自動車を保有して気にする機会が増えるのが税金です。自動車は多くの国税と地方税が関わっています。
自動車を購入した段階でも消費税と環境性能割が課税され、さらに保有中にも税金がかかります。支払った税金であれば、少しも無駄にしたくないと考える方もいるかもしれません。
車買取を利用した場合は、すでに支払った税金は還付されるのでしょうか?車買取業者から還付される税金やその他の費用についてまとめました。
車を所有しているときにかかる税金について
自動車の税金について考える時には、自動車にまつわる段階に分けて考えるとわかりやすくなります。
まず、購入段階でかかるのが消費税と環境性能割です。環境性能割はその車の燃費性能に応じて計算される税金です。
また、自動車を保有する段階でも年ごと、車検ごとに税金がかかります。
自動車を保有するランニングコストの中でも、税金は大きな割合を占めます。自動車にはどのような税金がかかっているのか、知っておきましょう。
自動車税は車検証に記載されている車の所有者(使用者)に自動的に毎年課せられる地方税の一つです。
自動車税は毎年4月1日時点での保有者に課せられ、排気量によって税額が決まります。
2021年9月現在の自動車税の税額は「1,000cc以下の29,500円」から「6,500cc以下の111,000円」までに定められています。
軽自動車の場合は、一律10,800円の軽自動車税が課されます。これは自動車税と同じように4月1日時点で車を所有している方に課税される税金です。
条件によって減税されることがあるので、5月ごろに郵送される納付通知書で自動車税額を確認しましょう。
自動車税は1年分を先払いする税金なので、もしも年度の途中で購入した場合には「翌月分~翌年3月末まで」の自動車税を月割で支払う仕組みです。
自動車重量税は自動車の重量に応じて課税される税金で、車の新規登録時と車検時に支払います。こちらも有効期間分を前払いする仕組みの税金です。
税額は0.5tあたりの年額で、新車を新規登録するケースでは、税額の3年分、継続検査や中古車を新規登録する時には2年分が先払いです。
自動車検査証の交付等を受ける方と車両番号の指定を受ける方が納税義務者になりますが、多くの場合は自動車の販売業者や車検業者が手続きすることも多いでしょう。
そのため、請求書で見かけた記憶があっても、納税していると意識していない方もいるかもしれません。しかし、忘れがちな自動車重量税にも還付制度が定められています。
自動車重量税は、自動車リサイクル法に基づいて「自動車が適正に解体され、永久抹消登録申請または解体届出と同時に還付申請がされれば還付される」ので覚えておいてください。
自動車を保有する方の多くが、通勤や買い物、レジャーなどで車を走行させているでしょう。車が走行するために欠かせないのが燃料になるガソリンです。
給油で料金を支払っていて納税している意識を持っている方は少ないかもしれませんが、ガソリンにも間接税がかかっています。ガソリンにかかっているのは、消費税とガソリン税です。
ガソリン税は、酒税やたばこ税と同じように個別の消費税で、消費者が負担して販売店等が納税する義務を負います。もともとガソリン税は道路整備を目的に制定されましたが、現在は一般財源に充てられています。
車の廃車時に還付される税金は?
自動車に関わる税金の中には、先払いする仕組みのものもあります。年度途中で車を手放した場合、先に支払った税金分が戻ってこなければ損になってしまいます。
すでに支払った税金はどのような扱いになるのでしょう。
自動車税は、毎年4月1日時点での所有者(使用者)が納税する仕組みです。年度の途中でその車を廃車にした場合には、すでに支払った自動車税を還付してもらうことができます。
還付される自動車税は、支払い済みの自動車税を月割ににした未経過分です。
例えば、7月に車を廃車にした場合には、翌月の8月から翌年3月までの8ヶ月分が還付されます。同じ月内であれば、月初に廃車にしても月末に廃車にしても還付される金額は変わりません。
支払っている自動車税は排気量等の条件によって違うので、納付通知書を確認してください。
自動車税の還付を受けるために特別な手続きは不要です。還付金がある場合には、廃車手続きをすると都道府県から通知が届きます。通知に従って金融機関や郵便局で還付金を受け取りましょう。
また、振込先口座を指定して振り込んでもらうこともできますが、一部の銀行に対応していないことがあるので、不安がある場合には地方自治体の税事務所に問い合わせてください。
軽自動車税も自動車税と同様に4月1日時点の保有者が税金を先払いする仕組みですが、軽自動車税には還付制度はありませんので注意してください。
廃車時に還付される税金は自動車税だけではありません。車の購入時と車検時に先払いする自動車重量税も還付される税金です。
自動車重量税は、廃車にした車が自動車リサイクル法に基づき適正に解体され、永久抹消登録申請または解体届出と同時に還付申請が行われた場合に還付されます。
還付を受ける時には、郵便局やゆうちょ銀行の他、振込先口座を指定して直接振り込んでもらえます。還付されるのは、自動車税と同じように納付済みの自動車重量税の残月分です。
自動車重量税の還付を受ける条件は、以下の2つです。
- 自動車リサイクル法に基づき適正に解体され、その解体を事由とする解体届出を国土交通大臣に行うこと
- 車検の残存期間が1ヶ月以上あること
自分の車をどのように手放すか、どのタイミングにするかスケジュールを立てておきましょう。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
税金以外に還付を受けられる費用
自動車を手放した時、還付が受けられるのは税金だけではありません。
自動車税や自動車重量税は、廃車手続きをすれば還付を受けられますが、それ以外の費用の場合は手続きしなければ還付されない可能性があります。
税金以外にどのような費用の還付が受けられるのか知っておきましょう。
自賠責保険は強制保険として、自動車を利用する時に必ず契約しています。
自賠責保険は自動車事故の被害者救済を目的とした保険で、加入していなければ車検に通らず一般道を走行することもできません。
自賠責保険は手続きをしなくてもそのまま満期がきます。しかし、還付金を受け取るためには保険会社での手続きを必ず忘れないようにしてください。
自賠責保険は、前払い分の保険期間が残っていれば還付してもらえます。保険契約期間を月割して残存部分を計算します。
自賠責保険は数年ごとに料金が改定されるうえ、諸経費が差し引かれるので正確な金額は加入している保険会社の窓口に問い合わせましょう。
自賠責保険は自動車を購入した時に加入手続きを行います。車検期間と合わせて、車検時に一緒に更新を手続きする方法がよくとられています。
つまり、自賠責保険も次の車検までの期間、2年分をあらかじめ先払いしています。その先払い分は返金されるほか、条件を満たせば引き継ぐこともできるので忘れずに手続きしてください。
新車を購入した時には、リサイクル料金も支払っています。
リサイクル料金は平成17年に施行された自動車リサイクル法に基づいて制定された制度です。
リサイクル料金を購入者が支払って、リサイクル券を受け取る流れです。対象になるのは今まで生産されてきた自動車全てで、車種・グレードごとの料金を購入者が負担します。
自動車メーカー、輸入事業者による「シュレッダーダスト」「エアバッグ類」「フロン類」の適正処理に要する費用と、自動車リサイクルシステムの運営に必要な費用(情報管理料金、資金管理料金)を購入者が負担します。
リサイクル料の情報管理料金と資金管理料金は初めに購入したオーナーが負担する決まりですが、他の料金はその自動車の最終オーナーの負担です。
そのため、自動車を売却する時にはリサイクル料の「シュレッダーダスト」「エアバッグ類」「フロン類」の適正処理に要する費用分の還付を受けられます。
その車を買い取った方は、リサイクル券に記載されている預託金相当額を買取価格に含めて旧オーナーに支払います。
自動車税と軽自動車税でも還付が違う
受けられる還付は自動車によっても異なります。
例えば、自動車と軽自動車でも違いがあり、自動車税は月割で還付が受けられるのに対して、軽自動車税は還付が受けられません。
そのため、軽自動車は手放すタイミングによっては、ほとんど所有していなくても1年分の軽自動車税が課されてしまうケースがあります。
軽自動車を売却する場合には、軽自動車税が課せられる4月1日を過ぎないタイミング、2~3月に売却するのが税制面ではお得です。還付が受けられないからこそ、しっかり計画を立ててください。
抹消登録によって扱いが違う
自動車を廃車にする時に必要になるのが抹消の手続きです。
抹消の手続きにもその性質によって2種類あります。それは「一時抹消」と「永久抹消」です。
この2つは意味合いも、還付金の扱いも違うので混同しないようにしてください。それぞれがどのように違うのか紹介します。
抹消の手続きのうち、一時抹消はその名前からもわかるように一時的な抹消です。
一時抹消は、発行された車検証とナンバープレートを返納して、公道を走行できない状態にすることです。
ただし、抹消登録したとしても一時抹消であれば、再度登録できます。一時的に登録を消すだけなので再度新規登録すれば問題なく公道を走行することが可能です。
例えば、一時的に車の利用をしない場合に一時抹消が使われています。一時抹消をすることによって、その期間の自動車税は課税されず、また自賠責の還付金(解約返戻金)も受けられます。
ただし、一時抹消だけをした場合には自動車重量税は還付されません。一時抹消では自動車の解体はしないので、自動車重量税の還付は受けられないということです。
一時抹消がよく使われるのは、中古車買取業者が車を販売、展示している時です。一時抹消しておくことで、課税や自賠責保険の負担を避けて、車が買われた時に中古車を新規登録します。
永久抹消は、車を解体して永久に抹消する手続きです。
永久抹消された自動車は、永久に登録が抹消されて再登録は不可能です。今後自動車として公道を走行することはありません。
自動車は、解体しても素材や金属としての価値があります。あまりに壊れていて修理費用が大きくなる場合などは、素材や金属として流通します。
永久抹消も一時抹消と同様に、自動車税と自賠責保険の還付金を受け取ることが可能です。
一時抹消との違いは自動車重量税です。一時抹消は解体するわけではないので、自動車重量税の還付はありません。
しかし、永久抹消の場合は車を解体することになるので自動車重量税の還付が受けられます。自動車重量税の還付金の計算は月割で行われます。
自賠責と同じように車検期間が残っていれば還付が受けられるので、必ず手続きを行ってください。永久抹消は解体することが前提で、解体してから申請します。その分だけ廃車手続きには時間がかかることを、理解しておきましょう。
特に3月は課税を避けるために、廃車手続きが増加しやすくなります。ギリギリに手続きすると4月になってしまう可能性もあります。スケジュールに余裕をもって手続きをはじめてください。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
車買取を使ったときの税金は還付ではなく買取金額に上乗せされる
車を廃車にした場合には税金等の還付が受けられます。これは廃車手続きをした場合だけでなく、買取業者を利用した時も同じです。
ただし、自動車税等の還付は廃車手続きをしなければ受けられません。国から還付されるのは廃車した時です。買取業者に自動車を売却すると、廃車手続きも必要ないので国からの還付制度も適用されません。
しかし、多くの買取業者は、買い取りの査定をした時に自動車税やリサイクル料金の分を上乗せして査定してくれます。
買取業者で査定してもらった時には、自動車税やリサイクル料金の扱いはどうなっているのか確認しておきましょう。
車買取のときの注意点
車の買取りと聞くと、「査定金額がどの程度になるのか」「どの業者がサービスが良いのか」といった点が気になるものです。しかし、愛車を高く買い取ってもらうためには他にも注意しなければいけない点があります。
どのような点に注意すればよいのか紹介します。
自動車を買取査定に出す時には、必ず自動車税の還付がどのように扱われているのかを確認してください。
買取業者が車を買い取った時に自動車税を返金しなければならないと法律で決まっているわけではありません。
せっかく大切に乗ってきた愛車です。できるだけ高く評価してもらいたい、大切に扱ってもらいたいと考えるのであれば、税金に関する取扱いや説明が誠実で丁寧な買取業者を選びましょう。
良心的な買取業者であれば、税金分を計算して査定額に上乗せするか別途支払いますが、それも業者次第です。対応が良くない買取業者だと、自動車の還付があることを知っていても処理しないかもしれません。
信用できる買取業者を探すことが、満足できる査定を受けるためには大切です。
自動車納税証明書は、自動車税を支払ったことを証明する大切な書類です。買い取りの際にも自動車税の納税証明書は準備しておくようにしてください。
車検証や自賠責保険の書類は保管しても、納税証明書は忘れてしまったり紛失してしまったりするかもしれません。
自動車納税証明書は、コンビニや金融機関で支払った後に財布に入れてしまうとなくしがちです。納税証明書を受け取ったら、そのまま車検証と一緒にしておくようにしてください。
それでも紛失してしまった場合には、自動車税管理事務所もしくは、県税事務所に出向いて再発行してもらいましょう。納税証明書の再発行には、印鑑や身分証明書などが必要になる場合があるので、事前に問い合わせておくようにしてください。
自動車を買い取りに出す時の条件として、必ず自動車税は支払っておきましょう。
自動車税が支払われていない車は車検を受けられません。つまり、自動車税が納められていない自動車はいずれ公道を走れなくなってしまう車です。
自動車税が支払われていない車は、手間やトラブルを避けるために買取業者で買い取りできない場合もあります。また、買い取りしてくれる業者であっても、乗れるようにするために未納の自動車税を別途支払うか、査定金額から差し引かれることになります。
自動車税の未納は買い取ってくれる業者が限られたり、自動車税にさらに遅延金がプラスされたりと良いことはありません。納付通知書が届いた時には、忘れることがないように早めに手続きすることをおすすめします。
自動車を売却して、大きな利益が出た場合には、所得とみなされて課税されることがあります。
課税されるのは、購入金額を上回る金額で売却して一定上の利益が出ている場合です。また、通勤や日常の買い物ではなく、レジャー用などの生活に必要でない自動車を売却した場合に課税対象になることがあります。
多くの場合は、自動車を買い取ってもらっても課税対象にはなりません。課税される場合には確定申告も必要になるので、あらかじめ確認しておきましょう。