車買取の契約後にキャンセルできる条件について
大切に乗ってきた車を売る場合、キャンセルしたくなるケースがあるかもしれません。
例えば「思っていた査定額ではなかった」「減額された」「業者の対応が悪い」などの理由です。
キャンセルできるかどうかは、契約前なのか契約後なのかによっても異なります。それぞれのケースで対応方法があるので確認しておきましょう。
車買取でキャンセルできるケース
車買取で売買契約が済んでしまっても、キャンセルできる場合があります。何らかの事情でキャンセルしなければならない場合は、対応が可能かどうか調べてみてください。
査定後に担当者と契約すると口約束をしただけならキャンセルできるかどうかは、ケースバイケースであると言えます。
一般的に口約束でもお互いに合意していれば、契約は成立しています。(諾成契約)
法的な効力があるため、口約束であっても注意が必要です。ただし、車買取による契約の口約束に関しては、この限りではありません。
口約束による売買契約が成立しない理由は、日本中古自動車販売連合会監修の「自動車注文書標準約款」に記載してあります。
約款によると、中古車の売買契約が成立する3つのパターンが記載されています。1つは車を引き渡したとき、2つは名義変更したとき、3つは改造や修理をしたときです。
これら3つの条件に当てはまらなければ、口約束での売買契約は成立していません。
ただし、3つめの条件にあるように、車の改造や修理を依頼していた場合は、それらの費用を支払う必要はあります。
車買取業者によっては、契約後でもキャンセルできる猶予期間を設けている場合があります。猶予期間は一般的に「3日~1週間」程度です。
業者が猶予期間を設けていれば、この間にキャンセルできます。
期間内なら車買取業者にとってもほとんど損失がないため、キャンセルを受け付けてくれるでしょう。猶予期間があるかは、業者によって異なるため事前に確認してください。
「気が変わった」「事情が変わった」などのケースに対応できるため、猶予期間があれば安心です。
また、猶予期間内のキャンセルは、費用がかかりません。無条件でキャンセルできるため、車買取に迷いが生じやすいときや、状況が変わりやすい場合は、猶予期間を有効に活用してください。
売買契約を書面で結んでいなければ、キャンセルは可能です。車と書類を引き渡す前は、業者に契約書を渡しておらず契約前のため、キャンセルができます。
もし、書類に必要事項の記載と捺印がしてあっても、業者に渡していないなら口約束と同等の扱いとなります。この段階であれば、業者に損失が発生していないことが多く、キャンセルを受け入れてくれるかもしれません。
ただし、業者によっては口約束であっても、契約するものとしている場合があります。すでに作業を進めており、キャンセルにより何らかの損失が発生する場合もあるでしょう。
車と書類を引き渡す前はキャンセル可能ですが、トラブルに発展する可能性を考慮してください。
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車買取でキャンセルできないケース
上記で説明したキャンセルできるケース以外は、キャンセル不可となる場合があります。具体的にどのようなケースでキャンセルできないのか紹介します。
キャンセルできない共通点としては契約後で、状況に応じてキャンセルが難しくなります。
売買契約が済んでいれば、業者は次の買い手を探します。買い手との取引は、契約直後にすでに完了している場合があるでしょう。
すでに、買い手との売買契約が済んでいると、キャンセルは難しくなります。すぐに買い手がみつかりやすいのは「車の状態が良いこと」や「人気車種であること」です。
車買取業者に希望の車を伝えて探してもらっている方もいるため、みつかり次第すぐに売買契約を結ぶ場合があります。人気の車種やグレードである場合や、市場で数が少ない車は注意してください。
買い手との売買契約が済んでいれば、買い手が納得しなければキャンセルはできません。ほとんどのケースでキャンセルを認めることはなく、認めたとしても高額なキャンセル料が発生する恐れがあります。
車買取業者のなかには、購入した車をオークションで売る場合があります。オークションの出品には、移動費や出品手数料がかかっているため、売り手の一方的な理由でのキャンセルが難しくなります。
また、オークションに出品すれば、すぐに買い手がみつかるかもしれません。オークションは業者間の取引のため、キャンセルしてしまうと買取業者の信用に関わります。
このようにオークションに出品されてからのキャンセルは、業者にとってリスクが高いことです。多くの場合では、売り手の事情でキャンセルを認めてくれないでしょう。
どうしてもキャンセルしたいとなれば、業者の損失分のキャンセル料を支払わなければなりません。売り手にとってもリスクが高いため、オークション出品後のキャンセルは避けるようにしてください。
業者が設けるキャンセルの猶予期間が過ぎていれば、キャンセルは難しくなります。期間が過ぎれば業者は買い手を探すための作業に入っているからです。
車によっては、商品として販売するための修理作業に入っている、オークションに出品している場合もあるかもしれません。多くの費用がかかっていれば、業者はキャンセルを受けてくれない場合が多いです。
業者が猶予期間を設けるのは、車買取を希望する一定割合でキャンセルする方がいることを理解しているからです。あらかじめ期間を設定し、業者の損害を少なくする工夫をしています。
それでもキャンセルしたいとなれば、多額のキャンセル料は覚悟しましょう。費用をかけてでも車を取り戻したいのか、もう一度考えてみてください。
業者が買い取った車は、不具合があれば修理工場に入れてメンテナンスをします。契約後だと、すでに修理がはじまっており、キャンセルが難しくなる場合があります。
車の修理工場は、買取店舗や車置き場から離れているかもしれません。離れた場所に修理工場があれば、移送費がかかっていることが大半です。
どうしてもキャンセルしたいとなれば、移送費・部品代・人件費などの費用がかかる恐れがあります。修理がはじまっている段階のキャンセルは、無駄な費用がかかると考えておきましょう。
車買取の契約後にクーリングオフは適用される?
そもそも、車買取にはクーリングオフが適用されるのではないかと、疑問を感じる方もいるかもしれません。クーリングオフは消費者を守る制度ですが、どのようなケースでも適用されるわけではありません。
車買取で適用されるのか、制度の詳細を理解しておきましょう。
消費者を守る観点から、契約後でも一定期間内なら無条件でキャンセルできるのが、クーリングオフ制度です。
無理な勧誘による悪徳業者の契約が問題とならないよう、クーリングオフ制度があります。例えば、訪問販売で正確な判断ができず、高額な商品を購入する場合が対象です。または、道端で呼び込みをしており、個室に通されて断れずやむを得ず契約するケースも適用されます。
クーリングオフの対象となるのは、「訪問販売」「キャッチセールス」「マルチ商法」「クレジット契約」「預託取引」などです。また、「通信販売」「電話勧誘」「内職商法」などや、長期や高額の契約となりやすい「エステ」や「スクール」なども対象となっています。
無条件で解約できる期間は、種類別で8日間または20日間です。期間を過ぎても特定の条件に当てはまれば、解約できる場合があります。
売買契約が成立している車買取では、クーリングオフが適用されません。車に関しては、購入や売却に関しても、クーリングオフの適用外となっています。
そもそもクーリングオフは、訪問販売など無理な契約であった場合や、長期の契約の場合です。車買取は大きな金額が動きますが、双方が合意のうえ契約しているため、クーリングオフが適用されないこととなっています。
車買取で注意したいのは、電話・FAX・メールのみで契約するケースです。担当者と直接会わず契約したとしても、売買契約をしたことに変わりがありません。
また、車に対しては特定商取引法政令により、クーリングオフが除外されています。ただし、業者から車買取を強引に進められた場合は、この限りではない可能性もあるため、国民生活センターなど専門家に相談してください。
車買取の契約後に発生する解約料について
キャンセルする場合に気になるのが、解約料の負担でしょう。売買契約後にキャンセルすると、解約料がかかるケースがほとんどです。
なぜ、キャンセルをすると解約料が発生するのか、どのくらいの費用がかかるのか紹介します。
売買契約後のキャンセルは、業者にとっての迷惑料のようなものです。
契約が済めば車は業者の商品であり、利益を生み出すためのものです。一方的なキャンセルは、業者の利益を奪う行為だと言えます。
解約料の請求は、業者にとって正当な権利で、損害賠償の意味が含まれています。
売買契約書に、解約料の項目がないか確認しておきましょう。項目がある場合で契約が済んでいるなら、解約料の条件に合意したということになります。
どのくらいの解約料がかかるかは、業者の損害額によります。業者がすでに売却のため動いた実費が解約料として請求されるケースが多いでしょう。
解約料の目安は、50,000円前後です。契約直後のキャンセルなら、業者はまだ多く動いておらず、解約料が安くなる場合があります。
また、契約から時間が経ってからのキャンセルでは、業者の損失額が大きくなるため、50,000円以上の解約料がかかる場合もあります。
車内クリーニングは外注していることが多く、相場は5,000円~40,000円です。
専門業者にクリーニングを依頼すると、見えにくい汚れやニオイも除去しやすくなります。
清掃では、掃除機でごみやほこりを除去してから、内装やガラスの拭き掃除をします。使用する道具は、掃除機・タオル・洗剤・アルコール・スチームクリーナーなどです。
高圧蒸気を使って、シートなどに染みついた汚れやニオイを除去します。
車買取では次のユーザーに気持ちよく車を使ってもらうため、クリーニングに出すのが一般的です。
車を移動している場合は、陸送費がかかります。相場は、近場で10,000円~15,000円くらいです。
離れた場所に車を陸送する場合は、距離により料金が変わるため注意してください。1万円台で済みやすいのは2~3時間の移動のケースで、5時間以上かかれば30,000円以上はします。
ちなみに、陸送費は車のサイズが変わっても変わりません。距離で料金が変わってくるため、車買取業者が遠くに車を移動している場合に注意してください。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
車買取の契約後にトラブルにならないために
最後に、車買取の契約後にトラブルを避ける対策を紹介します。
車買取を依頼する方のほとんどは売ることを決めていると思いますが、状況によってキャンセルを選択する場合もあるでしょう。「業者の対応が悪い」「減額された」などの理由でキャンセルするかもしれません。
万が一の対処方法をチェックしておくと、スムーズな取引ができますので、参考にしてください。
キャンセルを避けるため、契約前に本当に車を売ってもいいか考えることが必要です。
契約後に高く買ってくれる業者をみつけても、「キャンセルできない」または「高額な解約料がかかる」などの恐れがあります。
車買取の金額で満足するために、複数の業者と話を進める方法も考えてください。最初から複数の業者の査定額を聞いていれば、条件の良い業者を選択しやすいでしょう。
また、身近なところに高値で車を買いたい人が現れるかもしれません。知り合いに一声かけておけば、契約後にキャンセルする状況を減らすことができます。
また、車買取は家族の同意を得るようにしてください。所有者が売ると決めても、「車は家族全員の持ち物」という認識をしている場合があります。
業者によってキャンセルの条件が異なるため、契約書に書かれているキャンセル規定を確認しておきましょう。
例えば、車買取業者のなかには、契約翌日までキャンセルできる場合があります。業者によっては最大7日までの猶予期間や、キャンセル規定そのものがない業者もあります。
キャンセル規定がない車買取業者は、柔軟に対応してくれるかもしれません。また、業者によっては、契約後のキャンセルは原則認めないところもあるため注意してください。
猶予期間やキャンセル規定は、公式サイトで確認できます。具体的な表示がない場合は、直接担当者に聞くといいでしょう。
車買取で安心して取引できるよう、信用できる業者か比較してください。なかには、悪徳業者に安値でたたかれてしまい、やむを得ずキャンセルを選択しなければならないこともあるかもしれません。
信頼できる業者とは、適正価格で買い取りをしてくれる業者のことです。公式サイトには業者の都合のいい情報しか掲載されていないことが多いため、ネットの口コミを参考にするといいでしょう。
また、担当者の対応を確認すると、信頼できるかの判断がしやすくなります。査定金額は高ければいいわけではなく、高いのは契約を取る目的だけで、契約後に減額されるかもしれません。
見積書はわかりやすいか、スピーディな対応を心がけているかも、目安にできます。直接担当者と会うことができないなら、電話対応が親切か確かめてみてください。
契約後にキャンセルしやすいのは、減額された場合が多いです。
担当者と話をした際の査定額に満足して契約したのに、納車後の再査定で減額を言われるケースがあります。
減額の理由はさまざまですが、業者の一方的な言い分もあるでしょう。車の状況を正直に話したにもかかわらず、最初の担当者が不具合を見逃した理由なら、業者都合の減額です。
売り手に落ち度がない減額は、基本的に応じる必要はありません。契約したのは査定額に満足したからで、業者の都合で減額されれば、キャンセルを選ぶのも当然のことです。
車買取で契約後の減額は、たまにあることです。最初から減額しないと明言する業者もあるため、業者選びは慎重にすることをおすすめします。
契約書にサインする前に、契約書の内容を確認してください。細かい部分もよく読んだうえで契約するようにしましょう。
キャンセル規定に関しては、業者が説明することになっています。担当者の口頭の説明だけでなく、契約書の内容も読んでおくと安心です。
トラブルを防ぐため、査定したその日に契約をするかは、考えた方がいいかもしれません。「今日契約してくれたら査定金額を上乗せしますよ」というセールストークに惑わされないようにしてください。
自分がしっかり考えてから契約したいと思うなら、目先の増額だけでどの業者にするか判断しないようにしましょう。