車を売却した場合、売却代金が手元に入ります。これは所得になりますが、この売却代金は課税対象になるのでしょうか?

売却代金が課税対象になるかどうかは、ケースバイケースです。

この記事では、車を売却した際の課税対象は何か、課税額はいくらなのかについて見ていきます。また、もし課税対象になれば確定申告も必要ですが、手続き上の注意点についても見ていくので参考にしてください。

車を売却した時の課税対象は3つ

車を売却した時の課税対象は3つ
車を売却した際に課税対象になる税金の種類は3つあります。それは「自動車税」「所得税」「消費税」です。

ここでは、この3つの税金がどのような仕組みで課税されるのかについて見ていきます。詳しい内容について理解していれば、納得して納税できるでしょう。

①自動車税

自動車税は毎年発生する税金で、4月1日時点で車を保有している人を対象に課税されます。通常、5月頃に課税通知書が届くので、1年分の税金を納めます。

1年間分の税金を先払いする税金なので、車を売却するタイミングによっては税金が還付される可能性もあります。売却した月の翌月から3月分の税金が還付対象です。

実際に還付されるのは廃車手続きをした場合に限られますが、買取業者の中には、残りの期間分の税金を買取価格に上乗せしてくれる場合も少なくありません。

軽自動車税には還付制度がないので、税金が戻ってくることはないと思ってください。

②所得税

車を売却して利益が発生している場合、それはその人の所得です。よって所得税の課税対象になる可能性もありますが、実際に所得税を課税されるケースはレアと思って良いでしょう。

所得税は、車の売却益に対して課税される税金です。

売却益とは、売却代金から車の購入費用などの経費を差し引いた金額になります。つまり、購入時よりも売却価格の方が高かった場合に課税の可能性が出てきます。

しかし、車の価値は通常購入時よりも下がっていくものなので、購入金額よりも高く売れることは稀です。しかも所得税では50万円の特別控除があります。売却益が出ても50万円を超えてこないと所得税の課税対象にはならないので、所得税を支払うことはまずないと思って良いでしょう。

③消費税

車の売却時に支払う税金として、消費税があります。しかし、個人が車を売却するにあたって、消費税を課税されることはありません。消費税の課税対象者は事業者です。

ただし、買取業者に車を売却した場合、消費税を納税しなければなりません。よって売却側が売却代金を受け取った際に、その中に消費税は含まれているでしょう。見積書などで確認しておきましょう。

個人が通勤のためなど、プライベート目的で使用した車は、消費税の課税対象ではありません。しかし、事業用の車を売却する場合には、課税対象です。

最近では個人事業主として、フリーで活動している人も多いでしょう。個人事業主が事業用の車を購入して売却する際には、消費税の課税対象になるので注意してください。

車の売却で所得税が課税されるケースについて

車の売却で所得税が課税されるケースについて
車の売却の際に課税対象になる税金の中に所得税があることは、すでに紹介しました。

所得税が課税されるかどうかは、ケースバイケースです。そこで、ここでは所得税の課税される可能性があるケースについて詳しく見ていきます。

売却価格やどのような用途で車を使用してきたかによって変わってくるので、注意してください。

車の売却で所得税が課税されるのは、どのような時ですか?
まず車の購入価格よりも売却価格が上回った場合には、所得税が課税される可能性が出てきます。また、用途も重要で、レジャーや業務用の自動車は課税の対象になるかもしれません。
売却価格が購入額を上回っていた場合

車の売却で所得税が課税されるのは、売却代金が購入費用を上回った場合です。上回ったとしても、所得税には50万円の特別控除があるので、50万円を購入価格よりも上回った場合が課税対象です。

車の売却で所得税が発生するのはレアケースと考えても良いでしょう。通常、売却価格が購入金額よりも上回るケースは少ないためです。

では、所得税が課税される具体例を見ていきましょう。

500万円で購入した車を売却したところ、560万円の査定額を提示され売却したと仮定します。すると売却益が60万円出ているので、特別控除を差し引いた10万円が課税対象額となります。

稀に希少価値のある車で、プレミアがつくと売却価格の方が高くなる場合もあります。しかし、このような事例は特殊なので、基本的に所得税を課税される心配はないと思ってください。

用途がレジャーの自動車

購入金額と売却価格の関係のほかに、売却する車がどのような用途で使用しているかも重視されます。もしレジャー用の車を売却する場合、50万円を超えて売却益が出た場合は課税対象です。

車と所得税の関係で、対象の車両の主な使用目的も考慮されます。生活に必要な動産であると見なされれば、たとえ譲渡によって利益が発生しても非課税対象です。

レジャー用の自動車は、あくまでも趣味や娯楽のために使うので日常生活に必要ないものと見なされます。そのため、非課税対象にならずに、売却益が出れば所得税の課税対象になるわけです。

レジャー用の車とは、日常生活で使用するのではなく趣味専門で購入した車です。キャンピングカーなどはレジャー用の車と見なされる可能性があります。

業務用の自動車

業務用として所有していた自動車を売却する場合、所得税の課税対象になるので注意してください。個人事業主などで、営業目的で自動車を保有していた場合、課税対象になるので注意しましょう。

事業用の車に関する所得税の課税対象額を計算する場合、減価償却の処理が必要なので注意しましょう。事業用自動車は固定資産の対象になるためです。

減価償却は自動車の購入金額を耐用年数で分割して、複数年にまたがって経費計上する方法です。このような車両を売却する場合、売却価格からその時点における車両の価値を差し引きます。

この差し引いた金額が50万円よりも多ければ、所得税の課税対象になるわけです。購入金額ではなく、その時点における車の価値を差し引く点に注意しましょう。

通勤用の自動車は対象外

仕事用に車を使用していたけれども、通勤のためであれば所得税は非課税です。国税庁も所得税の課税されない譲渡所得として、通勤用自動車を明記しています。

生活に必要な動産は非課税となり、通勤のためであれば生活に欠かせません。そのため、たとえ購入金額よりも50万円超で売却できても、売却益に課税されることはありません。

なぜ通勤用の自動車が課税対象にならないのかは、将来値上がりを期待して購入していないからです。購入した時よりも低価格で売却するのが普通なので、それを利益と見なすのはおかしいというわけです。

他にも、生活のための自動車(通学の送迎や買い物などのための車両)も含まれます。よって自家用車は生活のための車両に当たるので、課税対象にはなりません。

車を売却する時の税金に関する注意点

車を売却する時の税金に関する注意点
車を売却する時の税金に関して、いくつか注意すべきことがあります。

例えば、軽自動車をマイカーとして保有している場合、普通車と取扱いが異なるので注意してください。また、税金を滞納していると売却できないので、きちんと納税しましょう。

最近では個人売買で車を売却する人も多いですが、その場合の納税についても見ていきます。

車を売却する際の税金における注意点はありますか?
軽自動車を売却する場合、普通自動車と違って、残期間があっても軽自動車税は還付されないので注意してください。また、自動車税を滞納している間は車の売却ができない点にも留意しましょう。
軽自動車は自動車税の還付対象外

自動車税は1年間分を先払いします。もし年度の途中で売却した場合、残り期間は月割りで還付されます。しかし、軽自動車税の場合は自動車税のような還付制度はありません。

軽自動車税も自動車税同様、4月1日時点で軽自動車を保有している人が課税対象です。極端な話4月2日に売却しても、この先1年分の軽自動車税がかかり還付もないため注意が必要です。

もし軽自動車を売却するなら、売るタイミングを考えましょう。おすすめなのは、年度末の3月に近い段階で売却することです。

ただし、3月30日など年度内ギリギリのタイミングで売却するのはおすすめできません。業者が4月1日以降に名義変更をする可能性があるからです。

税金を滞納していると車は売却できない

自動車税を納税していない状態で車を買取に出しても、買取は断られてしまうので注意しましょう。自動車税を納めてから、買取業者の査定を受けるのがおすすめです。

自動車税は毎年4月1日の段階で車を所有している人が課税対象です。そして翌年3月までの税金1年分を先払いする形になります。

自動車税の納付書は、地域によって若干違いがあるものの、おおよそ4月下旬から5月上旬にかけて送付されるはずです。年度初めで忙しい時期に送付されるので、その存在をうっかり忘れてしまう人もいます。

また車を売却する際には、自動車税納税証明書が必要です。コンビニなどで自動車税の支払いをすると、ハンコの押された半券が返却されるでしょう。これが自動車税納税証明書なので、うっかり捨てないように注意してください。

個人売買の場合の税金の取り扱い

最近では車を個人売買で取り引きするケースも珍しくありません。ネットオークションなどを使って直接やり取りして売買する方法ですが、買取業者が間に入ってくれないので税金面でトラブルになりやすいため注意しましょう。

買取業者に売却する場合、税金に関する手続きも代行してくれます。よって税金の手続きに関するトラブルは起こりにくいでしょう。

しかし、個人売買の場合は自動車税をどちらが負担するのか、手続きはどちらが担当するのか自分たちで決めなければなりません。通常、自動車税の未経過分は買い手が負担することになるでしょう。一方、自動車重量税や自賠責保険料は、売り手側の負担になります。

しかし、これは決まりではないので、両者で話し合って双方納得できる条件を見つけましょう。

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車を売却する時の課税対象額の計算方法と確定申告の手続きについて

車を売却する時の課税対象額の計算方法と確定申告の手続きについて
車を売却するにあたって、中には売却益が一定以上発生して所得税の課税対象になる場合もあるかもしれません。

ここでは、課税額がいくらになるのか、計算方法について解説します。

もし所得税の課税対象になった場合、確定申告をしなければなりません。確定申告の手続きの流れについても見ていくので、初めて申告する際の参考にしてください。

もし所得税の課税対象になった場合の確定申告の手続きはどうすれば良いですか?
所得税の金額をまずは計算して、必要書類を用意したうえで税務署で手続きを行います。最近ではe-Taxと言って、マイナンバーカードなどを使ってオンラインで申告できる場合もあります。
車を売却した時の課税対象額の計算方法

車の売却時に譲渡所得が発生し、所得税の課税対象になったらまずは課税対象額を算出しましょう。

譲渡所得とは所得税の一種であり、個人の資産を譲渡することで得た利益のことです。この譲渡所得額は「短期譲渡所得」か「長期譲渡所得」に該当するかで、扱いが変わります。

短期譲渡所得とは、車の所有期間が5年未満の場合が該当します。売却価額から取得価額を差し引いた金額からさらに、特別控除の50万円を引いて算出してください。

長期譲渡所得とは、車の所有期間が5年以上の場合が該当します。短期譲渡所得の計算で出た金額を2で割って算出します。

例えば、事業用車両を200万円で購入して、6年後300万円で売却できれば、長期譲渡所得扱いです。そのため、計算式は以下になります。

(300万円-200万円-50万円)÷2=25万円

よって、25万円が課税対象額になります。

必要書類を準備する

確定申告の手続きをする際には、必要書類がいくつかあるので準備してください。

確定申告の手続きは、車売却だけ行うわけではなく、医療費控除や社会保険料控除などもあわせて行うので、関連する書類はすべて準備してください。

考えられる必要書類として、まず源泉徴収票や公的年金の収入などが挙げられます。これらの書類は、勤務先に申請すれば入手できるでしょう。公的年金の収入に関する証明書は、自宅に郵送されるはずです。

医療費は年間10万円以上負担した場合に控除の対象になります。医療費を立証できる領収書などは、なくさず保管しておきましょう。

生命保険や地震保険に加入していて保険料負担している場合、控除対象です。保険会社から控除証明書というハガキが届くので、こちらもなくさないように保管してください。

確定申告書を作成する

必要書類の準備ができたところで、確定申告の時期に確定申告書を作成します。確定申告は2月16日~3月15日の間に申告するのが一般的です。

確定申告の作成方法はいくつかあります。確定申告書に手書きで作成する方法もあれば、国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」で作成してもかまいません。

また、確定申告書に記載する数字は、会計ソフトを使って算出する方法があります。必要な勘定科目や金額を入力すれば、あとはソフトが自動的に計算してくれます。

自分で作成するのに自信がなければ、税務署で作成する方法がおすすめです。スタッフがいるので、分からないことがあれば質問しながら作成できます。

自分で作成する時間がなければ、お金がかかるものの税理士に依頼する方法もあるので検討しましょう。

確定申告書を提出する

確定申告書の作成が完了すれば、必要書類を添付したうえで提出してください。提出先は皆さんの住んでいる場所を管轄している税務署です。

税務署への提出方法は、直接持参もあれば、郵送での提出もできます。収納印を押してもらって、受理されれば申告手続きは完了です。

最近ではe-Taxと言って、電子申告の方法もあります。先ほど紹介した確定申告書作成コーナーで作成して、そのまま送信する形で提出する方法です。

税務署に持参したり、郵送したりする手間を省略できます。オンラインでの提出なので、基本的に24時間いつでも提出可能なのもおすすめポイントです。

ただし、マイナンバーカードもしくは事前申請して入手したIDやパスワードが必要なので注意してください。

確定申告手続きの注意点

車の売却で得られた利益は、譲渡所得に該当します。譲渡所得にはほかの利益もあるので、複数ある場合には合算して課税対象額を算出する必要があるので注意してください。

譲渡所得に該当するものとして、土地や建物などの不動産、株式、ゴルフ会員権などの資産を売却した利益が該当します。他にも譲渡所得がある場合、確定申告で漏れのないように確認しておきましょう。

ただし、資産を譲渡したとしても減価償却資産に関しては、譲渡所得に含みません。使用可能期間が1年未満の減価償却資産や10万円未満の取得価額の減価償却資産は対象外です。

減価償却資産でも、一括償却資産の必要経費算入の適用を受けたものも対象外となります。処理の仕方が分からなければ、税理士などの専門家に相談するのが賢明です。

確定申告することで節税効果も期待できる

個人事業主で車を売却した場合、確定申告のやり方次第では節税効果が期待できるかもしれません。事業用の車を売却した場合、減価償却費を経費計上できるからです。

減価償却費は、毎年決められた一定の金額を経費として計上できます。もし減価償却期間中に車売却した場合、購入金額から減価償却費を差し引いた金額と売却価格の差額が計上可能です。

具体的な事例で見ていきましょう。

300万円の車を購入して、売却時点で減価償却費が半分の150万円だったと仮定します。すると車の残存価額は150万円です。この段階で100万円にて売却できれば、残存価額と売却価格の差額である50万円が減価償却費になります。

50万円計上できるかどうかで、税額も大きく変わってきます。よって節税のために減価償却費の計上は忘れずに行ってください。

まとめ

①車の売却時に関係してくる税金は自動車税・所得税・消費税の3つ
②所得税は車の購入金額よりも売却価格が超えた場合のみで、課税されることは稀
③所得税の課税対象の場合、確定申告で税額を確定させる

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