車の周囲の様子を映像として保存するドラレコは、交通事故や盗難発生時の重要な証拠になります。また、「設置している」という事実だけで安全運転の意識向上や防犯につながる車載装備として、現在人気を集めています。
基本的には新車購入時のアクセサリーオプション、あるいは購入後の後付け装備として追加することになりますが、車を売りに出す際にドラレコがついている・いないで買取査定額はどのように変化するのでしょう?
今回は、車の買取査定額にドラレコの有無が与える影響や、取り外す時の注意点などを詳しく解説します。
車買取時のドラレコの取り扱いはケースバイケース!
ドラレコはあくまでもアクセサリーオプションや後付け装備という立ち位置なので、装着したい場合は車本体とは別口で購入する必要があります。
そのため、もし買取査定に影響しないのであれば、次に購入する車に取り付けて引き続き使いたいと、考える方も多いかもしれません。
しかし、車を買取査定に出す際、ドラレコを外したほうがいいかどうかは、そのドラレコの価格帯・性能・状態などによってケースバイケースになります。
基本的にドラレコはつけたまま買取に出そう
様々な条件を加味した上で結論を述べると、ドラレコはつけたままの状態で買取に出したほうが査定が有利に進む可能性が高いです。
その具体的な理由について、以下で詳しく解説していきます。
ドラレコに対するユーザーの注目が集まったきっかけは、2017年に発生した「あおり運転」を起因とする痛ましい死亡事故でした。
この事故によって社会問題となったあおり運転はもとより、盗難やいたずら被害の抑止にもつながるとしてドラレコは一気に普及しました。
今では、カーナビやETCと並ぶ人気装備の一つになっています。
買取業者としては、その車を転売する際、人気装備であるドラレコを搭載していれば、お客様にセールスポイントとしてアピールできます。そのため、搭載されているドラレコの価値分、査定額を上げてくれるかもしれません。
また、単純に装備品としての価値だけではなく、「ドラレコがついている=防犯・安全運転対策に気を配っていた」と評価され、買取業者の印象がUPする効果も期待できます。
つまり、ドラレコがついていることで、その車の買取額が多少なりともUPする可能性があるため、基本的にドラレコはつけたまま買取査定に出したほうがいいということになります。
ドラレコの装着は、車のプロからすると決して難しいものではありません。器用な方なら自分で取り付けることができるのも、普及率を引き上げたもう一つの理由です。
しかし、長期間装着されていたドラレコを雑に外してしまうと、内張りに傷をつけたり、破損したりすることがあります。そうなると、与えてしまったダメージ分の内装の評価が低くなり、買取査定額が引き下げられてしまう可能性があるため、取り外しには細心の注意が必要です。
また、普及率の上昇により、新車時点からすでにドラレコがついた状態で販売されるモデルも増えてきました。このようないわゆる「純正ドラレコ」は、ついていることが前提で査定が進むため、外してしまうと大幅ダウンの要因になりかねません。
いずれにせよ、正常に機能するドラレコをつけたまま買取査定に出すことは、買取額がUPしてもダウンすることはまずないでしょう。そのため、取り外し作業に自信がない場合は、つけたままの状態で買取査定に出し、業者の評価に委ねたほうがいいでしょう。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
査定前にドラレコを外したほうがいいケース
そう多くはありませんが、買取査定前にドラレコを車から外しておいたほうがいいケースもあるので、紹介していきます。
ドラレコが故障していて映像を撮影・保存できない場合、その車を買取に出す時は「ドラレコ搭載車」とアピールすることができません。
それどころか、故障しているドラレコをつけたまま転売しようとすると、相手側に値引き交渉の口実を与えてしまう可能性もあります。
業者としては買取後にドラレコを外す手間がかかるため、その分マイナス査定される可能性があります。
そのため、ドラレコの本体・配線などが故障していて使い物にならない場合は、内装に傷をつけないよう注意した上で外しておいたほうが、余計なマイナスポイントを増やさずに済むでしょう。
ただし、マイナス査定されるといっても、業者に取り外しを頼んだ時の費用を上回るほど、大幅に減額されるわけではありません。作業に自信がない場合は、ドラレコをつけたまま買取査定に出したほうがいいでしょう。
正常に作動するドラレコがついたまま買取査定に出せば、本体の評価額と取付工賃分、さらに業者側のイメージ上昇による査定額のUPが見込めます。しかし、プラスされる査定額は決して大きいとはいえず、せいぜい数千円程度でしょう。
一方、普及率が急上昇したドラレコは、車の装備品以外の家電などを取り扱っているリサイクル業界においても人気商品の一つとなっています。
そのため、ついているドラレコの機種が比較的新しくて高性能で高額だった場合は、車から外してリサイクルショップやネットオークションなどで転売したほうが高く買い取ってもらえるかもしれません。
現在、ドラレコは5,000円程度で購入できる廉価タイプから、50,000円以上する高級・高性能なものまで幅広い価格帯の商品が販売されています。
このうち、売れ筋である「20,000円以上」、かつ販売開始から「1年以内の新商品」に関しては、つけたまま販売するより取り外して転売したほうがお得になる可能性が高いです。
ドラレコをつけたまま車を査定に出して買取額がUPするにせよ、ドラレコが高額・高性能だからと外して転売するにせよ、同程度の機能を持つドラレコを改めて購入する費用を超えるほど、お金が手に入ることはほぼありません。
もっといえば、どんなドラレコでも改めて購入して取り付けるよりも、今の車についているドラレコを外して次の車に取り付けたほうが安上がりです。
ただし、最近のドラレコの進化はすさまじく、以前の高額ドラレコ並みの機能を持つお手頃価格のドラレコも登場してきました。そのため、車の買い替えを機にドラレコのアップグレードを考えている場合は、つけたまま査定に出して問題ないでしょう。
車買取時にドラレコの取り扱いで注意すること
ここまでで、ドラレコをつけたまま買取査定に出したほうがよいケース、反対に外したほうがお得になるケースについて解説してきました。
しかし、ドラレコという装備品はその性質上、取り扱いに注意しないと金銭的な損得以外にも思いもよらないトラブルに遭遇してしまう可能性があります。
そこでここからは、買取査定に臨む際のドラレコの取り扱いで注意することを3つ挙げていきます。
ドラレコが安全や防犯対策として役立つ理由は、運転中あるいは駐・停車中にわたって、車周辺の映像や音声を本体や内蔵されているSDカードなどに保存し、後々確認できるからです。
しかし、ドラレコに保存されている映像データは極めて個人的な情報となるため、不特定多数の目に触れないように初期化や消去しましょう。
ドラレコの映像を見ると、普段の通勤ルートや休日の行動パターン、運転している時間帯などが全て分かってしまうため、悪用される可能性もゼロではありません。
ドラレコには、必ず本体や内蔵SDカードなどの保存媒体を初期化する機能が備わっています。そのため、つけたまま買取に出すにしろ外して転売するにしろ、ドラレコに残っているデータは全て初期化しておくか、SDカードが自前の場合は抜いておくようにしましょう。
車の査定は、新車の状態を満点とし、それから車体に及んだダメージや使用感の分を減点していく形で進んでいきます。
ドラレコなどの装備品がついていることは数少ない加点要素となりえますが、業者に見過ごされてしまうこともあります。そのため、ドラレコに限らずオプション品で従来と異なる装備をつけているのであれば、査定士にその事実をしっかり伝えておくことが大切です。
また、ドラレコの装着によってどの程度査定に影響があるのかを直接聞き、その結果に応じてつけたままにしておくか否かを決めるとよいでしょう。
買取査定の時にドラレコの存在を査定士に伝え、査定結果への影響を聞くべきだと説明しましたが、それにはもう一つ理由があります。
ドラレコがついていることで大なり小なり査定額がUPした場合、査定後に無断でドラレコを外すと査定額が割り引かれてしまう可能性があります。その上、ドラレコ装着時の査定プラス幅より、名目がはっきりしている分余計にマイナスされてしまうこともあります。
そのため、いったんドラレコ付きで査定し、契約を結んだ場合は業者に無断で外さないようにしてください。
もし「ドラレコがついているから○○円追加している」としっかり査定への影響を聞いており、業者了解のもとドラレコを外した場合は、聞いていた以上に査定額をマイナスされることはないでしょう。
買取額UP・高額売却を望めるドラレコの特徴
自分の車についているドラレコが査定においてどのように評価されているかを知っておけば、つけたまま査定に出すか否かを決めやすくなるでしょう。
そこでここからは、現在人気が高く買取額UP・高額売却を望めるドラレコの特徴をいくつか挙げていきます。
ドラレコは装着する場所によって、わずかながらドライバーの視界の妨げになるという弱点があります。そんな弱点を見事に克服しているのが、「ミラー一体型」と「セパレート型」のドラレコです。
ミラー一体型は、その名の通り、運転席の前方中央についているルームミラーの背面にカメラがあり、その映像をミラーにかぶせたモニターで確認できるタイプです。
セパレート型は、カメラ部分とモニター部分が分離しているタイプで、比較的大きいモニター部分を視界の邪魔にならないダッシュボードなどに設置することができます。
いずれも取り付け時のスタイリッシュ感やドライバーの視界を遮らない視認性の良さに人気があります。そのため、どちらのタイプも10,000円~30,000円程度の価格帯で販売されています。
あおり運転とは、車間距離を極端につめたり、幅寄せや急停止など威圧的で危険な運転で進路妨害などをしてきたりする違法行為です。
そんなあおり運転の大きな抑止力となり、被害遭遇時の加害車両の特定に威力を発揮すると人気で現在主流になりつつあるのが、前後・左右の映像を同時に記録可能な「2・3カメラ型」のドラレコです。
2・3カメラ型の中には、車外の様子だけでなく、車内の映像や音声も記録できるタイプが登場しています。こちらは、タクシーなど乗客を乗せる車の安全・防犯対策として利用されているほか、ドライブレジャーや旅の思い出を残すツールとしても人気です。
価格帯はメーカーや画質などによってまちまちですが、2カメラタイプが10,000円~20,000円台、3カメラタイプが25,000円~40,000円台で販売されています。
あおり運転や盗難・いたずらなどのトラブルに合わないことが一番なのは言うまでもありませんが、どんなに用心していたり、安全運転を心掛けたりしていても、予期せぬトラブルに遭遇してしまうことはあります。
そんな予期せぬ事態に備え、取付方式やカメラ数に関わらず、万が一のトラブル遭遇時に証拠能力の高い高画質カメラや水平画角の広いカメラが搭載されているモデルへのニーズも高まっています。
画質は200万画素以上、水平画角については108度以上、そして価格帯は20,000円台の商品が買取査定における評価も高いようです。
車を所有していれば、あおり運転や交通事故などといった走行中のトラブルだけではなく、ドアパンチ・当て逃げ・車上荒らしといった駐車中に発生するトラブルに遭遇する可能性もあります。
そこで人気が高まっているのが、走行中の映像撮影に加え、エンジンがストップしている駐・停車中の映像も撮影できる「駐車監視機能」つきのドラレコです。
駐車監視機能つきドラレコには、以下の2タイプがあります。
常に車周辺の映像を撮影し続けるタイプです。しかし、車のバッテリー上がりやドラレコ本体のメモリー枯渇などの弱点があります。
車に一定の衝撃が加わったり、センサーが感知した時のみ撮影するタイプです。しかし、衝撃・動態センサーの誤作動が起こるなどの弱点があります。
また、ドラレコ本体のカメラ数・画質などによって、同じ駐車監視機能つきでも価格帯が大きく異なります。そのため、「いつ・どのような状況に備えておきたいか」というドラレコ設置の目的に合わせ、機種選びをすることが大切です。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
ドラレコの有無や品質で購入する車を決めるのも一つの手
車という大きな買い物に比べれば、いかに高性能なものであってもドラレコの金額は高いとは言えません。また、ついている中古車とついていない中古車の価格差(新車時のオプション設定も含め)もそれほど大きくないとされています。
一方、ドラレコがついていることによる、安全・防犯面での恩恵や効果は、価格以上のものがあるでしょう。そのため、車選びに悩んでいたり、候補を絞り切れない場合は、ドラレコの有無や品質で購入する車を決めるのも一つの手です。