車買取の契約が終わると、後は入金されるのを待つだけです。ところが、契約後に減額されてしまうケースがあります。
査定金額に満足して契約したのに、途中で減額されたら納得できないかもしれません。そのため、前もって減額されてしまう理由や対処方法について確認しておきましょう。
今回は、自分が希望する買取価格に近付けたい方が知っておきたい、車買取の契約後に減額されてしまうパターンやトラブルを避ける方法を紹介していきます。
車買取契約後に減額されるパターン
最初は満足できる査定額だったのに、減額される場合があります。減額される理由はさまざまですが、特に注意が必要なケースを2種類紹介します。
車買取の査定では、外観や内装などの見た目、駆動系や足回りなど走行に関係する部分がチェックされています。
しかし、査定では1か所につき数分~数十分くらいしか時間をかけていないため、全ての不具合が分かるわけではありません。
業者が車を引き取って整備に回してから、最初は発見できなかった不具合がみつかることがあるでしょう。後で見つかった不具合は、車の持ち主も知らないケースは少なくありません。
特に注意が必要なのは、新車から5年以上経過している車です。新車から3年までは大きな不具合が出ることは少ないのですが、5年目以降に何らかの故障や部品の交換が必要になることがあります。
また、年式が新しくても、走行距離が長い場合は注意が必要です。走行距離が長くなると、年式に関わらず部品交換や修理箇所が増えやすくなります。
車買取の減額理由で注意したいのは、修理履歴を隠していた場合です。
査定でみつからない不具合を調べるため、整備に回すので、修理歴を隠していてもバレてしまいます。大きな修理歴がみつかれば、減額の可能性があります。
たとえ車の見た目が綺麗でも、事故によりボディにゆがみが生じている場合は少なくありません。車の骨格部分を修理した場合は「修復歴車」といいます。
軽い事故でボディに傷やへこんだ程度では、修復歴車にはなりません。もしかしたら、修復歴があっても見た目が元に戻っていることから、バレないと考えるかもしれません。
もちろんバレないケースもあるかもしれませんが、隠していたことがわかれば、大きなトラブルに発展する恐れがあるため注意してください。
売り手の責任が問われる!車買取の契約後に減額されるトラブルについて
査定金額が減額されるだけなら、自分が妥協すれば問題ないと思うかもしれません。
しかし、減額理由によっては、大きなトラブルに発展する恐れがあります。売り手の責任が問われれば、減額だけでは済まないこともあるため注意が必要です。
車買取は大きな金額が動くことがあるため、どんなトラブルが起こりやすいか知っておきましょう。
車を売却する方は、不具合を申告する義務があります。しかし、売り手が事故歴などを隠していたことがわかれば「瑕疵担保責任」が問われる恐れがあるでしょう。
このような問題は、単に修理費用の負担だけでは済みません。大きな不具合があると知っていたら、買い手は購入しようと思わないかもしれないからです。
売買契約書に、瑕疵担保責任に問われれば「損害賠償を請求できる」と書かれている場合がありますので、ご注意ください。
売り手の都合で車買取をキャンセルする場合は、解約手数料が発生する場合があります。
解約手数料は査定金額からの減額というより、売り手が負担するお金のことです。
特に車買取の契約後に一方的なキャンセルをされれば、業者としても迷惑でしょう。車買取では数十万円や百数十万円など大きなお金が動いているためです。
契約後のキャンセルは、「査定金額に納得できなかった」「気が変わった」などの理由があると考えられます。どのような理由でも一方的な解除に変わりがないため、契約前に本当に売ってもいいのかよく考えるようにしましょう。
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減額の連絡はいつくるの?
一般的に、減額の連絡は、契約からお金が振り込まれるまでの期間です。なかには、契約してから数か月後に連絡が来ることもあるため、注意しましょう。
契約後に減額の連絡が来る理由は、整備で不具合が見つかったためです。また、契約から時間が経ってからの減額なら、買い手から不具合の連絡があったのかもしれません。
ただし、本人が知らない不具合もあるため、契約後の減額は納得できないかもしれません。不具合を発見できなかったのは業者の責任ということも考えられます。
特に悪徳業者の場合は、契約後数か月経ってから減額すると連絡がくる場合があるため、注意してください。
減額になりやすい車の特徴
車買取の減額に不安があるなら、減額になりやすい車の特徴を知っておきましょう。トラブルになりやすい車の特徴を理解しておけば、減額のリスクは軽減できます。
特に注意したい車の特徴を4つ紹介します。
査定後の整備で発見されることが多い問題は、エンジントラブルです。
査定でエンジンをかけただけだと不具合の発見が難しく、整備でみつかる場合があります。整備ではテスターを使ってエンジンの状態を調べるため、不具合が見つけやすくなります。
エンジンは修理費用が高くなりやすいことから、減額も大きくなりやすく注意が必要です。部品だけの交換ならそれほど高額ではありませんが、オーバーホールが必要なら500,000円以上かかるケースがあります。
車に乗ったときに「異音がある」「悪臭がある」「加速しない」などの問題があるなら、エンジントラブルの前兆かもしれません。
エンジントラブルの原因になりやすいのは、オイルのメンテナンス不足です。オイルが足りない、オイルが劣化している場合に不具合が出やすいため、適切にオイル交換をしていたか考えてみましょう。
一度でも車が水没した経験があるなら、減額の恐れがあります。
水没する影響として考えられるのは、台風や洪水などの影響です。車が水に浸かると、エンジンや電気系統の故障につながります。
水没は、車が水に浸かった高さにより減額の割合が変わってきます。フロアまでなら30%減額、クッション上部までなら40%減額、ダッシュパネル上部なら50%減額が目安です。
水没したのを隠しても、査定士が見れば分かります。ただし、最初の査定で水没が見逃されることがあるため注意が必要です。査定後の整備で判明すれば、減額となるでしょう。
事故をおこし、車の骨格部分に損傷があると「修復歴車」として扱われます。
骨格部分の損傷は見えない部分のため、最初の査定では見逃される恐れがあるでしょう。
骨格のゆがみは、機械で修復は可能ですが、走行に問題がないかはわかりません。溶接で骨格を繋ぎ合わせると、二度目の衝撃でもろくなる恐れがあります。
車の骨格は人を守る重要な部分のため、修理歴があれば減額の対象となりやすいでしょう。1か所でも骨格の修理歴があると、人を守れなくなる恐れがあります。
割合は少ないのですが、車内のニオイが減額の原因になることがあります。
車内のニオイの原因は、タバコが影響していることが多いでしょう。
特に、喫煙者の車を非喫煙者が購入すると、ニオイに敏感に反応する恐れがあります。非喫煙者のなかには、喫煙車に乗っただけで具合が悪くなる方もいるため注意が必要です。
普段タバコを吸う方はあまり気になりませんが、タバコにはアンモニアやタールなどの化学物質の影響でニオイが付着しやすくなります。シートに付着したニオイは、取れにくい性質があるため、ニオイが残っているかもしれません。
中古車のなかには「非喫煙カー」として売り出す場合があります。タバコを吸ったことがない車を求める方もいるため、場合によっては減額になるかもしれません。
買取業者から減額を言われたらどうする?対処方法について
契約後に突然減額を言われたら、誰でも戸惑ってしまいます。はじめての車買取だと、減額に応じるべきか、拒否してもいいのか迷うかもしれません。
車買取業者から減額を言われた場合の対処方法を3つ紹介します。
最初にすることは、買取業者に減額の理由を聞くことです。理由次第で、そのまま条件をのむのか、減額を拒否するのか変わってくるためです。
何か車の不具合を隠して減額を言われたなら、直接原因を聞くことで納得できるでしょう。また、自分に落ち度がないと思うときも、業者の言い分は聞くべきです。
理由を聞けば、売り手の問題か、業者が不具合を見逃したのかがわかります。大きな問題が発覚したなら、売り手が知らなかった場合でも、減額は仕方ない場合があるでしょう。
ただし、業者が不具合を発見できなかった理由なら、業者の落ち度の可能性があります。まずは、どちらに責任があるのか、話し合いで明らかにするようにしてください。
知っていることを全て話しており、売り手に落ち度がないと判断されるなら、減額を無効にできます。
特に、ボディの傷やへこみの理由で減額をされた場合は、査定でも発見できるため、業者側のミスです。
注意したいのは「売買契約書」に注意書きがある場合です。減額できる理由が記載されており、該当する問題であれば業者の言い分が通る可能性があります。
売買契約書にあることでも、どうしても納得できないなら交渉してみましょう。買取業者が応じてくれない場合は、国民生活センターなどに相談してください。
あまりにも減額が大きすぎる、または納得できない場合は、契約をキャンセルすることをおすすめします。
契約後でも、猶予期間があればキャンセルすることができます。猶予期間は、一般的に「3日~1週間」くらいです。この期間に減額を言われて納得できないなら、契約解除しましょう。
ただし、契約キャンセルでは契約キャンセル料がかかる場合があります。業者のミスであれば契約キャンセル料なしで解約できるか交渉してみてください。
猶予期間がない場合は、原則契約後のキャンセルはできません。それでも、車買取業者の損害がなければ、交渉次第でキャンセルを受けてくれる場合があります。
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キャンセル料の相場について
キャンセル料は、業者の経費分がかかると考えておきましょう。一般的な相場は数万円程度ですが、状況によっては10,000円程度で済む場合もあります。
現場まで査定士が来たなら、人件費がかかっています。
陸送費は、売り手の自宅からお店までの移動や、オークション会場への移送代などです。近くの買取店舗に依頼しているなら、高額な費用がかかることはあまりありません。
費用の目安は、クリーニング外注で10,000円程度、近隣の陸送費で10,000円程度です。人件費は数万円程度かかる場合があります。
また、契約書にキャンセル料は一律料金だと書かれている場合があるため、確認してください。業者は経費がかかっていなくても、高額なキャンセル料が発生することがあります。
高額な減額を言われた場合や、高額なキャンセル料を請求されたなら、国民生活センターに相談してください。
相談は無料で、電話で内容を聞きながら、トラブル解消への手助けをしてくれます。
対応してくれるのは、国家資格をもった消費生活相談員などです。状況により、担当者が事業者の間に入って、問題解決をしてくれる場合もあります。
また、相談は直接センターに行くことも可能です。近くにセンターがある場合は、出向いて相談しましょう。
減額されないための対処方法
契約後に減額を言われたら、当初の予定が狂ってしまうかもしれません。車買取をしてもらい、受け取ったお金で新しい車を買う方もいるでしょう。
できれば契約後の減額を避けたいのは当然のことです。そのため、減額されないように対処法を試してみてください。
瑕疵担保責任を問われないよう、車のマイナス要素は全て話してください。
例えば、車をぶつけた経歴、気になっている不具合などです。
マイナス要素を伝えると、査定金額に影響を与えると考えるかもしれません。確かに状況によっては減額となりますが、瑕疵担保責任を問われるよりは、まだいいです。
また、正直に話してくれる売り手だと、買取業者の担当者は安心しやすくなります。誠実な対応をしてくれる人に対しては、無理な減額はしたくないと考えるはずです。
最終的には、人と人との取引です。好印象があれば、相手も誠実な対応を心がけてくれるでしょう。
悪徳業者を避ける対策として、JADRI加入業者を選ぶ方法があります。
車買取業者がJADRIへ加盟するには、特定の条件をクリアする必要があります。「法人設立5年以上」「メーター改ざんの経歴がない」など、厳しい条件があるため、安心して利用できる業者が多いでしょう。
JADRI加盟業者だからといってリスクはゼロではありませんが、悪徳業者に当たる率は減らすことができます。もし加盟業者とトラブルにあったら、JADRIへ相談できるため安心です。
もともと車買取で減額しないと明記する業者なら、減額はされないでしょう。公式サイトにハッキリ記載されているなら、安心して利用できます。
減額しないと言い切れるのは、査定に自信があるためです。万が一トラブルが見つかっても、業者が不具合を発見できなかったと取り扱ってくれます。
契約後の減額がない業者は、大手の車買取業者に多いようです。中小の買取業者でも、減額がなければ、安心して依頼することができます。