軽自動車の車検を通す時期になって、必要書類にどのようなものがあるのか分からない時もあるでしょう。

この記事では、軽自動車の車検における必要書類や費用、書類が紛失した時の対応方法、車検証の電子化などについて詳しく解説していきます。今後、車検を受ける時にお役立てください。

車検を行う必要性について

車検を行う必要性について
車検を通すことは、道路運送車両法に基づき、車が安全に走行できるか基準を設け、検査を行い証明することです。そのため、公道を走行する際に必要です。

車検には「新規検査」「継続検査」「構造等変更検査」の3種類があります。

新規検査は新車が公道で走行可能か検査することです。

継続検査は車検満了による有効期限を延長することです。

構造等変更検査は主要部分の改造を行った時に適性であるか確認することです。

普通乗用車の場合、新車登録車は3年後に、通常は2年に1度必ず車検を受けなければなりません。

もし、車検を通さずに公道を走行した場合には、無車検運行違反になり違反点数6点、30日間の免許停止、道路運送車両法第58条・108条により、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科すせられてしまいます。

また、自賠責保険が切れた状態で公道を走行した場合は、無保険運行違反になり違反点数6点、30日間の免許停止、自賠責保険賠償保証法第5条・第86条の3により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります。

車検と自賠責保険の両方切れている状態になると、さらに重い罰則が適用されるので注意が必要です。

したがって、公道を走るためには車検を行う必要があり、行っていないと重い罰則が科せられる点は知っておくことが大切です。

法定点検と車検の違いは?
法定点検は、車の故障や不具合がないか点検することです。車検は、道路運送車両法による保安基準が適合されているか検査することです。したがって、車検と法定点検は目的が異なることを知っておきましょう。

店舗で車検を通す際に必要な書類について

車検を通す際にカー用品店やディーラー、車検専門業者で行うケースが多いでしょう。その時に必要な書類にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここからは、店舗で車検を通す時の必要書類について紹介していきます。

自動車検査証(車検証)

自動車検査証(車検証)
自動車検査証(車検証)とは、自動車が前回の車検で保安基準に適合していることを証明するものです。記載事項として、所有者の名前や住所、車体番号、車のサイズと重量、車検の有効期限などを詳細に記載しています。

車検を通した時に更新され、公道を走行する際は常に携行することが義務付けられています。万が一、紛失してしまうと公道を走行することができなくなりますので、車のダッシュボード等に大切に保管しておきましょう。

軽自動車税の納税証明書

軽自動車税の納税証明書
軽自動車を所有すると、軽自動車税(種別割)を毎年納めることになります。これは、毎年4月1日時点で軽自動車の所有者に「使用の本拠の位置」となっている市区町村から課税されます。

軽自動車税を納税したことを証明する書類が「軽自動車税の納税証明書」です。毎年5月頃に届く「軽自動車税(種別割)納税通知書」を使って、期間内に税金を納め、領収印が押されているものが納税証明書になります。

ちなみに、令和5年1月から「軽JNKS」が導入されました。軽JNKSは「軽自動車税納付確認システム」の略です。

今までは、車検で納税証明書の用意が必要でしたが、軽JNKSによって納税証明書の提示が原則不要になりました。軽四輪・軽三輪の軽自動車が対象です。

ただし、以下のようなケースでは納税証明書の提示が必要です。

  • 納付直後で軽JNKSに納付情報がまだ登録されていない場合
  • 対象車両に関して、過去に未納がある場合
  • 名義変更(中古車購入など)があった場合
  • 自動二輪車のように軽JNKS対象外の車両である場合
自動車損害賠償責任保険証明書

自動車損害賠償責任保険証明書
全ての自動車に対して、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の加入が義務付けられています。これは、自動車損害賠償保障法により交通事故の被害者を救済することが目的です。

車を購入する時に加入が必要な強制保険であり、自動車検査証と同じように公道を走行する際には、携行することが求められます。

この自動車損害賠償責任保険証明書も車検時に必要となります。

ユーザー車検を通す際に追加で必要な書類について

ユーザー車検を通す際に追加で必要な書類について
店舗を利用して車検を通す場合、業者が請け負ってくれるため、前述した3つを用意すれば問題ありません。しかし、ご自身で車検を通すユーザー車検では、追加で必要な書類があります。

ここからは、ユーザー車検を通す際に必要な追加書類について詳しくお伝えしていきます。

継続検査申請書(軽専用第2号様式)

継続検査申請書(軽専用第2号様式)は、車検を行うために必要な書類です。軽自動車検査協会のホームページからダウンロードして印刷するか、軽自動車検査協会事務所や支所でも入手することができます。

継続検査申請書(軽専用第2号様式)には、車両番号や車体番号使用者の氏名・住所、受検者の氏名・住所を記載します。

自動車重量税納付書

車検を行う際は、重量税を納付します。自動車重量税印紙販売窓口で自動車重量税額に応じた金額の印紙を購入し、自動車重量税納付書に貼り付けます。

重量税は、初度検査年から何年経過しているか、エコカー対象であるかで金額が変動しますので確認しておくと良いでしょう。

軽自動車検査票

軽自動車検査票は、保安基準に適応しているかを証明する書類です。新規登録検査、継続検査、構造等変更検査の時に記録がされ、検査項目ごとに合否が記入されます。

ユーザー車検の際は、軽自動車を軽自動車検査協会に持ち込み、検査を受ける時に必要です。

書面に関しては、軽自動車検査協会事務所・支所の窓口で受け取ることができます。

定期点検整備記録簿

定期点検整備記録簿は、12ヶ月と24ヶ月の法定点検を行い、結果を記載したものです。メンテナンスノートや整備手帳とも呼ばれます。こちらも車検を通す際に必要な書類です。

もそい定期点検整備記録簿がない場合は整備振興会などで購入するか、インターネットでダウンロードして入手します。

作成にあたっては、点検項目内にドラムブレーキの分解やジャッキで車体の下回り点検を行うなど、専門知識が必要です。そのため、整備に関わる仕事を行っていないと素人では現実的に難しいため、安全に考慮し専門業者に依頼することをおすすめします。

ユーザー車検は車の知識が少なくても行えるものでしょうか?
ユーザー車検は、自分自身で車検を通すことになるため、車の整備状況や書類作成などの手間も増えます。したがって、ある程度の車の知識がある方が行うのが賢明です。不安であれば、ディーラーや車検代行業者に依頼することをおすすめします。
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軽自動車の車検に必要な費用について

軽自動車の車検に必要な費用について
軽自動車を車検に通す際に、必要な費用はどのようなものでしょうか。費用に関して知っておき、車検の際に困らないようにしておきましょう。

ここからは、軽自動車に必要な費用について詳しく解説していきます。

法定費用

法定費用とは、軽自動車の車検を通す時に法律で定められた費用です。

具体的に継続検査(持込検査)にかかる金額は、以下の通りです。

■法定手数料
検査手数料(1,800円)+技術情報管理手数料(400円)=2,200円
※令和3年10月1日より「技術情報管理手数料」が必要になりました。これは車検時に支払う法定手数料として、技術管理手数料400円が追加されています。
■自動車重量税(24ヶ月分)
13年経過していない軽自動車…6,600円
新車新規届出から13年経過…8,200円
新車新規届出から18年経過…8,800円
■自動車損害賠償責任保険(24ヶ月)
17,540円(沖縄県、離島などの一部地域以外)
※2023年4月1日以降始期契約の場合

新車からの年数や地域によってかかる費用は異なりますので事前に確認しておきましょう。

点検費用・整備費用

2つ目として「点検費用・整備費用」があります。車検を通すために点検や整備する費用です。

ディーラーや車検専門業者に車検を依頼した時にかかりますが、費用に関してばらつきがあります。これは、整備や点検は業者によって価格設定をするためです。そして、車検を通すために最低限の整備にするか、今後安心して運転できる状態にするメンテナンスを重視するかによって価格も変わってきます。

ご自身の車の状況に応じて相談しながら決めると良いでしょう。

書類を紛失した場合の対処方法

書類を紛失した場合の対処方法
車検を通す時に書類を紛失したことに気付いて困ってしまうことがあるかもしれません。そのような状況になった時、どのように対処すればいいのでしょうか。

ここからは、車検を通す際に必要な書類を紛失した時の対処方法について、詳しく解説していきます。

自動車検査証(車検証)を紛失した場合

自動車検査証(車検証)を紛失した時は、軽自動車は軽自動車検査協会事務所、普通自動車は運輸支局または自動車検査登録事務所で再発行手続きを行うことができます。ナンバープレートに記載されている地名が自動車を使用する本拠の位置を管轄しています。

再発行手続きは、一般的に自動車の所有者が行いますが、代理人や販売店に依頼することもできます。

実際、軽自動車検査協会や運輸支局は、土日祝日・12月29日から1月3日を除く平日のみ受け付けています。したがって、ご自身の仕事等で都合がつかない場合、代理人や販売店に依頼するのが良いでしょう。

自動車検査証を再発行する際に必要な書類(※軽自動車の場合)は以下の通りです。

  • 申請書(窓口で配布)
  • 手数料納付書(印紙を貼り付けたもの)
  • 申請依頼書(代理人が申請する場合のみ必要)

再発行に必要な費用は、所有者本人であれば、自動車検査登録印紙代として300円がかかります。

また、再発行手続きを販売店に依頼した場合、業者によって異なりますが、印紙代に追加して手数料が1万円前後かかることが一般的です。そのため、事前にどのくらい費用がかかるか業者に確認しておきましょう。

軽自動車税の納税証明書を紛失した場合

軽自動車税の納税証明書を紛失した時は、市町村の市税事務所や区役所、区役所出張所で再発行を行うことができます。

再発行を申請する際の必要書類は、一般的に以下の通りです。

  • 軽自動車税証明書交付申請書(窓口で配布)
  • 自動車検査証(車両番号が分かるもの)
  • 本人確認ができるもの(運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど)

各市町村によって必要書類が異なる場合がありますので、詳細についてはホームページで事前に確認しておくことをおすすめします。

再発行の手数料は不要である自治体がほとんどです。

自動車損害賠償責任保険証明書を紛失した場合

自動車賠償損害責任保険証明書(自賠責)を紛失した時は、加入している保険会社に問い合わせ、再発行の手続きを行います。

ご自身で再発行する際は、保険会社の営業窓口で申請することが一般的ですが、保険会社によっては郵送で申請できるケースもあるのでホームページで確認しましょう。

また、どこの保険会社が分からない時は、車を購入した販売店や以前車検を通した業者に聞くことで確認できます。

再発行する際の必要書類は一般的に以下の通りです。

  • 再発行申請書(ホームページや保険会社窓口で入手可能)
  • 本人確認ができるもの(運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
  • 契約が特定できる情報(車両情報など)

再発行にかかる費用は多くの保険会社が無料で行っていますが、事前に確認しておくと安心です。

自動車検査証(車検証)の電子化について

自動車検査証(車検証)の電子化について
2024年1月より軽自動車(検査対象軽自動車)について、電子化された自動車検査証の交付が始まっています。

さらに、国土交通省で導入されている「車検証閲覧アプリ」を軽自動車も利用できるようになりました。

電子化の内容やメリットには、どのようなものがあるか知っておくと良いでしょう。ここからは、自動車検査証の電子化について詳しく解説していきます。

電子化した内容

自動車検査証を電子化したことで、記載事項を簡素化でき、保管や持ち運びしやすいです。具体的には自動車検査証の紙サイズがA4からA6サイズ相当の厚紙に変更しています。

そして、小型化された自動車検査証にICタグが取り付けられています。ICタグをICリーダーやスマートフォンで読み取ることで、車両所有者の情報を確認することができます。

実際にICタグで読み取りできる情報は以下の通りです。

  • 自動車検査証の有効期間
  • 使用者の住所
  • 所有者の氏名と住所
  • 使用の本拠の位置
  • 帳票タイプ
電子化したメリットとは?

自動車検査証の電子化にはメリットがあります。その点についても知っておくと良いでしょう。

メリットは以下の通りです。

保管が便利になった

自動車検査証のサイズがA4からA6相当になったことにより、A4サイズに比べて約4分の1の大きさになりました。イメージは文庫本程度の大きさです。

そのため、折り曲げることもなく収納できるようになり、持ち運びや保管がしやすくなった点はメリットといえます。自動車検査証は、車を運転する際に携行する必要があることを考えると、破損しにくくなったことは良い傾向です。

車検の時間短縮ができる

車検や名義変更時の車検証を交付してもらうには、車の所有者や車検代行業者などが、軽自動車検査協会窓口に出向いて紙の書類を使った手続きを行うのが一般的です。

しかし、車の手続きをデジタル化し、インターネット上で行えるOSS(自動車保有関係手続のワンスストップサービス)が進められているため、時間短縮が可能になるでしょう。

車検証閲覧アプリによる情報確認ができる

電子化によって専用のアプリで読み込むと、車検証の情報をいつでも確認することができます。

アプリが使用できることで、自動車検査証を紛失したり盗難に遭ったりした際に書かれている個人情報の流失リスクを抑え、所有者情報や車検情報を簡単に確認できる点はメリットです。

車検証の電子化が始まってしばらくは、電子車検証発行時にICタグの内容も含めた全ての車検証情報が記載されている「自動車検査証記録事項」を発行してくれます。これは、電子車検証やアプリが普及するまでの暫定措置として補助的に渡すものになります。現状は、電子車検証とともに車に保管しておくと良いでしょう。

車検証が電子化されましたが、注意点はありますか?
注意点としては、登録・検査手数料が引き上げられていること、ICタグ内臓のため折り曲げることができないことが挙げられます。メリットもある分、デメリットもあるので注意しておくことが大切です。

まとめ

①車検は新車登録車は3年、それ以外は2年ごとに実施する必要がある
②店舗で軽自動車の車検を受ける場合は「自動車検査証」「軽自動車税の納税証明書」「自動車損害賠償責任保険証明書」が必要
③ユーザー車検に関しては、上記3つ以外に「継続検査申請書(軽専用第2号様式)」「自動車重量税納付書」「軽自動車検査票」「定期点検整備記録簿」が必要
④軽自動車を車検に出す際の費用として「法定費用」「点検・整備費用」がかかる
⑤自動車検査証は、2024年1月より電子化されている

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