軽自動車を所有した際は、車検証に「所有者名」「使用者名」「住所地」などが登録されます。しかし、使用中に引っ越しや結婚などで、氏名や住所が変更となる場合があります。そうなると、車検証の記載事項が事実とは異なってしまうため、速やかに変更登録を行い、車検証の記載事項を正さなければなりません。
この記事では、変更登録という手続きについて、その流れや手続きできる場所、必要書類などを解説します。
軽自動車の変更登録とは?
軽自動車の変更登録とは、道路運送車両法第2条で、車の所有者の氏名変更、法人の名称変更、住所や使用の本拠などを変更した場合の手続きと規定されています。
つまり、車を新規登録した際の氏名や住所から変更があれば、新氏名や新住所に登録し直さなければならないと法律で決められているということです。
変更登録は、移転登録と間違われる場合がありますが、移転登録というのは、自動車の所有者自体が変わった時の変更手続きのことです。つまり、売買や譲渡などで名義が変更となった場合は移転登録をする必要があります。
軽自動車の変更登録が必要となるケース
軽自動車の変更登録が必要となるケースは、主に2つです。
1つ目は、引っ越して住所が変更となった時で、住所変更の手続きを行います。
2つ目は、結婚や離婚をして名字が変わった時で、氏名変更の手続きを行います。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
変更登録しないとどうなる?
軽自動車の変更登録をしないと、色々と不都合なことが起こる可能性があります。
例えば、軽自動車の納税通知書が送られてこなかったり、罰則の対象となったりすることが挙げられます。
その他にもどのようなことが起こるのか、詳しく見ていきましょう。
軽自動車税の納税通知書は、毎年4月1日時点で車検証に記載されている車の所有者の住所地へ郵送で届きます。そのため、住所変更をしないと前の住所地に納税通知書が届いてしまうことになります。
新住所地には届かないので、軽自動車税の納付ができません。
また、納税通知書が届かないと、ついうっかり軽自動車税の納付を忘れてしまう可能性があります。そうなると、納付期限が過ぎてしまい未納扱いとなってしまいます。
軽自動車税は、たとえ納税通知書が届かなくても、納付しなくてよいというわけではありません。そのまま放置すると、督促状や催告書が送られ、遅延金が加算されます。それでも滞納すると、財産の差し押さえが行われることもあります。
さらに、軽自動車税が納付されていないと車検を受けることができなくなり、車の売却や廃車も難しくなるでしょう。
そうならないためにも、転居して住所地が変わったら、車検証の住所変更も忘れないようにしましょう。
軽自動車も、自賠責保険への加入が法律で規定されています。加入すると自賠責保険証明書が発行され、そこには契約者の氏名や住所、車両番号や車台番号などが記載されています。
正しい情報が記載されていないと、場合によっては保険が適用されないかもしれません。
住所変更をしていない程度なら、保険金が下りないということはないかもしれませんが、保険が適用されるまでに時間を要する可能性があるため、注意が必要です。
住所変更の手続きをしないと、罰金の対象になります。住所変更については、道路運送車両法第12条で行わなければならないと規定されています。
この手続きを怠ると、同法109条2項の規定に基づき50万円以下の罰金が科されてしまいます。
車検証は車の登録を公に証明する重要な書類であるため、変更手続きが速やかに行われるように罰則を設けているのです。
変更登録手続きの期限について
軽自動車の変更登録については、期限も決まっているので気を付けましょう。道路運送車両法第12条の規定により、転居から15日以内に、車検証の住所変更を行う必要があるとされています。
15日もあれば手続きできると思うかもしれませんが、引っ越しでバタバタしていると、ついうっかり忘れてしまう可能性もあります。
住民票の転入手続きをする時に、車検証の住所変更も行うようにすれば、忘れにくいでしょう。
氏名変更と名義変更の違いについて
車の所有者の氏名を変更する際、「名義変更」という言葉が使われますが、氏名変更と名義変更は意味が違うので気を付けましょう。
氏名変更は、車の所有者自体は変わらず名字が変わった時などに使われます。例えば、結婚や離婚、養子縁組や名の変更といったケースが当てはまります。
一方で、名義変更というのは、所有者そのものが別の人へと変わる際に行われる手続きです。例えば、車の売却や譲渡、所有者死亡に基づく相続による名義変更などのケースが当てはまります。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
氏名変更の手続きについて
結婚や離婚、養子縁組で名字が、名の変更で名前が変わることがあります。そうなると、車検証に記載されている車の所有者や使用者の氏名と、実際の氏名が異なってしまうことになります。
そのままにせずに、早めに氏名変更の手続きをしましょう。
ここからは、氏名変更の手続きで必要な書類、手続きを行う場所について解説していきます。
車検証の所有者と使用者の名前が同じ場合は、車検証と戸籍謄本もしくは住民票、軽自動車税申告書、申請書が必要です。戸籍謄本は、新旧の氏名が記載されたもので、コピーでも問題ありません。
軽自動車税申告書、申請書は当日窓口で受け取って作成できます。軽自動車税申告書については、市区町村役場の税務課窓口で入手でき、市区町村のホームページからダウンロードも可能です。
代理人に手続きを依頼する場合は、申請依頼書が必要です。軽自動車検査協会のホームページからダウンロードして使えます。
車検証の使用者所有者が別で所有者名を変更する場合、「車検証」「所有者の戸籍謄本もしくは住民票」が必要です。
戸籍謄本は、新旧の氏名が記載されたものが必要で、コピーでも可能です。
軽自動車税申告書と申請書も必要になりますが、こちらは当日窓口で受け取って作成できます。
代理人に手続きを依頼する場合は「申請依頼書」が必要になります。こちらは軽自動車検査協会のホームページからダウンロードして印刷すれば提出することができます。
車検証の使用者所有者が別で使用者名を変更する場合、「車検証」「使用者の戸籍謄本もしくは住民票」が必要です。
この時も軽自動車税申告書と申請書が必要になりますが、当日窓口で受け取れます。また、代理人に手続きを依頼する場合も「申請依頼書」が必要です。
氏名変更の手続きを行う場所は、現在の住所地を管轄する軽自動車検査協会です。
受付時間や業務時間は決まっているので、詳しくはホームページで事前に確認しておきましょう。土日と祝日、年末年始は窓口はお休みとなります。
氏名変更の手続きを自分で行う場合、特に費用はかかりません。ただし、ディーラーや中古車販売店などに手続きの代行を依頼する場合は、別途手数料が数千円から数万円かかるので確認しておきましょう。
所有者の住所変更について
引っ越しをすると、住所が変わります。すると、車検証に記載された住所地は前の住所となるため、現住所と異なってしまいます。
車検証の記載事項が間違っている状態なので、早めの住所変更の手続きが必要です。
ここからは、車検証の所有者の住所変更をする場合に必要な書類や手続き方法について詳しく解説していきます。
車検証の所有者と使用者が同一の場合、住所変更に必要な書類は「車検証」「印鑑登録証明書もしくは、マイナンバーが記載されていない住民票の写し」です。
印鑑登録証明書や住民票は発行から3ヶ月以内のものを準備しましょう。
軽自動車税申告書と申請書も必要ですが、当日窓口で受け取って記載することもできます。
代理人に手続きを依頼する場合は「申請依頼書」が必要となります。
車検証の所有者と使用者が別で、使用者の住所変更を行う際は「車検証」「使用者の印鑑登録証明書もしくは、マイナンバーが記載されていない住民票の写し」が必要です。
この時も、軽自動車税申告書と申請書が必要になりますが当日窓口で受け取って記載することもできます。
また、代理人に手続きを依頼する場合「申請依頼書」が必要です。
車検証の所有者と使用者が別で、所有者の住所変更を行う際は「車検証」「所有者の印鑑登録証明書もしくは、マイナンバーが記載されていない住民票の写し」が必要です。
この時も、軽自動車税申告書と申請書が必要になりますが当日窓口で受け取って記載することもできます。
また、代理人に手続きを依頼する場合「申請依頼書」が必要です。
住所変更の手続きを行う際、前住所地と現住所地を管轄する軽自動車検査協会が異なる場合、ナンバープレートの変更も必要となります。
ナンバープレートは、希望の番号を申請して取得することも可能です。その際は、予約センターで予約の際に発行される、希望番号予約済証が必要となるので注意しましょう。
希望ナンバーとは、自分がナンバーに希望する下4桁の数字を選ぶことができるシステムです。希望する下4桁の番号には、2つの種類があります。
1つ目は、抽選対象希望番号です。特に人気が高く、抽選により決定する番号になります。例えば、1やラッキーセブンの7、末広がりの8などの数字は人気が高く、3桁、4桁と数字を並べるとさらに人気が高いです。
また、オリンピックワールドカップなど世界的なイベントが行われた西暦の年や、2525でニコニコなどのごろ合わせとして使われる数字なども好まれる傾向にあります。
毎週日曜日までの申し込み分が月曜日コンピューターによって抽選が行われ、当選すれば使えます。
2つ目は、一般希望番号です。抽選対象希望番号となっていない4桁の数字です。一般希望番号は既に他の車のナンバーとして使われていなければ、使うことができます。
ナンバープレートには、ペイント、字光式、図柄ナンバーの3タイプがあり、どれかを選ぶことができます。
ペイントは、プレートに数字や文字がそのままペイントされた通常のナンバープレートです。
字光式は、文字の部分だけが光るタイプです。プレートの後ろからライトを当てるので、別に照明機器を購入し、取り付ける必要があります。
図柄ナンバーは、プレートに絵や模様が描かれたナンバープレートです。全都道府県の県花を施したタイプや、万博特別記念の図柄、地方の有名な観光地や特産物などを描いたタイプなど種類も豊富です。
ただし、図柄ナンバーにすると字光式を選べないので、注意しましょう。
住所変更の手続きの流れは、まず軽自動車検査協会の窓口で、住所変更手続きに来た旨を伝えます。そして窓口で申請書を受け取り、必要事項を記入します。
記入した書類と持参した書類を、書類整備確認窓口に提出しましょう。提出した書類で修正箇所を指摘されたら、その場で正しく修正して下さい。確認が済んだら、書類を受け取りましょう。
ナンバープレートの変更が必要な場合、取り外して返却口で返却します。その後、書類一式を窓口に提出します。
しばらく待つと、新しい車検証が交付されるので、受け取って記載内容に間違いがないか確認しましょう。
その後、隣接する地方税申告窓口で、軽自動車税申告書と新しい車検証を提出し、住所変更の申告をしたのち、車検証が返却されます。
ナンバーを変更した場合は、その後ナンバープレートを受け取り、取り付けを行えば手続きは完了となります。
住所変更の申請手続き自体は費用がかかりません。
しかし、ナンバープレートを変更する場合は、地域によって差はありますが、約1500円かかります。また、希望ナンバーにすると4000円~7000円、図柄ナンバーにすると7000円~1万円かかります。
これまでは軽自動車の変更登録手続きにおいて、車の所有者や使用者の認印の押印や署名は、申請書や申請依頼書で必要となっていました。しかし、2021年12月に国土交通省関係政令の一部改正が閣議決定され、押印や署名は不要となったのです。
変更登録に際しては、変更の事実が証明できる戸籍謄本や住民票などの公的な書類を提出すれば、押印や署名がなくても手続きできます。
まだ認印や署名が必要だと案内している情報サイトもあるので、間違えないように気を付けましょう。
今後、対応できる申請は拡大されていく予定です。
軽自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)とは?
軽自動車を保有するためには、様々な手続きや税金の納付を行わなければなりません。
軽自動車検査協会や市区町村の税務課などの窓口へ直接出向き、手続きしなければならないのは時間がかかります。また、紙の書類を使った手続きになるため、手間がかかります。
これらの手続きを全てネット上で行えるようにしたのが、軽自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)というシステムです。
軽自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)は、2024年12月現在、新車新規登録と継続検査手続きが対象となっています。
なお、普通車においては、新車新規登録と中古車新規登録、移転登録と変更登録が対象です。
軽自動車の住所変更に関しては、まだOSS上で可能な手続きの対象となっていません。しかし、今後は拡大していく方針なので、いずれは普通車と同様にオンラインでの申請が可能となる日がくるでしょう。
新たに対象となった手続きは、OSS上のお知らせに掲載されるので、チェックしておくことをおすすめします。