「維持費がかからない」「燃費がいい」「小回りが利く」という理由で軽自動車を自家用車として購入する世帯は多いです。マイカーとして軽自動車の購入を検討している方もいるでしょう。
しかし、軽自動車は普通車と比較して「危険ではないのか?」と、疑問に思っている方もいるかもしれません。
ここでは軽自動車の安全性についてみていきます。
安全性という観点から見た軽自動車の選び方についても紹介しますので、購入の際の参考にしてみてください。
軽自動車は危険説は本当か?
「普通車と比較して軽自動車は安全性に劣る」という話を聞いたことがあるかもしれません。
ここでは、事故死亡率など実際のデータをもとに見ていきます。軽自動車が普通車と比較して危険ではないことが分かるでしょう。
国の定めた安全基準をクリアしている
まず基本的なこととして、軽自動車を販売するにあたり、国の定めた安全基準をクリアする必要があります。
その中の一つが「衝突安全性」です。
国土交通省と自動車事故対策機構という独立行政法人では、衝突安全性能試験やブレーキ性能試験などを実施しています。これは自動車の安全性能に関する規定に基づくものです。
この試験をクリアしているので、軽自動車の衝突安全性は一定レベルを維持しています。
しかも、この試験は車種やサイズ等による条件の違いはありません。つまり、軽自動車も普通車と同じ条件でテストを受けているということです。
そのため、軽自動車は普通車と比較して安全性に劣るということはありません。
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事故死亡率で比較
軽自動車は危険な乗り物かどうか、今度は実際のデータで比較してみました。
自動車に乗っていて事故に遭遇し、死亡する割合が発表されています。軽自動車の事故死亡率は、普通車と比較するとどうなのでしょう?
詳しく見ていきましょう。
車同士の事故で比較してみると、事故死亡率は普通車0.19%に対して、軽自動車は0.22%です。軽自動車の方が若干高めの傾向です。
これは、車両の軽さが関係していると言われています。
車同士が衝突する場合、大きなエネルギーが発生します。すると、軽い軽自動車の方がどうしても大きく飛ばされてしまうため、大きなダメージを受けてしまうのです。そのため、乗っている人にかかる衝撃も大きくなります。
しかし、軽自動車のほうがやや高めなだけで、そこまで大きな差が生じているわけでもありません。車両同士の事故に気を付ける必要がありますが、そこまで恐れることはないでしょう。
単独事故による死亡率を見てみると、普通車4.51%に対し、軽自動車は4.47%とむしろ低めです。これも車体重量が関係しています。
単独事故の場合、壁やガードレールなど固定されたものに衝突します。固定したものにぶつかった場合、重い方がよりダメージが大きいです。
軽自動車は普通車と比較して、車体は軽めです。そのぶん衝撃によって発生するパワーは少ないので、死亡するリスクは普通車と比較して少なくなります。
そのため、単独事故で比較すると、むしろ軽自動車の方が普通車よりも安全となるわけです。
この結果からも分かるように、一概に軽自動車は危険とは言い切れません。
衝突安全性が懸念材料
現在販売されている軽自動車は、いろいろな安全性能に関する試験をクリアしたものばかりです。しかし、それでも心配という方も少なくないでしょう。
その中でも懸念されるのが「衝突安全性」です。
近ごろの軽自動車を見てみると、コンパクトサイズの割には車内スペースが広く設けられています。「車体は小さいけれども、車内はゆったり」が売りの軽自動車は人気があります。
そういった軽自動車は、そのぶん「ボディの厚みを少なくしているのではないか?」と思う方もいるかもしれません。
「何かにぶつかった時に、乗員を十分守れないのではないか?」と思ってしまうでしょう。
しかし、衝突安全性に力を入れている軽自動車もあります。
衝突安全性能は、5点満点で評価されます。軽自動車の車種の中には、5点満点や4点を獲得しているものも少なくありません。
衝突安全性能試験の結果をチェックすれば、安全性の高い軽自動車はおのずと見つかります。
軽自動車の安全性の中で、操縦安定性に不安があるという指摘も時折聞かれます。
軽自動車は普通車と比較して価格は安い、だからマイカーとして購入するという方も多いです。低価格で提供するためには、できる限りのコストダウンをしなければなりません。そこで、ショックアブソーバーやブッシュをはじめとした、足回り部品でコストカットしている車種もあります。
軽自動車を見てみると、スタビライザーそのものを取り外しているモデルも少なくありません。さらに、タイヤもリーズナブルな仕様のものを装着しているモデルも見られます。そのため、高速道路を走行していると車がふらつくという声も聞かれます。
運転中の安全性を高めたいという場合は、操縦安定性が担保されているかもチェックしたいところです。
軽自動車の安全に関する取り組み
軽自動車も、今では自動車マーケットの中で無視できない存在です。軽自動車の売り上げは、自動車メーカーの中でもかなりの割合を占めています。
そこで、ドライバーが安心して運転できるように安全に関する取り組みにも力を入れています。
ここでは、軽自動車の安全性に関する主な取り組みについてみていきましょう。
軽自動車を販売するにあたって、各種の安全性に関するテストを実施しています。
このテストは、軽自動車だからと言って独自の基準は設けていません。軽自動車も普通自動車も、安全テストの内容や基準は一緒です。
軽自動車で高い評価を受けている車種は、普通車のそれと同じレベルであると言えます。
安全テストの結果に関する情報は、各メーカーで公表しています。安全性を重視するのであれば、安全テストの結果がどうなっているか確認してみてください。
安全テストの評価が高い軽自動車であれば、事故リスクも低いと考えていいでしょう。
ニュース等で事故を起こした軽自動車が大破しているのを見たことがある方もいるでしょう。原形をとどめない軽自動車の画像を見ると「やっぱり軽自動車は危ないな」と思うかもしれません。
しかし、事故の時に壊れるのは、衝撃吸収を元にした設計になっているからです。軽自動車は事故に遭遇すると大破することが多いです。
車体が壊れることで、事故の衝撃をボディが吸収してくれます。そのため、中に乗っている人にかかる衝撃は低減されます。
ボディが大きく壊れると「中に乗っている人も危ない」と思うかもしれませんが、大きく壊れるからこそ、乗っている人は守られているのです。
軽自動車の特徴の一つに、車体の軽さが挙げられます。この軽量な点も、軽自動車の安全性を担保する材料の一つです。
特に単独事故を起こした時に、その安全性が発揮されます。車体が軽いと事故を起こした際に発生するパワーも少なめです。
また、対人事故においても、相手に与えるダメージも車が軽い分低減されます。そのため、普通車を運転している時と比較して、被害者のけがの程度も軽微で済む可能性は高いのです。
一方で車両同士の事故の場合、車体の軽さが逆にマイナスになります。トラックのような大型車とぶつかった場合、それだけ大きく跳ね飛ばされてしまいます。
事故リスクと密接に関係しているのが「制動距離」です。
制動距離を比較すると、軽自動車のほうが普通車と比較して短い傾向が見受けられます。これは軽自動車のほうが重量が軽いからです。
軽自動車の車重は軽いので、ブレーキがかかりやすくなります。もし急ブレーキをかけたら、それだけ早く止まってくれるということです。
制動距離が短いということは、緊急時に危険を回避できる可能性が高くなります。つまり、交通事故に遭遇するリスクも少なくなります。
軽自動車のほうが普通車と比較してむしろ、事故を未然に防ぐのに優れているとも言えるわけです。
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安全性から見た軽自動車の選び方
軽自動車は普通車と比較して、安全性が劣っているわけではありません。しかし、安全性がどの程度担保されているかは、車種によってピンキリです。
もし安全性重視で軽自動車を購入するのであれば、何を重視すればいいのでしょうか?
安全性という観点から軽自動車を選ぶ際のポイントについて、まとめました。
安全性の観点から軽自動車を比較するのであれば、後部スペースに注目しましょう。
後部スペースが十分確保されている軽自動車は、安全性に優れていると言えます。後部にスペースがあれば、衝突時にその衝撃を後ろにより逃がしやすくなるわけです。
一方、後部スペースが十分でない軽自動車は、衝撃を逃がせません。乗っている人は、その衝撃をもろに受けてしまいます。そのため、後部スペースがどの程度あるかはチェックしましょう。
後部に余裕があると、車内スペースもゆったりになります。よって長時間ドライブでも、あまり疲れずに済みます。
ファミリーカーとして軽自動車を購入する場合、後部スペースが広ければ3~4人乗車しても圧迫感がありません。
快適性の観点からも後部スペースの広い軽自動車はおすすめです。
現在流通している軽自動車にはエアバッグが取り付けられているでしょう。このエアバッグですが、たいていの車種は正面から出るものが主流です。
しかし、エアバッグが正面だけでなく、サイドからも出るような車種もあります。
もし安全性にこだわるのなら、側面からエアバッグが出る軽自動車を購入するのがおすすめです。
車両事故は決して正面衝突だけではありません。横から車が突っ込んでくることもあります。サイドにエアバッグがついていれば、横からの衝撃がかかった場合でもその衝撃を吸収してくれます。
「サイドエアバッグ」「カーテンエアバッグ」と呼ばれるものが搭載されている車を探しましょう。
中には、オプションでエアバッグを取り付けられる車種もあります。オプションとなっている場合にはディーラーの人にサイドエアバッグの取り付けを忘れずに伝えてください。
横滑り機能が搭載されている軽自動車を購入すると、安全性も高まります。
軽自動車は、車体が軽いぶん風の影響を受けやすいと言われています。橋の上など吹きさらしのところを走行している時に強い横風を受けると、あおられるリスクが高いです。
そこで、横滑り防止機能がついていれば、ドライバーの反応が遅れても正しい姿勢に修正できます。
新車で購入する場合、横滑り防止機能はついているので気にする必要はありません。平成26年2月24日以降、横滑り防止機能の搭載が義務付けられました。
もし中古車を購入するのであれば、平成26年3月以降の年式を探しましょう。そうすれば、確実に横滑り防止機能がついています。
軽自動車は車体が軽いので、普通車と比較してブレーキの制動距離は短くなります。そのため、自力でも事故を未然に回避できる可能性が高いです。
しかし、より確実に事故を未然に回避したければ、自動ブレーキが搭載されている軽自動車を探しましょう。
自動ブレーキが搭載されている車種は、軽自動車でも増加傾向です。
完全に事故回避できないかもしれませんが、自動的にブレーキがかかることで事故に伴うダメージを最小限に抑制できます。
事故リスクを少しでも低減したければ、自動ブレーキ搭載の車種の中から選ぶことをおすすめします。
安全性を重視したければ、安全装備の充実している車種を選ぶことです。安全装備の判断基準として活用したいのが「サポカー」です。
サポカーの正式名称は「セーフティ・サポートカー」です。経済産業省も推奨していて、サポカー該当の軽自動車も少なくありません。
「サポカーS」は上位ステータスの車です。それだけ安全装備が充実している軽自動車と解釈できます。
サポカーSの中には「ベーシック」「ベーシック+」「ワイド」の3ランクに区分されます。その中でも最も優秀なのは「ワイド」です!
サポカーSワイドになると、自動ブレーキやペダルの踏み間違いに伴う加速抑制、車線逸脱警報などが装備されています。
サポカーSワイドの軽自動車を購入すれば、危機回避できる可能性が高いでしょう。
軽自動車の安全性能について、客観的な評価を参考にするのも一考です。
現在ではいろいろなアセスメントが出てきていますが、その中でも注目したいのが「自動車アセスメント」です。
NASVAは「自動車事故対策機構」という一般社団法人を指します。
自動車アセスメントで高評価を受けている軽自動車は、安全性も優れていると言えます。特にランキングの上位モデルになると、普通車と比較しても安全面で遜色ないでしょう。
自動車アセスメントは、インターネットなどで情報収集できます。気になる軽自動車が見つかったら、そのアセスメントがどうなっているか購入する前にチェックしてみてください。
NASVAでは「JNCAP」というテストを実施しています。
JNCAPの中で、2種類のテストが安全性と密接な関係があります。
衝突安全性能評価は、衝突時にどの程度の安全が確保されるか評価したものです。乗員保護性能や歩行者保護性能、シートベルトの警報装置など個別に評価されます。
衝突安全性能評価で、ファイブスター賞を受賞している軽自動車を探すといいでしょう。ファイブスターは、100点満点中82点以上と評価の高い車に与えられます。
このテストは平成26年度から導入されました。予防安全性能評価は、運転支援システムの評価を行うためのテストです。この中でASV+++が最高評価になります。
サポカーは装備の有無だけの評価にとどまりますが、予防安全性能評価は実際の性能までテストしているのでより信頼性が高いです。
軽自動車でも中古車の購入を検討している方もいるでしょう。中古車なら、よりリーズナブルな価格で購入できます。
中古車を購入するのであれば、比較的新しい年式を購入することをおすすめします。より安全性能に優れた車の可能性が高いです。
現在中古車業界では、安全性の向上に力を入れる傾向が見られます。走行性能や燃費性能はあらかた技術が開発されて、頭打ちになっているためです。
安全性に関しては、センサー性能や情報処理能力などは、まだまだ伸びしろがあり、日進月歩のスピードで進化しています。つまりより新しい車種の方が、優れた安全性能を有した軽自動車が多いということです。