軽自動車の所有者を別の人に変えることを名義変更といい、新しい所有者への登録を行うことは非常に重要な手続きです。
名義変更の手続きには一定の費用がかかり、自分自身で手続きする場合と代行業者に頼んだ場合とで、かかる金額や手間に大きな差が生じます。そのため、軽自動車の名義変更を行う場合には、その方法や費用について把握しておくことが重要です。
この記事では、名義変更にかかる費用や手続きの流れなどを、自分で行う場合と業者に依頼する場合とで比較しながら解説します。また、名義変更が必要なケースや手続きの際の注意点にも触れるため、軽自動車の名義変更を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
軽自動車の名義変更にかかる費用は自分で行う場合と代行業者に依頼する場合とで異なる
普通自動車の場合よりも若干安くなりますが、軽自動車の名義変更にも費用がかかります。
名義変更を自分で行う場合は、手続きにかかる実費を負担するだけで良いのですが、代行業者に依頼する場合には実費に加えて代行手数料も支払う必要があるため、その分の出費が増えることを押さえておきましょう。
業者に依頼する場合の手数料は依頼する業者によって異なりますが、数千円から数万円の費用がかかります。自分で手続きを行う場合はその費用を抑えられますが、手続きの流れを理解し、必要な書類をしっかりと把握しなくてはなりません。
軽自動車の名義変更でかかる費用
軽自動車の名義変更にかかる費用には、どのようなものがあるのでしょうか。かかる費用を詳細に把握しておくことにより、自分で名義変更を行う際に比較的スムーズに手続きを済ませられるはずです。
ここでは、軽自動車の名義変更にかかる具体的な費用を紹介していきます。
名義変更によってナンバープレートも変更しなくてはならない場合、その費用がかかります。金額は居住している地域によって異なりますが、1,500円〜2,000円程度です。
ただし、自分の好きなナンバーに変更する場合には4,000円〜7,000円、ご当地ナンバープレートや図柄入りプレートにする場合は7,000円〜10,000円ほどかかります。
なお、ナンバープレートを変更しなくても良いのは、車の新しい持ち主の住所が、変更前の持ち主の住所と同じ管轄区域内にある場合です。
名義変更によって管轄区域外の住所になる際には強制的にナンバープレートは変更になります。
軽自動車税の環境性能割とは、軽自動車の購入や名義変更の際に課される税金を指します。
これは、軽自動車が持つ環境性能に応じて税率が変動する制度で、購入価格の1〜3%が課税されますが、環境性能が高い車は非課税になる場合も少なくありません。
環境性能割の税率は、車両の取得価額に税率を掛けることで算出され、中古自動車の場合は購入からの経過年数に応じた残価率も関係します。
相続や家族間での譲渡など、無償で取得した場合には非課税ですが、中古車購入や金銭の授受を伴う譲渡で取得した場合には課税される点に注意が必要です。
保管場所使用承諾証明書は、駐車する場所を適切に確保していることを証明する書類であり、軽自動車の名義変更を行う際に必要な書類の一つです。
この証明書を取得するためには、駐車場の管理者または所有者から承諾が必要で、その際に2,000円〜5,000円程度の手数料を支払う場合が多いでしょう。場合によっては10,000円以上の手数料がかかることもあります。
ただし、軽自動車の名義変更に、必ずしも保管場所使用承諾証明書が必要なわけではなく、無料の証明書(賃貸契約書や領収書など)により代用可能であるため事前にしっかりと確認することが大切です。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
代行業者に依頼すると手数料が発生する
必要な書類を自分で揃え、手続きするのは手間がかかるため、代行業者を利用して軽自動車の名義変更を済ませてしまいたいという方は多いでしょう。しかし、その場合は手続きの煩雑さを避けられる代わりに手数料が発生します。
名義変更を代行業者に依頼した場合、どんな費用がどれくらい必要になるのでしょうか。
ここでは、名義変更を「行政書士」「自動車販売店」「ディーラー」に代行依頼する場合の手数料について詳しく解説します。
行政手続きの専門家である行政書士には、自動車の名義変更に関する書類の作成・提出代行を依頼することが可能です。必要な法律知識や経験があるため、迅速かつ適切な対応を期待できる点がメリットです。
費用の目安としては、15,000円〜60,000円程度と幅がありますが、それは依頼の内容やどこまで代行してもらうかによって異なるからです。
複数の行政書士に代行料金を見積もってもらい、じっくりと比較検討するのが良いでしょう。また、追加費用が発生するかどうかも事前に確認しておくことが大切です。
自動車の販売店や整備工場に依頼することで、名義変更の手続きを依頼できる場合もあります。ただし、どの店舗や工場でも名義変更の手続きを請け負っているわけではないため、あらかじめ確認してから依頼するのがおすすめです。
費用の目安としては、7,000円〜10,000円程度が相場といえるでしょう。この費用には、名義変更に必要な書類作成や申請手続きの代行手数料が含まれます。
また、自動車販売店では車の購入時に名義変更の手続きを進められるため、忙しくて自分で役所に届け出ができない方にも最適です。
名義変更を車のディーラーに依頼する場合は、他よりも少し多く費用がかかるのが一般的です。
費用の目安としては、15,000円〜20,000円程度になることが多いでしょう。自社の車だけでなく様々なメーカーの名義変更を引き受けてくれるため、自宅の近所にディーラーがある場合は、まずは見積もりを取ってから検討するのがおすすめです。
ディーラーに代行依頼する場合は、手続きが迅速で信頼性が高いことがメリットです。行政書士や販売店に依頼するケースと比較して少々割高になりますが、時間と手間は大幅に削減できるため、かかる費用よりも信頼性重視の場合はディーラーに依頼するのが良いでしょう。
ただし、自分で行う場合は必要書類や手続きの流れをしっかりと把握しておく必要があります。書類に不備があると余計な手間がかかるため、不安な場合は代行業者に一任するのが良いでしょう。
軽自動車の名義変更を自分で行う場合の注意点
名義変更を自分で行うことで、かかる費用を削減可能ですが、必要な手続きを忘れずに済ませるよう注意しなければなりません。
必要な書類や手続き内容が適切でない場合、書類の再提出や役所への再訪に無駄な手間がかかる可能性もあるため、注意点を把握しておくことが大切です。
ここでは、自分の手で名義変更する場合の注意点について具体的に解説します。
軽自動車の名義変更の際には、自賠責保険の名義もあわせて変更するようにしましょう。自賠責保険の名義変更手続きには特に費用がかからないため、できるだけ速やかに手続きを完了させることが肝心です。
ただし、自賠責保険の名義変更手続きは運輸支局ではなく、保険会社で行うため間違えないようにしましょう。
自賠責保険の名義変更をしていない場合は、もしも運転中に事故を起こした際に適切に補償されない可能性があるため注意してください。
保険会社によっては、オンラインや郵送での手続きに対応しているため、時間がない方でもそれほど不便は感じないでしょう。
自動車の任意保険は車両や搭乗者・物(対物)を対象に補償する重要な保険です。
軽自動車の名義変更の際には、加入している任意保険の名義変更手続きも必要になることを押さえておきましょう。
任意保険の名義を変更した際には、新規加入や車両入替の手続きが必要です。そのとき、車検証に記載された登録番号や初年度登録年月、型式、車体番号、車両所有者などの情報が必要となるため、事前に書類を揃えておきましょう。
なお、電子車検証の場合は、ICタグ内に情報が格納されているため、必要に応じて確認しておくことが重要です。
同居している家族や配偶者から車を譲り受けた場合には、任意保険の等級を引き継ぐことが可能であるため、速やかに手続きを済ませましょう。
等級の引き継ぎを行った場合、その車両を使用していた人の等級が新たな所有者に引き継がれるため、保険料が安くなる可能性があります。そのため、手続きする前に、引き継ぎを行う場合とそうでない場合とで保険料を比較し、最適な保険内容を選ぶことが重要です。
等級の引き継ぎに関する詳細は、事前に保険会社に連絡を取り、しっかりと把握しておきましょう。正しく手続きを行うことにより、保険に空白期間が生じず安心して運転できます。
普通自動車の名義変更後に駐車する場所が変わる場合には、自動車保管場所証明書(通称:車庫証明書)の申請を忘れずに済ませましょう。
軽自動車の場合には、一部地域で自動車保管場所届出書の提出が必要になる場合があるため注意が必要です。
この証明書は、名義変更後に車を所有する人が居住する地域の警察署に行けばもらえますが、その手続きから発行までは1週間程度、時間がかかるため、早めに申請を行う必要があります。
手続きが適切に行われていないと、万が一の際に保険が適用されない可能性があるため、忘れずに申請することが重要です。
ただし、必要書類に不備がある場合には余計な時間がかかってしまうため、事前によく確認しておくことが重要です。また、繁忙期や特定の時期には混雑することがあるため、そのような時期を避け、余裕を持って手続きに臨みましょう。
軽自動車の名義変更を代行業者に依頼するメリット
軽自動車の名義変更を代行業者に依頼する最大のメリットは、手続きにかかる手間や時間の負担を大幅に軽減できることです。
特に、平日に時間が取れない人にとって書類の準備から窓口での手続きまで代行してくれる業者に依頼するメリットは大きいでしょう。
また、行政書士や車のディーラーなど、その道の専門知識を持つ業者が対応してくれるため、書類の不備や遅延などの心配が少ない点も魅力です。
代行手数料はかかりますが、効率的かつ正確に名義変更手続きを完了させたい場合には、有用な選択肢になるでしょう。ただし、かかる費用は業者によって大きく異なるため、自分が納得できる料金で依頼できる業者を見つけることが大切です。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車の名義変更を代行業者に依頼するデメリット
代行業者に名義変更を依頼する際には、便利である一方で、代行手数料が発生する点がデメリットです。
行政書士や販売業者、ディーラーなど、それぞれ特徴は異なりますが、名義変更の代行手数料が発生する点では同じであり、自分で手続きを済ませる場合と比べると多くのコストがかかることは否めません。
そのため、名義変更に必要な書類や手続きの流れを知っている方にとっては、メリットよりもデメリットの方が大きく感じてしまうでしょう。
また、依頼する業者によってサービス内容や所要時間に差がある点もデメリットに感じるかもしれません。
これらのデメリットがあることを理解した上で、口コミや実績を参考に信頼できる業者を選ぶことが大切です。
軽自動車の名義変更の一般的な流れ
軽自動車の名義変更を自分で行う際には、まず以下の必要書類を準備します。
- 新使用者の住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
- 新所有者の申請依頼書(新使用者が押印したもの)
- 旧所有者の申請依頼書(旧所有者が押印したもの)
- 車検証
- 前後2枚のナンバープレート
- 軽自動車税申告書
- 申請書(軽第1号様式)
必要書類を揃えたら、新所有者の管轄地域の軽自動車検査協会に提出します。申請書や軽自動車税申告書は現地で受け取り、必要事項を記入してください。
その次に、管轄地域が変わる場合はナンバープレートを返納し、新しい車検証の交付まで少しの間、待機する必要があります。ナンバーの変更がない場合は、この段階で軽自動車税を申告し、軽自動車環境性能割を納付しましょう。
窓口にて新たな車検証を受け取ったら手続きは終了です。
ナンバーに変更がある場合は、ここで新しいナンバープレートを受け取りましょう。その際に、軽自動車税申告書と車検証を提出し、軽自動車勢環境性能割を納付します。
軽自動車の名義変更が必要になるシーン
家族や友人間での譲渡などの場合、軽自動車の名義変更が必要であるという認識がなく、名義変更が必要ないと思い込んでしまう場合があります。しかし、車の所有者が変わる場合には原則的に名義変更を行うよう定められているため注意が必要です。
ここでは、どのような場合に軽自動車の名義変更が必要になるのか、具体的なシーンを解説します。
軽自動車を売却する場合、通常は所有者が変わるため名義変更が必要となります。
車の売却が可能なのはその車の所有者に限られるため、手続きの前に売却する車の所有者が誰であるかを確認しなくてはなりません。
家族からもらった車であっても、所有者以外が勝手に売却することは法律で禁じられています。名義変更が完了していなければ、所定の手続きを取り、名義変更を適切に完了させてから車の売却を行いましょう。
家族や友人に軽自動車を譲る場合でも、所有者が変わるのであれば名義変更が必要となります。
名義変更をしない場合は、旧所有者に税金や保険の通知が届き続けるため、さまざまなトラブルの原因になるでしょう。
また、車を無償で譲る場合も名義変更が必要になるため注意が必要です。自分以外の人に所有権が移る場合は、名義変更を忘れないようにしましょう。
相続によって所有者が変わる場合にも、軽自動車の名義変更が必要となります。
相続による場合は一般的な売却や譲渡と異なり、遺産分割協議や相続人の同意書作成など、やや複雑な手続きが必要です。
相続で名義変更が完了していない場合は、故人名義での自動車税や保険料の請求がきてしまうため早急な対応が求められます。