車を買い取ってもらう際、自分の名義と異なるケースがあります。車検証に記載されている所有者の名義が違う場合、どのようにしたらいいのか分からない方もいるでしょう。

この記事では、車の名義が自分ではない時に買取ってもらえるのか、名義変更が必要なケースや手続きする時に必要な書類、注意点について詳しく解説していきます。

車を買い取ってもらう際は名義変更をする必要がある

車を買い取ってもらう際に気をつけることは、名義変更の手続きです。これは別名「移転登録」と言われており、車の所有者が変わる時に行う必要があります。

この移転登録を行っていなければ、弊害が生まれることを知っておきましょう。

実際、売却する車が自分の名義であれば手続きはスムーズですが、名義が異なっている時は手間が増えます。そのため、名義変更の基礎知識を理解しておくと、今後に役立つでしょう。

車を名義変更するケースとは?

車を名義変更するケースとは?
車における名義変更は、移転登録を行うことを意味しています。

車の所有者が変わる時は、友人や知人に車を譲ったり、車を売却したり、ローン完済時にディーラーが持っている所有権の解除をしたりするケースが挙げられます。

車検証に記載されている所有者は、車の所有権を持ち、車の売却や廃車の手続きを行う権利を行使できる人のことです。

基本的に所有者と使用者が同一になることが一般的ですが、異なっている場合において使用者が手続きを行う際は、所有者が記名押印した委任状が必要になります。

ただし、車検切れになっている(車検証に記載されている車検満了日が過ぎている)時には、名義変更を行うことができないので注意しましょう。

名義変更する際の必要書類

名義変更する際の必要書類
車の名義変更をする際、普通自動車と軽自動車で必要書類が異なります。

まず、普通自動車の必要書類は以下の通りです。

旧所有者が用意する書類
  • 自動車検査症(車検証)
  • 印鑑証明書(取得から3ヶ月以内)
  • 委任状(実印が押印されているもの)
  • 譲渡証明書(実印が押印されているもの)
新所有者が用意する書類
  • 車庫証明書(取得から1ヶ月以内)
  • 実印
  • 印鑑証明書(取得から3ヶ月以内)
  • 申請書(OCRシート申請様式第1号様式)
  • 手数料納付書
  • 自動車税・自動車取得税申告書
  • 運転免許書

次に軽自動車の必要書類は以下の通りです。

手続きを行う方が用意する書類
  • 車検証
  • 申請依頼書(代理人が手続きする際に必要)
  • 住民票又は印鑑証明書(新使用者の住所を証明する書類)
  • 自動車検査証記入申請書
  • 軽自動車税の申告書
  • ナンバープレート(管轄地域が変更する場合)

普通自動車より軽自動車のほうが必要書類は少なくなります。

その理由は、普通自動車の場合、不動産と同様に所有の所在を明確にする必要があるからです。そのため、名義変更には実印が必要になります。

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名義変更の手続きをする場所

名義変更の手続きをする場所
普通自動車の名義変更における手続き場所は、管轄の運輸支局で行います。

一方、軽自動車の場合は、管轄の軽自動車検査協会で行います。

どちらも平日の日中のみの受付なので、手続きを行う際は日時に注意しましょう。

名義が異なる車は買い取ってもらえるの?

名義が異なる車は買い取ってもらえるの?
車検証に記載されている所有者の名義が自分と異なっていても、車は買い取ってもらうことが可能です。しかし、自分の名義ではないため、売却の際に手間がかかります。

具体的には、他人名義になっている車を自分の名義に変更してから買取を依頼することになります。詳細については後述しますので、自分の状況に応じて手続きを行ってください。

自分の名義ではない車を買取ってもらうケースについて

自分の名義ではない車を買取ってもらうケースについて
車が自分名義であれば、すぐに買取依頼ができますが、その他の名義であれば少々手続きが異なります。

ここからは、自分の名義ではない車を買い取りってもらうケースについて詳しく解説していきます。

所有権解除とはどのような手続きですか?
所有権解除は、車のローンを全て返済して車検証の所有者を自分名義に変更する手続きのことです。
ローンが残っている場合、ローン会社や販売店が所有者となっているため、完済後は自分名義に変更する必要があります
①ディーラーやローン会社の名義になっているケース

車をローンで購入した場合、車検証の所有者はディーラーやローン会社の名義になっていて、使用者が自分の名義になっているでしょう。

所有者を自分名義にしないと車を売却することができません。そのため、所有権解除を行う必要があります。

所有権解除する方法は、購入した車のローンを完済した後、ローン会社に譲渡証明書と委任状を依頼します。郵送でのやり取りになるケースが大半ですので、期間にゆとりを持って連絡すると良いでしょう。

売却する際にローンが残っている場合は、以下の3つの方法をとることになります。

  • ローン残金分を一括で支払う
  • 新たに残金分のローンを組む
  • 車の買取金額でローン残金分を返済する
②自分の氏名(姓)が変わったケース

結婚などで自分の姓が変わった時は、通常の必要書類のほかに戸籍謄本が必要になります。

なお、売却ではなく氏名変更のみ行う際は、運輸支局で手続きを行います。

③家族や友人の名義になっているケース

所有者が家族や友人の名義になっている場合は、車の買取に同意をもらえれば、名義変更手続きを行わずに売却することができます。

しかし、名義変更をせずに行うことはリスクも伴いますので、トラブルを回避するために一度自分に名義変更してから買取依頼をする、もしくは買取査定時に同席してもらうと良いでしょう。

④名義人が亡くなっているケース

名義人が亡くなっている場合、その車は亡くなった所有者の遺産として取り扱われます。そのため、名義変更する際は遺産相続という形になり、亡くなった事実が分かる証明書や遺産分割協議書の用意をしなければなりません。

例えば、車の名義人が亡くなって相続者が複数いる場合は「共同相続」になります。共同相続は遺産を分割せずに複数の相続人が相続することです。車は分割して相続することが困難であるため、複数の相続人と共有することになります。

車を共同相続をする場合の必要書類
  • 自動車検査証(車検証)
  • 車の持ち主の死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の記載がある戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書
  • 実印(共同相続者全員分)
  • 印鑑証明書(共同相続者全員分、発行から3ヶ月以内のもの)
  • 車庫証明書
  • ナンバープレート

相続人全員の共有財産としておくこともできますが、一般的には特定の一人に相続するケースが大半です。その際は「共有相続」から「単独相続」に変更する必要があります。

単独相続は一人で遺産相続をすることです。遺産分割協議で誰が所有者になるか決定することになります。

また、親族ではなく友人や知人が亡くなったケースでは、相続に関わることなので、一度所有者親族に名義を変更してから所有者を自分に変更することが必要です。親族とのトラブルを避けるためにも、しっかりと話し合いを行ってから手続きをしましょう。

車の売却先によって名義変更の方法は異なる

車の売却先によって名義変更の方法は異なる
車の売却先によって名義変更を行う方法が変わるため、その違いについても知っておくと良いでしょう。

ここからは、個人売買と車買取業者に車を売却する時の名義変更の方法について詳しく解説していきます。

名義変更の手間としては、どのようなことがありますか?
個人取引で名義変更をする場合は「売り手・買い手」双方の協力が必要になるため、時間と手間がかかります。
業者を通じて行うと、売り手側は必要書類を提出すれば後は業者が手続きを行ってくれるため手間はかかりません。
個人売買する場合

個人売買は名義変更に関する手続きを自分で全て行うことになるため、時間と手間がかかります。

名義変更に必要な書類を自分で集めるだけではなく、車を譲る人にも書類を用意してもらうことになります。必要書類が全て揃ったら、運輸支局や軽自動車検査協会に出向いて手続きを行います。

また、ネットオークションで車を売買する時に名義変更をしないまま新しい所有者に車を使われるケースもあります。そのため、トラブルにならないように売り手・買い手の相互でやり取りすることが大切です。

買取業者に依頼する場合

車買取業者は事前に必要書類を用意しているので、自分で揃える書類は少なくなります。そして、買取に必要な書類なども提示してくれるので安心です。

業者では多くの買取を行っているので、名義変更に関しても迅速に行ってくれるでしょう。不明な点があれば相談することも可能なので、手続きに不安がある方は依頼することで手間や時間が省けます。

名義変更せずに車を売却する時の注意点

名義変更せずに車を売却する時の注意点
車の売却時にもし名義変更を行わなかった場合、どのような弊害があるのでしょう?

ここからは、名義変更せずに車を売却する時の注意点について詳しく解説していきます。

名義変更せずに車を売却した場合、どのようなリスクが考えられますか?
多いケースとしては、自動車税の納税通知書が売却後も届いてしまうことです。それ以外にも新所有者が引き起こした違反や事故、行政処分を受けることもありますので、確実に名義変更を行うことが大切です。
売却後に自動車税が課税される

注意点の1つ目は、売却後に自動車税が課税される可能性があることです。

名義変更を確実に行ったとしても、時期によっては自動車税を納めるケースがあります。特に3月に車の売買を行う際は、注意が必要です。

自動車税は毎年4月1日時点での所有者に課せられるので、もし名義変更手続きが3月末で完了していなかった場合は売却後に自動車税が課税されます。

車買取業者であれば、その点を考慮して自動車税分を返金してくれることもありますが、個人売買の時はどちらが支払うかを明確にする必要があります。もし不安であれば、個人売買よりも車買取業者に依頼したほうが安心です。

違反や事故に関する責任を問われることも

注意点の2つ目は、違反や事故に関して責任を負う可能性があることです。

例えば、名義変更をしない状態で買主側が違反をしたとします。その反則金を買主が支払わなかった場合、所有者の名義になっている売主に支払いの督促が届くことになります。さらに、買主が反則金を納めていなければ、滞納金についても請求されるでしょう。

それ以外にも名義変更せずに買主が事故を起こした場合、売主が運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)に問われ、損害賠償責任を請求されることもあります。

このようなリスクを避けるためにも、しっかり名義変更を行うようにしましょう。

保管場所違反による行政処分

注意点の3つ目は、保管場所違反による行政処分を受ける可能性があることです。

車の保管場所については「所有者の本拠地から2kmを超えてはならない」と定められています。そのため、2kmを超えた場所に車庫証明がされていたり、虚偽の報告をしていたりする場合は「車庫飛ばし」になるため、行政処分の対象になります。

名義変更をしていない状態であれば、車庫飛ばしになる可能性が高くなるので注意しましょう。

名義変更をした後は保険の内容も確認しよう!

車の名義変更をした後は保険の名義変更も必要になるため確認することが大切です。車の保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2つがあります。

ここからは、車の名義変更後に各保険の確認すべき点について詳しくお伝えしていきます。

自賠責保険

自賠責保険
自賠責保険は強制保険とも言われ、車を購入する時に必ず加入しなければならない保険です。車検に関しても、自賠責保険に加入していなければ通すことはできません。

もし自賠責保険に未加入であったり期限切れだった場合、そのまま公道を運転すると無保険運行となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、さらに違反点数6点になり免許停止になってしまいます。

自賠責保険は交通事故の被害者の救済を目的としているため、もし事故を起こした時に他人に怪我などをさせた時は補償を受けられます。事故に遭った被害者に補償がされなければ、日々の生活で困ることにもなるため、強制保険として認知されています。

車検証の名義が変わった場合には、自賠責保険の名義変更も必ず行いましょう。名義変更を行う時は、加入している自賠責保険の保険会社で手続きができます。

保険会社にある「自動車損害賠償責任承認請求書」に譲渡人印、譲受人印、必要事項を記載します。そして「権利譲渡の証明書」も必要になります。

権利譲渡の証明書となる書類は、一般的に以下のようなものがあります。

  • 車両の所有車欄が譲り受けた方に変更済みの車検証(もしくは軽自動車届出済証か標識交付証明書など)
  • 保険契約者(譲渡人)の印鑑証明書原本(発行から6ヶ月以内のもの)
  • 本人確認書類(運転免許証等など)

もし上記の権利譲渡の必要書類が用意できない時には、権利譲渡手続き時の確認書を記載して提出しなければなりません。

任意保険

任意保険
任意保険は自賠責保険で不足する分を補償する保険になります。事故によって相手に後遺症が残ったり、死傷したりした場合に多額の損害賠償が請求される可能性があります。その際に自賠責保険でカバーしきれない分を任意保険で補うことができます。

自賠責保険の補償内容は対人賠償のみですが、任意保険は対人賠償のほかにも対物賠償、人身傷害補償、車両保険などがあります。任意保険に加入すれば事故による補償範囲も広がり、様々な賠償請求に対応できるようになるのです。

任意保険の名義には「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」の3つがあります。車の名義変更を行った際には、記名被保険者と車両所有者を変更する必要があります。

記名被保険者とは、保険に加入している車両を主に運転する人のことです。

車を売却した際、新しい車に乗り換えるのであれば「車両入替」の手続き、一定期間車に乗らない状態であれば「中断証明書」の申請を行っておきましょう。

また、等級引継ぎを行う際は一般的に同居している親族であれば可能です。別居している親族は等級引継ぎを行うことができないので注意しましょう。

まとめ

①車を買取に出す前に所有者の名義を確認する
②所有者の名義が自分ではない場合、原則名義変更を行ってから買取ってもらうことが可能
③ローンで車を購入している場合、所有者がローン会社や販売店名義になっているため、所有権解除を行う必要がある
④車の売却後に正しく名義変更が行われていないと、自動車税の課税や違反や事故発生時に行政処分を問われることもあるので注意する
⑤車の名義変更を行った際は、保険の内容も確認しておくこと

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