車を所有、維持するには独身でもかなりの費用がかかります。結婚後に夫婦2人で1台ずつ車を所有、維持するとなるとこれまで以上に家計を圧迫することにもなりかねません。
家庭を持つと、将来的に必要なお金も貯金しなければならないので、無駄に車を所有していると損をしてしまいます。
車の使用頻度や居住地の交通環境なども考慮して、維持費が占める支出割合なども見直して、夫婦で所有台数や車種などを慎重に考えていきましょう。
車の維持費は車種によって違う
車の維持費は「税金」「保険料」「燃料費」「メンテンナンス費」に大きく分けられます。その中で以下の3項目は、車種によってかなり金額に差が生じます。
税金のうち「軽自動車税または自動車税」は、車の排気量によって税額が決まります。そして「自動車重量税」は、車の重量によって税額が変わります。そのため、車の排気量が大きいほど、重量が重いほど税額が高いです。
保険料のうち、任意である「自動車保険」は車種やグレード、年式などによって保険料や補償される額が決まります。
ガソリン代に関係する燃費性能も、車種によって大きく差が生じます。燃費性能が良い車、つまり少量のガソリンでより長い距離を走ることができる車だと、ガソリン代はその分安く済むと言えるでしょう。
軽自動車の年間維持費一覧
軽自動車の年間維持費を算出してみましょう。排気量が小さく、重量も軽いので税金は比較的安いと言えます。
軽自動車税 | 一律で1万800円 |
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自動車重量税 | 3300円 |
自賠責保険 | 約1万1000円 |
任意保険 | 保険会社や運転者の年齢などによって異なりますが平均で年間約7万円 |
ガソリン代 | 実質燃費18㎞/ℓ、年間走行距離1万㎞、ガソリン単価130円/ℓとすると年間で約7万2000円 |
車検費用 | 約4万円 |
オイル交換などのメンテナンス代 | 約1万5000円 |
駐車場代 | 月1万円として考えると年間約12万円 |
このように年間維持費を算出すると「約35万円前後」です。
20代会社員の平均月収よりも高い結果となり、軽自動車だからと言って安いわけではないことが分かるでしょう。
コンパクトカーの年間維持費一覧
排気量1000㏄のコンパクトカーの年間維持費を算出してみましょう。コンパクトカーは軽自動車よりも大きいですが、普通車の中では一番小さいクラスになります。そのため、税金や自動車保険料は大きな普通車よりは抑えられます。
自動車税 | 約3万5000円 |
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自動車重量税 | 約1万6000円 |
自賠責保険 | 約1万2000円 |
任意保険 | 保険会社や運転者の年齢などによって異なりますが平均で年間約9万円 |
ガソリン代 | 燃費16㎞/ℓ、年間走行距離1万㎞、ガソリン単価130円/ℓとすると年間で約8万1000円 |
車検費用 | 約5万円 |
オイル交換などのメンテナンス代 | 約2万3000円 |
駐車場代 | 月1万円として考えると年間約12万円 |
このように年間維持費を算出すると「約40万円前後」です。
普通車(ミニバン)の年間維持費一覧
普通車の中でも人気のミニバンは、排気量や車体の大きさによってクラス分けされています。排気量2000㏄、重量1.5~2tのLクラスのミニバンを例に挙げて、年間維持費を算出してみましょう。
自動車税 | 約4万5000円 |
---|---|
自動車重量税 | 約1万6000円 |
自賠責保険 | 約1万2000円 |
任意保険 | 保険会社や運転者の年齢などによって異なりますが平均で年間約9万円 |
ガソリン代 | 燃費10㎞/ℓ、年間走行距離1万㎞、ガソリン単価130円/ℓとすると年間で約13万円 |
車検費用 | 約6万円 |
オイル交換などのメンテナンス代 | 約2万5000円 |
駐車場代 | 月1万円として考えると年間約12万円 |
このように年間維持費を算出すると「約50万円前後」です。
夫婦で2台車を所有した時の維持費
結婚後、夫と妻それぞれ1台ずつ一家に計2台の車を所有、維持する家庭も少なくありません。そうなると維持費も2倍以上かかることになります。
所有する車種によって維持費の金額はかなり違ってきますが、一般的に子供がいる家庭だと軽自動車と普通車のミニバンを所有するパターンが多いとされています。
軽自動車は、維持費が安いので夫の通勤用に。ミニバンは、車内スペースが広く子供やベビーカーなどの荷物が乗せやすいので、ファミリーでのレジャーや通院に用いられやすいからです。
軽自動車とミニバンを1台ずつ所有した場合の年間維持費は実に「約86万円」もかかっている計算になり、かなりの負担額であることが分かります。
結婚のタイミングで車の所有台数を検討しよう
結婚するタイミングで、自分の所有していた車を手放すか否かで判断に迷う人も多いでしょう。
子供が増えることで、例えば「妻がしばらく休職する」「正社員からパートに業務形態を変える」といったライフスタイルの変化が見られるかもしれません。そうすると収入が減り、車の維持費が家計を圧迫することも予想されます。
このように、結婚後に引っ越して通勤で車を使用しないなど、環境などの変化も車の台数を考えるうえで良いきっかけとなります。
結婚を機に車を手放したほうが良いというケースもあります。
例えば、東京や大阪など公共交通機関の発達した地域へ引っ越す場合、車に乗らなくても移動は可能です。
また、必要な時にだけ車を借りられる「カーシェア」や「レンタカー」を利用するという手段もあり、そういったサービスも都会なら対象範囲が広いので利用しやすいでしょう。子供が小さいうちは「カーリース」を活用するのも経済的です。
車は所有しているだけで維持費がかかるので、なくても不便ではないなら手放すほうが断然お得です。
車を手放すと決めても、ディーラーへ下取りに出すのは損する可能性があります。
車を処分するなら中古車買取業者に査定、買取してもらうのがおすすめです。
また、下取りでは価格がつかないような古い車であっても、例えば解体してパーツだけ取り出す、海外では古くても人気車種なら売れるということで買取額をつけてくれることもあります。
夫婦で1台にまとめたほうが良いケース
車は使用回数が少なくても、所有しているだけで税金や保険料などの維持費がかかります。また、たまにしか乗らいとエンジンの故障リスクも高まり、メンテナンス費用が高くつくこともあります。
夫婦がそれぞれ1台ずつ車を所有していたとしても、家庭に1台あれば不便を感じない場合は、1台を手放したほうが良いでしょう。それでも迷う場合は、3つの判断基準を参考に考えてみてください。
車の所有を判断するうえで居住地域周辺の交通事情やお店、病院や銀行などの数や自宅からの距離などを考慮する必要があります。
電車やバスの路線が発達しているなら、車がなくても移動に困ることはないでしょう。
また、都市部から少し離れた郊外に住んでいる場合でも、都市部への交通アクセスが便利で電車などを使えば買い物や通院なども不便を感じないなら、1台は手放しても良いと言えます。
車にかかる維持費と購入時のローン返済が、家計の支出を圧迫していないか見直してみましょう。
車は1台だけでも、維持費が安いとされる軽自動車であっても年間約35万以上の「維持費」にプラス「ローン返済金」がかかります。
・子供がいる家庭では、収入の約5~6%
・子供がいない家庭では、収入の約7~8%
特に子供がいると将来の教育資金なども貯金しなければならないので、車にお金をかけていられないという家庭もあるかもしれません。その場合、1台車が減ることでその分の費用を将来のために回すことができます。
結婚をしてライフスタイルに変化が生じるのは珍しくありません。
- 夫婦のうちどちらかが専業主婦(主夫)になる
- 退職して在宅ワークを始める など
また、退職しなくても在宅に勤務スタイルを変える、転職するというケースもあるでしょう。今までは夫婦2人とも車通勤だったのに、1人が通勤しなくなると車を2台も所有している必要性がなくなります。
在宅もしくは専業主婦(主夫)なら外出の頻度も少なくなり、車を1台に絞っても問題ない場合が多いです。また、駐車場代も1台分で済むようになるので家計への負担も減ります。
夫婦で1台ずつ所有したほうが良いケース
結婚後も夫婦で1台ずつ車を所有し続けたほうが良いケースもあります。
それは下記のような4つの場合です。
結婚後に夫婦のうち1人が在宅勤務になるなど、これまで通勤に使っていた車に頻繁に乗らなくなるという生活に代わるケースもあるでしょう。ただ、住んでいる地域によっては車を手放さないほうが良い場合もあります。
スーパーや病院、銀行などが自宅からかなり遠く、バスや電車もあまり通っていなくて不便な地域だと、車がないと本当に困るからです。
夫婦2人とも結婚後も仕事をそのまま続けて、車がないと通勤にかなり不便な地域に住んでいるというケースもあるかもしれません。この場合は敢えて車を手放さずに、そのまま1台ずつ計2台を所有したほうが良いでしょう。
維持費が家計を圧迫するなら、維持費や購入費の削減を目指してやりくりすることを考えるのがおすすめです。
- 維持費の安い車種に乗り換える
- 新車ではなく中古車を購入する など
そして、今までは電車通勤だったのに、結婚後に引っ越して車通勤しかできないようになれば、逆にもう1台所有する必要があります。1台だったのを2台にするというのも、また家計に大きく響いてくるので選ぶ車が重要なポイントとなります。
通勤しか使わないなら維持費も購入費も安い、中古の軽自動車を選んで計画的に乗り換えるなど先を見越して賢く購入しましょう。
結婚後に出産を控えているなど、家族が増える予定がある場合は敢えて車を手放さないほうが良いとも言えます。赤ちゃんの時は、特に病気や予防接種などで通院回数も増えます。
また、雨などの天候が悪い中の公共交通機関での移動は、かなりの苦労を伴うでしょう。赤ちゃんを抱っこしてベビーカーを折りたたんで電車内へ運ぶ、という作業だけでも大変です。
ミニバンの維持費が高いなら車内が比較的広いコンパクトカーへ乗り換えるなど、工夫次第で維持費節約も目指せます。
逆に今のところ出産の予定がないのであれば、手放す判断をしても良いと言えます。たとえ子供ができたとしても、必要な期間だけカーリースに頼るという手もあるので特に問題はないでしょう。
結婚後は引っ越しや転勤、出産など家族のライフスタイルや人数の変化が何かしら起こる家庭が多いです。その時のライフスタイルに合わせて「車の所有台数の増減を考える」「維持費を減らすために車種を変える」などしていくことが大切になります。
「車の所有が家計を圧迫していないか?」「1台あれば十分ではないのか?」を夫婦でよく話し合い、自分たちが生活しやすいようにその都度変えていくことがおすすめです。
車の維持費をカットすることは、支出を抑えるだけではなく、将来的に家庭に必要なお金、子供の教育資金やマイホームの購入費などの貯蓄にも回せます。
家計を考えるうえで車を持つかどうかは、かなり重要なウェイトを占めると言えるでしょう。
結婚後に行う車関係の手続き

結婚後は車関係以外にも様々な行政手続きが必要なので忘れがちですが、運転に必要な手続きがあるので見ていきましょう。
結婚後に行う行政手続きの一つが、運転免許証の氏名、引っ越した場合は住所変更です。近くの警察署や運転免許センターなどに出向きます。
そこでの必要なものは以下になります。
- 結婚前の運転免許証
- 本籍地が記載されている住民票
- 他の都道府県からの移住の場合は申請用の写真1枚
- 印鑑
- 新住所が確認できる健康保険証 など
※本人以外でも手続きはできますが、代理人の身分証明書が必要になります。
そして、車検証の氏名、住所変更も行います。住所地を管轄する運輸支局、軽自動車の場合、県の軽自動車協会へ出向きます。
そこでの必要書類は以下になります。
- 車検証の原本
- 新しい名字の印鑑
- 発行から3ヶ月以内の住民票
- 発行から3ヶ月以内の戸籍抄本
- 警察署で発行してもらった発行1ヶ月以内の車庫証明書
※車検証の所有者と使用者が別の場合は委任状も必要です。例えば、ローン返済中で所有者が信販会社になっている場合などが当てはまります。
任意保険である自動車保険の氏名や住所変更を行う時は、保険会社のお客様センターなどに連絡して手続きしてもらいましょう。
戸籍抄本や住民票などの公的証明書のコピーを取ってもらい、保険会社から送られてくる書類に記名、捺印すれば手続きは完了です。
ただ、結婚を機に引っ越して実家から出る場合、使っていた車の「等級」は引き継げないことになっています。結婚後も親と同居していればそのまま保険の等級は引き継げます。また、結婚後に1台に車をまとめる場合、家族間で保険の等級が引き継げるので等級が高いほうへシフトするのもおすすめです。
更に補償される運転者の範囲についても見直す必要があるでしょう。運転者を本人限定にしてある場合、配偶者限定もしくは家族限定に直すことで万一の事故の場合も安心して補償が受けれます。補償内容も重複していないか、補償額は十分かも合わせていい機会なのでチェックしてみてください。
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