車は大事に乗っていたとしても、交通事故での破損や水害、部品の消耗などで故障することがあります。故障すると、買い取ってもらえるか心配という方は多いでしょう。
故障の程度によっては買い取ってもらえる可能性もありますが、ひどい場合は買取先を慎重に選んだほうがいいです。
この記事では、車の故障の程度別に買取先の違いについて紹介します。また、軽度な故障と重度な故障の違いや内容についても解説します。
故障車といってもその状態は車によって異なる
車を数年間使い、走行距離が多くなると部品は消耗していきます。国産車は耐久性に優れているといっても、メンテナンスをきちんとしなかったり、10年以上乗り続けていたりすると故障のリスクが高まります。
ただ、故障車といっても明確な定義はないため、その状態は個々のケースで異なります。軽度な故障もあれば重度な故障もあるので、その違いについては知っておきましょう。
中古車市場における故障車の価値は?
安さが魅力の中古車ですが、いざ購入するとなると故障車は敬遠されがちです。しかし故障車といっても、その箇所や程度はそれぞれ異なります。
例えば、簡単な修理で直せて外観上に故障が目立たない車もあります。そして、このような車は安く買えるなら欲しいと思う方も多いです。
そのため、故障車といっても中古車としての価値はまだ高い車もあります。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
故障の程度によって買取先が異なる
故障車であっても、買い取ってもらえる可能性はありますが、故障の程度によって買取先は異なります。
軽度の故障の場合と重度の故障の場合では、どこで買い取ってもらえるのか、見ていきましょう。
軽微な故障であれば、一般的な車買取業者の査定でも買取額がつく可能性は十分にあります。
修理する部品自体が安く、簡単に修理できる故障であれば、修理してしまえば故障していない車と同様の条件で再販できます。そうなれば、買取業者も利益を得ることができるので、買い取ってもらうことができるでしょう。
また、買取業者は自社で修理工場を所有しているか、修理工場と提携している場合が多いです。修理費用も相場よりは安く抑えることができるので、故障車を買い取っても十分利益を得ることができます。
重度な故障の場合、一般的な車買取業者で査定してもらっても、買取額が0円になる可能性があります。もしくは廃車となった場合、逆に処分費用がかかるかもしれません。
車買取業者の中には、廃車を専門に扱う業者があります。そこに依頼すれば、修理費用が高額になる車や修理不能となった車でも引き取ってもらえるでしょう。
「どんな車でも引き取ります!」という文言を掲げているところもあるほどなので、廃車専門の買取業者なら車の状態によっては買取額がつくこともあります。
軽度な故障とは?
ここまでで、多少の故障であれば車買取業者でも買い取ってもらえる場合が多いことを解説してきました。
軽度な故障というのは、基本的に車の走行には影響のない部位の不具合です。簡単に修理できて修理費用もさほど高額にならないケースが当てはまります。
具体的には、エアコン、オーディオ、カーナビ、ドア、タイヤ(パンクなど)の不具合です。また、ライトの球切れ、ボディの軽微な傷やへこみなども含まれます。
ここからは、軽度の故障がどういったものなのか、詳しく見ていきましょう。
エアコンの不具合は、比較的軽微な故障に当てはまります。不具合にも色々な症状があります。
割と多いのが冷房や暖房が効かないというケースです。エアコンガスやクーラントの不足、サーモスタットの故障であれば、数千円~数万円の修理費用で済みますが、エアコンの主要部品であるコンプレッサーの故障だと、修理費用がやや高くなるでしょう。
異臭がする場合は、フィルターの汚れが考えられます。また、風が出ない、カラカラという異音がする場合はファンモーターが故障している可能性があります。修理費用は、フィルターの交換は数千円、ファンモーターの交換も数万円程度です。
オーディオの音が出ない、音が途切れるなどの不具合がみられる場合は、スピーカーの配線トラブルや内部のアンプの故障などが考えられます。
また、カーナビの不具合もよくあります。起動しない、途中で電源が落ちる、画面が固まる、ノイズが出る、タッチパネルが動かないなどの症状が多いです。
カーナビやオーディオの場合、純正品を社外品に付け替えているという方も多いでしょう。社外品であれば、買取後に純正品や別の社外品に付け替えれば問題ありません。
もし純正品の故障であっても、部品交換などの修理費用は比較的安く済みます。
エンジンがかかりにくい、ライトが点かない、パワーウインドウなどの電装品が動かない場合は、バッテリー上がりが考えられます。
バッテリーは、車に必要な電力を蓄えておくパーツのことです。バッテリーに蓄電された電力が不足すると、バッテリー上がりが起こりますが、バッテリーを交換すれば問題なく修理できます。
ただし、バッテリーを交換してもエンジンがかからない場合は、スターターモーターなどの部品が壊れている可能性があります。
ドアの不具合で多いのが、開閉しにくいというトラブルです。ドアノブの不具合や後部座席のパワースライドドアのヒューズ切れ、電動モーターの故障、開口部のゴムパッキンの劣化などが考えられます。
修理費用は、故障の原因によって異なりますが、数万円程度で済むことが多いです。
ドアの開閉は頻度が高いので、デリケートで壊れやすい部分ではありますが、車の性能に関係ない箇所なので、修理して直れば買い取ってもらえます。
タイヤの不具合は、パンクや溝のすり減りなどが挙げられます。
パンクしたまま走行すると、穴が大きくなったりタイヤがバーストしたりするリスクが高まり危険です。
応急処置をしておけば短期間なら走行できますし、タイヤを交換するだけで走行可能になります。
タイヤの費用は幅がありますが、交換すれば車の走行そのものには問題がないので、十分買取は可能です。
車にはヘッドライトやブレーキランプ、テールランプなどの様々なライト類が備わっています。しかし、自分でも気づかないうちにライトが点かなくなっているケースはよくあります。
ライトが点かなくなったら、切れた電球を交換する、配線を直すなどの比較的簡単な修理で復活させることが可能です。修理費用も割と安く、車の買取もしてもらえるでしょう。
ボディの傷やへこみが小さく、簡単な修理で直せる範囲のものであれば車買取業者で買い取ってもらえるでしょう。
買取後に自社工場や提携工場などで板金塗装を行えば、ほぼ目立たない程度にまで回復させることができます。浅く狭い範囲の傷やへこみであれば部品交換までは不要なので、安く修理することが可能です。
ただし、傷の広さや深さによっては査定額が減額となる場合もあるので、注意しましょう。
そのため、修理せずに買取に出したほうがよい場合が多いです。
軽微な故障は修理してから買取に出したほうがいい?
軽微な故障程度なら、修理費用もさほどかかりません。そのため、査定に出す前に整備工場などに頼んで修理してもらったほうが、買取で有利になるのではと思う方もいるでしょう。
ここからは、修理に出すべきかどうかについて詳しく説明していきます。
実際、軽微な故障なら修理費用は数千~数万円とさほど高額ではありません。確かに故障がない状態のほうが、買取の際にマイナスイメージもないので高い買取額がつく可能性もあります。
しかし、逆に修理したほうが損するリスクが高いとされています。それは、査定額が修理費用を上回ることがほぼないからです。
その理由は、売る側が自分で修理工場に持ち込むよりも、買取業者は自社工場もしくは提携工場で安く修理することが可能だからです。
そのため、車は修理しないでそのまま買取に出したほうが良いとされています。
ボディの小さな傷やへこみ、簡単な修理程度なら自分でできるという方もいるでしょう。
車の仕組みに詳しく、普段から多少のメンテナンスを自分でやっているなら、買取前に自分でやってみるのも良いかもしれません。部品はネットなどで安く購入できるので、修理費用を抑えることもできます。
ただし、車に詳しくない方が無理をしてやると、傷やへこみがひどくなったり、故障が悪化したりする恐れがあるのでやめましょう。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
重度な故障とは?
一般的な車買取業者では買取額がつかないような、重度な故障にも様々なパターンがあります。
車が交通事故により激しく損傷し、修理しても走行できないもしくは多額の修理費用がかかる状態などが当てはまります。
具体的にどういった症状があるのか、見ていきましょう。
バッテリーは問題ないのにエンジンがかからないという故障は、かなり重度なトラブルだと言えます。
車の心臓部分でもあるエンジンが故障していれば、もはや大掛かりな修理になることは否めません。修理しても直せない可能性もあるでしょう。
もしエンジンを取り換えるということになれば、費用は30万~50万円、ひどいと100万円以上かかることもあります。
高額な修理費をかけてまで修理するのではなく、廃車になる可能性が高いため、買取価格はつかないかもしれません。
フロントガラスにヒビが入っているということもあります。これは、飛び石によるものやワイパーに砂利がついたまま作動させてしまった場合に起こります。
また、凍結時にフロントガラスをブラシでこすったり、熱湯をかけてしまったことが原因として考えられます。
浅く小さなヒビなら、応急処置をして修理することができますが、大きなヒビやガラス自体がもう割れているという状態だと修理はできず、交換ということにもなりかねません。
フロントガラスの交換は、費用が高額になることが多いので注意してください。
車で走行中に台風やゲリラ豪雨などの水害に遭遇し、車が水に浸かってしまうという災難に見舞われることもあります。
タイヤが水没する程度ならいいのですが、水位が高くなり、ボンネット付近やダッシュボードのあたりまで水没すると、エンジンやバッテリーなどの電気系統が故障し、車が動かなくなるでしょう。
また、座席が水に浸かると、水が引いた後でもシートに雑菌が付着し、カビや悪臭が発生してしまいます。
こういった車は、水没車(冠水車)と呼ばれ、一般的な車買取業者では買取不可となります。修理したとしても完全に修復するのは難しいので、車の価値がかなり下がることになるでしょう。
交通事故に遭遇し、車が破損したので修理して乗っているという方もいるでしょう。ボディの多少の傷やへこみなどは、修理すれば走行には問題ないので買取でもさほど影響はありません。
しかし、車が大きく損傷し、車の骨組みであるフレーム部分を修理したり交換している場合は「修復歴あり」となります。
修復歴ありの車はどんなに修理しても、その後の車の走行に影響を及ぼすので、買取額が下がるのが一般的です。
修復歴があっても年式が新しい、丁寧な修理をされている場合は買取額がつくこともありますが、古い年式の車や修理されていない(修理不能な)車は、車買取業者だと買取額がつかないこともあります。
日本車は海外でとても人気があって、故障していたとしても販売することができるため、海外に販路を持つ業者は買い取りを行ってくれます。
また、分解してパーツとして販売したり、スクラップにして鉄くずとして売却したりすることもできるためです。
重度な故障でも買い取ってもらえる理由
廃車専門の買取業者では、重度な故障の車でも買い取ってもらうことができます。その理由について以下で説明していきます。
重度な故障車というのは修理して走行できたとしても、国内での需要は高くありません。
しかし、日本車というのは品質が高く、耐性も優れているため海外ではとても人気があります。多少壊れた車でも走るのなら欲しいという方も多く、需要が高いのです。
廃車専門の買取業者は、海外に独自の販路を持っているので、重度な故障車であっても修理可能であれば修理し、海外に輸出して販売することができるため、買い取ってもらうことができるのです。
修理しても走行できない状態の重度な故障車であっても、車の一部のパーツはまだ使えるというケースもあります。
廃車専門の買取業者は、車を分解してパーツを外し、洗浄して磨いてから新しい部品で手直しして再販することができます。
再販できるパーツは「リビルト品」といい、中古品ではありますが、性能に問題はなく、新品よりも安く購入することが可能です。
そのため、車のメンテナンス費用を抑えるために、リビルト品を好んで取り入れる方も多いです。また、交換するために必要な部品が、メーカーの製造中止で在庫がない場合にリビルト品を使うこともできます。
廃車となった車でもパーツに一定の需要があるので、買い取ってもらうことができます。
修理ができない重度な故障車の場合は、パーツを取り外して後に廃車としてスクラップに回されます。
車は「鉄」や「樹脂」などの素材が使われているので、スクラップにすれば素材がリサイクル可能となります。そして、鉄くずなどは解体業者に買い取ってもらうこともできます。
修理ができず、車買取業者で買取額がつかない車だったとしても、価値はあるということです。
故障車でも諦めずに買取先を探してみよう!
車が故障すると、もう買い取ってもらえないのではないかと不安になる方もいるでしょう。しかし、故障の程度や買取先によっては買取は十分可能です。
修理できないくらい故障している車も、買取額が0円になるということはまずないでしょう。少なくとも、解体業者に鉄くずとして売却することができるからです。
少しでも買取額を得るためには、軽微な故障ならまずは車買取業者に見てもらいましょう。そこで買い取ってもらえなくても、廃車専門の買取業者に持ち込めば買取額がつく可能性があります。