車がオイル漏れを起こしている場合、買い取ってもらえるのか不安だという方もいるでしょう。また、オイル漏れを修理してから買取に出したほうがよいのか迷うところです。
そこで今回は、オイル漏れした車は買取可能か、その買取先や修理の可否などについて詳しく解説していきます。さらに、オイル漏れの原因やその対処法などにも言及していきます。
車のオイル漏れとは?
車のエンジンオイルはエンジン内を循環しており、金属部品同士が摩擦を起こさないように、スムーズに動くための潤滑油の働きを担っています。
また、エンジン稼働により発生した熱を冷却する、金属部品の錆を防ぐ、腐敗を防止するといった役割もあります。
車のオイル漏れというのは、エンジンオイルが何らかの理由により外に漏れだしてしまう現象のことです。
オイル漏れの状態には「外部漏れ」と「内部漏れ」がある
オイル漏れには「外部漏れ」と「内部漏れ」の2つの状態があります。
外部漏れは、車の外にオイルが漏れて地面に落ち、シミを作ってしまうような状態をことです。エンジンオイルの場合、色が黒く、焦げ臭いようなにおいがする、粘度があるのが特徴です。
内部漏れは、エンジンオイルがシリンダー内で漏れだし、ガソリンと一緒に燃えてしまう状態のことを言います。マフラーから白い煙が出ている、エンジンオイルの減りが早いといった症状で気づくことが多いです。
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オイル漏れの確認方法
オイル漏れには「外部漏れ」と「内部漏れ」の2つの状態があることを説明しました。では、オイル漏れかどうかを確かめるには、どこをチェックしたらいいのでしょうか?
以下で詳しく説明していきます。
外部漏れの場合は、車の下から黒い液体が出ていないかで判断します。黒い液体が地面で水たまりにようになっていれば、漏れている可能性が高いです。
特に、漏れた部分がちょうどエンジンルームの下あたりであれば、ほぼオイル漏れで間違いないでしょう。
内部漏れの場合、外観からでは分かりにくいかもしれません。
エンジンオイルのオイルレベルゲージを確認し、減り方が早ければ漏れていると思ってよいでしょう。
オイル漏れの原因
車のオイル漏れは、エンジンオイルと他のパーツの境目をつなぐシール材の劣化、エンジンオイルを貯めておくタンク(オイルパン)の摩耗など、いくつかの原因が考えられます。
具体的には、バルブシールやガスケットの劣化です。他にも、ドレンボルト、オイルパン、ピストリングの摩耗も挙げられます。
ここからは、それぞれの原因について詳しく説明していきます。
バルブシール(バルブステムシール)とは、エンジンオイルが燃料室に入り込むのを防ぐためのシール材のことです。
エンジンオイルが燃料室に入り込むと、ガソリンと一緒に燃焼しマフラーから白煙が上がることがあります。
オイル交換を怠り、古いオイルを使い続けると、オイル内に金属粉が混じることで汚れてドロドロになります。その粘度が強い古いオイルがバルブシールに付着することで劣化し隙間ができて、オイル漏れが発生します。
ガスケットはエンジンのパーツの一つで、パーツ同士をつないで固定するためのシール材のことです。
ガスケットをつけることで、エンジンオイルが外に流れ出ないようになっています。また、外からの異物混入を防ぐのもガスケットの役割です。
ガスケットは、主に金属やゴム、プラスチックなどでできています。劣化すると内部の気密性がなくなり、つないでいたパーツとパーツに隙間ができてオイルが漏れてくるリスクが高まります。
ドレンボルトは、オイルパンの下部についていて、オイル交換時に外すと、劣化したオイルを排出することができます。つまり、排出口をふさぐためのパーツということです。
このドレンボルトが経年劣化、摩耗するとオイルが漏れだしてしまうことがあります。ドレンボルトの摩耗は整備の際に締めすぎてしまうことが要因の一つとされています。
オイルパンは、エンジンの底部にある四角いフタのような形をしています。一定量のエンジンオイルを貯めておくためのタンクのような存在であり、必要な時に循環させます。
オイルパンが経年劣化により錆が生じて穴があく、縁石などにぶつけて破損すると中からエンジンオイルが漏れ出てきます。他のパーツと比べると破損しにくくなっていますが、リスクはあるので注意が必要です。
ピストリングとは、エンジン内のピストン外周部に設けられたリング状のパーツのことです。
車のエンジンは、燃料が燃えて発生したガスが筒状のシリンダー内部のピストンを押す力を生んで、ピストンの運動が動力となっています。ピストンの動きを円滑にするために、シリンダー内にはエンジンオイルが潤滑油として使われています。
摩耗によってピストンリングが劣化すると、ピストン外周部に隙間ができてオイル漏れを起こし、燃料室へエンジンオイルが上がってしまうリスクが高まります。
オイル漏れを放置すると危険
オイルは水ではないので漏れて放置しても乾くことはなく、どんどん溜まっていきます。
ゴムホースや樹脂などにオイルが付着すると柔らかくなり、劣化して脆くなってしまいます。それが、水漏れを起こす原因となります。
また、車のエンジン回りは高温なので、オイルが付着すると発火して火災が起こる可能性が高まるので非常に危険です。
また、オイル漏れが起きた状態で公道を走行すると、道路交通法違反となり、処罰されることもあります。その上、車検にも通りません。
オイル漏れをそのまま放置するのは危険なので、早急に応急処置をとる必要があります。
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オイル漏れの対処法
車にオイル漏れが起きたら、まずはひどくならないように処置をしましょう。
オイル漏れが起きた時の対処法を知っておけば、いざという時に役立ちますので、詳しく説明していきます。
オイル漏れが起きたら、まずは漏れている箇所を特定しなければなりません。
オイルが不足していれば、まずは応急処置としてエンジンオイルを継ぎ足してみましょう。そして、漏れ止め剤を使えば一時的に漏れをとめることが可能です。
オイル漏れ止め剤は、エンジンオイルに混ぜて内部に循環させることで、シール材の弾力性をなどを一時的に回復させる作用があります。また、エンジンオイルの粘度も増すので、漏れにくくなります。
ただし、シール材などのオイル漏れを防ぐパーツが破損している場合は使えません。そして、製品によっては効果が出るまでに時間差があるので、使うタイミングには気を付けましょう。
それほどひどくないオイル漏れの場合は、粘度の高いエンジンオイルに交換してみましょう。
エンジンオイルは、「10W-20」というように数字でオイルの粘度の高さが表示してあります。右側の20という数字が粘度を示すので、数字が大きいと粘度が高いということになります。
オイルの粘度が増すと、パッキンなどの隙間が埋められます。ただし、車に適した粘度のオイルを選ばないと故障の原因となるので、気を付けましょう。
また、逆にエンジンに負荷がかかったり、燃費が悪くなったりするといったデメリットが生じることもあるので、注意が必要です。
オイル漏れの車の買取先
オイル漏れが起きた車の買取先は、オイル漏れの程度によって分けられます。
基本的に修理可能で比較的軽微な修理で済む場合は、一般的な中古車買取業者でも買い取ってもらえるでしょう。
ただし、修理費が高額になるもしくは修理不可の場合は、廃車専門の買取業者に依頼して買取ってもらう必要があるでしょう。
ここからは、オイル漏れのしている車の買取先について詳しく説明していきます。
オイル漏れしている車といっても、少ししか漏れていない、パーツ交換などの簡単な修理で済む場合は、一般的な車買取業者で問題なく買い取ってもらえるでしょう。
車買取業者は自社もしくは提携工場で、安く修理することができるため、修理代を抑えて再販すれば十分利益を得ることができます。
程度がひどいオイル漏れのため大がかりな修理が必要で多額の費用がかかる、もしくは修理できないという場合は、一般的な車買取業者では買取額がつかない、もしくは買取不可となってしまいます。
しかし、諦めるのはまだ早いです。その場合は、廃車専門の買取業者に査定依頼すれば、買取額がつく場合もあります。
なぜ廃車専門の買取業者なら買い取ってもらえるのでしょうか?その理由を説明します。
買取不可の車は再販できないので、価値がないように見えるかもしれません。しかし、車自体には価値がなくても、故障していないパーツなら取り外して再販できる可能性が高いです。
中古車から取り外したパーツは、そのまま洗浄してリサイクル品として販売されることがあります。また、分解して劣化や摩耗したパーツだけ交換し、その後洗浄して組み立て直せばリビルト品としても再販できます。
リビルト品は、新品とほぼ同じ品質なのに格安で購入できるので人気が高いです。
使えるパーツを取り外した後、車はスクラップされ、その後圧縮して鉄くずになります。鉄くずも資源としての価値があるので、値段がつくでしょう。
パーツに価値がある場合は、オイル漏れで買取不可でも廃車専門の買取業者に売れるので、諦めずに問い合わせてみてください。
オイル漏れがひどい車であっても、エンジンが使えれば海外に輸出することがあります。
日本車は耐久性に優れており性能がよいので、オイル漏れをした車でも海外では需要があります。特に発展途上国では、日本車のエンジンを船のエンジンとして再利用することもあります。
廃車専門の買取業者は、海外に販路を持っているところも多いです。そのまま輸出し再販することで利益を得ることも可能なので、オイル漏れの車でも買取額がつく場合が多いです。
オイル漏れの車は買取に出したほうがよい理由
オイル漏れが起きた車をそのまま乗り続けると、発火や故障の危険性があります。乗り続けるには修理が必要となるでしょう。
しかし、修理するよりはむしろ早く買取に出したほうがよいとされています。以下では、その理由を紹介していきます。
修理を依頼する先やオイル漏れの箇所、進行度合いにもよりますが、オイル漏れした車の修理代は高くつく場合が多いです。
応急処置としてオイル漏れ止め剤を使うという方法があり、その場合は数千円程度で済みます。しかし、軽微なオイル漏れに限るので、今後長く乗る場合は修理が必要となってくるでしょう。
劣化したパーツの交換をする場合、パーツ代は3万円位です。しかし、パーツ交換の際に他のパーツを外す必要があれば10万円前後かかることもあります。
ひどいオイル漏れの場合は、さらに大がかりな修理が必要となり、10万円以上とかなり高くなってしまうでしょう。
オイル漏れを起こしている車は、そのまま乗り続けたとしても車検に通りません。
車検では、車の下回りを見てオイル漏れがないかをチェックする項目があります。オイル漏れがあると整備不良となってしまい、再検査を受けるには修理せざるを得ないでしょう。
また、外漏れの場合は道路にオイルが垂れるので、周囲の人や車にも迷惑がかかってしまいます。
軽微なオイル漏れであれば、自分で直せるのではないかと考える方もいるでしょう。セルフ修理できれば、費用は安く抑えられるかもしれません。
しかし、オイル漏れの原因はいくつか考えられるので、素人が判断するのは難しいと言われています。専門的な知識を持った整備士であれば、エンジン周辺を点検することで原因を突き止めることが可能です。
目に見えない、外観からでは分かりにくい箇所でオイルが漏れている可能性もあります。また、エンジンは車の心臓部とも呼ばれているため素人が修理するにはハードルが高く、修理に失敗すると故障にもつながります。
そうなるとやはり業者に修理を依頼することになり、費用がかさむんでしまうでしょう。
オイル漏れした車をそのまま乗り続けると、以下のトラブルが起きるリスクが高くなります。
- 高温になるマフラーなどのパーツにオイルが付着し、燃えて白煙が上がる
- 冷却作用のあるエンジンオイルが不足すると、高温になったエンジン内が冷やされず温度が上がり続け、発火して火災が発生する
- エンジンオイルはエンジン内のパーツの潤滑油となるので、それがなくなることで金属のパーツ同士がこすれ、焼きついてシリンダーなどが破損し、エンジンが故障する
オイル漏れは応急処置したまま長く乗り続けるのは色々な面で危険なため、やはり修理が必要となるでしょう。
オイル漏れの車の買取における注意点
オイル漏れの車を売りたい場合、何か注意点はあるのでしょうか?
ここからは、オイル漏れの車を買い取ってもらう際の注意点を詳しく紹介していきます。
査定士がチェックした時点でオイル漏れは発見されることが多いですが、最初から車の状態については正直に伝えましょう。
オイル漏れはエンジンに関わる重要なトラブルです。もしオイル漏れの事実を伝えずに査定士も気づかなかった場合、売買契約が成立し、車の引き渡しが済んだ後で、再販に向けた点検や整備の段階で整備士がエンジン内を見て気づくケースもあります。
そうなると、買取額の減額を請求される可能性も出てきます。オイル漏れの事実を知らなければ問題ないですが、知っているにも関わらず言わないと、トラブルに発展するかもしれません。
また、知らずに乗っているとエンジンが焼きつき、故障して急停止したり大きな事故を起こしたりする可能性もあるので、とても危険です。
オイル漏れを起こしている車は、減額の対象となるでしょう。ただし、漏れ具合や箇所によって減額の度合いも異なるので、いくら減額となるかは一概には言えません。
減額されるのは仕方ないので、せめて車を洗車し、車内も掃除しておきましょう。車がキレイだと大切に扱っていたというアピールになり、査定員の印象も多少はよくなるかもしれません。
特に車内のにおいは減額対象となってしまうこともあるので、念入りに汚れを取り除き、少しでも清潔に保つことをおすすめします。
車にオイル漏れが起きてから買い取ってもらうか悩んでいる間に車検が切れたり、税金の納付書が郵送されてきたりすることもあります。車検前や税金納付前というのは、買取のタイミングの目安ともなります。
また、応急処置だけしておいたオイル漏れが悪化するという可能性もあるでしょう。そのため、買取に出すことをなるべく早めに決めて、動きだすことが大事です。