ℓあたりの価格が提示されており、一概には言えませんが110円~130円前後になっています。また、ガソリンにはハイオク、レギュラー、ディーゼルと種類があり、一般的にはレギュラーを給油します。
燃費性能が高い車は少ないガソリンで長い距離を走れるので、ガソリン代節約には効果的です。ガソリン代以外にも、駐車スペースがない場合は自宅近くや通勤途中の駅周辺で、駐車場を借りなければなりません。
その駐車場代も維持費の一つです。他にも高速道路などの有料道路を走行する際の通行料も含まれます。
メンテナンス費にはまず、初回は3年後、以降2年ごとに受ける「車検費用」が含まれます。車検も法律で義務付けられているので必須です。
【メンテナンス費の内訳】
メンテンナンスの費用は必要な部品交換代や検査料、自動車重量税や自賠責保険の支払いも含まれます。税金などを差し引くと約5万~15万円位になります。
そして、12ヶ月もしくは24ヶ月法定点検では、車の異常がないかをチェックし、費用は約9000円~3万円以上となるでしょう。
他にもエンジンオイル交換が半年に1回、オイルエレメント交換が1年に1回、ワイパーのゴムが半年に1回、ブレーキオイル、パッドの交換が2年に1回程度必要となります。タイヤは3、4年に1度の交換が目安です。
トータルで「年間、約4万~7万円位」かかる計算になります。他にも突発的に故障すれば修理代がかかってきます。
車の排気量などで維持費の違いを比較
車の維持費を比較する上で、税額を決める排気量や重量の違いは維持費に大きく影響してきます。更に毎日車を走行させるなら、ガソリン代を決める燃費も重要なポイントとなります。
・軽自動車
排気量も少なく軽量級な軽自動車は、燃費が良い車が多いので維持費もさほど高額にはなりません。
・コンパクトカー
軽自動車ほどではないですが、税金も安く燃費性能に優れた車種も多いので、維持費がある程度節約できるでしょう。
・普通自動車
ミニバンやSUVなどは重量が重く、排気量も大きい上に燃費もさほど良いとは言えないので、どうしても維持費が高くなってしまうのは否めません。
軽自動車の年間維持費は?
軽自動車の維持費を車検が2年に1回なので2年分から算出してみましょう。
- 軽自動車税・・年間1万800円なので2年で2万1600円
- 自動車重量税・・2年分で6600円と決まっています
- 自賠責保険・・2年に1回で約2万2000円
- 任意保険・・保険内容によって異なりますが年間約7万円として2年分で約15万円
- ガソリン代・・実質燃費17.5㎞/ℓ、年間走行距離1万㎞でガソリン単価130円/ℓとして計算すると2年で約18万円
- 駐車場代・・2年で約24万円とします
- メンテナンス代・・車検費用が約4万円、オイル交換などの他のメンテナンス代が2年で約3万円と考えます
年間維持費を算出すると約35万円で、月額では約3万円程になります。駐車場代が不要だと年間維持費が約23万円、月額では約2万円の維持費で抑えられるのです。
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小型自動車の年間維持費は?
小型自動車も車検が2年に1回なので、排気量1000㏄の小型自動車2年分の維持費から年間維持費を計算してみましょう。
- 自動車税・・5万9000円
- 自動車重量税・・1万6400円
- 自賠責保険料・・2万5800円
- 任意保険・・約18万円とします
- ガソリン代・・燃費18.5㎞/ℓ年間走行距離1万㎞、ガソリン単価130円/ℓとすると2年で約17万円
- 車検費用・・約5万円
- オイル交換などのメンテナンス代・・2年で約4万3000円
- 駐車場代・・2年分で約24万円とします
年間維持費は約40万円で月額にすると約3万3000円の維持費です。なお、駐車場代がかからない場合は年間維持費が約28万円となり、月間維持費も約2万3000円まで下がります。
普通自動車の維持費維持費は?
車検が2年に1回なので一例として排気量2000㏄、重量1.5~2tの普通自動車の2年分の維持費から年間維持費を算出してみます。
- 自動車税・・7万9000円
- 自動車重量税・・3万2800円
- 自賠責保険料・・2万5800円
- 任意保険料・・約24万円とします
- ガソリン代・・燃費10.5㎞/ℓとし、年間走行距離1万㎞でガソリン単価130円/ℓで計算すると2年で約30万円
- 車検費用・・約6万円
- オイル交換などのメンテナンス費・・2年で約5万5000円とします
- 駐車場代・・2年間で約24万円とします
年間維持費は約51万円、月額では約4万3000円かかる計算となるでしょう。駐車場代が不要だと年間維持費は約39万円、月額維持費は約3万2500円まで抑えられます。
車維持費高いのはどんな車?

- 「排気量が大きくて重量が重い車種」は税金が高くなる。
- 「燃費性能が悪い車」も燃料費がかさみ、維持費に影響してくる。
- 保険料に関しては、グレードが上で「事故を誘発するリスクの高い車」は、任意保険料が高く設定されている傾向にある。
- メンテナンス費用で考えると「外車」は部品の在庫が国内にない場合が多く、交換に必要な工具を揃えていない整備工場もあります。海外から取り寄せるとなると輸送費が別途かかるので、整備費用が高くなると言われています。
維持費を削減するなら、こういった維持費が高くなる条件に符合する車の購入は控えたほうが良いでしょう。
車維持費を節約するには
車の維持費を少しでも抑えるには、コンパクトで燃費の良い車を選ぶのも一つの方法です。
また、日々の運転の仕方でも燃費や部品の消耗度が違ってきます。なぜなら、エンジンやブレーキに負荷のかかるような運転を繰り返せば、ガソリンは必要以上に減り、部品の消耗や劣化が進むので交換時期を早めるからです。
更に車は乗らなくても維持費がかかるので、使う頻度が低いなら手放すのも良いでしょう。レンタルや必要な期間だけリースするというのも有効的です。
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税金や保険料、車検費用を安くするには車選びがカギ
車買い替え時にどのような車に乗るかは、維持費に大きく影響してくるので慎重に選ぶことが大事です。維持費を考慮するなら、「排気量が少なく重量の軽い軽自動車」がおすすめです!
ただ、軽自動車は街乗り向きなので、長距離運転をするなら普通車のほうが燃費が上がります。コンパクトカーは軽自動車よりも維持費は上がりますが、燃費性能に優れたエコカーを選ぶことでガソリン代を抑えることも可能です。
普通車の中でも「ハイブリッド車」なら燃費が良く、減税対象であれば税金も安くなります。任意保険においても事故リスクが低ければ保険料が他の普通車よりもやや下がる可能性があります。
車の使用目的や乗車予定数と維持費が上手にバランスのとれた車なら、有効活用できると言えるでしょう。
燃料費や整備費を安くするにはエコ運転
日頃の運転の仕方も燃費や部品の劣化、消耗の度合いを左右します。
車はアクセルを強く踏み続けるとその分エンジンに負荷がかかるので、ガソリンを多く消費します。急加速や急ブレーキを繰り返すような運転は控えることが大事です。
また、坂道はガソリンを消費するので、上り坂手前で十分加速し上り始めたらアクセルを緩めるのが効果的です。
燃費表示やエコ診断のある車ならエコ運転を意識しやすいでしょう。更にタイヤの空気圧が減ると燃費が悪化するのでこまめのチェックする、不要な荷物は下ろすというのも有効的です。
また、任意保険を見直して不要な特約を外す、保険会社をネット保険に変えるというのも検討してみましょう。
車維持費そのものを抑えるにはリースやレンタル
車は所有しているだけで税金や保険料などがかかります。電車通勤に変えたなど車の使用頻度が減ったら、思い切って車を手放し必要なときにレンタルするのも賢い選択と言えます。
また車を所有することにこだわらない、数年だけ車を使いたい場合は「カーリース」もおすすめです。
古い車は維持費がかさむので上手く乗り換えて維持費節約を
車が動くうちは買い替えは不要だと考えている人もいるでしょう。しかし、長年古い車を乗り続けることは色々な面でデメリットが生じます。
自動車重量税は初年度登録から13年以上になると増額となります。部品も劣化するので、その分燃費も悪くなってしまうのです。
また、故障リスクが高くなり部品交換の箇所が増えると、メンテナンス代がかさみます。修理してもまたトラブルが起こる可能性が高く、頻繁に修理していると新しい車を購入したほうが良いなんてこともあり得ます。
車の購入はまとまったお金が必要となりますが、維持費を見直して計画的に乗り換えたほうがお得になるとも言えるでしょう。
中古車なら初期費用が安く済む上に維持費節約になる
維持費の安い車への乗り換えを考えるなら「中古車」を視野に入れてみてもいいのではないでしょうか?
中古車なら購入価格が新車よりも安いので、ローンを組んでも返済額が抑えられます。年式が比較的新しく、さほど走っていない掘り出し物を見つければかなりお得です。
車の燃費が悪い、家族が増えたので少し大きな車に変えたいなど車乗り換えにはタイミングがあるでしょう。ベストタイミングで乗り換えできるように、計画的に次に乗る車を探しておくことをおすすめします。
更に今乗っている車をできるだけ高く買い取ってもらえば、購入資金に充てることができます。車買取業者に査定に出し、数社で比較して一番高値の業者を選ぶとお得に乗り換えもできるのです。