車を所有していれば、車検を受けることは義務です。しかし、何かのきっかけで車検を通すことを忘れてしまうこともあるかもしれません。
車を売ることを考えている方の中には、「車検が切れているのに売れるの?」「車検がギリギリだけど大丈夫かな?」と心配になる方もいるでしょう。
実は、車検が切れていても車は買い取ってもらうことが可能です。
この記事では、車検切れの車でも買い取ってもらえる理由や、売る時の注意点などを詳しく解説します。
車検切れの車でも買い取ってもらえる?
車を売る際に車検がどうなっているかは、そこまで重要視されません。
仮に車検が少し残っていたとしても、期待するほどのプラス査定にはならないのが現状です。逆に車検が切れているという理由だけで、査定額が下がることもありません。
そのため、車検切れの車でも車検が残っている車と同じように買い取ってもらえます。
車検切れでも買い取ってもらえる理由
なぜ車検切れの車でも買い取ってもらえるのでしょう?
中古車買取業者は、車を買い取ると以下の3つのルートに流通させます。
↓
輸出
↓
店頭
業者オークションとは、一般の人が参加できないオークションで、主に業者が中古車を仕入れるために利用します。その際、車についている情報は全てリセットされます。
輸出とは、日本の中古車を海外に売る流通経路です。海外では日本の車検制度は適用になりません。
店頭とは、中古車買取業者が買い取った車を店頭に並べて販売することです。買い取った際に車検が残っていたとしても、並べている間に車検が切れることがあります。
このように車検がなく公道が走れない車でも、買取業者側からすると車検の有無はほとんど関係ないのです。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
車検切れの車を売る時に必要な書類
車の売却は、そう何回も経験することではないでしょう。そのため、何を準備すればいいのか分からない方もいるかもしれません。
ここからは、車の売却がスムーズに行えるよう、車検切れの車を売る時に必要な書類を紹介します。
自動車検査証とは、車が車検をしっかり受け、保安基準を満たしているかどうかを証明する書類です。通称「車検証」と呼ばれています。
車検証は、運転の際には必ず携帯しなければなりません。そのため、ダッシュボードの中などに保管している方が多いです。
車検証には、所有者や使用者の氏名、住所、車の型式などが記入されています。
もしも車検証をなくした時は、再発行が可能です。車検証の再発行に必要な書類(申請書、本人確認ができる運転免許証など)を揃え、ナンバープレートに書かれている地名の所轄している運輸局に行くと、再発行の手続きが行えます。
自賠責保険証明書は、自賠責保険に加入していることを証明する書類です。自賠責保険は加入が義務付けられている保険で、人ではなく車にかけられます。
車の売却の際に自賠責保険が残っている場合は、その保険は継続されます。前払いで納めているため、売却時に残っている期間分の費用が戻る仕組みです。
自賠責保険は車検の際に更新するので、証明書は車検証と一緒に保管されていることが多いでしょう。
自動車リサイクル券とは、購入した車のリサイクル料金がきちんと納められたことを証明する書類です。新車購入時にディーラーから発行されます。
リサイクル料金は車の購入時に預託する決まりで、車を売却したら返金されます。車を廃車にする時にはじめてリサイクル料金は使われます。
この自動車リサイクル券も、車検証と一緒に保管していることが多いでしょう。紛失した場合は再発行ができませんが、自動車リサイクルシステムのWebサイトから内容を確認することができます。
自動車納税証明書とは、毎年納める自動車税を支払ったという証明書です。
コンビニや銀行などで支払う際、支払用紙の一番右側の小さな紙だけが返却されます。サイズは、たばこの箱程度の小ささです。レシートのような感覚になるので捨ててしまいそうになるかもしれませんが、大切な証明書なので、なくさないように気をつけましょう。
また、自動車税を納めていなければ車を売却することはできません。
印鑑登録証明書とは、市区町村に登録した印鑑であることを証明する書類です。登録した印鑑そのものを実印といいます。
軽自動車の売却時は、印鑑が実印である必要はないとされています。そのため、印鑑登録証明書も必要ありません。
実印と印鑑登録証明書は、あくまでも普通自動車の売却のみ必要となります。また、普通自動車を購入する際にも必要となるので、売却する車と購入する車どちらも普通自動車の場合は、はじめから2枚用意しておくと良いでしょう。
しかし、軽自動車を売却する際に実印が必要となるケースもあるため、事前に確認するか持参しておくと間違いありません。
委任状とは、車の売却の際に発生する名義変更の手続きを、買取業者に一任するという旨が記載されている書類です。
譲渡証明書とは、車の名義を業者の名義に変更することを証明します。
どちらの書類も業者側で準備するものなので、売主が事前に準備する必要はありません。
車検切れの車を買い取ってもらう時の注意点
車検切れでも車は買い取ってはもらえますが、そこに至るまでの間にはいくつかの注意点があります。ここからは、その注意点について解説します。
車検が切れているということは、車を公道で走らせることができません。もしも車検が切れている時に公道を走った場合は、無車検運転に該当し、道路運送車両法に則って罰則を受けます。
車検が切れている車を売却する時は、くれぐれも自分で買取店に持ち込まないように注意しましょう。
車検切れの車で公道を走ってしまうと、前歴がない場合は6点の違反点数が付加されます。6点というのは、一発で免許停止処分となってしまう点数です。
また、車検が切れていれば、同時に自賠責保険が切れている可能性が高いでしょう。そんな時に事故を起こしてしまったら、任意保険も適用されないため、さらに大きなリスクがあります。
自賠責保険は、自動車損害賠償保険法第5条で加入が義務付けられており、切れた状態で公道を走ると罰則が科せられます。違反点数は、無車検運転と同様に6点です。
どんなに短い距離だとしても罰則が科せられますので、大丈夫だろうと油断してはいけません。車検切れの車には絶対に乗らないようにしましょう。
車検が切れている場合、車検を通してから売ったほうがプラス査定になるのではないかと考える方もいるでしょう。しかし、車検を通さないまま売却するほうが、結果として得することがほとんどです。
仮に、車検を通してから売却するとして、その時に点検整備費用や法定整備などで15万円かかったとします。しかし、買取り査定では、車検だけで15万円のプラス査定になることは、ほとんどありません。
丸々2年の車検が残っていたとしても、15万円もプラス査定をつける業者は少ないでしょう。年式が古い車やエンジントラブルなどの故障が多い車であれば、損をするリスクは高まります。
車検はお金の他にも時間と手間がかかります。そのようなことを踏まえると、車検が切れたまま売却するのが得策だと言えます。
車検切れの車を売る方法
車検が切れたまま公道を走らせるリスクを説明しました。では、車検が切れた車はどうやって売却すれば良いのでしょう?
ここからは、具体的な方法を紹介していきます。
車検切れの車を売却する際は、買取店へ持ち込むことができません。そのため、出張買取を利用するのが良いでしょう。
買取業者に来てもらうことで、違反することなく車を査定してもらえます。また、複数の買取業者に来てもらい、一気に査定してもらうことも可能です。そのため、時間や手間を節約できる点も大きなメリットと言えます。
売却を断りづらいというデメリットはありますが、買取業者を呼ぶ時点で売ると決めていれば、そこは問題ありません。
また、買取業者の中には積載車を利用する業者もいます。その際の手数料は業者によって違うので、事前に確認しておく必要があります。
出張買取を行っている買取業者はたくさんあるので、インターネットなどを利用して調べてみるといいでしょう。
車検が切れている場合は公道を走ってはいけないと説明しましたが、仮ナンバーを取得すれば車検が切れていても公道を走ることができますす。
仮ナンバーの正式な名称は、「臨時運行許可番号標」です。ナンバーに赤い斜めの線が入った車が走っているのを見かけたことがある方もいるでしょう。あれが仮ナンバーです。
仮ナンバーはあくまでも仮なので、発行から5日ほどしか有効期間がありません。また、使用後は有効期間満了から5日以内に、仮ナンバープレートと許可証を返却しなければならないという決まりがあります。
少し手間がかかりますが、車検が切れている車に乗って整備工場まで行ったりナンバーを取得するため回送させたりする場合にも、仮ナンバーが使用されます。
仮ナンバーを取得するためには、まず居住している市区町村の役場で手続きを行います。持ち物は以下の通りです。
- 運転免許証
- 車検証
- 自賠責保険証
- 認印
- 手数料(自治体によって異なるがおおよそ750円程度)
- 自動車臨時運行申請書(役所で発行される)
上記の持ち物を見ると分かりますが、仮ナンバーの発行には自賠責保険に加入していることが必須です。仮ナンバー取得の時点で、有効期限が1ヶ月以上あることが条件となります。
このようなことから、これから売却する車のためにお金や手間、時間をかけて仮ナンバーを取得することは、あまり現実的ではないでしょう。やはり、車検が切れてしまったなら出張買取がおすすめです。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
車の買取業者ごとの特徴を紹介
車を買い取ってくれる業者は、以下のように様々あります。
- ディーラー
- 中古車の販売業者
- 解体業者
- 輸出業者
それぞれ違った特徴があるので、業者が得意とする車の状態を見極めて依頼するのが良いでしょう。
ここからは、車の買取業者ごとの特徴について紹介していきます。
ディーラーは、車に関することを総合的に行っているところです。車の販売をはじめ、買い取りや下取り、修理などが主な業務内容となります。
ディーラーの1番の強みは手続きが楽なことです。通常、車を売却したり購入したりする手続きは2ヶ所で行わなければなりません。しかし、ディーラーで売却し新車を購入する場合は、そこで全て完結します。
ディーラーに車を下取りしてもらうことで、圧倒的に時間と手間を節約することが可能です。
中古車の販売業者は、ディーラーよりも査定額が高くなりやすいと言われています。そのため、状態の良い車や人気の車種を売る場合は、中古車の販売業者がおすすめです。
車を売る際は1社だけでなく、複数の業者に見積もりを依頼することで、査定額の高いお店を見つけることができます。
解体業者は、車を買い取った後にその車の解体を行います。細かいパーツに分けて、使えるものであれば再利用したり使えないものであれば鉄くずとして売ったりします。
解体業者は、車そのものに価値を見出しているわけではありません。細かなパーツや素材に価値を見出しています。そのため、車としてほとんど価値がなく、中古車の販売業者などが値段をつけられないような車でも、解体業者なら買い取ってくれる可能性があります。
輸出業者は、買い取った車を海外に輸出しています。日本では買い手が見つからないような車でも、海外であれば需要があります。そのため、走行距離が長い車や事故車でも買い取ってくれるでしょう。
また、車検が切れている車は長年エンジンをかけずに放置していた場合があります。その状況だと劣化している可能性が高く、良いコンディションとは言えません。輸出業者は、そういった車も得意としています。
買い取り以外で車を処分するには?
車を買い取ってもらう以外の処分方法としては、廃車があります。
廃車とは、車の登録情報を消すことをいい、一時抹消登録と永久抹消登録の2種類があります。
もうその車には乗らないのであれば永久抹消登録が必要です。永久抹消登録には車の解体が必須条件となります。解体は許可を受けた工場でしかできないため、廃車にする手続きが発生し、若干面倒です。
手続きに費やした労力の割にメリットとして考えられるのは、税金がなくなることくらいでしょう。そのため、業者に買い取ってもらうのが一番簡単だと言えます。
車検切れの車=不動車
不動車とは、その名の通り動かない車のことです。
具体的には、水没車や事故車、バッテリー上がりなど、直接車体のどこかがトラブルを起こして動かなくなった車です。
また、法的に乗ってはいけないとされている車検切れの車も不動車になります。
これまで車検切れの車でも買い取ってもらえることを説明してきましたが、車検切れ以外の不動車でも買い取ってもらうことは可能です。
故障で動かない不動車でも、車のパーツや素材に価値があります。解体業者のほかにも廃車買取を行っている業者があります。そのため、中古車買取業者では価値がつかない車でも、諦めるのはまだ早いと言えるでしょう。
また、不動車を放置しておくのはデメリットしかありません。いくら不動車でも、所有者の名義が自分になっていたら税金を納める必要があります。
さらに、駐車場以外にずっと放置しておくと不法投棄とみなされる場合があります。不法投棄は5年以下の懲役、1,000万円以下の罰金またはその両方を科せられます。
知らず知らずのうちに不法投棄をしてしまっている場合もありますので、注意しましょう。
不動車の放置はリスクだらけなので、速やかに解体業者や廃車買取業者に売ることをおすすめします。
車検切れの車は早めに売ろう!
いくら車検切れの車といっても、長年放置しておいた車は損傷が激しいことが考えられます。塗装は傷んでエンジンなどの劣化の進みも早く、車としての価値がどんどん下がっていくでしょう。
そのため、車検が切れていても早めに売るのが得策です。長期間放置した不動車でも買い取ってくれる業者はいますが、車としてまた利用できる状態であれば、なるべく早めに売りましょう。