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車に傷がついていると買い取ってもらえるのか心配という方は少なくありません。中古車として自分が購入することを考えると、やはり傷のないきれいな車が欲しいとなるでしょう。
実際には傷があっても買い取ってもらえるケースが多いですが、傷の大きさや深さによっては買取額が下がってしまうことは否めません。
そこで今回は、傷の程度によってどれくらい減額になるのか、買取前に修理をするべきか、詳しく解説していきます。また、傷のある車を少しでも高く売却する方法も紹介しているので参考にしてください。
車の査定基準について知ろう!
車の買取価格は、様々な要素から総合的に判断して決められます。主な評価は、車種、年式、走行距離の3つです。また、ボディカラーやグレードによっても価格が変動することがあります。
実際に査定員が車を見てから、その状態に応じて減額されていくという形がとられるのが一般的です。具体的には車の外装や内装、エンジンやタイヤなどを細かくチェックされます。
車の傷や凹みの減額基準はどこで決められているの?
中古車の買取査定を行う買取業者は、一般財団法人日本自動車査定協会が規定する査定基準を参考にしているところが多いです。
その中でも、車の傷や凹みによる減額基準が「中古自動車査定基準及び細則〔Ⅰ〕」によって定められています。どういった傷や凹みがどの程度減額になるかの判断の目安とされています。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
傷の大きさや深さによっていくら減額になるのか
車の傷に関しては、大きさや深さによって減額の度合いが違ってきます。比較的浅くて小さな傷であれば減額されない場合もあります。
ただし、凹みがあると板金と再塗装が必要となるので大きさによっては減額度合いが大きくなります。
車のボディについてしまった傷の中でも比較的浅い傷は、ほぼ減額の対象とはならない場合が多いです。傷の深さの目安としては、爪がひっかからない程度の浅さかどうかで判断されます。浅い傷は、
走行中に砂利や小石が飛んできてボディに当たり、知らないうちについてしまう場合もあるでしょう。そのため、多少の傷は大事に乗っていても回避できないと考えられているので、査定では問題ありません。
ただし、浅い傷であってもあまりに数が多い、広範囲にわたってついている場合は修理するにも時間と費用を要します。こういったケースでは多少減額される可能性があるので覚えておきましょう。
傷が爪にひっかかる程度にやや深く、再塗装が必要となる場合は傷の大きさによって買取価格が減額となります。
日本自動車査定協会の「中古自動車査定基準及び細則〔Ⅰ〕」の規定によると1cm未満の傷であれば、査定額に影響はありません。
1cm以上9cm程度の場合は、10点減点となり約10,000円の減額となります。9cm程度とは、大体キャッシュカードやクレジットカードなどのカードの大きさです。
9cm以上30cm程度の場合は20点減点で約20,000円の減額、30cm以上となると30点減点で約30,000円の減額となるでしょう。30cmというのはA4サイズの大きさとなります。
ただし、あくまでも一般的な査定基準になるので、個々の買取業者によって減額幅は多少異なることもあります。傷の状態によってはさらに大幅に減額されることもあるので、目安として覚えておくとよいでしょう。
塗装が剥がれて傷がつき、凹みがある場合は板金と再塗装が必要となります。凹みのある傷は残念ながら査定額に大きく影響します。
1cm以上9cm程度の凹み、カードサイズ未満の凹みなら10点減点で約10,000円の減額です。
9cm以上30cm程度のA4サイズ未満なら30点減点で約30,000円の減額となるでしょう。
A4サイズ以上パネルの面積2分の1未満なら50点減点で約50,000円の減額です。また、パネルの面積半分以上となると10万円以上の減額となる可能性があります。
ただし、あくまでも一般的な査定基準なので、買取業者によっては減額幅が違ってくる場合もあります。凹みの程度がひどいと判断されるとさらに減額されるケースもあるので、目安として覚えておきましょう。
修復歴がある車というのは、車の骨格部位にかかわる部分が損傷を受けて、修理している車を意味します。事故車とは違い、骨格部位まで損傷を受けていない車は事故で修理しても「修復歴あり」とはならないので間違えないようにしましょう。
修復歴の対象となる車のパーツは8つあります。
- フロントの「フレーム」
- 横方向に取り付けられた「クロスメンバー」
- エンジンルーム内に左右に設置された「インサイドパネル」
- ドア枠部分の「ピラー」
- エンジンルームと乗車部分を隔てる「ダッシュパネル」と「ルーフパネル」
- 車の床部分の「ルームフロアパネル」
- トランク部分の下部に位置する「トランクフロアパネル」
修復歴があると、ない場合に比べて約15~20%の減額となる可能性が高いです。
パーツ別!傷の減額基準について
傷の大きさや深さなどの程度によって、買取額は違ってきます。ただ同じ程度の傷であっても、パーツによって減額の度合いが異なる場合があるので注意が必要です。
バンパーは傷がつきやすいですが目立ちにくいので、さほど大きな減額とはなりません。逆にドアやボンネットなどは目立ちやすく、1つのパーツが大きいので減額度合いが高まるとされています。
車の中でもバンパーは地面から一番近く、砂利や小石が飛んでくるので、傷がつきやすいと言われています。また、壁などにこすった場合も、まずは一番外に出ているバンパーに傷がつきやすいでしょう。
バンパーの場合、カードサイズまでの大きさなら査定額に影響ない場合もあります。A4サイズまでの大きさなら10,000円、A4サイズ以上の大きさになると約30,000円、パネル半分以上の大きさになると約50,000円の減額になるとされています。
バンパーにつく擦り傷やひっかき傷は修理しやすく、下のほうは目立ちにくいので減額幅も他のパーツに比べると小さいです。
ドア、ボンネット、タイヤ周りを覆うフェンダーも、走行中に飛び石などで比較的傷がつきやすいパーツと言えるでしょう。
これらの部分の傷は、カードサイズ程度なら約10,000円、A4サイズの大きさまでなら約30,000円、パネル面積の半分までなら約50,000円の減額となるとされています。さらに、パネル面積の半分以上となると約10万円以上の減額となってしまいます。
ドアやボンネットなどは車の外装の大部分を占め、1つのパーツが大きいので傷があれば目立ちやすいです。程度によっては修理に時間と費用がかかるため、バンパーと比べると減額度合いは大きくなってしまいます。
車の屋根の部分、ルーフも落下物や雹(ひょう)などの自然災害により、凹みや傷が生じることがあります。
A4サイズよりも小さい傷なら約10,000円、パネル面積の半分より小さい傷なら約50,000円、パネル面積の半分以上の場合だと約80,000円以上の減額となってしまうことがあります。
ルーフは1つのパーツの面積が大きいので、板金や塗装にも時間と費用がかかり、車のパーツの中でも大きく減額される可能性が高いです。
契約をして車の引き渡しまでに傷がついた場合は?
査定額が提示された後、車に傷や凹みがついてしまうというケースもあるでしょう。この場合、程度によっては査定額が減額となる可能性があります。
売却先が決まり、売買契約前であれば買取業者に連絡して、再査定してもらったほうがよいでしょう。
また、売買契約後なら車を引き渡す際に申告します。場合によっては買取価格が変更となり、契約がやり直しになることもあります。
もし黙っていると、車を引き渡した後に買取業者が車をチェックした際に、傷や凹みに気づいて減額請求してくることもあります。
査定士はプロなので後からついた傷や凹みには気づくはずです。後でトラブルにならないように、自分が気づいたら相手に指摘される前に申告しておくことをおすすめします。
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車の傷への対処法
車の傷ができてしまうと、修理をしてから買取に出したいと思う方もいるかもしれません。ただし、修理に出すと修理費用がかかってきます。
買取額を考えると果たして修理して出すべきが悩むところです。また、自分で直すという選択肢もあります。
ここからは、査定前の傷をどう対処するべきか説明していきます。
車のボディに傷がついていると、査定で減額となってしまうことがあります。減額されないように何とか傷を修理して目立たなくしようとする人もいるでしょう。
しかし、車の塗装や傷の修復は思った以上に、素人には難しい作業なのです。ボディカラーに合わせたペイントペンを傷の上から塗る、パテで凹みを埋めるなどの方法がネットでも紹介されています。
ただ、素人がやると色ムラができて修理した部分が修理前より目立ってしまった、凹みが逆に出っ張ってしまった、などの失敗例も後を絶ちません。
タッチアップペンでの塗装は一見簡単そうに見えますが、ボディカラーは経年劣化により色あせてきており、そういった微妙な色の違いを全く同じように復元するのは、高度な技術が必要です。
目立たなくなったとしても、微妙な色の違いはプロの目にはごまかせません。その結果、少額の減額で済んだはずの傷が、自力で直そうしたため広範囲に広がり、余計減額されてしまうということも十分あります。
無理に修理しないで、そのままの状態で査定に出したほうがよいでしょう。
素人が修理しようとすると難しいので、査定前に整備工場やカー用品店などに修理に出すという方もいるでしょう。しかし、傷や凹みの修理費用は高額になってしまう場合が多いです。
3cm程度の傷や凹みであっても、30,000~50,000円程度かかるとされています。そうなると、査定における減額分よりも修理費用のほうが高くつき、損をすることになるでしょう。
せっかく修理しても、査定額アップにつながらないなら修理しないで査定に出したほうが手間もかからないので効率的だと言えます。
基本的に買取前に傷や凹みの修理はしないほうがよいとされています。しかし、逆に査定前に修理したほうがよいケースもあります。
それは、いわゆるもらい事故による損傷で、自己負担がない場合です。
もらい事故は、自分に過失が0で相手に過失が100%ある事故のことです。例えば、自分が停車中に追突された、赤信号で突っ込んできた車にぶつけられた場合などが当てはまります。
自分には非がないので、修理費用は相手がすべて負担してくれるため、修理しておいたほうが得です。また、自動車メーカーの保証期間内で、無償で修理できる場合も修理しておいたほうがよいでしょう。
傷へ凹みの修理はしないほうがよいですが、少しでも減額を避けるために洗車と磨きは行っておくことをおすすめします。
査定前の洗車は、手洗いで丁寧に行いましょう。洗車機による傷を防ぎ、細かな汚れにも対応できるためです。
洗車したら、薄い傷はコンパウンドなどでも磨いてみましょう。力を入れて何度も強くこするとツヤが落ちてしまいます。優しく磨いて傷が少し薄くなったらそこでやめるようにしてください。
傷のある車を少しでも高く売る方法
傷や凹みのある車であっても、多少なりとも高く売るための方法があります。
具体的にどうすればいいのか、以下で詳しく説明していきます。
車の査定では内装もチェックされるので、シートやフロアマットの汚れ、破れの有無はポイントになります。掃除機をかけて拭き掃除をするなど、できる限り清潔な状態にしておくことが大事です。
また、内装で大事なのが匂いです。ペットや煙草の匂いが染みついていると買取価格が減額されることがあります。消臭剤を置く、換気する、シートや天井を消臭作用のある洗剤で拭き掃除するなど対策をしておきましょう。
車の買取額はいつでも同じというわけではありません。中古車の価格は日々変動しています。
同じ条件の車であっても、売却するタイミングによって価格が違ってきます。1年のうち、買取額が高くなるタイミングで買取に出せば、傷や凹みによる減額を少しはカバーできるでしょう。
4月は就職や進学などで新しく車を購入する方が増えます。新車だと高く、運転初心者ならまずは中古車に乗ろうという傾向になりやすいです。
4月からの新生活を前に、1~3月に中古車の需要が増えるので買取額も高くなります。また、買取業者の決算期にあたる9月も積極的な買取により買取額が高まる傾向があります。
車の購入時の付属品や関係書類があれば、買取額アップが望めます。例えば、車の取扱説明書や整備記録簿などです。また、スペアキーがあれば探しておきましょう。
さらに、純正パーツがあると買取額アップにつながります。もし社外品にカスタマイズしているようなら純正パーツを揃えておくことをおすすめします。ただし、社外品から純正パーツに付け替えると車に傷がついたり、費用がかかったりするので無理に戻す必要はありません。
その他にも、ナビなどの純正オプションの取扱説明書があれば準備しておくとよいでしょう。
傷や凹みのある車に対する減額は、各買取業者によって金額差が生じる場合があります。つまり、1つの傷も買取業者ごとに評価が異なるというわけです。
また、買取業者によって買取を強化している車種も異なります。1社だけに査定を依頼すると適正な買取額を算出してくれているのか判断がつきません。そのため、複数の買取業者に査定を依頼することをおすすめします。
いくつかの業者に査定してもらい、提示された金額を比較して、その中で一番高く買い取ってもらえる業者に売却しましょう。
車の修復歴があると、買取額の大幅な減額は避けられないケースもあります。また、修復してあってもフレームの損傷が激しいなど程度によっては、一般的な中古車買取業者では買取不可もしくは買取額がつかない場合もあるでしょう。
そんなケースであっても、廃車専門の買取業者なら買い取ってもらえる可能性があります。
国内では買取不可の車でも日本車は耐久性に優れており、海外では人気があり需要が高いです。廃車として買い取っても、海外に輸出されることがあります。
また、車自体は廃車でもハンドルやエンジンなどのパーツを取り外し、リサイクル品として再販することも可能です。他にもスクラップすれば、鉄くずとしての価値があります。
廃車専門の買取業者にとっては、廃車であっても商品価値があるため買取額を受け取れる可能性があります。