軽自動車を保有していて、何らかの理由でしばらく車に乗らないというケースもあるでしょう。車にしばらく乗らなければ、今回紹介する返納証明書を取得しておくのがおすすめです。
この記事では、返納証明書とはどのような書類で、交付されるためにはどう手続きを進めれば良いのかについて見ていきます。
一時抹消登録した後に、また軽自動車を公道で運転するためには再登録手続きが必要です。再登録手続きの方法についてもあわせて見ていきます。
軽自動車の返納証明書は廃車の確認書類
返納証明書とは、軽自動車の保有者が自動車検査証を返納したことについて確認するための書類です。正式名称を「自動車検査証返納証明書」といいます。
返納証明書がない場合、対象の軽自動車が誰のものなのか確認できなくなります。極端な話、軽自動車が窃盗に遭った場合、その人間が所有者に成りすまして車を使用できてしまうわけです。返納証明書は、軽自動車の不正売買を防止するために欠かせない書類です。
返納証明書は廃車手続きの1種である一時抹消登録の手続きをすると交付されます。
ちなみに、普通自動車でも一時抹消登録の手続きが可能です。この場合、登録識別情報等通知書と呼ばれる書類が発行されます。
軽自動車を廃車するためには、抹消登録を行わなければなりません。
抹消登録には「一時抹消登録」と「永久抹消登録」があります。
一時抹消登録には返納証明書が発行されるのに対し、永久抹消登録では検査記録事項等証明書が交付されます。
検査記録事項等証明書は、軽自動車を解体し、永久抹消登録手続きが完了すると交付されるでしょう。検査記録事項等証明書を見れば、予定期日内に抹消登録が完成していて解体も完了していることが確認できます。
一時抹消と永久抹消の違いは、文字通り登録を一時的に抹消するか、完全に抹消するかの違いです。もし対象の軽自動車を再登録して、再び公道を運転する予定があれば一時抹消登録をしてください。一方、再登録の予定がなく、永久的に軽自動車を手放すのであれば永久抹消登録が必要です。
返納証明書は、軽自動車を一時抹消登録する際に発行されます。
一時抹消登録する具体的なケースとしては、病気やけがで入院することになって軽自動車の運転ができなくなった状況が考えられます。海外に転勤することになって、国内で運転の必要がなくなった場合も該当します。
また、軽自動車が窃盗に遭ってしまって、車がどこにあるか分からない場合でも抹消登録が必要になります。その他にも車を誰かに引き継ぎたい場合にも一時抹消登録しておきましょう。
自分はもう軽自動車に乗らなくても、未成年の子どもや孫がいずれ免許を取得して運転するかもしれないといった事態も想定できます。将来のために一時抹消登録しておくのも一考です。
軽自動車の返納証明書を取得するタイミング
軽自動車を一時抹消登録すると、返納証明書が発行されます。
返納証明書は一時抹消登録をした後に車に関する手続きをする際に必要となるので、大切に保管しておいてください。
返納証明書は具体的にどのようなタイミングで必要になるのでしょうか。ここからは、軽自動車の返納証明書が必要となる主なタイミングについて、紹介していきます。
返納証明書は、一時抹消登録手続きした車を再度運転する際に必要です。簡単に言えば、いったん使用中止した軽自動車を公道で運転する場合に返納証明書を提出しなければなりません。
もし一時抹消登録した軽自動車を再び公道で運転できるようにするためには、中古車新規登録の手続きが必要です。中古車新規登録手続きをするために、返納証明書などの必要書類を準備しなければなりません。
一時抹消登録で、該当の軽自動車の登録はされていない状態です。この軽自動車を運転するためには、新規登録申請をする必要があります。
登録抹消された軽自動車は、たとえその段階で車検の残期間があったとしても無効扱いです。中古車新規登録する際には、車検も同時に通さないと公道を運転できないので、その点も注意が必要です。
一時抹消登録で、軽自動車を廃車にすると自賠責保険も解約する必要があります。もし自賠責保険の契約期間中であれば、解約することで残期間分の保険料を月割で返金してもらえます。
自賠責保険の解約をする際には返納証明書の他にも、自賠責保険証が必要です。その上で自賠責保険承認請求書に必要事項を記載して提出してください。
請求書は、保険会社の窓口に行けばもらえます。もしくは請求すると郵送にて入手できる場合もあります。
自賠責保険の解約に伴う保険料の還付金は、1か月単位です。つまり自賠責保険の満期まで1か月を切っている場合、保険料の還付は受けられないと思っておきましょう。
少しでも多くの保険料の還付を受けたければ、返納証明書を早めに取得して自賠責保険を解約するのがおすすめです。
任意保険に加入していて、等級を引き継ぎたいと思っているのであれば中断証明書が必要です。
軽自動車を一時抹消登録して、また別の車に乗り換えたいと思っている人もいるでしょう。この場合、そのままだと別の車で加入する任意保険の等級がリセットされてしまいます。
高い等級を持っていれば、その等級を引き継ぎたいのは当然です。車の乗り換えの際にそれまでの等級を引き継ぎたければ、「車両入替」と呼ばれる手続きをしましょう。
車両入替の手続きにおける必要書類の一つが、返納証明書です。返納証明書があることで、車を手放した事実を証明できます。
高い等級を持っていると、保険料はかなり割引されます。これまで事故を起こさずに19等級を持っていれば57%、20等級だと63%割引です。かなり大きな割引になるので、家計の支出を抑制するためにも等級の引き継ぎは忘れずに行いましょう。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車の返納証明書を取得する手順について
一時抹消登録した軽自動車にまた乗りたい場合、保険関係の手続きをする際に返納証明書や中断証明書が必要です。
では一時抹消登録して、返納証明書を入手するためにはどうすれば良いのでしょうか。
ここからは、返納証明書を入手する手順について解説していきます。
返納証明書を入手するにあたって、手続きに必要な書類を用意しましょう。手続きは「お店に代行依頼する場合」と「自分で行う場合」が考えられ、どちらを選択するかで必要書類が異なります。
どちらの場合でも、必ず必要なのは「車検証」「ナンバープレート」「認印」「申請依頼書」です。2024年現在、手続き時に印鑑は必要ありませんが、慣例で認印が必要と言われるケースがあるため、持っておくと安心です。(印鑑証明は不要)
お店に代行依頼する場合、以上の書類を準備できれば手続きをお願いできます。
手続きを自分で行う場合は、追加の必要書類があるので注意しましょう。上で紹介したものの他に「軽自動車税申告書」「自動車検査証返納証明書交付申請書」「軽自動車検査証返納確認書」を用意します。いずれも手続き当日に軽自動車検査協会で準備することができます。
軽自動車検査証返納確認書には押印欄があります。申請依頼書に押印したものと同じ認印が必要なので注意しましょう。
返納証明書の交付申請手続きは、軽自動車検査協会で受け付けています。軽自動車検査協会は日本各地にあるものの、現住所を管轄しているところで手続きしましょう。
軽自動車検査協会のホームページに、事務所や支所の一覧が掲載されています。こちらで自分が申請手続きをすべき事務所はどこにあるのか調べましょう。
軽自動車検査協会に到着したら、総合案内窓口があります。こちらに立ち寄り、返納証明書を交付したい旨伝えると、手続きの流れを案内してもらえます。
軽自動車検査協会は土日祝日がお休みです。また、年末年始もお休みなので、これらを避けて平日に時間を作って手続きしてください。
軽自動車検査協会で「軽自動車税申告書」「自動車検査証返納証明書」「軽自動車検査証返納確認書」を入手します。そして、必要事項を記入してください。
軽自動車検査協会では、その他にも申請書が用意されているはずです。こちらは返納証明書の申請と同時に、名義や住所変更する際に必要な用紙です。
これらの書類を自力で作成できるか不安という方は、軽自動車検査協会内に記入方法の見本が掲載されているはずです。こちらを参考にすれば、自力で問題なく作成できるでしょう。もしそれでも分からないことがあれば、職員に聞いてみてください。
必要書類の提出をする前に、諸手続きを済ませましょう。
まずはナンバープレートの返却です。ナンバー返納窓口が軽自動車検査協会に隣接しているはずなので、こちらでナンバープレートを返却しましょう。
次に準備した書類を「書類整備確認窓口」に提出します。すると書類に不備などの問題がないか、確認してもらえます。もし問題があれば指摘されるので、指示の通りに修正してください。
次に税金申告です。「地方税申告窓口」にて所定の手続きを行えば、翌年度以降の軽自動車税を納税する必要はありません。「手数料納付窓口」にて、返納証明書の申請手数料を支払いましょう。手数料は350円かかるので準備しておきましょう。
諸手続きが完了したところで、必要書類一式を持参して軽自動車検査協会窓口に提出しましょう。
窓口で呼ばれたら、自動車検査証返納証明書と軽自動車検査証返納確認書が交付されます。その場で、それぞれの書類に記載ミスがないか確認します。記載ミスなどがなければ、これで返納証明書の手続きは完了です。
自賠責保険の期間が1か月以上残っていれば、返納証明書を使って手続きすることで残り期間分の保険料が還付されます。自賠責保険料の還付手続きは、保険会社によって異なります。自分が加入している保険会社に問い合わせて、速やかに手続きを進めましょう。
返納証明書が発行されたら、再度軽自動車を公道で運転する時などに必要になります。よって紛失しないように保管しておきましょう。
基本的に返納証明書は再発行できません。返納証明書を紛失してしまった場合は、再登録手続きをする必要があります。
なぜ返納証明書の再発行手続きを行っていないかというと、それは犯罪に悪用されないようにするためです。
一時抹消登録していた軽自動車が盗難に遭ったとします。もし盗んだ犯人が「返納証明書を紛失した」と言って再発行できれば、自由にその軽自動車を運転できてしまいます。
このような犯罪を防ぐためにも、紛失したら一から再登録手続きをやり直さなければならないのです。
返納証明書を取得した軽自動車の再登録手続きの手順
一時抹消登録した軽自動車は、正しく手続きすれば再登録でき、また公道にて運転できるようになります。
ここからは、軽自動車を再度公道で運転するために、どのような手続きが必要か見ていきます。再登録手続きの際に以前入手した返納証明書が必要になるので、なくさないように保管しましょう。
一時抹消登録した車を再登録する際には、車庫証明を取得する必要があります。これは普通車の場合です。
軽自動車の場合は原則、車庫証明なしでも再登録手続きは可能です。ただし、お住まいの地域によっては、再登録手続きした後で車庫証明を提出するよう求められる場合もあります。
車庫証明が必要かどうか心配であれば、お住まいの地域を管轄している警察署に問い合わせると良いでしょう。
軽自動車を公道で運転するためには、自賠責保険への加入が必要です。また、この後紹介する車検を通す際にも自賠責保険は欠かせません。
自賠責保険は基本的に次の車検までの2年間分で契約しますが、1か月長い25か月契約で加入するのがおすすめです。24か月契約の場合、車検の前に自賠責保険が切れてしまうおそれがあるからです。
もし車検を通す前に自賠責保険が切れてしまうと、公道を運転できません。そのため、検査場所までレッカー車などで車を運搬しなければならないので、契約期間には注意しましょう。
一時抹消登録した軽自動車を再登録する場合、車検をクリアしなければなりません。たとえ一時抹消登録の手続きをした際に車検の残期間があっても、抹消した時点で車検も切れた状態です。
公道を運転できないため、検査場まで車両を持ち込むためには仮ナンバーを取得して運転するか、レッカー車などで運搬してもらう必要があります。仮ナンバーを取得する際は、自賠責保険の期限が切れていないかも確認しましょう。
長期間にわたって一時抹消登録していた軽自動車は、いろいろな部品の交換などが必要かもしれません。すると部品の取り寄せに時間がかかったり、整備費用がかさんだりする可能性が出てきます。
自動車整備工場に持ち込んで軽自動車の状態をプロのメカニックにチェックしてもらいましょう。そして整備に時間と費用がどのくらいかかるのか、見積もりを出してもらうと安心です。
軽自動車検査協会に車を持ち込んで、新規検査と呼ばれる車検を実施します。この車検を合格したら、中古車新規検査手続きを行いましょう。
再登録手続きするためには、いくつか必要書類があるので忘れずに持参してください。「車検証」「点検整備記録簿」「自動車検査証返納証明書」「軽自動車検査証返納確認書」「自賠責保険証明書」などが必要です。
必要書類を準備した上で、新規検査申請書などを作成してあわせて提出します。もし書類に不備がなければ、申請が通るとナンバープレートが発行されるので軽自動車に取り付けましょう。
ここまでくれば、軽自動車を再度、公道で自由に運転できるようになります。
代理人が申請することも可能ですが、その場合は必要書類が追加になる可能性もあるので軽自動車検査協会に問い合わせておきましょう。
長期間保管する際の注意点
軽自動車を長期間使わずに放置していると、車の部品が劣化している可能性もあります。
具体的にはエンジンをかけない状態で長期間放置していると、バッテリーが劣化してエンジンがかからないかもしれません。
さらに、ガソリンを入れたままの状態で放置すると、ガソリンタンクの内部が腐食している恐れもあります。ガソリンそのものが劣化して、燃料パイプで目詰まりを起こすかもしれません。
もし長期間放置するのであれば、ロードサービスなどを頼んでタンクに残っているガソリンを抜いておくのがおすすめです。さらに湿気の高い時期に放置しているとカビが発生して、人体に悪影響を及ぼす危険性もあります。
できれば定期的に軽自動車の窓を開けて、換気しておくと良いでしょう。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?